こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
120話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 誘拐
その夜。
日が沈むと、オスカーは近くの都市にある大きなホテルへレリアを連れて行く。
比較的大規模な高級ホテルだった。
入る道で標識を確認すると、ここはレリアがいた皇城の首都からかなり離れた都市だった。
オスカーはレリアが眠っている間に気絶させて移動させたようだ。
そうでなければ、短時間でこの遠い距離を移動できるはずがないから。
本当に旅行を楽しもうというつもりなのか、オスカーは目的地に着くまでは都市ごとにある大きなホテルを利用するつもりだと告げた。
しかしその言葉を聞いても、レリアは何も言葉が出なかった。
最初の最後の会話のあと、この場所に到着するまで、口を開くことはなかった。
オスカーはレリアがすねているのだと思っていたが、そうではない。
最初は理解できずに現実を否定していた。
頭が混乱して、ちゃんと考えることができなかった。
ただでさえ疲れ果てて、すべてを投げ出して壊してしまいたい気分だったので、むしろこれでよかったのかもしれないと思った。
肩にのしかかっていた重荷をスッと脱ぎ捨てたように、自由だった。
けれど、家族のことを考えると再び心が重くなる。
加えて、どこか空っぽのようなオスカーの瞳を見ていると、具体的にはわからないけれど、何かとても間違っているという気がしてならなかった。
その途中でもオスカーと目が合うたびに、なぜか心臓がドキンと鳴ってドキドキして……彼の目を長く見つめていられなかった。
そのたびにオスカーは視線をそらして冷たくレリアを見つめたが、レリアはそれに気づけなかった。
『薬の効果がまだ残っているなんて……』
レリアは客室に入るとすぐ、疲れたようにソファに座る。
そんなレリアの隣に来たオスカーが水を差し出した。
「どうする?先に浴びる?」
「……?」
「それとも、一緒に浴びる?」
なに?
唐突な言葉に、レリアは呆然と彼を見つめた。
「な、なんて言ったの、今?」
「もう夫婦になる間柄なんだから。いつまで俺から逃げるつもり?」
「……私、あなたと結婚するなんて、一度も言ったことないわ。」
「はは、そうだろうな。」
オスカーはレリアの意思などお構いなしに隣に腰を下ろし、彼女の髪を優しく撫でた。
冷たい目つきとは対照的に、その手つきは穏やかだった。
一緒に暮らすなんて――生まれてから聞いた中で一番衝撃的な言葉だった。
レリアは目を伏せた。
「オスカー、あなたが怒っている理由はわかるけど……でも冷静になって私を……理解してくれると嬉しい。私はあまりに突然で……」
「お願いするなら、せめて目くらいは見てくれない?」
「………」
オスカーが皮肉っぽく言ったが、レリアは言葉が詰まったように何も言い返せなかった。
『見つめたくても見つめられないのに、どうしろっていうのよ…!』
薬のせいなのか、オスカーの目をじっと見ると心臓がドキドキして思考が止まる。
まるで今にもキスしたいとか、抱きしめたい気持ちでいっぱいになる。
抱きしめたい衝動が湧いたわけではなかったが……目が合うと妙に恥ずかしくて、心の内を見透かされるようで、心臓の音が聞こえてしまうのではと怖かった。
頭の中なのか、胸の奥なのかは分からないけれど、どこかがチクチクして、ますますつらかった。
はぁ……
レリアは、心を読めないオスカーに息苦しさを感じ、小さくため息をついて目を固く閉じた。
「そんなに俺が気まずい?」
氷の刃のような冷たい声だった。
レリアは一瞬漂った険しい空気に驚き、目を開けて彼を見つめた。
それも、久しぶりだった。
見つめられずに視線をそらしたが…。
一瞬だけ合ったオスカーの目はひんやりしていた。
赤い瞳の奥にぽっかりと空いた氷のようなものを感じるようでもあり、熱い感情を隠しているようにも感じられた。
「びくびくしてるって?そんなのじゃない。」
「目もまともに見られないくせに、嘘だけはうまいんだな。」
「………」
「どうせお前は嘘が天職なんだろ。」
皮肉のこもった言葉に、レリアの表情が歪んだ。
過去の出来事までも引っ張り出すような物言いだった。
封印魔法にかかっていたときに騙されたのに、そんなことを言うなんて。
何とも言えず切なくて悔しくて、やり場のない感情がこみ上げてきた。
でも鼻の奥がツンとするほど切なかったわけじゃないのに……不思議なほど胸がいっぱいになって、涙が出そうになった。
感情を抑えるのが難しかった。
これもまだ薬の副作用のせいだと分かっている。
レリアはこらえながら涙を飲み込み、質問を投げかけた。
「本当に私をフレスベルグ帝国に連れていくつもりなの?」
「そうだ。」
「どうして……どうしてそこまでするの?私はまだ……あなたがなぜそうするのか分からない……私は……」
「本当に分からないの?」
「………」
「知らないふりをしたいんじゃないの?」
『私が知らないふりをしたいってこと?』
レリアは答えられなかった。
本当に私は知らないふりをしたいのだろうか?
