こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
66話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 笑顔とは裏腹に②
「そ、それは邪神の紋様ではありませんか!」
全員が声を潜めていた中、誰かが堪えきれず叫んだ。
危険な紋様が大司祭の額から正装に至るまでくっきりと浮かび上がっていたからだ。
「まったく、大司祭様も本当に酷いですね! 幼い子供たちに邪神の使徒だという汚名を着せようとしていたなんて!」
「いいえ、それどころかご本人が邪神の使徒かもしれませんよ。」
「その通りです。どうしてでしょう、昔の英雄アナスタシア様が邪神を封じ込めたとき、邪神の使徒たちには紋様が浮かび上がったといいますよね!」
貴族たちの中には呆れながら口を開ける者もいた。
すると、大司祭は自分の額を隠そうと手を伸ばす。
「いいえ、違います! これは、これはあちらの者たちが私を陥れようとした陰謀です!」
ガラガラッ!
その瞬間、大司祭の前の石畳が半分に割れた。
「まだ言い訳が残っているのか? 邪神のしもべよ。」
「わ、私は、その、聖国で任命された大司祭──!」
母の冷ややかな気迫に恐れおののいていた大司祭は、再び膝をついて身を縮めた。
「国王陛下、国王陛下!」
大司祭の叫びに、国王はまた自分が呼ばれたことを本当に嫌そうな顔で隠そうとした。
「このまま公爵夫人を放置するおつもりですか?! 私は教皇聖下が任命した身! 聖国の怒りに耐えられると思いますか?!」
聖国
その言葉に国王の瞳がほんの少し揺らいだ。
彼は視線を上下に忙しなく動かし、母と視線を合わせることなく口を開いた。
「テ、テクラ、私の姉よ・・・」
おやおや、声が震えるのはどうにかならないものか。
「お前が怒っている理由くらいわかるさ。私が、お仕置きをしようじゃないか!だから─」
ドカン!
その瞬間、母が陶器を地面に叩きつけ、国王を鋭く見据えた。
微笑みなど微塵もない顔で。
「私が責任を負います。」
「え、今何を・・・」
「これから行われることはすべて、現国王ルキオス・パルサン・ジョンではなく、前王の唯一の娘が行うものです。」
母の視線はゆっくりと国王から大司祭に向けられた。
「公女テクラの名と責任のもとで行います。多くの証人がいるのですから。」
「ふっ、後悔することになりますよ、公爵夫人。いくらあなたでも聖国を─!」
母の毅然とした声に、大司祭は一切通じない脅迫を試みた。
「伯父様から心配するようなことが起こることはありません。」
しかし母は、彼の言葉を全く耳に入れない人のように無視し、そのまま話を続けた。
当然ながらルキオスは母の言葉をそのまま受け入れざるを得なかった。
「そ、そうだ。分かった、分かったよ、私は何も言わない。テクラよ。」
「はい、聞きました。」
「本当にお前がすべて責任を負うというのだな、私の姉よ! 聖国に、聖国に私はそのまま伝えるからな!」
「はい。」
おやおや、あまりにもみすぼらしく見えるではないか。
それでも名目上は国王なのに。ルキオスは再度確約するように見えた。
答えを得たことで安心したのか、彼は後ろにのけぞりながらへたり込んだ。
まるで自分の役割をすべて終えたかのような態度だった。
母は皮肉な笑みを浮かべながら、大司祭に向かって話しかける。
「すぐにその息の根を止めてほしい?」
「こ、公爵夫人・・・公主様・・・善王の真の後継者よ!」
「愛らしい子どもたちにこれ以上危害を加えることは許されない。少しだけその命を延長してやろう。」
「あ、ああ・・・!公爵夫人!テクラ公主様!!助けて、助けてください!!」
母は冷たい目で騎士たちに手で合図をした。
エンデブラン公爵家の騎士たちは一切迷うことなく行動を始めた。
騎士たちは大司祭を引きずっていった。
死を悟った大司祭は、その瞬間に母に、続いて父にしきりに許しを乞い始めた。
「お願いです・・・! 私が祝福を差し上げます!いいえ、主神にこれまでのすべての罪をお許しいただけるよう祈りを捧げます!どうか、どうか命だけは・・・!」
