幼馴染が私を殺そうとしてきます

幼馴染が私を殺そうとしてきます【79話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【幼馴染が私を殺そうとしてきます】まとめ こんにちは、ピッコです。 「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

79話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 予想もしていない再会②

その夜のことだった。

グリフィスは午後に皇城を出た。

彼は皇城で過ごすつもりはなく、カーリクスとロミオにあらかじめ頼んで用意してもらった住宅へと向かった。

レリアはベッドに横になっても心が落ち着かず、なかなか眠れなかった。

だからウサギのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめていた時だった。

風が激しく吹きつけ、窓がガタガタと揺れた。

『なんでこんなに風が強いの?雨でも降るのかな?』

どうにも気になって、窓をしっかり閉めようと身を起こした。

スルッ。

その瞬間だった。

まばたきする間に現れた誰かが、レリアの首元に剣先を突きつけた。

「……っ!」

レリアは心臓が止まりそうな思いで息を呑んだ。

頭の中が真っ白になった。

『皇城に刺客だなんて!』

まさか、セドリックかデミアン皇子たちが送り込んだのか?

そうなら納得がいく。

皇子たちの許可があれば、皇城への侵入も容易になるだろう。

もしかしたら、最初から皇城の騎士だったという可能性もある。

だが、相手は物音一つ立てずに侵入できるほどのレベルの実力者だった。

ほとんどの騎士は暗殺能力に特化して訓練されていないが、こいつは明らかに専門的な訓練を受けた暗殺者だろう。

レリアは冷たい刃の気配を感じながら、ごくりと唾を飲み込んだ。

そしてゆっくりと顔を上げて相手を見つめた。

相手は黒い服を着ていた。

細部までは見えなかったが、どうやら覆面はしていないようだった。

『皇城に侵入するのに顔を隠さないなんて。』

自分の実力に絶対の自信を持っている者なのだろう。

そう考えた瞬間だった。

ちょうど開いた窓のカーテンの隙間から風が吹き込み、そのおかげでその者の顔が露わになった。

月明かりに照らされた男の顔が静かに輝いた。

あ…!

レリアは思わず息を呑んだ。

まるで何かに引き込まれるような感覚だった。

その人物はまるで天使の姿を借りて、死者の魂を奪い去ったという地獄の悪魔のようだった。

昔から聞いた話によると、その悪魔は天使よりも美しく気高い外見をしていたという。

だが瞳の色だけは悪魔のように赤いと…。

遅れてそれが誰なのかを察したレリアは、その場で体がすくんでしまった。

ぞくっと震えるような気配が走る。

「オスカー……」

レリアがその名を口にすると、彼は目を細めて微笑んだ。

微かだが口元がわずかに上がった。

「ずっとおかしいと思ってたよ。」

オスカーの穏やかな声はまるで夢の中のように優しく温かかった。

だが、首元に突きつけられた刃は、その声とは裏腹に、彼女の喉を切り裂こうとするような鋭さを秘めていた。

「だから、一つ試してみたいことができたんだ。」

「……」

オスカーの言葉は、レリアにとって到底理解できないものだった。

『オスカーがどうして……』

本当に私を殺すつもりなの?

