こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は20話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
20話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 皇太后とのお茶会
皇太后の侍女が謹厳な顔で言った。
「皇太后さまからの手紙をお届けに来ました」
アリスは上気した顔で手紙を受け取る。
手紙を胸に抱いたアリスが花のように明るい笑みを浮かべた。
「大切な手紙を届けてくれてありがとう、侍女様」
侍女は思わず愛らしい少女に視線を奪われる。
彼女はわざと表情を整えながら冷ややかに話した。
「命令されたことを行っただけです。そんなことを言わないでください。それでは失礼します」
皇太后の侍女は頭を下げながらルビ一宮を出る。
アリスは悲しそうな顔で彼女がいなくなるまで手を振った。
しかし、彼女がいなくなるやいなや、アリスの表情が変化する。
アリスが嫌な顔で言った。
「うえっ、可愛いふりするの本当にできない。朝食べた肉が上がってきそうだよ」
そばにいたシアナが笑う。
「お上手でしたね。誰が見ても愛らしいお姫様のようでした」
シアナの褒め言葉にアリスの顔が明るくなる。
「本当?」
「本当です」
シアナはそう言ってアリスの頭を撫でた。
アリスが猫のようにキャーキャーと言いながら封筒を開けた。
皇太后のお手紙をいただいたのが、いつの間にか3度目。
アリスが5回手紙を送ると、1回ぐらい返事が来る。
手紙をきちんと読んでいるかどうかも知らなかった最初と比べると、とてつもない成果だ。
(返事と言っても別に内容はないけど)
皇太后の書体は立派だったが、文を書く才能はあまりなかった。
短い手紙にあるのは、皇太后、自分に対する誇りだけだ。
自分が過去にどれだけ美しくて優雅なレディーとして通じたのか、最近飲んでいるお茶がどれだけ貴重で高いのか、そういうもの。
しかし、今日は違う。
手紙を読み上げていたアリスの目が大きくなった。
アリスが信じられないという顔で叫んだ。
「わっ!お婆様が私を宮に招待したよ!」
それは本当に大変な事件だった。
皇太后が隠居した後、祭宮に誰かを招待したことは数え切れないほど珍しいことだったからだ。
それも顔も知らない孫娘を招待するなんて。
他の人がこの話を聞いていたら信じられなかっただろう。
それはアリスも同じ。
しかし、いざこの仕事を主導したシアナは、予想していたことのように明るく笑っていた。
アリスはシアナが皇后の名前を持ち出したときのことを思い出す。
「それは皇太后様です。あの方ならお姫様の味方になってくれる可能性があります」
シアナの言葉にアリスは真顔で首を横に振る。
「とんでもない。お婆様は私が生まれるずっと前から宮に入って出てこない。皇居に何があっても眉一つ動かさないと。そんな方が私のようにいるかいないかもしれない孫娘の味方になってくれるわけないじゃないか!」
シアナは否定する代わりに尋ねた。
「お姫様は、皇太后様のもとに現皇帝陛下以外に、もう一人お子さんがいたことをご存知ですか?きれいなお姫様です」
アリスの目が大きくなる。
「・・・そんな話は聞いたことがないんだけど」
「そうでしょうね。なぜなら、そのお姫様を覚えている方は多くないんですよ。・・・10歳にもならないうちに死んでしまいましたからね」
「・・・」
事故死でも、病死でもなかった。
死因は毒殺。
「もともとは今の皇帝陛下に送った毒だそうです。その毒を幼いお姫様が代わりに食べてしまい命を失ったのです」
しかし、皇太后は娘の死に悲しむ時間がなかった。
これはチャンスだったからだ。
あえて自分の息子を殺そうとした者たち、しかし愚かに失敗してしまった者たちを処断する機会。
皇太后は娘の死を武器に敵を追い詰めた。
多くの人々が事件に加担したという理由で死んだ。
そのように皇太后は幼い息子の職位を強固にすることに成功し、それを基盤に息子は皇太子になり皇帝になる。
シアナは目を伏せて言った。
「皇太后様はそのように一人だけの娘の死を徹底的に利用しました。それ以来、一度も娘に対する悲しみを表現していません。ですから、皇居の人たちは皆、皇太后様が娘に対する少しの慕情もない冷静な方だと思っています」
