こんにちは、ピッコです。
「悪女の姉を救う勇敢なわんこです」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
56話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 最強の子犬(?)奮闘記
「えっ、こ、これは何? こんな力……!」
ウサギは目を丸くし、長い耳をぴくぴくと何度も動かした。んだか嬉しそうだ。私はそのまま夢中でウサギを撫で続けた。
すると――ウサギは私の体からどんどん生命力を吸い取っていった。
「うぅ……しんどい」
「もっと……もっとやって……」
「はぁ、はぁ、はぁっ……」
私はようやく荒い息を吐いた。力を使いすぎたのだろうか。額には玉のような汗がにじみ、もう限界だ、倒れそうだと思った、その時だった。
私の手の甲に真っ白な毛がふわりと浮かび上がり、一瞬で消えた。
「え? 今の何?」
「何が?」
「あなたの手の甲に白い毛が見えたんだけど?」
「……私は人間だけど」
「いや、確かに見えたよ。犬の毛みたいな白い毛が……」
「み、見えるの……?」
ウサギの言葉に、私は思わず目を見開いた。
「ほ、本当に……? 本当に私の見間違いじゃないの? 本当に尻尾が見えるの?」
「うん、見えるよ。能力を使った反動かと思って見ていたら、急に君の手が子犬の前足みたいになっていたんだ」
私は少し前、能力を発現させようと頑張っていた時のことを思い出した。あの時も、どこか似たような感覚があった……。私は息をのんだ。
ビリフ先生はあの日、私がまだ到達していない光の能力の第4段階には、「本質」という別名があると言っていた。だとしたら――。
*(「本質」の段階というのは、もしかすると私本来の姿である**「子犬」**の姿へ変身できる段階のことなんじゃないかな?)*
*(生命力を使い切るほど、本来の姿に近づいていくってことかも)*
ウサギの霊獣は小首をかしげながら、私の手をそっと握った。
「それにしても、不思議な手だね……。ほかの霊獣たちにも見せてあげなきゃ」
「えっ!」
そういえば、ウサギだけじゃなくてペンギンと白豹もいたんだ! 私は勢いよくうなずいた。
「待ってて! 私が連れてくる!」
「いや、待つ必要はない。このウサギを待っている部下たちなんだ」
「えっ……?」
言い終わるのも待たず、扉が開いてペンギンとヒョウが入ってきた。二匹は急いでウサギの前まで来ると、深々と頭を下げた。
「ウサギ様、お加減はいかがでしょうか」
「このヒョウも参りました、ウサギ様!」
……何だか話の流れがおかしな方向へ進んでいる気がする。普通、ヒョウやペンギンのほうがウサギより強いんじゃないの?
私が首をかしげると、ウサギがぼそっとつぶやいた。
「こいつらを小さい頃に育てたからね。部下なんだ」
「そのままでいいよ」
ウサギが白豹とペンギンを育てているなんて。*(すごく不思議だな)*。でも、まあ霊獣だから。きっと何か事情がある霊獣たちなんだろう……と思うことにした。
「じゃあ、私たち三匹はこれからこの公爵邸で暮らすことになるの?」
「うん、そうなるよ」
私は三匹を優しく撫でながらうなずいた。こうして三匹の霊獣たちと穏やかに挨拶を交わしていると、突然ドアが勢いよく開いた。
「ペンギンと白豹が突然逃げ出した……って、違う」
扉を開けて入ってきた使用人は、私を見るなり目を丸くした。
「えっ、お嬢様……?」
「……うん?」
・・・
翌朝、朝食の時間になった。ルースは寝坊して来られず、クロエお姉様は狩猟大会の準備があるため、朝食は別だった。その結果、アルドス公爵と私、リベラ大公、それにカリゴの四人で朝食を囲むことになった。
「我が家に霊獣が三匹もやって来たのだから――家の誇りだ。よくやった、ココ」
「えへへへ……」
「しかも獣医の話では、ペンギンの霊獣に白豹の霊獣、それにウサギの霊獣まで全部懐かせたそうじゃないか?」
「えへへへ……」
そのとき、カリゴが静かに床を指さした。
「よく見てください。ただ懐いただけじゃありません。ペンギンも白豹もウサギも、みんなココが交感を通じて元気にしてあげたみたいです」
「それはよかった。もともと具合が悪かったから心配していたんだ」
リベラ大公の言葉を聞くと、元気になった白豹とウサギ、ペンギンが私の足元へわらわらと集まってきた。その中で目を引いたのは、ウサギが白豹の背中に乗っていることだった。その頃には、ウサギはペンギンに毛並みを整えてもらっていた。
「それにしても、あのウサギがあんなに元気になるなんてね。どうやって治したんだい? 君には何か特別な力があるみたいだ」
私が本当の理由を話そうとした、その時だった。足元からウサギが低い声でつぶやいた。
*「私がガタガタ震えてたことを言ったら怒るからな」*
……この悪党ウサギめ。優しい子犬を脅すなんて!