正直に言って…オスカーの気持ちは分かっていた。
分からないはずがなかった。
オスカーは以前から異性としてレリアを想っていたことを彼女に示してきた。
だが、レリアはそれを受け入れることはできなかった。
オスカーを生涯異性として愛せないという話ではない。
彼の要求は受け入れがたく、極めて利己的なものだった。
レリアにとって、シュペリオン領地と家族は大切な存在だった。
それなのにすべてを捨てて、自分についてこいだなんて……。
でも、もしその要求がなかったとしたら?
ただ純粋に気持ちだけを受け取ってほしいという告白だったとしたら、自分はその気持ちを受け入れることができただろうか?
「……」
レリアは簡単には答えられなかった。
でも薬の副作用のせいか、心の奥深くから冷たい声が彼女に語りかけてきた。
本当にオスカーを愛していないの?
だったらオスカーが他の女性と結婚しても関係ないの?
一生彼が他の女性のものになっても、平気なの?
本当に?
しばらく呆然と悩みに沈んでいたレリアは、結局答えを出せないまま振り返った。
「……っ!!」
確かにすぐ隣にいたはずのオスカーが姿を消していた。
レリアは驚いて周囲をきょろきょろ見回した。
もしかして外に出たのかと思い、ドアの方へ行こうとしたが――
カチャリ。
客室のドアは外側から鍵がかかっていた。
『いったいどこに行ったの?』
レリアはそっと部屋の中を歩き回った。
オスカーの姿が見えず、不安な気持ちになった。
『ちょっと出かけたのかな?』
レリアはしばらく考えたあと、オスカーについて考えるのをやめ、客室の中を見渡した。
片隅にはきれいに畳まれた服が置かれており、広げてみると、それはパジャマとして用意されたようなシュミーズドレスだった。
それを見た途端、急に疲れが押し寄せてくる。
シャワーを浴びて寝たい、という気持ちが湧いてきた。
客室内に付いていた浴室でシャワーを浴びて服を着替えた。
オスカーはまだ戻ってこなかった。
ふと、不安が胸をよぎった。
もしかしてオスカーが自分をここに残して、ひとりで逃げてしまったのではないかと。
だが、ドアが外から鍵がかかっているのを見ると、そうでもないようだ。
レリアはベッドに横たわり、窓の外を見つめた。
『ほんのさっきまであんなに息苦しい皇城だったのに……』
今はかなり離れた都市のホテルに横たわりながら窓の外を眺めている。
とても穏やかで、目の前のすべてが現実味なく感じられた。
その中で一番信じられなかったのは、もちろんオスカーに連れてこられたという事実だった。
心配しているであろう叔父や友人たち、シュペリオン領地の家族たちの顔が次々に思い浮かんできたが、次第にまぶたが重くなっていった。
今だけは何も考えず、ただ眠りたかった。
皇城に到着してから蓄積していた疲れと精神的なストレスが、遅れてどっと押し寄せた。
もう身動きもできなかった。
レリアはそのまま静かに眠りに落ちた。
オスカーが部屋に戻ってきたのは、レリアが眠ってから何時間か経った後のことだった。
窓を通って静かに入ってきた彼は、ベッドで安らかに眠るレリアを見つけた。
「………」
彼は音を立てず、ベッドへと近づいた。
目を閉じて眠っているレリアの姿は美しかった。
触れれば壊れそうな、繊細な芸術品のような。
「………」
眠っている姿よりも、目を開けて自分を見つめる姿を見たいと思ったが……以前とは違い、まるで嫌いでたまらないとでも言うかのような、嫌悪に満ちた目で見られるたびに、息が詰まりそうになった。
そんなことをさせた自分がひどく嫌で、レリアはもう彼と目を合わせたくないと思っていた。
どうせレリアは自分のことが嫌いなのだ。
だから何も感じなかった。
「………」
けれど予想以上に、息が詰まりそうなほど苦しかった。
