メイドになったお姫様

メイドになったお姫様【96話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【メイドになったお姫様】まとめ こんにちは、ピッコです。 「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...

 




 

96話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 皇太子のパートナー③

ラシードと手を取り合ったシアナは、周囲の視線を感じながら、少し恥ずかしそうに微笑んだ。

「3日間も練習しなかったから心配していたのですが、とても上手に踊れていますね。最後に踊った時よりもずっと洗練されています。」

「だから練習しろって言ったじゃない。」

シアナは目を大きく見開いてラシードを見つめた。

「忙しい中で、私の言うことをこんなにしっかり守ってくれるとは思わなかったわ。」

ラシードは、他の誰かと踊ることがどれだけ彼女にとって重要だったのか、問いかけるような表情を浮かべた。

「誰と練習していたんですか?」

「ソル。」

「あぁ……。」

大柄な二人の男が手を合わせてウィンクをしている姿を思い浮かべると、シアナはつい笑みをこぼしてしまった。

クスッ。

赤い唇を上げたシアナを、ラシードは意味ありげな視線で見つめた。

笑いを止めてシアナが言った。

「私の言うことをよく聞いてくれたので、それに対するお礼として特別なサービスを一つ差し上げますね。」

シアナは猫のようにいたずらっぽい笑みを浮かべて言葉を続けた。

「あなたは、宮殿を訪れる女性たちが多くて面倒だとおっしゃいましたね。彼女たちの関心と愛情をそらして差し上げます。」

「どうやって?」

シアナは答える代わりに、ラシードの手を取ってウィンクし、満開の花びらのようにくるりと回った。

それは踊りの最後のステップだった。

本来の動作では、ウィンクをしながらシアナがラシードと視線を交わし、踊りを締めくくるはずだった。

しかし、シアナは片手を引き、ラシードの首に回して抱き寄せた。

その後、彼女は顎を上げて人々を見渡した。

「……!」

その瞬間、呆然と踊る二人を見ていた人々の目が大きく見開かれた。

シアナが人々に向けたその視線は、挑発的で意味深な輝きを放っていたからだ。

はっきりとしたエメラルド色の瞳が物語っていた。

この男は私のものよ。

だから、誰も触れてはいけない。

自分の縄張りを守ると宣言する、威圧的な猫のようだった。

踊りを終えたラシードが目を細めて尋ねた。

「さっきのは一体どういうつもりだ?」

踊りの最後の瞬間、ラシードは見ていた。

シアナを見ていた人々の顔が、一瞬にして赤みを帯びたのを。

それは驚いているようでもあり、恥ずかしがっているようでもあり、あるいは怒っているようにも見えた。

しかし、ラシードはシアナがどんな表情を浮かべているのかまでは見ることができなかった。

シアナは微笑みを浮かべながら答えた。

「大したことではありません。ただ、少し彼らに冷静さを取り戻させたかっただけです。」

「……?」

「他人の正しい食事を妨げるのはマナー違反ですよ。もう以前ほど多くの女性があなたに過剰な愛情を示すことはないでしょう。」

何を言っているのかまったく理解できず、ラシードは眉をひそめた。

しかし、それ以上問い詰める暇はなかった。

本格的に宴が始まり、人々が二人に群がってきたからだ。

さらに、ラシードは長い間戦場に身を置いており、久々に宴会場に姿を見せたため、注目を集めていた。

見事にコートを着こなした年配の貴族が、満足げな表情で尋ねた。

「殿下、このようにお元気な姿を拝見できて、本当に嬉しく存じます。戦場に向かわれる前に、ヘリングトン伯爵家にお立ち寄りになったことはありますでしょうか?」

覚えていない。思い出せない。

ラシードの顔にはそう書かれていた。