でも、悪党ウサギの部下であるヒョウがあまりにも怖かった私は、おとなしくごまかすことにした。
「ええと……なんとなく、です。心を読むみたいな感じでしょうか」
リベラ大公は、くすっと笑った。
*(ちぇっ、バカにされた!)*
私、すごく強いココなのに……。そのとき、アルドス公爵が感慨深げにつぶやいた。
「やはり……私の娘だ」
「……こうして見ると、本当によく似た親子ですね、アルドス公」
「ふむ。やはり家族だからか、性格まで似ているようですな。大公殿」
……違うんだけど。悪党ウサギの口止めもあって、私はひとまずその誤解は放っておくことにした。
でも今は、霊獣たちよりも大事なことがあった。私はアルドス公爵の食卓のすぐ隣に置かれていた新聞を手に取った。
*『今回の狩猟大会に注目!』*
見出しに書かれていた、あの名前。名前を見るだけで腹が立つ、お姉様の元婚約者――ギレン・アマデウス侯爵。
「ギレン・アマデウス侯爵と、ダリア・メロマンド令嬢が狩猟大会への参加を準備している、か」
あの二人とも狩猟大会に出るんだ。*(ということは、今回の狩猟大会はお姉様にとって危険になるかもしれない)*。もともと狩猟大会は危険だと思っていたけれど、お姉様の死に関わる二人が同時に参加する大会なのだから。
*(見てなさい! お姉様の髪の毛一本だって傷つけさせないんだから!)*
「手を出させるものか!」
私は犬歯を見せて「くくくっ」と笑った。何しろ私は未来を知っている。私が知っている未来で、あの人たちがどう動くのか、少しは分かっているんだから!
四方を海に囲まれた海洋島都市、アマデウス。そこで最も有名な人物を挙げるとすれば、おそらくギレン・アマデウス侯爵だろう。海のように澄んだ青い瞳と、苔むした岩を思わせる緑色の髪を持つ彼は、その姿がまるで海神の化身のようだと評判だった。
ちょうどその頃、美貌の青年ギレンは、長い航海を終えて帝都近くの港へ帰港していた。
「ギレン!」
「ああ、ダリア。迎えに来てくれたのか」
船を降りたギレンは、数か月に及ぶ航海を終えてもなお、その美貌は少しも衰えていなかった。彼は駆け寄ってきたダリアを抱き寄せ、その額にそっと口づけを落とした。大勢の人が見ている前でもためらいなく愛情を示す二人は、「世紀の恋人たち」と呼ばれるのも納得だった。
「本当にお会いしたかったです!」
「相変わらず愛らしい、私のダリア」
ココが見たら歯ぎしりしそうなほどのやり取りも、ダリアの耳にはただ甘い愛のささやきにしか聞こえなかった。
「事業のほうは順調かい?」
「はい……」
ダリアは少しためらった。
「君は十分に美しくて愛嬌もある。でも、ただ一つだけ惜しいところがある。前にも言ったことだが……」
「私の能力のことですね」
「ああ」
「それでも、事業は一生懸命頑張っていますし、この能力もあなたが教えてくださった方法で鍛えたので、ずいぶん上達しました……」
「よくやった。そんなふうに甘えてこられると、また許してしまいそうだ」
「だから、そうするしかないんだ」
ギレンの口元にかすかな笑みが浮かんだ。
「でも、ダリア。私がどれほど君を愛していても、この世には愛だけではどうにもならないことがある」
ギレンは優しく微笑みながら、彼女の髪をそっと耳にかけた。
「だから聞くよ、ダリア」
彼は表情を改め、静かに尋ねた。
「君の計画は順調に進んでいるのか?」
「……はい、順調です。少し……ほんの些細な問題はありますけれど」
ギレンはダリアの表情をじっと見つめた。
「よく頑張った。では、食事にしようか?」
「はい!」
ダリアは不安そうな表情を懸命に隠しながら、ギレンの腕にそっと腕を絡めた。追い詰められていくような気がしていた。
「どうした? 浮かない顔をしているな、ダリア」
「いえ、何を食べようか悩んでいただけです」
ダリアは目を細めて優しく微笑んだ。ギレンも彼女を愛おしそうに見つめ、微笑み返した。
・・・
ギレンの帰還を祝うために設けられた、小さな晩餐会。しばらく読めずに積み上がっていた新聞に目を通していたギレンは、興味深そうな表情を浮かべた。
「クロエが暴走寸前の状態から戻ってきた、か……」
ギレン・アマデウス侯爵は新聞を置き、過去を思い返した。
*「……ギレン。あなたも私を置いて去るつもりなら、早く目を覚まして」*
彼がクロエを最後に見たのは、彼女が暴走寸前だった頃。彼女は湿った闇の中に沈んだまま、そんな言葉を口のなかでしたのだった。
*「私が愛したあなたは、こんな人ではなかったわ、クロエ。元気でね」*
彼女が暮らしていた屋敷の扉を静かに閉めて立ち去る道すがら。クロエは彼に向かって言った。
*「浮気なんてしておいて、今さら未練がましいわね。さっさと目を覚ましなさい」*
*「浮気だなんて。そんなことは全然ない。ただ二人を愛しただけなんだ」*
*「……失せなさい」*
*「君の能力を愛し、ダリアの愛嬌を愛したんだ。君にもう少し愛嬌があれば、もっと良かったんだろうけどね……」*
彼はにっこりと笑い、扉をしっかりと閉めた。
「今はもう違う」
