愛され末っ子は初めてで

愛され末っ子は初めてで【79話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【愛され末っ子は初めてで】まとめ こんにちは、ピッコです。 「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっ...

 




 

79話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 個人的な理由②

首都に来てから、ずっと夜勤から抜け出せなかった父の疲労が時間とともに顔に現れてきた。

定時で退勤した夕方、父は薄っすらと涙を浮かべながら家族の前で誇らしげに話した。

「ふぅ、うちの子たちはこんなに美味しそうにスープを飲むんだな。私はこれをちゃんと見られなかったなんて……」

朝には何度か一緒にご飯を食べたじゃないですか、お父さん。

でも誰もその点については指摘しなかった。

そして数日が経つと、父は笑顔を浮かべていた表情を消し、わずかに不安げな様子を見せた。

「本当にこんなに前線で働かせてしまっても大丈夫なんでしょうか、妻よ。」

「あなたも、本当に心配性ですね。前線だってちゃんとやりますよ。責任を果たして生きなければなりませんよ。」

母が微笑みながらそう言うと、父は少し恥ずかしそうに頭を掻くだけだった。

これまで父が引き受けてきた仕事のうち、おそらく10分の1にも満たない仕事量の話だった。

当然それも大げさに説明していたが。

『はあ、本当に。今まで彼らを信じて任せてきたけど、どうしてこんな風に仕事をするんだ。』

「え?」

『ここ、ここを見て!ここで計算結果が合ってないじゃないか!』

「す、すみません、とにかく電話を。」

『何か、弁明するならしてみろ!』

『百の位の概念を間違えているようです。』

「何……?くっ、ゴホン!!試し、試しにやってみただけだ!どこが間違っているのか、一度確認してみる必要があるだろう。」

兄上は数学を諦めた人間だった。

どうしてそんなところまでそっくりなのか。

とにかく、そんな風に業務時間の半分以上を小言を言うことに費やしているせいか、実際の業務は少し手を付けるだけでもいつも仕事が多いと言い訳ばかりしていた。

悲しいことに、ドロリスとの会話を覗くことさえ考えたが、あまりにもくだらないのでやめることにした。

とにかく、国王が今こうしているのには理由があった。

それは、教皇が私が言った通りに話を上手く伝えてくれたおかげだった。

「え、本当ですか?教皇様が私に直接祝福をしてくださるのですか?」

「その通りです。この祝福は聖女様ご自身が行われる神聖なる初めての祝福となります。まさに栄光に満ちた場となるでしょう。」

その言葉を伝えたのは、能天気そうな補佐官の一人。

その言葉にルキオスは当然ながら嬉しそうにしていた。

「やはり人は正しく生きるべきですね!」

「その通りです。ただし……」

「ただし、何ですか?」

「これまで上手くやってこられたとは思いますが、このように特別な最初の祝福には、主神が関心を持って注視されるものです。」

「それで?」

「国王としての威厳ある立派な姿を祝福の日までお見せするように、と教皇様から真摯にお命じされました。」

「国王としての威厳と立派な姿ですか?」

「はい、誠意が大きいほど、主神が授けてくださる祝福もまた大きいものになるのです。」

彼は何も疑わず、その言葉をすんなり信じていた。

それで最近は特に仕事に熱心に取り組んでいるのだ。

父親ももう少し配慮して、多少の仕事を他に任せてくれればよいのに。

『まあ、もしあまりに過ぎれば国王に権力がすべて移ることになるだろう。それはそれで危険な話だな。』

父親は公爵であり、パルサン王国そのものの礎であった。

しかし、ルシオスが最も努力を注いでいるのは、国王としての業務ではなく、祝福の日の行事そのものであった。

『非常にうまくやっている。』

それでも私もまた、かなりの準備を進めていた。

国王が口にする予定の生半熟スペシャルエディション。

全てをしっかり食べてもらわなければならない!