権力者として威厳を示したり、目の前の年配者を無理に取り繕うつもりはなかった。

実際、ラシードは目の前にいる人々が誰なのかも分からなかった。

ラシードの冷たい視線に、ヘリングトン伯爵は困惑した表情を浮かべた。

そのとき、ラシードの隣にいたシアナが前に出てこう言った。

「ヘリングトン伯爵家は、広大なブドウ畑を基に、上質なワインを作ることで知られています。有名な場所ですね?」

「……!」

ヘリングトン伯爵の目が見開かれた。

シアナは優しく微笑みながら話した。

「現在、この宴会場にもヘリングトンのワインが用意されていますね。そのおかげで多くの方々が楽しいひとときを過ごせるようです。」

シアナの深い配慮に満ちた賛辞に、ヘリングトン伯爵の顔が明るくなった。

しかし、シアナの巧みな言葉遣いはここで終わらなかった。

シアナはラシードと自分に近づいてくる人々に合わせ、適切で洗練された会話を続けた。

「オークランド公国の王族でいらっしゃるのですね。美しいオークランドの青い海岸は、いつかぜひ訪れてみたい場所です。」

「ラインハート様がここまでお越しになるのは、本当にご苦労が多かったことでしょう。遠く首都までの道のりは険しく、距離も長いですからね。」

人々は彼女の振る舞いに驚かされずにはいられなかった。

一見すると単純そうな内容に思えるが、多くの貴族や王族についてあれほど博識であることは、普通ではない。

さらに、礼儀作法も完璧だった。

堂々としていながらも清楚な外見に反して、シアナは動作の一つ一つにまで完璧さを宿していた。

まるで厳格な教育を受けた王女のように。

まさに絵に描いたような完璧なレディだった。

貴族たちは一方で、この謎めいた女性の正体について話し合いを始めた。

「失礼を承知で尋ねても、ローズアンナという名前以外、何一つ教えていただけないのが歯がゆいですね。」

「その通りです。これだけ様々な知識を持ち、礼儀作法も身につけていらっしゃるのを見ると、きっと由緒ある名家のお嬢様なのでしょう。」

いずれにせよ重要なのは、彼女がラシードの隣にいることで、さらに輝きを放ち、完璧に調和しているという事実だった。

ラシードの隣にいた若い貴族が笑いながら言った。

「お二人が一緒にいる姿を見ると、とても素敵ですね。今日だけでなく、別の日にもこうして一緒にお目にかかれればと思います。」

ほとんど言葉を発さなかったラシードが、穏やかに返事をした。

「私も同じ考えだ。」

目を柔らかく細めるラシードを見た若い貴族は、口をぽかんと開けた後、すぐに目を固く閉じた。

『私は男で、婚約者もいるのに、殿下を見てどうしてこんなに心臓が高鳴るんだ?』

奇妙なことに、彼の婚約者もラシードを見て同じ表情を浮かべていた。

その様子を見て、シアナが眉をひそめた。

彼女は知っていた。

ラシードが「自分の関心を引くのはシアナだけだ」と言ったことを。

驚くべきことに、それは事実だった。

ラシードは貴族や外国の王族に一切の興味を持っていなかったのだ。

皇帝になるためには、慎重に支持を集め、勢力を固めるべき皇太子がこんなに気楽でいいのだろうか?と思うほどだった。

しかし、シアナはむしろ幸運だと思った。

『殿下が本気で私を自分のものにしようとしていたら、宴会場は大混乱になっていただろう。』

それほどまでにラシードの微笑みは致命的だった。

幸いにも、ラシードはそんな恐ろしい行動をとることなく、宴会は平穏に進行していた。

果てしなく人々に対応していたシアナは「ふぅ」と小さなため息をついた。

『このまま何事もなく宴会が終わればいいのだけれど。』

そのときだった。

「すみません。」

はっきりしない無愛想な声に、シアナは耳をそばだて、ゆっくりと声のする方向を振り向いた。

声の主を見たシアナの目は大きく見開かれた。

あまりの驚きに、手に持っていた扇を落としてしまった。

オレンジ色の髪に、猫のように鋭い目元を持つ、鋭利な印象の少年。