回想を終えた彼は、目の前のダリアを見つめた。初めて彼の前に現れたあの日と変わらず、美しく、愛らしい。だが――。
「やはり、能力はクロエのほうが優れている」
何食わぬ顔で現在の婚約者と元婚約者を比べた彼は、ナプキンで口元を拭いながら言った。
「クロエが暴走を乗り越えたのなら、一度クロエに会ってみるべきだな」
「……どうしてクロエに会う必要があるの、ダーリン? あの人にはもう会う必要なんてないんじゃなかったの?」
ダリアの甘えた声が、わずかに低くなった。ダリアはクロエのことになると、とても敏感になる。だから、こうなることは分かっていた。言ってしまった本人も、少し胸が痛んだ。
*(あれだけ平気そうにしていても、やっぱり少しは嫉妬してるのかな)*
ギレンはダリアを見つめながら、慌ててなだめた。
「いや、違うんだ、ダリア。誤解しないでくれ」
「……」
「個人的に会いたいと頼むつもりはないよ。クロエは私に、かなり腹を立てているだろうし」
ダリアは言葉に詰まったような表情を浮かべた。「腹を立てている」というより、「ものすごく怒っている」と言ったほうが正しいだろう。だがギレンは、そんなことにも気づいていないのか、肩をすくめて軽く言った。
「でもさ。クロエだって、社交界に久しぶりに復帰した日を望んでいるかもしれないだろう? そうなら、会いたいという頼みくらいは聞いてくれるんじゃないかな」
「はぁ……」
「何より今の私が愛しているのは、ダリア、君だけなんだ。分かるだろう?」
その言葉に、これまで過度のストレスに押しつぶされそうになっていたダリアの表情に明るさが戻った。
「分かっています。だから私たちは婚約したんですもの」
「そうだ、そうだ。じゃあ、嫉妬なんてしないよね?」
適当に調子を合わせて冗談を言う彼の様子に、ダリアはいつものように安心した。
「もちろんですわ。淑女は見苦しい嫉妬などしませんもの」
「……立派な心がけだ、ダリア」
「ただ最近は、どうすれば私があなたにとってどれほど価値のある存在なのかを証明できるか、そればかり考えているんです」
ダリアは椅子から身を乗り出し、ギレンの首に腕を回した。そして彼の頬にそっと口づけをすると、愛らしく微笑んだ。それは、彼女らしい甘えを交えた愛情表現だった。
ギレンも彼女の様子が気になったのか、肩を抱き寄せながら尋ねた。
「ねえ、ダリア。明日は狩猟大会なのに、もうこんなに気力をなくしていて大丈夫かい?」
「そうですね」
ダリアは目を細めた。
「……私たち、どうせまともな準備なんて、しなくてもいいんじゃないですか?」
ギレンはくすりと笑い、彼女の頬をそっとなでた。
「その通りだ。やっぱり君は賢いな、ダリア。私が選んだ女性だけのことはある」
1. ココの変身能力と霊獣たちとの出会い
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「本質」への覚醒:ウサギの霊獣に生命力を吸い取られた反動で、ココの手の甲に白い毛が浮かび、子犬の前足のような変化が現れる。これは光の能力の第4段階である「本質(本来の姿=子犬への変身)」に近づいている証拠だった。
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霊獣たちの主従関係:ウサギは実は、かつて自分が育てた白豹とペンギンを部下に従えており、ココが交感の力で彼らを元気づけたことで、3匹の霊獣全員が公爵邸で暮らすことになる。
2. 朝食の席での誤解と狩猟大会の危機
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周囲の誤解:霊獣たちがココに懐いて元気になった様子を見たリベラ大公やアルドス公爵は、ココの特別な能力に驚きつつも、「やはりアルドス家の血筋(似た者親子)」だと勘違いする。
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姉を狙う影:新聞を見たココは、姉・クロエの命や運命に関わる元婚約者・ギレン・アマデウス侯爵とダリアが、今回の「狩猟大会」に参加予定であることを知る。姉の髪の毛一本だって傷つけさせないと、ココは強い決意を抱く。
3. ギレンとダリアの動向
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帰港と甘いやり取り:長い航海を終えて帝都へ帰港したギレンは、迎えに来た現在の婚約者ダリアと熱い抱擁を交わし、一見「世紀の恋人」として振る舞う。しかし、その裏ではダリアの計画の進捗を確認するなど、どこか打算的な一面をのぞかせる。
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ギレンの新たな関心:ギレンは新聞でクロエが暴走を乗り越えて回復したことを知り、「クロエのほうが能力は優れている」「一度会ってみるべきだ」と現在の婚約者の前で元婚約者の話を持ち出す。ダリアは複雑な嫉妬心を抱きつつも、ギレンの機嫌を取るために必死に隠すのだった。