王宮の一番大きなホール入口の立派な扉が目に飛び込んできた。

何度か見ているので、この扉も少しは見慣れてきた。

隣に立っているのが家族やミハイルではなく、大きな熊のような男だとは。

「なんと喜ばしいことか、聖女様が今日、侍従たちの顔をご覧にならなければなりません。他の皆は、なぜ聖女様を私だけが独占するのかと愚痴をこぼしておりました。それで私は、強引にも教皇陛下にお願いしてお連れする役をいただきました。普段は主神の最初の使者という立場が厄介なだけですが、今日は皆、主神様のお心遣いによってこの場に導かれたのだと思います。」

はは、主神とは何だ?

『申し訳ございません、教皇様。末っ子がまだ幼いので、私たちがその子を守らせていただきます。』

『末っ子が幼いので、なおさらこうした行事を通じてその顔をご覧になっていただきたく存じます。このように神殿での機会を与えられないのでは、あまりにも寂しいではありませんか。もちろん、私たちに非がないとは言いません!どうか一度、私たちを信じてお任せいただけませんでしょうか?』

『信仰の問題ではなく、まだ子供が幼いゆえに――』

今日この場に、大きな熊のような男とともにいることで本当に多くの皮肉を浴びた。ただ、その場にいるだけだったのに代表者として一人を選ぶという選択肢はなぜなかったのだろうか?

とにかく、この激しかった討論の結論は。

『教皇様だけではなく、私たちにも聖女様をお守りする権利があります。』

『その通りです!』

追従者たちまで出てきて。

『サシャは姉である私を一番好きなんですよ。』

『私は妹たちを守る義務があります。』

姉さんが兄さんにまで譲歩した末に。

『主の選択に委ねることにしましょう。』

教皇が渋い表情で提案を飲んだ後で、やっと決定が下された。

『とりあえず、主が私の味方ではないことはわかったわ。』

はあ、まあ、それでも表向きは悪くない状況だった。

今日は私が聖女として行う初めての祝福の日なのだから。

『本当のところ、できることなら聖女なんてやりたくないんだけど。』

最初から盲目的に「聖女様!」と呼んでくる奴らは、私が何をしても信頼なんて寄せる気がなかった。

一度は10年以上も能力を使わず、黙って見守るふりをしてみたけれど、いつも目を輝かせて危機の中から助けてくれるだろうと信じ込んでいる彼らを見てきたから。

『それならむしろ早く認めて、利用した方がマシよね。』

だから、聖女として初めて立つ場に教皇が共にいるというのも、どうせ形ばかりのことだと思っていた。

案の定。

「ところで聖女様、本当にこれ、少しだけでも私に分けていただけないでしょうか? 聖女様が手ずから作られたお料理を国王が初めて、しかも独占的に召し上がるというのは、あまりにも名誉なことです! 私にもぜひお許しください!」

あんな内容物で人間だと言えるのもおかしな話だ。

『はあ、この言葉をどこから正してあげればいいの?』

私が初めて作った料理を、なんであの兄に食べさせなきゃならないの!

当然そんなことはあり得なかった。

『お姉ちゃんとお兄ちゃんと一緒に真剣にクッキー作りごっこや、パンケーキ作りごっこをしてたじゃない。』

私の記憶では、二人が作ったものはまさに子供らしい可愛らしさに溢れていた。

真剣に作ったパンケーキの生地を焼いている時、キッチンの壁にお絵描きをして楽しんでいた。

それが一枚一枚焼き上がるたびに、二人の反応がどれだけ可愛らしかったことか!

『誇らしげに両親に持って行って、初めての試食までしてもらったっけ。』

あの日はとても楽しかったのに。

そんな思い出があるのに、このとんでもないクッキー生地を私の「初めての料理」だなんて言うなんて!