自分を憎もうとしているレリアが、恨めしそうに苦しんでいる姿を見て、苦しめたいと思った。
けれども涙に濡れたその潤んだ目を見れば、また心が弱くなってしまった。
それでも今や、憎まれても仕方がない。
彼はレリアに向けていた視線をそっと外し、窓の外を見つめた。
雨でも降ってくれればよかったのに。
夜空は雲に覆われてはいたが、雨が降る気配はまったくなかった。
いっそ雨が降ってくれれば……そうすれば君は、少しは僕を憐れんでくれたかもしれない。
でも無駄な願いだ。
きっと君は、雨が降っても僕をそんなふうには見てくれない。
オスカーは手を伸ばしてレリアの頬に触れようとしたが、すぐにやめた。
レリアが再び目を開けたのは朝だった。
「………」
見慣れない空間を見ながら、一瞬夢かと思ったレリアは、昨日の出来事を思い出した。
『そうだ、オスカーが昨日私を……』
しかし首を回して周囲を見渡しても、オスカーの姿は見えなかった。
本当に自分をここに捨てて行ったの?ほんとに捨てて行ったの?
「……」
レリアは悲しみに沈んでいたが、はっとして正気を取り戻した。
『錬金。』
忘れていた。
心の中で錬金の名前を呼ぶと、すぐにシステムウィンドウが現れた。
【o_o??】
どういうわけか、どんどん口数が少なくなっている気がする……少しおかしいとは思ったが、レリアはまず一番重要なことから聞くことにした。
『この前君がハッキングされた時に飲まされた薬のことよ。その薬の効果がまだ残っているみたい……』
明らかに解毒剤を飲んだはずなのに、まだ効果が残っているようだった。
それをどうすればいいのか、聞いてみるつもりだ。
『あなたにも責任があるでしょ。どうすればいいのか教えてよ。』
[ಠ_ಠ…]
すでに予想していた反応だったので、驚きはしなかった。
『……解毒剤よりもっと確実なものはないかな?』
【残っている薬効に苦しんでいますか?超強力解毒薬をおすすめします!✧٩(•́⌄•́๑)و✧
(╯︵╰,)】
レリアは錬金の茶目っ気に抵抗しようと、ぐっと唇をかみしめて製作画面へと進んだ。
‘超強力解毒薬……’
以前に作って売ったことがある薬。
【超強力解毒薬】
– 必要な材料リスト –
・マチャが叫んで通り過ぎた跡のホコリ(7/20)
・草の根の結晶(99389/20)
・超人の薬草(12787/1)
足りない材料の一つ目は「ホコリ」だった。
ドラゴンが自動で集めてくれる材料じゃなかったの?
レリアは足りない材料をタップしてみたが、「材料探索」というボタンしか表示されなかった。
通り過ぎる馬車の前で待機して拾わなきゃいけないってこと?まさかね?
面倒さに思わずうんざりしたが、窓の外には通り過ぎる馬車がぎっしりだった。
とりあえずシャワーを浴びたあと、オスカーから探さなきゃいけなさそうだ。
『それなら、また説得してエンジリへ戻るしかないか。』
こうして強制的にフレスベルグ帝国に連れ戻されてオスカーの妻になるのは望んでいなかった。
もちろん、オスカーが嫌いなわけではないが……。
こうして強引にことを進めてはいけない。
こんな方法では、オスカーとの関係を悪化させるだけだ。
レリアはそのままベッドから起き上がり、奥の浴室へ向かった。
シャワーを浴びて冷水で洗顔をしていた時だった。
外からガサガサという音が聞こえた。
「オスカーが戻ってきたの?」
驚いて扉を振り返った瞬間だった。
ドキドキする音が聞こえたかと思えば、ドンッ!! と浴室の扉が勢いよく開かれた。
「……っ!!」
突然の侵入に驚いて、レリアはその場にうずくまってしまった。
壊れた扉の向こうに、オスカーの青白い顔が見えた。
「………」
彼はレリアを見つけてしばらく立ち止まっていたが、突然また背を向けてしまった。
『一体どういうことなんだ?』
自分を差し出すと決めたから、もう頭がどうなってもいいということなのか?