しかし、シアナの考えは違う。
どんなに冷たい血を持っていても、親は親だ。
母は自分の腹で産んだ子供を絶対忘れられない。
きっとひどく恋しくなるだろう。
あれほど心を込めた息子と離れ、老いて病んでしまった今ならなおさらだ。
シアナはアリスと目を合わせながら言った。
「だから、皇太后様はきっとお姫様に関心を示すはずです。もうほとんど忘れられた昔の話ですが、皇太后様の胸の中には娘に対する懐かしさが残っているでしょうから」
普段のおとなしい姿が消えたシアナの顔には妙な迫力があふれた。
(こんな時はまるで別人みたい)
アリスは思わず唾を飲み込んだ。
とにかく、その後アリスはおとなしくシアナの言葉に従った。
真っ先に皇太后に手紙を書いた。
最近、シアナから文章を学んで書くことには問題がない。
ただ、下手な作文の実力が問題だった。
アリスが書いた手紙を見て、シアナが真剣な顔で尋ねる。
「お姫様、これは皇太后様に戦うために送る決闘文ですよね?」
「・・・違うよ」
結局、いくら使ってもまともに書くことができず、シアナに助けられた。
シアナの手紙は恐ろしく可愛らしい。
「うえっ」と吐くふりをしたアリスにシアナが謹厳な顔で言った。
「手紙一枚で皇太后様の好感を得なければならないので、これくらいは書かなければなりません」
残った時間にはさまざまなことを学んだ。
完璧な宮中礼法、おとなしい話し方、詩を詠む方法、照れながらも優雅に笑う方法。
すべてがこの日のためだった。
そよぐ薄ピンクのドレスを着たアリスが、皇太后の宮に入る。
女中の案内を受けて、アリスは庭に向かう。
手入れの行き届いた静かな庭には白髪の女性が優雅に座っていた。
アリスはドレスの裾をつかんでうつむく。
「お婆様に初めて挨拶します。皇女アリスです」
「顔を上げなさい」
アリスはゆっくりと顔を上げた。
皇太后と目を合わせたアリスは思わず唾を飲み込んだ。
(怖い)
今日初めて会ったお婆様は思ったより鋭い目つきと威圧感を持っていた。
(しかし、怖がってはいけないと言った)
アリスはシアナの言葉を思い出し、ドンドンという心臓を落ち着かせる。
それから両目をきれいに折って、口元を上げた。
天使のような微笑み。
無表情な皇太后が思わず肩をすくめるほど。
(侍女に話を聞いて知ってはいたが、本当に綺麗だね)
しかも、鮮やかな紫色の瞳のためだろうか。
ずっと前に失った娘が思い浮かんだ。
(・・・無駄な考えを)
皇太后は、心の中で首を横に振りながら、冷ややかな顔で話した。
「いらっしゃい」
冷たい言葉遣いに怯えてもおかしくないが、アリスは笑みを失わなかった。
「お招きいただき、誠にありがとうございます、お婆様。とても嬉しくて何日も寝そびれました」
へらへらと笑う顔はあまりにも無害に見えた。
しかし、皇太后の警戒心は崩れていない。
皇太后は冷たい顔で話した。
「とりあえず席に座りなさい。お茶でもしようじゃないか」
「はい」
アリスは恥ずかしそうに笑いながら椅子に座る。
レースのついたスカートの裾がそよそよとしていた。
腰をまっすぐに伸ばし、両手を合わせたアリスがはにかんだ顔で話した。
「お婆様、実はお婆様に差し上げるために小さなプレゼントを一つ用意したんです。受け取ってもらえますか?」
贈り物という言葉に皇太后の眉が上がる。
「何だ?」
アリスが取り出したのは小さなガラス瓶だった。
瓶の中には乾いたアカシアの花びらが入っている。
「アカシアの花で作った茶葉です。お婆様がお茶が好きだと言っていたので作ってみました」
「・・・」
思いもよらないプレゼント。
皇太后は確かにお茶が好きだった。
しかし、彼女が好きなお茶は有名な職人が作った最上級のお茶だ。
幼い少女が作った茶葉は一度も飲んだことがない。
他の人だったら、「品質も認証されていない茶葉などを私にあげようとするのか」と怒鳴りつけたはずだが。•
リボンが結ばれたお茶瓶を両手に持って目を輝かせる幼いお姫様を見ると、そんなことを言いたい気持ちは消えた。
皇太后が目を伏せて言った。
「ユニークなプレゼントを持ってきたんだね。では、それでお茶を一杯淹れてちょうだい」
アリスは慌てなかった。
いずれもシアナが予想した通りだったからだ。.
