こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

86話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 偉大な奇跡
「アナスタシア、私たちの赤ちゃん!」
こんなに早く到着するとは思わなかった。
首都に到着するやいなや、いや、首都の入り口に着いた時点で、私と教皇は両親や随行員、そして神聖な騎士団と向き合った。
シメオンは悲しげに、まるで今にも死にそうな顔で随行員たちを見つめていた。
しかし、随行員たちもまた、何も言わずに「少し上を見てください」とでも言いたげな目で応じていた。
これほど指導層がしっかりしていなくても、問題ないのだろうか、この宗教は。
彼らとは違い、両親は怒っているような顔をしていた。
「お母さん!」
私は何も知らない明るい顔で、お母さんの胸に飛び込んだ。
「私たちの末っ子、どこか痛いところはない?」
「はい、楽しかったです。」
私の返事に、両親は心配していた顔が和らいだ。
私は少しだけお母さんの服を握りしめた。
胸がチクチクして、胸の奥に罪悪感が湧いた。
両親にまた心配をかけてしまうとは思わなかったのに。
『でも……虎を連れてきた以上、秘密にはできないよね。』
どうせ聞かれるなら、正直に話すのがいい。
一人でやったことはちゃんと叱られなければならない。
両親は私をそうやって育ててくれたのだから。
だから、シメオンにしたように、厳しく叱られる方法を両親に使う気はなかった。
何より、姉の可愛い行動を真似して、こういうときに甘えたいとも思わなかった。
正直に話して叱られる。
そして、少しだけ控えめにお願いするのが、聖女としてではなく、公爵家の末娘である私にできる最善の方法だった。
「お母さん、お父さん。」
「うん?」
「私ね、虎を飼いたいの。」
「……虎?」
両親の目が明らかに丸くなった。
私が痛くもなく、楽しかったと言っても、心配そうな顔であちこちを確認していた両親だ。
あまりにも驚かせてしまったようで、少し怖くて申し訳ない気持ちになった。
「はい。」
私は罪悪感でいっぱいの気持ちで答えた。
見せなければならないと思い、「虎!」と呼ぶと、静かに馬車の後ろに隠れていた虎がそろそろと近づいてきた。
「ひゃっ、ひっ! 虎じゃないか!」
「皆、警戒せよ!公爵様、公爵夫人、危険です。下がってください!」
一言で、追従兵と聖騎士たちが動揺した。
私はその言葉に、母の胸元から抜け出して彼らの前に立ちはだかった。
「アナスタシア!」
両親は驚いて、虎に近づこうとする私をしっかりと引き止めた。
「違うの!虎は危なくないの、大丈夫だよ。」
私は虎を撫でながら、両親を切実な目で見つめた。
「お兄ちゃんがくれた子みたい。虎は、私の友達だよ。一緒にいたいの。」
「本当です、いつも私に虎が好きだっておっしゃってましたよね。私は本当に一生懸命だったので、少しだけやりすぎたかなって思いながらも。」
「熊のおじさんが虎は大丈夫だって言ったんだよ!」
支援軍を呼んだ。
突然、沈黙したシメオンの顔は、堪えきれない様子で固まった。
何も言わなかったが、彼の声が鮮やかに聞こえてくるような気がした。
『いや、聖女様。私がいつそんなことを言いましたか! 連れて行くとおっしゃったので、私は拒めなかっただけです。ああ、聖女様からの試練ですから、喜んで受け入れなければなりませんが……!』
すべての人の視線が、一瞬でシメオンに集まった。
当然のことながら、誰も穏やかな目ではない。
「どういうことですか、聖下?」
母親が困惑した顔で尋ねた。
すると、シメオンは素早く冷静な教皇の表情に戻った。
「……聖国には非常に古い予言書があります。」
「予言書ですか?」
教皇の言葉に、側近や聖騎士たちも驚きを隠せない表情を見せた。
そのおかげで、母親をはじめ、すべての人々が疑念に満ちた目で彼を見つめていた。
「ふむ、ふむ。教皇にしか伝えられない予言書があります。これは側近たちも知っていることです。主神の最初の使者として、私は決して嘘をつくことができない存在です。たとえ回りくどい言い方をしたとしても。」
後に言い訳をつけ足すべきだったか?
しかし、私の人生において、これほどまでに効果的だったことはなかった。
過ぎ去ってもなお、彼の言葉はまるで本当に嘘をつけないかのように見えたのだから。
「はるか昔、聖女シャルロッテ様が、主神のお言葉を記した予言書にこのように伝えていました。」
あれ?本当に嘘ではないのか?
「はるか後、世界に危機が訪れる前に、偉大な聖女が現れるので、疑わずに従いなさい。」
彼はまるで預言者のように厳粛に語った。
「その方は猛獣をおとなしい猫のように従わせ、皆が驚くような奇跡を起こすことでしょう。」
シメオンの言葉が終わるや否や、追従者たちは何かを悟ったように口を開いた。
「まさか。それでは聖下は聖女様が大神官を罰されたとき、確信を持ってその方を聖女と信じていたということですか?」
「そうです。大体、教皇にしか伝えられていない予言書なので、追従者たちにも伝えられなかったのです。どうかご容赦ください。」
そう言って彼は両手をゆっくりと上げ、語り続けた。
「しかし、聖女様が今日このような偉大な奇跡を行われたことで、もはや隠す理由がなくなりました。すべてのことが証明されましたから。」
「偉大な奇跡だとおっしゃるのですか?」
「マムルの森がすべて浄化されました。」
突然投げかけられたシメオンの言葉に、一瞬場が静まり返った。
「……何ですって?!マムルの森が浄化されたんですか? あのマムルの森ですか? 数十年前、何十人もの使徒たちが駆り出されて浄化しようとしたのに、夢にもできなかったあの場所が!」
「そうです。だからこそ偉大な奇跡です。」
シメオンは、まるで感激しているかのように声を高めた。
「ですので、お二人(公爵夫妻)はどうかご安心ください。聖女様の虎は、許可なく誰かを害することはありません。聖なる光の前では、猛獣もまた可愛らしい子猫のように大人しくなるのです。」
彼は誰もが信じるような信頼に満ちた笑みを浮かべた。
『……本当にそんな予言書があるの?』
当然、嘘だと思っていた。
ただ自分の猫に安心できる環境を作ろうとしただけだったのに、なぜかそわそわしてきた。
まるで予定通りに行動しただけのように。
他人が敷いたレールの上を歩くのは、自分の性に合わない。
そう思った瞬間、シメオンと目がぴったりと合った。そして悟った。
『バレた!?』
シメオンは私に向かって「聖女様ほどは私の功績ではありません。」という意味深な視線を送ってきた。
まさか、教皇が天底の嘘つきだったとは!本当に大きなことになったね、この宗教。