しかし、両親の慈悲が彼に向けられる理由は少しもなかった。
二人は彼によって子供を失った親だったのだから。
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父は冷酷に見つめ返した。
「私の娘がどれほど怖い思いをしたのか、あなたが感じることなく穏やかに目を閉じることができると思いますか?」
「ええ、エンデブラン公爵・・・! こ、これだけはお願いです・・・!罪人にだって最後に慈悲を示すのが法ではありませんか!」
「幼い私の娘は何の罪もないのに、あなたはそれを守ろうとしなかったではありませんか?」
大司祭の息苦しさに耐えかねた父が、彼の襟首をつかみ、そのまま茂みの中へ放り投げる。
「私の娘が奇跡的に生きていたことを感謝すべきだ。だからこれほどの罰で済ませるのです。」
父はそう言うと、身をひるがえして背を向けた。
手足を縛られたまま震える以外に何もできなかった大司祭は、信じられないというような声で叫びながら懇願した。
「私を、私を捨てないでください!公爵様!お願いです・・・!お願いです・・・!!」
しかし、その切実な叫びも父の背中を振り向かせることはなかった。
その日、森の茂みの中で大司祭の悲鳴が長く続くことはなく、完全に消えた。
それ以降、彼を見た者は誰もいない。
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当然のことながら、母は国王に対してもそのまま見逃すことはしなかった。
「テ、テクラか?」
あの事件から3日が過ぎたある日、母は10年前に好んで着ていた礼服を身にまとい、宮殿に入った。
「まあ、なんということだ。」
真実は、国王ルキオスの呆然とした失態が三度も繰り返されたということだった。
彼は何かしら言い訳をするも、母の厳しい視線に二度もたじろいだ。
(まだ正気を取り戻せていないな、この人間。)
そう思った母は、懐から取り出した自分の印章が彫られた毒針の印章を床に力強く押し付ける。
すると国王は、本当に望んでいないという顔で申し出を受け取った。
「誤解しないでくれ、そ、その、あの子が具合悪くなってないかと思ってな!お前の末娘の病気のことを気にして、後で来てもいいと言おうとしただけなんだ。」
国王は中に入り、何も言わない母の視線をちらちらと伺いながら、そわそわと視線を動かした。
「そ、その、なんだ。分かってるだろ? お前が具合が悪かった時、前王妃がどれほど辛そうにしていたか、な? そのことを思い出してだな─」
「なぜそんなに怖がっているんですか、お兄様?」
「えっ、あ、いや、ただ心配になってそうしているだけだ。」
「だから、国王として自らが?」
ルキオスの言葉に母は薄く笑った。
「私がどこまで耐えればいいのでしょうか?」
「え、うん?」
「大司祭と共謀してこんなことをやったのを、私が知らないとでも思ったのですか?」
「あ、いや・・・!あ、あの悪賢い者が!あの怪しい手で私を、私を陥れて・・・」
国王の顔が恐怖で引きつった。
母はわざとらしい声を出しながら、国王に向かって勢いよく歩み寄り、そのまま叱責した。
「テ、テクラ・・・!こ、これは反逆罪に問われるかもしれない!ほ、ほら、見てくれ、見てくれ! 見ている目もあるんだ、見ている目が!」
国王は謁見室で待機していた侍従や騎士たちの視線を避けながらうろたえた。
しかし母は一切臆することなく、さらに強く国王を叱責した。
「私の子どもたちにまた手を出したり、お兄様が何か余計なことを言い出したりしたら、もうこれ以上は我慢しませんからね。」
「テ、テクラ・・・」
「やるべきことをしてください、お兄様。義務の一つも果たさずに王の座に居座れるようにしたのは、夫と私のおかげではありませんか?」
「そ、そうだ。そ、そうだよ・・・!約束する!殴らないでくれ、殴らないでくれよ!」
「殴る資格があるかどうか、確認してみてください。」
卑屈に頭を下げる国王に、母は冷ややかに笑う。
そして母はしぶしぶ国王の期待に応じてやった。
その謁見の後、国王が再び動けるようになったのは、約1か月が経ってからだった。