アリスは後ろに立っているシアナをちらりと見る。
シアナは少しも不安そうではない顔でアリスを眺めていた。
やっとアリスは全身をこわばらせていた緊張が解けた。
アリスはにっこり笑ってティーポットを手に持った。
「はい、実力不足ですが、お茶を一杯注いで差し上げます」
わずか数ヵ月前までなら絶対にやり遂げられなかったはずだが、今は違う。
アリスは上手にお茶を注ぐことができた。
もちろん、幼い頃から厳しく訓練したシアナや、長い間皇居で生活した皇太后の比べると、中途半端なところがある。
(しかし、その中途半端ささえ愛らしく見える時だ。お姫様の年齢は)
シアナは、皇太后がアリスをどう見ているか確信していた。
シアナの予想通りアリスを見る皇太后皇の目は優しく解けていた。
トルルルル・・・。
熱いお湯がティーカップにいっぱいになると、部屋の中に濃いアカシアの香りがいっぱいになる。
杯にはアリスが要領よく盛ったアカシアの花一つがぽつりぽつりと浮かんでいた。
皇太后はゆっくりとお茶を一口飲んでから言った。
「まあまあ飲めるね」
褒めることにけちな彼女としては手厚い評価だ。
それを知っているアリスはがっかりする代わりに明るく笑う。
「ありがとうございます。お婆様が私が作ったお茶を飲んでくれて本当に嬉しいです」
「・・・」
皇太后は何とも形容できない目つきでアリスを眺めた。
しかし、これといった言葉はかけない。
子供が感じるには息が詰まるような雰囲気。
しかし、アリスは少しも縮こまることなく、明るく笑いながら話し始めた。
「庭にある花一つ一つが優雅で美しいです。まるでおお婆様のようです」
愛らしい少女の蜜のような言葉は、乾いた老人にあまりにも甘く感じられた。
皇太后は思わずアリスの言葉にのめり込んだ。
皇太后が意識を取り戻した時は、かなり時間が経った後。
皇太后は眉をひそめる。
(こんなに長くこの子と話をするつもりはなかったのに・・・)
皇太后には確固たる線引きがあった。
彼女はその線の中に誰も入ってこないことを願っていた。
それが天使のような姿の幼い孫娘であっても。
皇太后の顔が再び氷のように冷たくなる。
彼女は冷ややかな声で話した。
「ずいぶん時間が経ったね。もう行きなさい」
その瞬間、おしゃべりをしていたアリスが言葉を止めた。
すると、小さな肩が垂れ下がって泣きべそをかいた。
見捨てられた子犬のように。
「・・・」
しかし、アリスは駄々をこねたり、涙ぐんだりはIしなかった。
眉をひそめて笑うだけだ。
「私がお婆様の時間をあまりにも多く奪ったようですね。ごめんなさい」
「・・・」
皇太后はぼんやりとアリスを眺める。
どうしてこの瞬間、あの子が思い出されるのだろうか。
昔、皇太后は息子を皇帝にするために忙しかった。
自然に娘はいつも後ろを向いていた。
時間に追われて席を立つ皇后に向かって、幼い娘はいつもあんな顔をしていた。
『お忙しいのに迷惑をかけてすみません、お母様。どうぞ行ってください』
名残惜しい様子を隠せないながらも、優しく笑ってくれた娘。
10歳にもならないうちにこの世を去った意地悪で、残念な私の娘。
しかし、皇太后は娘の死を完全に悲しむ暇もなかった。
娘を懐かしんで泣くほど皇居は容易ではなかったからだ。
涙の時間に、静寂をかき消さなければならなかった。
息子を皇帝にしなければならなかった。
しかし、息子が皇帝になった後も泣けなかった。.
彼女は鉄血の皇太后だったから。
今さらそんな弱々しい姿など見せられなかった。
そうして彼女は娘を胸に埋めた。
そのはずだったのに・・・。
「・・・」
アリスが目を大きく開ける。
皇太后のそばにいた侍女も、アリスのそばにいたシアナも驚いた。
ずっと無表情だった皇太后の顔に悲しい笑いが幼かったためだ。
彼女が言った。
「まったく、心配する姿があの子にそっくりね」
その瞬間だけは彼女は氷のような皇太后ではなかった。
ずいぶん前に失った娘を懐かしむ切ない母に過ぎなかった。
シアナはどこで情報を手に入れたのでしょうか?
侍女仲間から?
皇太后を味方にする作戦は順調のようですね。
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