幼馴染が私を殺そうとしてきます

幼馴染が私を殺そうとしてきます【111話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【幼馴染が私を殺そうとしてきます】まとめ こんにちは、ピッコです。 「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

111話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 父親

厳しい宦官たちの案内で、皇城での滞在部屋に案内された。

部屋に入ったレリアは、苦笑いを浮かべた。

皇帝宮に属するこの小さな別室は、豪華に飾られていた。

そして部屋の奥には、大きな一枚の絵がかけられていたのだが――

『お母さんの肖像画じゃない』

一度も見たことのない肖像画だった。

華やかな衣装を身にまとった絵の中の母は、優雅に微笑んでいた。

本当に幸せそうな笑顔だった。

なぜこの絵がここに掛けられているのかという疑問が頭をよぎったが、それも一瞬のことだった。

レリアは絵の中の母の姿に見入って、目を離すことができなかった。

しばらくして、ノックの音がトントンと聞こえた。

入室を許可すると、中に入ってきたのは二人の侍女だった。

彼女たちは侍女ができるまでは必要なことを自分たちに指示するようにと、きっぱりと言って出て行った。

その後に入ってきたのは、カリウスおじさんだった。

「レリア。」

彼は心の準備ができたかのような目で尋ねた。レリアは小さくうなずいた。

出発の準備をしていたのか、叔父や友人たちがいる客室はここから遠くなかった。

カリウスはレリアの背後にかかっている草花の絵をしばし見つめ、我に返った。

そしてレリアに向かって手を差し伸べた。

「行こう。」

「はい、叔父さま。」

いよいよペルセウス皇帝に会いに行くときだった。

緊張のせいか、手に汗がにじんでいるようだった。

前回は男装したまま「レイモンド」としての身分で皇帝に謁見していた。

しかし今は……。

レリアは叔父とともに応接室へ向かい、廊下に飾られたガラス装飾に映る自分の姿を見つめた。

身分を隠すため、以前は金髪に瞳の色を変えていたが、今回は完全に銀髪にしていた。

母に似た淡い光の瞳もそのままだった。

「こちらです。」

大きな扉の前で立ち止まった侍従が慎重に言った。

そして控えめに失礼しますと言いながら、扉をノックした。

ギイイ。

まもなく扉が開かれた。

レリアは叔父が差し出した手をぎゅっと握り、内側へと向かった。

前回皇帝と会ったあの現実の場所だった。

レリアはゆっくりとアーチの向こうへ歩いていった。

「……」

そして窓辺に立っていたペルセウス皇帝と視線が交わった。

光を背にして立っていた彼は、前に見たあの姿のままだった。

いや、少しやつれたようにも見えた。

「お久しぶりです。」

カリウスが先に口を開いた。

しかしペルセウスはレリアに向けた視線を逸らさなかった。

まるで彫られた彫像のように、そのぼんやりとした表情のまま、レリアだけを見つめていた。

カリウスはその気持ちを理解できたので、しばらく待った。

まるで死んだエリザベスが生き返ってきたかのように、彼女の容姿はよく似ていた。

彼が驚いたのも無理はなかった。

「レリア、私は少し外してくる。」

「…はい、おじさま。」

レリアの平然とした態度に、カリウスは不安を拭えなかった。

彼は応接室の外へ出て行った。

「…座れ。」

しばらくして口を開いたペルセウスは、ほとんど平静さを取り戻していた。

レリアは前に座った席と同じ場所に腰を下ろした。

まもなく侍従が茶を持ってきた。

湯気の立つその茶碗を見つめながら、レリアは何も言わず沈黙が流れた。

ペルセウスはそんなレリアの顔をじっと見つめた。

しかし一度も自分に視線を向けないレリアに、もどかしさと切なさを覚えた。

「……レリア。」

