こんにちは、ピッコです。
「悪女の姉を救う勇敢なわんこです」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
55話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 小さな救い手
流行りのカフェでパフェをもぐもぐと食べながら、私はにこにこと笑っていた。
「ダリアの話題は減って、その代わりにみんな、お姉ちゃんの話をたくさんするようになったみたい。」
そんな変化が、心の底から嬉しかった。
予想外だったのは、ときどき私の話まで出るようになったことだ。もっとも、その内容はたいてい、私の体にある「痣(あざ)」についてだったり、見た目やしぐさがとても可愛いといったものだったけれど。
(悪い話じゃないし、まあいいか!)
みんな、私のことを本当に神に祝福された子だなどとは思っていない。ただ、人より少し神の加護を多く受けた、公爵家の養女くらいに考えているようだった。
(すべてが計画どおりに進んでいる。)
私は得意げに尻尾をぴんと立てた。
すると、向かいに座っていたカリゴが、不思議そうな顔で私を見ながら尋ねた。
「急にどうしたんだ、ココ?」
「ううん、何でもないよ!」
そういえば、今日はカリゴと一緒に出かけていたんだった。
(この前の事件があったせいで、みんな私を過保護なくらい心配してるんだ。一人では絶対に行動させてくれないし……)
私は慌てて話題を変える。
「ねえ、今日ね、すっごくすっごく嬉しいことがあったの!」
「何?」
「今日、家に帰ったら、すごく素敵なお友達が来てるんだよ。」
「……すごく素敵なお友達?」
カリゴは少し目を細めた。
それでも私は、えへへ、と笑いながら力いっぱい頷いた。
ついに! とうとう!
私がカリゴを治してあげたお礼としてもらえることになった、ウサギの精霊とペンギンの精霊、それからヒョウの精霊が、正式な手続きを終えてアルドス領へ向かっていると聞いたのだ。
精霊たちは北部にいるから、クロエお姉ちゃんがリベラ大公に会った帰りに馬車へ乗せて、一緒に連れて来る――そう聞いてからというもの、胸がどきどきして仕方がなかった。
新しいお友達が来たら、おいしいものもたくさん食べさせてあげなくちゃ。
「すっごく楽しみ!」
—
アルトス公爵邸へ向かう馬車の中。
クロエはリベラ大公領から連れてきたウサギの健康状態を確認している最中だった。
「おかしいな。」
ウサギの赤い目は目やにでびっしり覆われ、こわばって硬くなった体は、どう見ても正常な状態ではなかった。
クロエに触られるのがつらいのか、小さく身をよじらせた真っ白なウサギは、そのまま床へ転がり落ちそうになる。
クロエはウサギをしっかりと抱きかかえ、馬車の前方の小窓を開けた。
「リベラ大公様。一度ご確認いただいたほうがよさそうです。」
「どうした?」
「ウサギの状態がよくありません。」
「何だと? リベラ大公領で確認したときは異常はなかったのだが……」
馬車を止めて馬から降りた大公は、ウサギの様子を確認しながら口を開いた。
「では、大公領を出発した頃からだったのだろうか? 使用人に聞いたところ、その頃からウサギの霊獣が少しずつぐったりし始めたそうだ。」
彼はウサギのしっぽを撫でながら、小さく唸る。
「……普通は、しっぽに触れれば目を開けるはずなのだが。」
「正常ではないのですね。」
「だが誓って言う。誰一人として、この子に近づいてはいない。」
「……」
「生命力を奪うには接触しなければならない。領内で確認したときには、異常など何一つなかったはずだ。」
ウサギの霊獣は目を大きく見開いていた。その真っ赤な瞳には、かすかな恐怖の色が浮かんでいる。
「分からないな。原因不明の病気なのか、それとも生命力を奪われているのか……。もし後者だとしたら、いったい誰が?」
リベラ大公はわずかに眉をひそめた。
「だが、私の魔道具には『生命の危機』を示す反応はまったくなかった……。」
彼は小さく唸りながら顎に手を当て、結論を出すように言った。
「ひとまず領地へ戻って、詳しく様子を見ることにしよう。」
