こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
135話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 望んだ平和
グリピスは金色のブレスレットを持ってきて、レリアの手首に装着する。
両手首に巻かれたブレスレットはゆるすぎず、きつすぎることもなかった。
「神聖力が込められたブレスレットだよ。これがあれば神官たちは絶対に君を疑わない。だから絶対に外しちゃだめだよ。」
グリピスはそう言った。
グリピスの神聖力がどの程度なのか気になったが、あえて尋ねはしなかった。
レリアは一晩中眠れず、手首にかけられたブレスレットを見つめていた。
これが正しい選択なのか、絶えず悩んだ。
なぜか両手首にかけられたブレスレットが、枷のように重く感じられた。
しかし神聖力が込められたブレスレットは、むしろ彼女のコンディションを良くしてくれた。
体が軽くなり、頭がすっきりする感じだった。
まるで森の中を駆け抜けるように爽快だった。
そうして澄んだ気持ちで、レリアは膝を抱えたままこれからのことを考えた。
まず、母が目を覚ますことが最優先。
次に思い浮かんだのは、ペルセウス皇帝だった……彼のことを思い出すと頭が痛んだ。
『狂人だなんて……』
突然現れたあの使者が自分のせいだという考えを拭うことができなかった。
無情で毒のある言葉を口にして傷つけるべきではなかった。
どうせその言葉は自分自身にも深い傷を残したのだから。
だが、罪悪感とは別に、もう一度皇城に戻りたいとは思わなかった。
母をあの場所へ戻したいとも思わなかった。
そして……レリアは、グリピスが言った言葉のひとつを思い出した。
「僕たちも君と結婚してほしいって無理強いしないし、いつもそばにいるよ。僕たち五人で……永遠に離れなくてもいいんだ。」
何度思い出しても不思議で変な言葉だった。
友達が自分に結婚を求めるなんて、夢にも思わなかったので、レリアは戸惑った。
怒りをあらわにしたカーリクスのことも思い出し、彼女を皇后にしようとしたオスカーのことも思い出した。
同時に苦悶に満ちたオスカーの肩の様子も思い浮かんだ。
一体何があったのか、どうしてあんなにも苦しそうだったのか、今もまだ苦しみに苛まれているのではと心配になった。
考えを整理しようとしたが、考えれば考えるほど頭の中は混乱し、かえって呆然となった。
いっそ何も考えたくなかった。
手の施しようのない親しさになってしまったかと思うと、息が詰まるほど頭が痛くなった。
レリアはそのように、夜明けになるまで眠れなかった。
グリピスは鼻歌を歌いながら服をたたんでいた。
あれほど来るのを嫌がっていた神殿だったが、今では結構気に入っていた。
これからここに情を持って生きていくべきなのだから、それは良いことだった。
ただし、レリアがいれば、あれほど忌み嫌っていたニケア本国の皇城さえも天国のように思えるだろう。
少し前、グリピスはようやく眠りについたレリアを確認して彼女の部屋から出てきたところだった。
真っ白なベッドに横たわるレリアはまるで絵のようだった。
どうして本当にあの時そうしなかったのか、後悔が込み上げるほどだった。
胸が締めつけられるように、何かがぎっしりと詰まったように感じられた。
ベッドで眠る彼女はあれこれと想像をかき立てたが、グリピスは衝動的にすべてを壊すつもりはなかった。
『どうせ、これから先は時間がたくさんあるから。』
グリピスはしばらくそのベッドの上でぐっすり眠っているレリアを見つめて微笑み、そっとドアを閉めて自分の執務室へと向かった。
鼻歌を歌いながら執務室に入ったグリピスは、思いがけない来客を見つけて足を止めた。
新たに整えられたその執務室の中には、怒りの表情を浮かべたロミオとカーリクスが待っていた。
「早かったね?」
「おい、このクソ野郎。一体何をやらかしたんだ?」
プルプルと震えるロミオに両手のひらを見せてなだめながら言った。
「そんなに待たされて怒ってるのか?ちょうど眠ったレリアを見届けてきたところだから、落ち着いて。」
レリアの名前を聞いたロミオは目をそらした。
だがカーリクスは遠慮することなくグリピスの襟元をつかみ、ソファにぐいと引っ張った。
無理やりグリピスを座らせて問い詰めた。
「ちゃんと説明しろよ、このクソ野郎。」
「……友達のくせにクソ野郎とは。」
グリピスは傷ついたように言葉を詰まらせた。
だが心の中では笑いをかみ殺していた。
『誰が誰に向かってクソ野郎って言ってんだよ。本物のクソ野郎は誰なんだか。』
グリピスは皺の寄った神官服をはらいながら、態勢を整えた。
「俺は無理強いなんてしてない。レリアの選択だったんだ。」
「それを信じろって?」
カーリクスが拳を握りながら問いかけた。
ロミオはため息をついてソファに腰を下ろした。
「オスカーのところへ行くって言ってたレリアが、どうしてここにいるんだ?」
「…オスカーのところへ行くって?」
グリピスの眉間に皺が寄った。
レリアが中立区域の近くでオスカーと一緒にいたというのは、グリピスも知らなかった。
ただ聖騎士たちが彼女を発見して連れてきたということしか知らなかったのだ。
そういえばレリアに、なぜそこにいたのかを聞いていなかった。
グリピスは自分の過ちに気づいて舌打ちした。
レリアが手の中に転がり込んできたという事実があまりにも楽しくて、つい忘れていた。
だけど、オスカーのところに行くって言ってたの?