「はい、陛下。」

ようやく名前を呼んだが、レリアはとても落ち着いた様子で答え、彼を見つめた。

まるで命令を受けた神官のように、何の感情もなく。

その態度に、ペルセウスの眉間にはしわが寄った。

『どうして、どうしてあんな態度が取れるんだ?どうして私を見て、何の表情も浮かべないでいられるんだ?』

泣きながら恨むだろうと予想していた。

どうして私をあんなふうに捨てたのか、なぜ探してくれなかったのかと怒るだろうと思っていた。

どんな怒りや恨みをぶつけられても、すべて受け入れる覚悟をしていたのに——予想はまったく外れた。

レリアの表情からは、恨みや怒りを読み取ることはまったくできなかった。

何の感情もなかった。

「…私を恨んでいなかったのか?」

「恨んでいました。」

「……」

その言葉は、今はもう違うという意味だった。

ペルセウスは落ち着いた表情で息をついた。

地獄の業火に落ちたように熱くなった胸が、少し冷めた。

「いつ……いつこの事実を知った?いつから知っていた?」

「……」

「シュペリオン公爵がいつお前にこの事実を知らせたのか?」

レリアは置いていた茶碗から視線を外し、皇帝を見つめた。

奇妙な気分だった。

前回とは異なり、完全な自分の姿でペルセウス皇帝と向き合っている。

どんな気持ちになるのか気になっていたが……思ったより何も感じなかった。

レリアは大きな誤解をしているペルセウスを見て、ゆっくりと口を開いた。

嘘をつくつもりはなかった。

何も考えていなかった。

むしろすべての事実を伝えたかった。

「最初から……」

「何?」

「最初から知っていました。」

「…最初からって、最初からだなんて……」

ペルセウスは理解できないというような表情だった。

レリアは親切に説明することにした。

「正確には、7歳になったときから知っていました。」

「……!!!」

ペルセウスは驚いて顔の表情がこわばった。

まったく予想していなかったかのような反応だ。

しばらくうつむいていた彼は荒く息を吸い込んだ。

そして怒った表情で尋ねた。

「どうして?それで……どうして俺に最初に会ったとき言わなかったんだ?一体なぜだ?!」

「…イリス皇女の娘だと信じていたあなたに、私がそんなことを言ったところで…信じてくれましたか?」

レリアは平然と答えた。

ペルセウスの顔は少しだけ困惑したように赤らんだ。

レリアの言う通りだった。

そう、絶対に信じなかっただろう。

そのことはペルセウス自身が一番よく分かっていた。

当時は妹イリス皇女に対する憎しみと敵意で満ちていたのだから。

でも… でも…!

「当時は信じられなかったけど… ずっと君が皇城で育ったと思っていたんだ。こんなに似た顔立ちなら、きっと気づいていたはずだ!」

「………」

ばかばかしい話だった。

平静を保とうと、レリアは小さく息を吐いた。

しかし、皇帝の次の言葉には冷静でいることが難しかった。

「…それなのに、なぜ逃げたんだ?一体なぜだ!皇城の外がどれほど危険か、あの年齢で武器も持たずに!もし何かあったらどうするつもりだったんだ…!!!」

何の反応もせず、ただ事実だけを話そうとしていたのに…その言葉には到底笑わずにはいられなかった。

「はあ……」

レリアは思わずため息を漏らした。

冷たい調子に、ペルセウスの心臓が少し揺らいだようだった。

「どうやら、昔のことでちゃんと覚えていないようですね。」

「…何?」

「城から追い出された状況で、私が皇城の森で獣のように生き延びるべきだったとおっしゃるのですか?」

「……」

彼の表情に苦悩が浮かんだ。

遠い昔の記憶がよみがえってきた。

幼い子どもが過ごしていた小さな塔。

そこは……そう、ある日双子のあの子たちが、あの場所をユリアナのための空間にすると言って工事を始めた、という話を聞いたことがあるのを思い出した。

閉じ込められてたのか?なぜ、なぜあのときは思い至らなかったのか…?