レリアはそのまま壊れたドアを越えて外へ出た。
ベッドのそばで背を向けて立っているオスカーの姿が見えた。
「オスカー、話をしよう。」
「まず服を着ろ。」
新しい服を買いに行ったのか?
ベッドのシーツの上には深緑のドレスが置かれていた。
レリアはため息をつき、そちらへ向かった。
ドレスを手にしてぼんやりしていると、オスカーが道を開けてくれた。
服を全部着て、腰まで結び終わったころ、オスカーが戻ってきた。
「オスカー、もう話をしてよ。」
だがオスカーは黙ったまま立ち尽くし、彼女の身なりを見回した。
その視線に妙に恥ずかしくなって視線を逸らしたが、またオスカーの目を見つめた。
「………」
しかし3秒も経たずに、レリアは視線をそらしてしまった。
『本当に、気が狂いそう。』
顔がかぁっと熱くなった。
目が合うと、心臓がまたドキドキし始めた。
やっぱり、自分で足りない材料を探して解毒薬を作らなければならないようだ。
「オスカー、話が……」
「話すことなんてない。」
「……え?」
冷たく会話を拒絶する声に驚いた。
顔を上げると、窓の外を見つめているオスカーの横顔が見えた。
確かにオスカーの横顔だったが、なぜか違和感を覚えた。
自分を見ずに窓の外ばかり見ているオスカーの態度が、なぜか不自然に感じられたからだった。
「オスカー。落ち着いて、ちゃんと話し合おう……」
「嫌だ。」
「…じゃあ、本当に私をこんなふうにフレスベルクに連れていくつもりなの?」
「そうだ。」
「………」
「最後の旅だから、後悔なく楽しめるようにして。」
そう言いながらも、オスカーは彼女に一度も視線を向けなかった。
不審に思うほどに。
「…なんでなの?どうして私を見ようともしないで話すの?」
レリアはオスカーの心が弱っているのを感じていた。
だが、明らかに哀れな自分の姿を見れば、頼みを聞いてくれるだろうと思っていた。
視線をそらすのは、オスカーもその事実を知っているからに違いない。
「……君も、ちゃんと私のこと見てくれないじゃない。」
「……」
しかし、オスカーの口から出た言葉は思いがけないものだった。
レリアは一瞬呆然として目をぱちくりさせた。
『だからそうしてたの?』
混乱した。
話し方は冷静だったが、会話の内容はすねた子どものようで……。
「僕は、だから……。」
レリアは固まった。
すぐには反応できなかった。
私はあなたをちゃんと見なかったなんて言ったら、罪悪感に苛まれるし…かといって正直に言うこともできなかった。
『目が合うと心臓が高鳴って、恥ずかしくて見つめられないなんて、どう言えばいいの?』
いっそ薬の効果がまだ残ってるって言えばいいのか?
そうすれば理解してくれるかな…?
でも簡単には口にできなかった。
薬のせいで偽りの好意を持ったなんて言えば…オスカーはきっと深く傷つくだろう。
もともと心が弱いオスカーをこれ以上傷つけたくなかった。
「準備ができたなら、ついて来て。」
オスカーはそんなレリアに向かって歩き出した。
レリアはどうすることもできず口を閉ざしたまま、彼の後をついていった。
建物の前で待機していた馬車は、二人が乗り込むとすぐに出発した。
「どこに行くの?」
「……言っただろ。神聖中立区域に行くって。」
「………」
レリアは向かい側に座るオスカーをちらりと見たが、すぐに視線を窓の外にそらした。
まずは……オスカーが自分と話す気持ちになるまで待つほうがいいと思った。
少し時間が経てば、気持ちが落ち着くかもしれないから。
そして、一刻も早く解毒剤の材料を手に入れて完成させなければ。
このままではオスカーとちゃんと会話ができず、誤解だけが深まる気がした。
『とりあえず中立地域に着いたら、叔父さんかシュペリオン領地に手紙を送らなきゃ。』
少なくともすぐに帰れなくても、無事だということだけは伝えて、心配しないように言わなければならなかった。