「オスカーが具合悪そうだったって言ってたよ。状態がかなり悪いみたいだって……それでレリアを向かわせたのに、どうしてここにいるのかって。」
ロミオの答えに、グリピスはちくりとした目つきをしながらも、すぐに気まずさを抑えた。
「道に迷ってさまよっていたレリアを聖騎士たちが見つけて連れてきたんだ。」
グリピスの返事を聞いて、ロミオは眉間をひそめながら言った。
「レリアが目を覚ましたら、すぐに領地に連れて帰るよ。」
「そう?後悔するかもよ。」
「……なに?」
グリピスはにっこり笑いながら説明を始めた。
レリアとは違い、話がすぐに終わることではなかった。
「レリアが領地に戻ったら?今後どうなると思う?」
「何をわけのわからないことを言ってるの、はっきり言いなさい。」
「ペルセウス皇帝が狂気に侵されてるんだ。もう正気じゃないってこと。そんな状況で、レリアの母親が生きてるって知ったらどうなると思う?」
「………」
「………」
グリピスの言葉に、ロミオとカーリクスは何も言えなかった。
二人の反応を見たグリピスは、平然と話を続けた。
「レリアの母親を迎えに行くだろうし、レリアも当然一緒に……シュペリオン公爵が黙ってるわけないよね?まぁ、当然戦争になるだろうね。」
グリピスはまるで他人事のように軽く話した。
「レリアがその様子を目の前で見ることになるなら……あまりに辛くない?」
「それでも……」
「レリアがペルセウス皇帝に巻き込まれたくないなら、この方法が最善だよ。」
一瞬の静寂が訪れた。
その静寂を破ったのは、ただただ目をパチパチさせていたカーリクスだった。
「ペルセウス皇帝を殺してしまえばいいんだよ。」
その言葉にロミオは顔をしかめた。
あの真面目な奴がそんなことを言うのか?
グリピスは肩をすくめて笑った。
「このバカ……レリアがそれを知って喜ぶと思うの?スッキリしたって喜ぶと思う?」
「……」
グリピスの言葉に、カーリクスは顔をしかめた。
「お前みたいに単純なやつなら喜ぶかもしれないが……レリアは違う。レリアはお前とは違ってとても複雑なんだ。」
まるで親切心を込めて話すように、グリピスは穏やかに説明した。
「皇帝が突然死ねば、レリアは混乱し、罪悪感に苛まれるだろう。狂気が起きたことも自分のせいだと感じているんだから。なのにお前が彼を殺すって?」
「……」
「それに、殺したとして何が変わる?まさか…フレスベルグ帝国の皇后になってほしいとでも思ってるわけじゃないよな?」
グリピスが急所を突くと、カーリクスとロミオは口を閉ざした。
グリピスはひっそりと苦笑した。
「僕が自分のためだけにこんなことを企んだと思ってるの?君たちのためでもあるんだよ。」
「それはどういう意味だ。」
「君たちもレリアが欲しいんだろ?」
でもそうするには、君たち4人が互いに刃を向け合うしかなかった。
だからこそ、このように平和的な解決策を考えたのに、称賛もされないとはがっかりだ。
「君たちは僕に感謝するようになるよ。」
グリピスは口元を軽くつり上げて笑った。
その日の午後のことだった。突然現れたグリピスが言った。
「レリア、ロミオとカーリクスが来たよ。一緒に領地へ行こう。」
「…え?」
突然の言葉にレリアは目をぱちくりさせた。
「領地へ行ってお母さんに会おう。一緒に行って彼女を目覚めさせるようにしてあげるよ。」
グリピスは穏やかに微笑みながら手を差し出した。
内心ひそかに母を心配していたレリアは、その手を冷たく握った。
温かい体温が伝わってくると、気持ちが少しずつ落ち着き始めた。
「でも…しばらくはここにいなければならないのだと思った。」
レリアの言葉に、グリピスは笑った。
実はそうするつもりだったが、考えが変わったのだ。
「もちろん、城に戻った後はしばらくそうするべきだけど、今はまだね。」
レリアは唾をゴクリと飲み込んだ。
自分でも気づかないうちにここに閉じ込められていると予想していたようだ。
下手に外へ出て神官たちに出くわしたら困ると思っていたからだ。
グリピスは「手首の腕輪を外さなければ大丈夫」と言っていたが、それでもレリアは不安だった。
信じてもいない存在にまで神官たちを騙さなければならないというのが、罪悪感を抱かせたのだ。
「行こう。」
グリピスが手を差し出すと、レリアは手袋を引き直した。
その好意に感謝の気持ちが湧いてきた。
