こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
96話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 勘違いのキス
一方、部屋に向かおうとしていたレリアは立ち止まり、足を引き返した。
どうしてもカーリクスのことが気にかかった。
もう一度、真実を打ち明けてみようと決心したようだった。
(トントン)
確かに部屋に入ったようだったが、中からは何の音も聞こえなかった。
悩んでいたレリアは結局、ドアを開けて入っていった。
(キーッ)
ゆっくりとドアを開けると、薄暗い室内が見えた。
『部屋に戻ってないのかな?それとも寝てるのかな?』
そのとき、ふと怖い考えが浮かんだ。
もしかするとカーリクスが前のように発作を起こして、暗闇の中で一人で苦しんでいるかもしれないという考えだった。
それで部屋に入り、ドアを閉めて室内を見回した。
「カーリクス様……?」
慎重に呼びかけたが、返事はなかった。
レリアは寝室の方へ歩いていった。
するとベッドの上にうっすらと見えるシルエットがあった。
安堵のため息をつきながら近づくと、カーリクスは目を閉じて眠っていた。
本当に寝てるの?
「カーリクス様……?」
もしかしてと思って小さな声で呼んでみたが、カーリクスは微動だにしなかった。
本当に眠っているようだ。
『もう眠っちゃったのか……疲れてたのかな?それとも目のせいか。』
片方の目が見えないから、他の人よりもずっと大変で疲れるはずだ。
『この子は絶対に痛いとか辛いとか言わないから、こうして一人で体力を回復しようとしてるんだろうな……』
レリアは心配な気持ちのままベッドに腰掛け、カーリクスの額をそっと撫でた。
柔らかく黒い髪が額を越えて流れたとき、しかめられていた眉が和らいでいくのが見えた。
呼吸の音も穏やかになっていた。
『明日また来よう。』
レリアはそう思い、立ち上がろうとしてふと動きを止めた。
「……」
ふと目に入ったのは、カーリクスの唇だった。
その瞬間、あるとてつもない考えがよぎり、レリアは唾をゴクリと飲み込んだ。
そしてすぐにメニューウィンドウを開き、アップデートが完了しているか確認した。
【大規模アップデートが完了しました!今すぐアップデート内容を詳しく確認しますか?٩(•̀ᴗ•́)و 】
効果音とともに、あれこれと目の前にポップアップウィンドウが現れ始めた。
彼女は「いいえ」ボタンを押して、一時的にすべての画面を消した。
『ゲームのアップデートが完了したから…今キスをすれば、明らかにアイテムが適用されるはず。』
レリアの視線は、眠っているカーリクスの唇へと向かった。
一度そう考えると、頭の中がその考えでいっぱいになった。
「今がチャンスだ」という思い。
『そうだ、どうせなら寝ている間にこっそりしてしまえば、わざわざ複雑に説明する必要もないでしょ?』
ロミオの言葉によると、カーリクスは自分が見たいものだけを見て、信じたいものだけを信じる性格だった。
だから今すぐ事実を伝えるよりも、いずれ自然に気づかせるか、あとで一度に打ち明けたほうがよいかもしれなかった。
レリアはさっきロミオが言った言葉を思い出しながら、そっと顎を引いた。
『そう、今やろう。』
カーリクスには申し訳ないけど…。
レリアはしばらくためらった末に、ゆっくりと顔を下ろしていった。
だんだん近づいてくるカーリクスの整った耳元と首筋を見て、心臓がドキドキと高鳴る音が聞こえてきた。
『私の心臓の音で目覚めちゃいそう。』
これ以上時間を引き延ばしてはいけないと思った。
レリアは目をしっかり閉じて唇を差し出した。
チュッ。
柔らかい粘膜が触れ合い、離れる音が妙に響いた。
レリアは1秒もためらうことなく、唇が触れてすぐに体を起こした。
本当にやっちゃったなんて……。
『カーリクス、本当にごめん……』
レリアは、もしかしてカーリクスが目を覚ますかもしれないと思い、すぐに真っ暗な部屋を出て行った。
大きな罪を犯した人のように心臓がドキドキしていた。
『早く戻ってアイテムがちゃんと手に入ったか確認しなきゃ。』
レリアが部屋を出てから約30秒後。
「はぁ…!」
息をぐっとこらえていたカーリクスが、突然体を起こした。
暗くて何も見えなかったが、彼の顔は真っ赤に染まっていた。
熱くて頭がくらくらするほどだった。
「な、何考えてるんだ…これは一体……」
カーリクスは大きくため息をつきながら胸に手を当てた。
ドクンドクン。
『心臓…心臓がこんなに速く打ったら死ぬんじゃないか?』
いや、今それが重要じゃなかった。
カーリクスは、レリアの唇が触れていた自分の唇をじっと見つめた。
まるで他人のもののように、感覚がどこかおかしかった。
これは一体どういう……。
また面倒だから一部寝たふりをしていたんだろうけど、まさかキスされるなんて思ってもみなかった。
「うう……」
カーリクスは頭をかきむしりながら、苦しげにうめいた。
これが夢なら今すぐ目覚めたい。
でも頬をつねって髪を引っ張ってみても、現実だった。
『あの変態野郎、マジで狂ったのか?』
髪をなでられたときから、なぜか不安だった。
その手触りがやけに優しくて愛おしく感じられて、変だとは思っていた。
その感触を思い出すと、心臓がドキドキして、内心がざわついた。
『一体どうして……』
カーリクスは真剣に悩んだ。
さっき唇が触れた瞬間、あのイカれた女の首をつかまなきゃいけなかったのに……あまりに驚いて手を離してしまった。
『触れたのが唇じゃないかもしれない。けど、それにしてもなんだ?』
あのふわふわして柔らかい感触は明らかに……カーリクスは眉間をしかめた。確かに唇だった。
『初キスの相手があのクレイジー女だなんて……同じ男として!』
彼は今まで女性の手すらまともに握ったこともなかったのに――経験のない接触感だった。
特別な信念があったわけではなく……ただ女性と接するのが難しくて不便だったからそうなっただけだ。
だからといって男とキスしたいわけじゃなかった。
あの小娘に初キスを奪われたと気づいた瞬間、すべてを奪われたような気分だった。
でも奇妙なのは……今すぐあの子を捕まえて顔にパンチを食らわせたいとは思わなかったことだ。
嫌悪感と敵意を感じるのが普通なのに……なぜ……?