本当に無礼なことを言う人だ。

『あれを食べたいだなんて、自分の姉に対して申し訳ないとは思わないの?』

教皇は私がそのクッキー生地をいじる様子を脇からじっと見守っていた。

私の神聖な行動を見守る名誉を与えてほしいとまで願っていたようだが、視線での攻撃がすごくてどうしようもなかった。

『これ、薄力粉も入ってないし、バターも混ぜてないのに。』

バターを混ぜずに作るクッキー生地は、必ず薄力粉を混ぜること、バターも混ぜることが大切なのだ。

『自分で私のタップダンスを体験してみたいってこと?』

なんと、国王がほんの少しの塩まで細かく量って、卵ももしかしたら新鮮かどうか確認しにわざわざ探しに行ったんじゃないかってくらい注意深いんだから。

自分の体を大事にしすぎるこの奇妙な人。

本来なら教皇の保護下にいるべき人ではなかったけれど、それでもこれはちょっと行き過ぎだと思った。

そこで少しだけ優しさを見せてみることにした。

「クマのおじさん。」

「はい、聖女様!」

「それはおじさんのものじゃなくて、叔父さんのものだから。」

「えっ!」

私がそう言った途端、教皇は驚いたように目を丸くした。

「聖女様は本当にご家族をとても愛していらっしゃる方なのですね! 殿下がこの誠意をぜひ分かってくださったらいいのですが。ああ、本当に改めて感動しました。その日、聖女様が神殿にいらして私にかけてくださったお言葉にも、どれほど感嘆したことか。私も副騎士長も、聖女様がお帰りになった後、涙をボロボロ流したのですよ。」

その大げさな話と感傷的な語りに……?

「おじさん、伯父さんのあやしいこと、あれができるんですか?」

「『あやしい』というのが何を指しているかというと……」

『お母さんが、伯父さんが変な人と一緒にいて、頭があやしいって言ってたよ。頭、キラキラおじさんが変だって言ってたよ。』

その後に起こった出来事は、思い出すのも怖いほどだった。

教皇はまるで天の大罪人のように膝をつき、私に懺悔の言葉を12節ほど並べたのだから。

『おかげでその日、夢魔との戦いを繰り広げることになった。』

ともあれ、この祝福の日の式典を作り上げるために努力した。

そのおかげで様々な効果は得られたので、苦労した甲斐はあった。

しかし、とにかくそれ相応の苦労をしなければならなかった。

この場をあたかも自分が作ったかのように見せかけているが、実際は教皇が命じたことなのだ。

「ううん、おじさんが助けてくれたの。私はそれを一生懸命作っただけ。」

私の傑作のクッキーの半分を隠しながら、少し純真に話した瞬間、背筋がゾクッとした。

「そうでしょう、私が聖女様にお願いしましたよね。」

普段の長い言葉はどこへ行ったのか。

教皇は青い目でゆっくりと見つめながら、妙な微笑みを浮かべた。

「知っていましたよ、聖女様が本当に偉大な方だということを。」

肩が重くなるような気がした。

ただ、それだけ。

純粋に今日の儀式のために着た格式あるドレスのせいではなかった。

『え、何……?』

私、疑われるような行動は一つもしてないのに?

『卵を入れるときも、わざとじゃないように見せたのに?』

小麦粉は料理長が焦がしたものと入れ替えただけだったし、私はすぐに子どもっぽい行動の参考モデルである姉を思い出した。

『「すごい!」って声を聞いたとき、姉の反応!』

こういうときは、慌てるのも、緊張するのも正解じゃない。

「私、大したもの?」

「はい、その通りです?」

「わあ、私すごい! 褒められた!」

喜ぶのが正解だった!

本当に子どもだった姉もこうしていたから。

私は思わず笑顔になりながら、教皇の反応を待った。

すると彼は――

「聖女様を喜ばせることができたとは、主のしもべとしてただ喜ばしい限りです!それにしても、この聖くて愛らしい微笑みまで拝めるとは!今日を記念日として心に刻みます。副騎士長たちにも誇らしく語らねばなりませんし、それを決して忘れぬようにしなければなりません。今後も……。」

教皇の言葉はまるで洪水のように押し寄せ、終わりの見えない称賛の道が始まった。

『はあ、ほんとに。』

いつもと同じ姿に、内心うんざりしながらも安心した。

でも一方では——

『え、マジで何? なんかジロジロ見てくるし。』

もしかして私、何か見落としていることがあるんじゃないか、という不安が頭をよぎった。

 



 

 

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