心臓の鼓動が早まった。

絶対にこのままでは終われない。

そのとき、オスカーの視線がレリアのベッドの上へと移った。

少し前まで彼女が抱いていたウサギのぬいぐるみを見つめているようだった。

その瞬間、レリアは素早くオスカーの手首を払いのけ、彼を押しのけようとした。

しかしオスカーはまるで巨大な岩のように微動だにしなかった。

一瞬で姿勢が変わった。

レリアは「はっ」と息を呑み、驚いて声を漏らした。

両手首を掴まれ、いつの間にかオスカーの顔がすぐ目の前にあった。

彼はつまみを握ったまま、レリアの目を見つめていた。

目の前にある赤い瞳には、冷ややかな殺気が漂っていた。

「放してください…!」

レリアは身を震わせた。

下手をすれば叫ぶところだった。

ロミオやカーリクスが聞いて駆けつけてくれれば、オスカーを止めてくれるはず。

だが、その言葉に対し、オスカーの目にはさらに激しい怒りの光が宿った。

「一体どうしてこんなことを…!」

レリアの言葉は最後まで続かなかった。

オスカーが彼女の唇をふさぐようにキスをしたからだ。

唐突なキスに、レリアの瞳孔はさらに大きく見開かれた。

彼女はありったけの力で彼を押しのけた。

幸いにも、今回はオスカーも素直に押しのけられた。

レリアは荒い息をつきながら、驚いた目でオスカーを見つめた。

一体これは何…。

心臓が激しく打ち鳴らされた。

「それでもまだ話さないつもりか、お前?」

狂ったようなことをしながら、オスカーは平然と笑った。

瞳がどこかおかしかった。

ガラス玉のように揺れ動く瞳を見て、レリアはオスカーが狂ってしまったのではないかと思った。

塔の戦いでどこか負傷したのではと疑いたくなるほど、彼の瞳には狂気が宿っていた。

レリアは混乱していた。

一体なぜオスカーはこんなことをしているのか、何を言おうとしているのか…。

まさか…!

自分の正体に気づいたのか?

だが、前に旅立つ直前まではそんな気配はまったくなかった。

一緒にいたロミオやカーリクスならともかく、なぜ急にオスカーが…?

――そのときだった。

獲物を目前にした猛獣のように、じっとタイミングをうかがっていたオスカーが、再びレリアへと飛びかかってきた。

「……っ!」

だが幸いにも今回は、無理やりキスをしたり、首に刃を当てたりはしなかった。

オスカーはレリアの両手を握りしめ、顔を近づけてきた。

それだけだった。

彼女の手を握るオスカーの手はわずかに震えていた。

そして体は冷たかった。

彼は何かを必死に訴えるような表情で、レリアの目を見つめていた。

まるでレリアの瞳の奥に何かを探している切実な人のように。

「……」

だが、レリアが沈黙を守り続けると、オスカーの目の光が再び変わった。

オスカーは握っていたレリアの手をパッと、力なく放し、後ろに一歩下がった。

まるで傷ついた子供のような目をしていた。

「……」

赤い瞳からぽろぽろと涙が床に落ちた。

声も立てずに泣くオスカーの姿を見て、レリアはどうすればいいか分からなかった。

だが、それもつかの間。

オスカーはレリアを一瞥すると、すぐに窓の外へと姿を消してしまった。

『オスカー….』

慌てて窓の外をのぞいてみたが、オスカーの痕跡は瞬く間に消えた。

レリアはその場に崩れ落ちた。

「……」

頭は混乱し、心臓はドキドキと鳴り続けていた。

突然真夜中に起こった出来事に、まともな思考も追いつかず、一体何が起きたのか理解できなかった。

言葉にするのが難しかった。

「一体なぜオスカーが……」

レリアは不安げな視線で、オスカーが立っていた場所を見つめた。

あの瞳。

自分を見つめていたその瞳には、不信と沈黙、そして殺気があった。

まるで、信じていた人に裏切られたような……傷ついた子どものように。

『私のことを思い出したのね。』

レリアは膝に顔を埋めた。大粒の涙がこぼれ落ちた。

 



 