混乱の中でのことだからだろうか、グリピスを疑ったことが申し訳なく思えた。
「大丈夫?」
再会したロミオは心配そうに彼女を見つめて尋ねた。
レリアは手袋を引き直した。
隣には無表情のカーリクスが立っていた。
「…行こう。」
カーリクスは無言で後に続いた。
カーリクスが最後に交わした会話を思い出されたらどうしようかと心配していたが、幸いだった。
その後しばらくして、レリアは再びシュペリオン領地へ戻っていた。
「おじいさま。」
「………」
祖父は顔色が悪かった。
目覚めない母を心配し、神殿にいるというレリアの消息まで耳にしていたらしい。
「どこか怪我はないか?」
祖父は真剣な面持ちでレリアを見つめた。
レリアは手袋を握りしめながら尋ねた。
「お母様は?」
「……まだだ。」
祖父はそう言って、レリアの後ろに立つグリピスをじっと見つめた。
グリピスは無言で手袋を握りしめ、レリアはなんとなく居心地が悪くなった。
その後、レリアは祖母と共に、いまだ眠ったままの母を訪ねた。
グリピスも一緒に。
「私がそばで確認するわ。心配しないで、いてあげるから。」
グリピスはレリアの手を握ったまま言った。
レリアは手袋をぎゅっと握りしめ、祖母と一緒に外へ出た。
青白く横たわる母の姿を見ると、不安が込み上げてきた。
グリピスが母を目覚めさせることができるかは分からなかったが……もしそうなるなら、グリピスの頼みなら何でも聞いてあげたくなる気がした。
レリアはしばらく扉の前でじっと立っていたが、再び祖父を訪ねた。
申し上げたいことがあった。
しばらくして、前回と同じように執務室奥の会議室には家族たちが集まっていた。
まだ容体の重い祖母を除き、おばたちとおじたち、祖父、そしてレリアが席に着いた。
レリアは慎重に話を切り出した。
神殿で聞いたフェルセウス皇帝に関する話だった。
彼が狂気に陥っているという話に、家族たちの目が見開かれた。
「それで……お父様。どのような対策を講じるおつもりですか?」
ジェノおじさんとカリウスおじさんの表情が険しくなった。
母とレリアを強引に連れ去ろうとしていると予想したようだった。
「……」
祖父もまた、考え込むような顔つきで良い表情ではなかった。
しかし、戦争以外に方法はなかった。
それにしても危険は大きかった。
フェルセウス皇帝には強力な魔法使いの軍隊があるのだから。
「私にいい方法があります。」
レリアが慎重に口を開いた。
正直、まだ確信はなかったが、グリピスの言葉を信じれば、それ以上の方法は思い浮かばなかった。
まんまと策略にはまったように感じたが、分かっていてもどうしようもなかった。
「神殿だなんて、レリア。そこに行けば君は……」
「数ヶ月は中立地域に滞在しなければならないでしょうけど、それ以外はここに戻って過ごすことができます。」
レリアはグリピスが話してくれたことをそのまま家族に伝えた。
すべて話し終えると、レリア自身もそうだったように、家族たちも少し安心した雰囲気になった。
それでも皆、反対の立場だった。
「どう考えても、他に方法が思いつかなくて……」
家族もそれに異論はないようだった。
結局、会話は「もう少し考えてみよう」という方向で締めくくられた。
みんなが出ていき、祖父とレリアだけが残された。
「レリア。」
祖父が慎重に彼女を呼んだ。
レリアはなぜか虚ろな目で祖父を見つめた。
シュペリオン公爵はしばらく口ごもった末に話し始めた。
「……オスカー卿、あの青年は……」
オスカーの話題が出ると、レリアの表情は一瞬で青ざめた。
揺れる瞳を見て、シュペリオン公爵は何かを察した。
「お前の気持ちはまったくなかったのか?まさかお前も……」
「……わかりません。わかりません、おじいさま。」
細い糸を握っていて、それを手放してしまったかのように何かがぷつんと切れた。
気づかぬうちに涙があふれ出した。
レリアは絶え間なく涙を流しながら口を押さえた。
「わからない」とだけ何度もつぶやいた。
レリアは怖かった。
母が目覚め、家族が平和を取り戻し、自分が神殿へ行き、そして自分のそばには友人たちがいて……。
その未来に、オスカーだけがいない気がした。
すべてがうまくいくはずなのに、あれほど望んだ平和を手に入れても、
オスカーが自分のそばにいないような気がして、それが怖かった。