夫を味方にする方法【１４４話】ネタバレ

しばらく沈黙が流れた。

長い沈黙の間、養父は私からゆっくりと視線を逸らし、やがて窓の外を猛烈に睨み始めた。

あまりにも長い間微動だにしないので、海の上に何か湧き上がったのかと思うほどだ。

「お義父さん・・・？」

「・・・ごほん、とにかく夫人の秘め事に関する部分は、当分の間、私たちだけで極秘にすることにしました。あの愚かな幼い竜と出会うことも、徹底した保安の下で行われるので、そうしてください。その中で、精神教育をまともに受けていない者が酒でも飲んで、他の所で勝手に軽口を叩いても仕方ないことですが、命令を破った罪は必ず無惨になります」

「・・・」

「そうだ、一番大事な話を忘れていた。私は元々、この質問をしようと思って来たのです。今回の襲撃事態は、宮殿だけでなくエレンディルのあちこちを非常に血の海にしましたが、本当にバレンティーノ枢機卿が背後なら、必ず助けてくれた人がいるはずです。そうではなく、エレンディル神殿が見えるままだと信じるなら、神は私たちを嘲笑うでしょうね。とにかく、あの我儘な男が一体どこで何をしている奴なのかご存知のことはありますか？」

「はい。ですが、まだエレンディルにいるかどうか。事態が起きるやいなや、バレンティーノ枢機卿と一緒にロマーニャに戻ったと思うのですが・・・」

「ふむ、そうしなかったようですが・・・」

「え？」

「何でもありません。それでは詳しい話は、自分の世界を自分一人でカッコいいと思っている息子と少しずつ話をするようにして、今は何も考えずにゆっくりと休むことだけに集中しなさい」

「お義父さん」

可愛らしい椅子からようやく解放され、清々しく足を踏み入れていた公爵が、立ち止まって私の方を振り返る。

ニコニコ笑う私の面相をじっと見つめる謹厳な顔に妙な当惑間が広がった。

「どうしたのですか？」

「ありがとうございます。色々と」

「・・・」

「ところで、お義父さん。これから私のことはルビと呼んでくれませんか？気楽に話してください」

「・・・」

養父はしばらく何も言わなかった。

当然、ありのままに受け入れるなら、それなりに怪奇現象だろう。

ただ、ゆっくりでも着実に発展していくことができれば、それでいいと思う刹那、何か腹が立つようなことでも思い出したかのように、鋭い目つきで私をじっと見つめていた養父が突然次のように吐き出す。

「ああ、そうだ。侍女長を別の所に行かせました」

「・・・え？」

「ちょっと遠い所にある親戚の家に行かせました」

「・・・え、どうして」

「それは私にも分かりません。娘に遅い思春期でも訪れたのか、いきなりそうしようと提案したので、ただ分かったと言いました」

こ、これはちょっと予想外の衝撃的なニュースだ。

侍女長を送ってしまったって？

エレニアの乳母であり、忠心は鉄の心のように見えたあの女中を？

それもエレニアが先に提案を？

とても信じられない異変なので、もしかして何かあったのかな？

私に何か心当たりの理由があるのかと聞いてくると思ったが、養父は髭を触りながら最後に付け加えるだけだった。

「分かりましたか？席を外したら、やるべきことがたくさんあるでしょう。ここの管理はルビの管轄でもあるのだから」

「あ、お義父さん今私のことを」

「だから、ゆっくり休んでください！」

それを最後に養父は忽然と立ち去った。

私はしばらくベッドに横たわり、混迷した頭を掴んだ。

いや、侍女長がどうして・・・！

一体どうやって・・・！

これはとても残念で虚しいことじゃないか！

私なりにあの悪い人間とスリル満点の激しい戦いを繰り広げる計画を立てていたのに・・・。

もちろん、当然彼女が勝手に消えてしまったので、スッキリした気持ちもあるのだけど。

ただ、まったく思いもよらなかった異変なので、驚きと戸惑いの方が大きい。

一体何をきっかけに進行されたのか、少しも見当がつかないというか。

エレニアは絶対にそんなことをしないと思ってたけど、あるいはただ複雑な状況で近すぎる関係の彼らとしばらく距離を置きたくなっただけかな・・・？

「奥様、新しいお茶を出してきましょうか？他に食べたいものはありませんか？」

ローニャは元々そうだったから驚くこともないけど、ルシルはいつもより明るい気がする。

侍女長がいなくなって嬉しいのかな？

まだ若くて３年目のルシルが新しい侍女長になる可能性はないはずだけど、何がそんなに嬉しくて終始一貫ニコニコしているのだろうか？

「ねえ、ルシル」

「はい、奥様」

「私、あなたにはこれ以上何もあげないわ」