「おい、お前の目どうした? 昨日ぶたれたのが今になって腫れたのか?」

カーリクスの言葉に、レリアはぎくりとして慌てて目元を隠した。

インベントリから目の腫れに効くとされる薬を取り出して飲んだが、あまりにも腫れていて大きな効果はなかった。

カーリクスは黙ってその手を取り、顔を隠しているレリアをじっと見つめた。

「殴られたんだろ?俺が行ってそいつと同じようにぶっ飛ばしてやるよ。な?」

「ただ……寝すぎただけです。殴られてません。」

「そうか?」

レリアの言葉に、カーリクスはようやく納得した。

彼女は安心したように息を吐いた。

あの出来事から2日後の今。

オスカーを除いた全員が、ロミオの部屋の応接室に集まっていた。

「今朝、オスカーが来たよ。」

グリフィスがその知らせを伝えると、ロミオが眉間にしわを寄せた。

「でも、なんで来ないの?」

「顔だけ見て、すぐに出て行ったけど?」

「……レオの墓に行ったのか?」

レリアはオスカーの話が出たとたん、肩をぎゅっとすくめた。

自分のせいで彼が夜通しさまよっていたのだと痛感し、心が締め付けられた。

ロミオは疑いながらも、ついに手のひらをひと振りした。

レリアはびっくりして頭を上げた。

「もういい、オスカーまで来たんだから、今度は次の計画を立てないと。レオの墓で皆で最後のあいさつをして、それぞれの道を行こう。」

「いいよ。」

「いいとも。」

ロミオの言葉に、順にカーリクス、グリフィスが答えた。

レリアもまた静かにうなずいた。

「君はどうする? ルートに何か得られるものがあるって言ってたけど、それで終わりなの?」

ロミオがレリアに向かって尋ねた。

ごくりと唾を飲み込んで、彼女は答えた。

「はい、終わりました。私はもう故郷に戻ろうと思っていて……」

「そうかい?ふむ……」

ロミオは少し考え込んだあとに言った。

「よし、決めた。私も一緒に行くよ!」

「……えっ?」

「そうか? じゃあ、俺も行こうかな。どうせやることもないし、傭兵なんて仕事もうんざりだし。」

カーリクスがソファに沈みこむように体を預けながら言った。

まるで今にも倒れこみそうだった。

なんなんだ、みんな勝手に?

レリアは眉間にしわを寄せた。

誰が一緒に来ていいって言ったのよ?

もちろん、友達と一緒に行けるならそれは嬉しいけど……。

「そう?じゃあ僕も。」

グリフィスまでそう言った。

レリアはふと昔のことを思い出した。

あの時もこんな感じの状況だったような……。

「君は隊長の弟だから、特別に僕たちの末っ子として迎えてあげるよ。ついて来な。心配しなくていい。」

「………」

まさか……私?末っ子?

ロミオの言葉にレリアは口をぎゅっと閉じた。

「でもグリフィス、本当に行っても大丈夫なの?」

カーリクスの問いに、グリフィスも肩をすくめた。

どうでもいい、という態度だった。

ロミオは目を細めてこう言った。

「じゃあオスカーにも伝えないとね。あ、あいつは無理か?王位を継いだ身で忙しいのかもな。」

その時だった。

「忙しくない。」

「うわっ!」

振り返ったレリアの背後に現れたオスカーが、どさりとソファに腰を下ろした。

レリアの隣だった。

レリアはもちろん、ロミオとカーリクスも「うわっ!」と驚きの声を上げた。

唯一平然としていたのはグリフィスだけだ。

「この狂ったヤロー!ドアから出入りしろよ!ドアから!」

ロミオが手を振りながら叫んだ。

その言葉に、レリアは背後を振り返った。

窓が開いているところを見ると、あの方向から入ってきたようだ。

しかし、この真昼間に窓から入ってきただと?

護衛兵たちをかいくぐって?

いや、驚くことでもない。

オスカーもやはり伝説として語られる魔剣を手に入れ、ものすごい力を得たのだから。

しかし一方で不気味だった。

その魔剣は血を吸うほどに強くなる剣なのだが……オスカーがその剣を通じて力を得たということは、一体どれほどの血を吸わせたというのか。

記憶の中のオスカーは、アリ一匹すら殺せないほどか弱く、純粋な子だった。

可愛らしくて、愛らしく、そしてか弱い、そんな子。

「………」

しかし昨夜以降、レリアは確信を持つようになった。

過去のオスカーと今のオスカーは、まったくの別人であるということを。

「…ふう。私は全然驚かなかったけど?」

カーリクスが、あまり驚かないようにという感じでロミオに言った。

それは嘘だった。

さっき「うわっ!」と叫びながら飛び上がるのを見たのだ。

ロミオも同じ考えだったのか、「ふざけるな」と言い返しながら口論を始めた。

二人が言い争っている様子を見ながら、レリアはドキドキしていた心臓を落ち着かせた。

そうしてゆっくりと呼吸を整えていると、隣から優しい声が聞こえてきた。

「私も一緒に行く。」

レリアは驚いてフードを上げた。

彼女のすぐ隣に座っていたオスカーは脚を組み、優雅な姿勢でレリアを見つめていた。

今のオスカーは、以前とはまた違った様子だった。

余裕があり、優雅で、怒っていたかと思えば穏やかな表情と口調だった。

まるで何もなかったかのようなその態度のおかげで、レリアの頭の中は混乱していた。

そして、そんな二人の姿をグリフィスが不思議そうな目で観察していた。

カーリクスと取っ組み合いをして騒がしかったロミオが、フードを回して聞いた。

「一緒に行くって?お前、皇位は?」

「当分の間… 形だけの皇帝になってくれる人がいるから。」

オスカーの返答にカーリクスは「ちょっと、今あいつうちの父親の話した?あの不良息子が、不良が…」と取り乱したが、オスカーは気にも留めなかった。

レリアは呆れた表情でため息をついた。

つまり…「この子たちをみんな連れてシュペリオン領地に戻らなきゃいけないってこと?」

 



 

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