間違いなく、ミスティック商団の団主の息子、キルアンだった。

『キルアンがどうしてここに……』

シアナはすぐに納得した。

キルアンは貴族ではなかったが、大陸で特別視される商団の息子であり、帝国の宴会に招待される資格があった。

キルアンは険しい表情でシアナをじっと見つめ、尋ねた。

「もしかして、僕のことを知ってる?」

唐突な質問に、シアナは眉をひそめた。

『私のことを知っているの?』

幸いにも、キルアンの表情から察するに、そうではないようだった。

そこでシアナは驚きを抑えつつ、尋ね返した。

「どういう意味での質問ですか?」

「なんだか、どこかであなたに会ったような気がするんです。」

「……」

キルアンが再び尋ねた。

「もしかして、私たちが会ったことがありますか?」

シアナは心の中で答えた。

ある、確かに会ったことがある。

キルアンと会ったのは、魔法が好きだった新王妃の趣味のおかげだった。

新王妃は魔法石を販売するミスティック商団の団主をたびたび呼びつけ、その際には商団主の子供たちも連れて来ることが多かった。

妙に愛想の良いキャロラインは、嫌な笑みを浮かべながら新王妃の子供たちと遊んでいたが、キルアンは険しい顔をして彼らを避けるようにして逃げていた。

それは、王国で最も秘密の場所にいるシアナの正体を覆い隠す秘密の記憶だった。

[公主様!]

母や姉の目を避けて、こっそりとお菓子や贈り物を持ち出していた。

長い間、シアナはキルアンと密かに親しい間柄だった。

しかし……。

『今は私の正体を明かすべき時じゃない。』

だから、シアナは落ち着いた表情で目を伏せた。

「いいえ。私はあなたのことを初めて見ました。」

しかし、キルアンは鋭い視線でシアナをじっと見つめた。

その視線に、シアナは少し緊張したが、それでも堂々としていた。

『今の私の姿は、本当の私の姿とは完全に違う。』

もちろん、彼が元の顔に残る目元や髪色からシアナだと推測する可能性はあったが、それでも大きな問題にはならなかった。

シアナは毅然と「絶対違う」と断言する自信だけは揺るがなかったのだ。

キルアンがシアナをじっと見つめる時間が長くなると、キルアンの姉であるキャロラインが現れた。

「まあまあ、申し訳ありません。私の弟が人を見つけるのが下手で、今ちょっと混乱しているんです。見た目はぼんやりしているかもしれませんが、少しお許しくださいね。」

キャロラインはキルアンの頭の上で指をくるくると回しながら話し続けた。

「どこかで見たとでも思ったのでしょうけど、大目に見ていただけると幸いです。ほほほ。」

そう言いながら、キャロラインはキルアンを引っ張り、逃げるようにその場を離れ始めた。

その姿を見て、シアナは眉をひそめた。

『キャロラインも相変わらずね。』

キャロラインは弟が少しでも問題を起こしそうな気配があると、すぐに現れて彼を連れ去り、いなくなるのが常だった。

そうして去ってしまえば、キルアンが再び戻ってくることはなかった。

おそらく今日も同じことだろう。

シアナは安心する一方で、心が重くなった。

『キャロラインが言った“行方不明だった”という人が彼なのか。』

その可能性が高かった。

それほどキルアンはシアナをしっかりと探し出していたのだから。

そう思うと、申し訳ない気持ちがこみ上げてきた。

自分を心配してくれている人を知らないふりをするのは、気持ちの良いものではなかった。

そんなシアナは、妙な視線を感じて振り返った。

彼女の隣にいたラシードが目を伏せたままシアナを見つめていた。

『ついさっきまで笑っていたのに、どうしてまたそんな顔をしているのかしら?』

目を丸くしたシアナに、ラシードが腰を抱き寄せて耳元でそっと囁いた。

「他の男を見ないで。今日はお前は俺のパートナーなんだから。」

「……」

その声は確かに甘美であるはずなのに、どうしてこんなにも息苦しく感じるのか。

シアナは困惑した表情でラシードを見つめた。

 



 