クロエは、体をこわばらせたウサギを静かに見つめた。
彼女の顔色は、目に見えて青ざめている。
(……公女)
(……)
(クロエ・アルドス公女)
そのとき、リベラ大公が静かに声をかけた。
「落ち着きなさい。」
霊獣のウサギが一頭、馬車で運ばれている最中に突然体調を崩したこと。
その事実が、クロエに大きな衝撃を与えたのは明らかだった。
(ココも、こんなふうに死んでしまったのだろうか)
ウサギの霊獣が能力を奪われたとか、生命力を無理やり失ったという証拠は何一つない。ただ、霊獣の容体が心配になるほど良くないだけなのだ。
……それだけなのに。
たったそんな感覚だけで、ココの死を思い出すなんて。
彼女は考えすぎだと自分に言い聞かせ、ゆっくりとうなずいた。
そのとき、クロエの気持ちを察したのか、リベラ大公が再び馬に乗りながら口を開く。
「令嬢。こんな話を聞いたことはあるか? 迷信ではあるんだが、霊獣は生まれ変わるという話だ。」
「生まれ変わる、ですか?」
「ああ。何らかの理由で寿命を全うできずに死んだ霊獣は、生まれ変わると言われている。」
「そうなんですね。」
「だから、もう一度別の生を生きてから、再び戻ってくる――」
リベラ大公は軽く笑って言った。
「慰めになるかは分からないがな。我々も少し前、魔物との戦いで霊獣を一頭失った。」
「……あ」
「あの時、将軍もそんな話をしながら亡くなった霊獣を悼んでいたな。それを思い出した。」
「……」
「ココという犬のことを思い出しているのだろう。あまり悲しまないでほしいという、私なりの慰めだ。」
「……少し、慰められました。」
ココがどこかで幸せに暮らしていると思うと、胸につかえていた苦しさが少し温かくなるような気がした。
クロエは馬車が再び走り出すのを感じながら、体をこわばらせたウサギの霊獣を静かに見つめる。
(じゃあ、私たちのココも生まれ変わっているのかな。)
そんなはずはないと分かっていた。
それでも、少し前から抱いていたこの不思議な既視感の正体が気になって仕方がない。
(もし霊獣が生まれ変われるなら、ココもきっと戻ってきているはず。)
あの頃のように元気な姿で、「ワン!」と鳴きながら私のもとへ駆け寄ってきてくれるのだろうか……。
クロエは震える手を伸ばし、苦しそうなウサギの霊獣をそっと撫でた。
まるで、あの日ココを優しく撫でてあげたときのように。
・
・
・
馬車から降りたヒョウ、ウサギ、ペンギンを見た私は、目を大きく見開いた。
「ヒョウさん、こんにちは! ペンギンさん、こんにちは! ウサギさんは……」
真っ白な毛並みが印象的なヒョウ、手入れが行き届き、つやつやと輝く羽を持つペンギン。
けれど、三台目の馬車からお姉さんと一緒に現れたウサギは、誰が見ても具合が悪そうだった。
「……うっ」
「ウサギさん、すごく苦しそう……」
馬から降りたリベラ大公が私のそばまで来て、気の毒そうに言う。
「どうして苦しんでいるんだ?」
「大公領を越えた途端、急に具合が悪くなったんだ。珍しいことだよ。せめて最後の別れくらいはさせてやれるといいんだが……。」
「そんな……。」
私は涙ぐみながらウサギを優しく撫でた。
「ウサギさん……苦しまないで。ね?」
真っ白な毛並みをそっと撫でながら、胸が締めつけられる。
「獣医さんを呼んで診てもらおうね、ココ。」
「うん……。」
・
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・
胸が締めつけられる思いで、私はお姉さんから預かったウサギをしっかり抱かえたまま、獣医たちのもとへ向かった。
けれど、獣医たちにも決定的な原因は分からないようだった。
ドット先生をはじめ、一族の獣医たちは「ウサギの体に異常は見当たらない」と診断を終え、恐る恐るこう提案した。
「お嬢様は動物と心を通わせる力に優れておられますので、一度このウサギと意思疎通を試みてみてはいかがでしょうか。」
その言葉に頷き、私は診察台へ上がってウサギをじっと見下ろした。
(体に異常がないなんて、そんなはずある?)