彼はしばらく混乱した様子だったが、やがて口を開いた。

「もし……私に話してくれていたら、すぐにでも助け出していたのに。」

「その後は?果たしてこの場所での暮らしが穏やかだったと思いますか?」

「………」

「私にとっては、強盗や獣たちが徘徊する皇城の外よりも、ここがずっと危険でした。」

「…何てことを…!」

「生きるために逃げたんです。」

「………」

「私が皇城で育っていたら真実を知ったと思いますか?いいえ。その前に高値で買う貴族にでも売られていたでしょう。」

「…はぁ。」

ペルセウスはもどかしそうにため息をつき、表情を歪めた。

胸が詰まり、熱くて苦しいようだった。

誰かへの恨みを吐き出すように、彼の目には涙が浮かんでいた。

レリアの言うとおりだった。

当時、レリアはまだごく幼い年齢だった。

家臣たちは、そんなレリアを目障りに思う皇帝のために、さまざまな方策を探っていた。

その一つがまさに「結婚」だった。

その幼い子どもを財貨目当てに狙う貴族たちから、隣国に売り飛ばそうとする者たちまで……。

「違う……違うよ……違う。そんなこと……そんなことあるわけがない……」

ペルセウス皇帝は苦しげな声でうめいた。

まるで自分自身に言い聞かせるようだった。

レリアはそんな皇帝を虚ろな目で見つめながら言った。

「わたしが、この忌まわしい皇城に再び来たのは……はっきりとお伝えするためです。」

「………」

「私には父親は必要ありません。」

「………!!!」

「これまでそうやって生きてきたし、これからもそうでしょう。」

皇帝は混乱した様子で、理解できないように首をかしげた。

「じゃあ、あの時はなぜ来たんだ?正体を隠して皇城へ来たのは… 私に会うためじゃなかったのか?」

「母が残した物を探しに来ただけです。」

「違う!あり得ない… どうしてそんなことが… どうして!」

虚ろだったペルセウス皇帝の目に光が戻った。

彼はかすかに震える目でレリアを見つめた。

「お前は私の娘だ。エリザベスと私の血を引く者だ!なのにどうして父親がいないなどと言うんだ!私はお前のために、お前を守るためにそのとき……!!!」

「………」

あのとき彼が満足な妻のためにどんな決断を下したのか、知っていた。

だが、今さらその過去の出来事が父親としての正当性になるわけではなかった。

たとえそれが情から来るものだったとしても、どうすることもできなかった。

「シュペリオン騎士たちの休息が終わり次第、再び戻る予定です。」

「………」

レリアの言葉が落ちると、ついに皇帝は手のひらで顔を覆った。

彼の肩がわずかに震えていた。

泣いているのが分かっても、レリアは手を差し伸べて慰めようとはしなかった。

レリアはそんな皇帝をしばらく見守ったあと、体を起こして部屋を出た。

扉の前にはカリウスが沈痛な表情で彼女を待っていた。

「レリア。」

「…休みたいです。」

「そうだね、さあ部屋に戻ろう。」

レリアはそのように歩みを進めた。

そのとき、背後の扉の中から、獣のようなすすり泣く声が聞こえてきた。

歩き始めたが、一度たりとも後ろを振り返らなかった。

 



 

同じ時刻。まさに皇帝に会うためにやって来たユリアナは、服のフードに身を隠したままレリアの後ろ姿を見つめていた。

銀髪のレリアを見た瞬間、彼女の心臓がドクンと跳ねる気がした。

あの子があの子だって?あの子が?

あの姿を見て「レイモンド卿」を思い浮かべない人はいないだろう。

それほどに、あまりにもそっくりだった。

銀髪はアウラリア皇族の象徴のようなものだった。

皇帝も、双子の皇子たちも、新しく生まれた幼い皇子も、皆銀髪だった。

ユリアナはなぜか分からないが、その神秘的な雰囲気に思わず息を呑んだ。

レリアは無表情の顔で謁見室から出てきた。

彼女の隣には厳しい表情の男が立っていた。

首都の貴族たちの間でも影響力を持つ人物のひとり、カリウス卿。

幼い頃から自分にだけやたらと厳しかった。

最初は自分のことが嫌いなのだと思っていた。

しかし双子の兄たちの叔父であることを知り、兄たちの話を聞いて考えを改めた。

「彼は私たちのおじさんだよ。もともとちょっと無口なだけで、絶対ユリアナのことを嫌ってなんかいないよ。」

「そうだよ、私たちのおじさんなんだから、君のおじさんでもあるってことじゃない。だからそんなに怖がることないよ!」

その言葉を聞いたあとは、少しは気楽に彼を見ることができた。

ところが、レリアのそばにいるカリウス卿は、驚くほど穏やかで柔和な様子だった。

まるで別人のように。

そのときだった。

レリアが数歩歩いたと同時に気づいた。

部屋の中から奇妙な音が聞こえてきた。ユ

リアナは驚いて思わず口をふさいだ。

聞く人の心が潰れるほどのすすり泣きの声。

お父さんだった。

お父さんが泣いていた。

「…どうして….」

ユリアナの目にもたちまち涙が浮かんだ。

しかしレリアは一度も振り返らなかった。

あまりにも冷淡な人に見えた。

ユリアナは慌てて謁見室の前に立っていた侍従に近づいた。

「扉を開けて。」

父さんをあんなふうに一人で泣かせたままにしておくことなんてできなかった。

 



 

「騎士たちの休暇が終わったら、そのまま戻ると言ってました。」

「レリア……」

カリウスはレリアの手の甲にそっと触れた。

しばらく悩んだ末、彼がようやく口を開いた。

「おじさんの考えでは……それより少し長く留まってみたらどうかと思うんだけど。」

「……」

「最後なら、なおさらだ。年月が経ち、君がもう少し大人になったときのために、それが役立つかもしれない。」

「…どれくらいですか?」

「そうだな、少なくとも君にとって良い記憶が一つでもできるまで?」

「……」

「もう二度と来ない場所だとしても、ここが君にとって傷ばかりの場所にはなってほしくない。それに君のお母さんにとっては本当に大切な場所だったから。」

カリウスは視線を向け、小さな庭を見つめた。

あの場所で明るく笑いながら手を振っていた姿を思い出しながら。

姉の姿は今でも鮮明だった。

亡くなった姉は、自分の夫であるペルセウスと、娘ウラリア、そしてこの皇城を心から愛していた。

「………」

カリウスのまなざしを見て、その気持ちを悟ったレリアは、小さくうなずいた。

あまり長くなければ問題なかった。

どうせシュペリオン領地に戻るのは確実だったのだから。

今では禁言の魔法も解けたので、残りの人生をシュペリオン領地で家族と幸せに過ごしたかった。

心配せずに、ただそうしたかった。

 



 

 

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