バラの花の宴会が終わったのは、もうすっかり夜になった頃だった。

シアナは最後まで立派にラシードのパートナー役を務めた。

「バラと愛の女神ロズリンタのご加護がありますように。」

宴会場を出ていくゲスト一人一人に挨拶をすることまで忘れなかった。

ゲストたちは、今日初めて会った美しいレディに完全に魅了され、皇宮を後にした。

そして、最後のゲストが去ると、広い宴会場にはラシードとシアナの二人だけが残った。

宴会内の腰を軽く伸ばしていたシアナの隣にラシードが立っていた。

私は椅子にどっかりと腰を下ろした。

「わあ、やっと終わりましたね。」

そんなシアナを見つめながら、ラシードは眉をひそめた。

「疲れた?」

「はい。」

そう答えざるを得なかった。

朝早くから起きて準備を整え、宴会で人々に対応し、その間に何か問題が起きないよう気を配り続け、まともに食事も取れなかったのだから。

シアナはすっかり疲れ切っていた。

『こんな時は本当に平民として過ごす方がずっと楽だと思います。せめて食事くらいは気兼ねなくしたいものですね。』

椅子に座ってぐったりしているシアナに近づいたラシードが、膝をついた。

「ちょっと、何してるんですか?」

突然の行動に驚く間もなく、ラシードはシアナの足をつかんで靴を脱がせた。

足の指先は赤くなっており、腫れも見られた。

足には傷ができていた。

それを見たラシードは眉をひそめた。

「やっぱり。」

「……」

「歩くとき、たまに顔をしかめていただろう。足が痛そうに動いていたから。」

確かにそうだった。

一日中高い靴を履いていたせいで足は疲れきっていた。

さらに、慣れない新しい靴だったので傷までできてしまった。

しかし、シアナはラシードがそれを見抜くとは思わなかった。

「……できるだけ顔に出さないようにしていたのに、どうして分かったんですか?」

「ただ分かるんだ。」

ラシードは自然な表情で答えると、手を差し出した。

少し離れた場所にいた侍女が急いで近づいてきて、薬と包帯が入った盆をラシードに渡した。

まるでこの時を待っていたかのように。

シアナは眉をひそめた。

「侍女にあらかじめ言っておいたんですか?」

ラシードは肩をすくめた。

ラシードは自然な手つきで盆に載せられた薬を手に取った。

シアナは目を大きく見開いた。

「まさか、直接治療してくださるつもりですか?」

「他に誰がする?」

ようやくシアナは、先ほど薬盆を持ってきた侍女が、いつの間にか静かに立ち去っていたことに気づいた。

もう宴会場には二人きりだった。

「それなら、私が……」

シアナは言葉を最後まで言えなかった。

ラシードが片手でシアナの足をしっかりと押さえ、もう片方の手で薬を塗り始めたからだ。

足を引っ込めようとしても、ラシードの手はしっかりと固定されており、絶対に離してくれないだろうという確信が伝わってきた。

ラシードは器用な手つきで足首の傷に薬を塗り、包帯を丁寧に巻いた。

しかし、それで終わりではなかった。

ラシードは包帯を巻いたシアナの足を優しく揉み始めた。

「きゃっ!」

シアナは驚いた表情をしたが、すぐにすべてを諦めたように目を閉じた。

『もう、どうにでもなれ。どうせ止めても無駄だろうし。』

さらにラシードの手が大きくて冷たかったおかげで、靴の端に押されて赤く腫れていた足の痛みが瞬時に消えていった。

『気持ちいい。』

一方で、ラシードは自分自身に感嘆していた。

『足がこんなに小さいなんて。』

平均よりも少し小柄なシアナの足は、標準よりもさらに小さく見えた。

平均よりはるかに大きなラシードの手の中に、シアナの足はすっぽりと収まっていた。

『かわいい。』

ラシードは思わずくすっと笑い、顔を上げた。

その瞬間、ラシードの顔に浮かんでいた微笑みが消えた。

月明かりの下、シアナが自分を見上げているのに気づいたからだ。

ぴったりと座り、テーブルに肘をついたまま手で頬を支えていたシアナは、どこか困惑したように眉を寄せ、口を開いた。

「そんなにおもしろいですか?まさか私の二本の足指が長いことを見て笑っているのなら、それはお嬢様の名前にかけて許せませんよ。」

からかうような口調。

明るいエメラルド色の瞳。

確かにシアナのはずなのに、なぜか違うように感じるのはなぜだろう。

普段とは異なる濡れたような瞳の輝きと赤く染まった唇のせいかもしれない。

単純にそんな理由でこうなるなんて……。

ドキドキ。

100万の敵軍に立ち向かったときでも冷静だったラシードの心臓が高鳴っていた。

今日、シアナを見た後から、ずっと。

 



 

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