ウサギの様子は明らかに深刻だった。
強張った体は、誰が見ても恐怖に支配された動物そのものであり、真っ赤な瞳にははっきりとした恐怖が宿っている。
私の頼みで部屋に集まっていた獣医や使用人たちに外へ出てもらったあと、私はウサギに話しかけた。
「ねえ、どうしてこんなに苦しんでるの? ウサギさん、教えて。」
「こ、こ、怖い。怖いよ。すごく、すごく怖い。」
「……まさか、怖がりなウサギさん?」
つまり――
「えっ、私の言葉が分かるの?」
ウサギはさらに大きく目を見開いた。
自分と私が意思疎通できると気づいた途端、こわばっていた体から少しずつ力が抜けていく。
「ぼ、ぼく、生きたいよぉ。うぅぅ……すごく、すごく怖いんだ。」
「……心の病だったの?」
体には異常がないという獣医の言葉にも納得はしていたが、それ以上に心を病んでいたようだった。
私は一体何があったのか知りたくて、ウサギの話に耳を傾ける。
「私の話を聞いて! 霊獣だけを狙って殺そうとする奴らがいるの!」
「えっ……」
その後、ウサギから聞いた話は衝撃的だった。
霊獣狩りをする者たちが存在し、彼らは霊獣を殺してその生命力を吸収するというのだ。
その話をほかの霊獣から聞いた途端、ウサギは「自分にも不幸が起こるかもしれない」という思い込みだけで不安に震えていた。それほどまでに恐ろしい状況だったのだ。
突然馬車に乗せられ、別の大公領へ送られたのだから、不安で心を病んでも無理はない――それがウサギの説明だった。
すべてを話し終えると、体の力が抜けたウサギは何度も大きなため息をついた。
「……その霊獣ハンターって、そんなに怖いの?」
「うん。想像するだけでも苦しくて、死にそうだったんだ。体調もすごく悪くなったし。」
想像しただけで苦しみ、死にかけるほどになるなんて。
霊獣とはいえ、やっぱりウサギはウサギなのね。
「霊獣でも、やっぱりウサギはウサギなのね。こんなに――」
「そう思ったんだろう?」
「えっ、もしかして君の能力って読心術なの?」
「……違うけど?」
ウサギは呆れたような表情で私を見た。
「とにかく治療を受けないといけないから、獣医を呼んできて。」
妙に偉そうなウサギを見て、私は頷こうとして動きを止める。
「さっき来てたじゃない。」
「……」
「ウサギ、本当に具合が悪いんだね……。」
ウサギの耳が少し赤くなったように見えた。
でも、よく考えてみると、私のせいで住み慣れた大公領を離れ、アルドス公爵家へ引っ越してきたんだよね――。
なんだか申し訳ない気持ちになって、私はウサギへそっと手を伸ばした。
「私が助けてあげる!」
私の手から真っ白な光があふれ出した。
1. カフェでのココの様子
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ダリアの話題が減り、代わりに公爵家の養女である「お姉ちゃん(クロエ)」や、ココ自身の可愛い見た目・痣についての話題が広がりつつある。
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ココは計画通りに進んでいる現状に満足しつつ、カリゴと一緒にカフェで過ごしていた。
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クロエがリベラ大公領から、ココへの贈り物である「ウサギ」「ペンギン」「ヒョウ」の霊獣たちを連れてアルドス領へ向かっていることを知り、心躍らせていた。
2. 馬車でのクロエとリベラ大公の様子
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アルトス公爵邸へ向かう馬車の中、ウサギの霊獣がぐったりと体調を崩していた。
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獣医や大公の魔道具を確認しても「身体的な異常」や「生命力を奪われた形跡」は見当たらない。
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リベラ大公は、愛犬「ココ」の死を思い出して青ざめるクロエに対し、「霊獣は生まれ変わる」という迷信を語って優しく慰めた。
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クロエはウサギを撫でながら、亡くなったココの面影や生まれ変わりについて思いを馳せる。
3. ココとウサギの霊獣の出会いと真相
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アルドス公爵邸に到着したウサギは、誰が見ても重体のように苦しそうだった。
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獣医たちが原因不明に頭を悩ませる中、「動物と心を通わせる力」を持つココがウサギと1対1で意思疎通を試みる。
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ウサギが体調を崩した本当の原因は、身体の病ではなく、「霊獣狩り(霊獣を殺して生命力を吸収する者たち)が存在する」という恐怖心による心の病(極度のストレス)だった。
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誤解や不安が解けて少し落ち着いたウサギに対し、申し訳なさを感じたココは、「私が助けてあげる!」と自らの手から真っ白な光を放つ。