ゴクリ。
カーリクスは何度も唾を飲み込んだ。
嫌悪と混乱……口の中に唾がたまる。
どうかしてるのか?
彼はぱっと起き上がって、ベッド横のテーブルに置かれた水を取ってごくごくと飲み干した。
冷たい水が喉に入ると少し頭がすっきりしたようだった。
部屋の中を静かに見渡しながら、思考を整理した。
『あいつ、まさか俺のこと前から好きだったのか?』
そう思った瞬間、足元から全身にかけてゾクゾクと鳥肌が立った。
すべてのパズルのピースが合ったのだ!
レリアは最初に会った瞬間から自分を好きだったに違いない。
あの子は最初から自分にだけ優しくしていた。
ロミオには一度も使わなかった「お兄ちゃん」呼びをカーリクスにはよく使っていた。
微笑みながら甘えるような仕草もしていた。
『はぁ… だからだったのか?俺のこと好きだったのか。俺が発作を起こしたとき、どうやって知ったのか毎回やって来た。そうだ、最初からずっと俺のことを追いかけていたから見つけられたんだ!ストーカーみたいなもんじゃないか!だからあんなに泣きじゃくってたんだ。』
カーリクスは自分が発作を起こした時に、わんわん泣いていたレリアの姿を思い出した。
しかもレリアは彼のために薬まで作ってくれていた。
『錬金術師だって…だからか…。』
薬の効果があまりにも良くて、どこで手に入れたのか気になっていたが… 真心のこもった手作りの薬だったようだ。
昔から「愛はすべてを癒す妙薬」と言われているではないか?
さらには、レリアは彼から離れようとしたときも、たくさんの薬を作って渡していった。
『…僕を置いて去るとき、どれほど心が痛かっただろうか。』
彼は険しい表情で額を押さえた。
気持ちを整理して去った彼女をまた探しに来たのは自分だった。
「………」
再会したとき、彼女が自分を見つめたその視線を思い出し、胸が締めつけられた。
驚いて見開かれたその目の中には、なぜか懐かしさを感じた。切ない恋しさも同時に。
『このやろう…どうして俺を!』
まったく、何を考えてるんだこの小娘は!
カーリクスはもどかしさに壁に頭をゴンゴンぶつけた。
考えをやめようとしても、何度もレリアの姿が浮かんでくる。
再会したとき、自分の左目が見えなくなっていることに気づいていたレリアの顔。
突然キスしようとするかのようで驚かされた、あの時のことだ。
誰も知らなかった目の状態を彼女が知っていたということは、今考えても信じられない。いったいどうして?
『運命って、そういうものか…』
彼を傭兵として育てた師匠は、時々子供たちが読む童話本を持ってきてくれた。
幼いカーリクスは「誰がこんなもの読むか」と文句を言いながらも、寝る前に一度ずつ読んでみていた。
童話の中には「運命」とか、そんな言葉がよく出てきた。
その頃はピンと来なくて笑っていたのに…。
『本当に運命みたいなものがあるのか。』
カーリクスは額を押さえた。
心臓が、胸が妙だった。
ただドキドキと激しく鼓動するのではなく、痛むような感覚だった。
まるで締めつけられるような鈍い痛みが感じられた。
『いったいどれだけ俺のことが好きなんだよ、あいつは…。』
一体自分がその気持ちに気づかずにいたことで、どれほど心を痛めたことだろうか。
『それでさっき告白がどうとか言ってたのか…!』
彼の頭の中に、さっき自分を引き止めて何か言おうとしたレリアの姿が浮かんだ。
『…あの、それは違って、実は私が告白しようと…』
それがあの告白だったのだ!
『あんなに切実な声で言っていたのに、気づかなかったなんて……』
カーリクスは冷たい壁に額を押し当てて目を閉じた。混乱した夜だった。
一方、ロミオはどこか寂しげな目で二人の友人を見つめていた。
レリアがカーリクスにそっとキスをしたのを。
そのとき。
恐ろしいことに、オスカーとグリピスは素手で殴り合いの喧嘩をしていた。
ロミオの審判のもと、二人は神聖力と闇の力、武器をすべて除外し、純粋に拳だけで戦うことにした。
大きな争いになるのを避けたかったロミオが軽い勝負を提案したのだ。
「できると思う?その力がなければ何でもないのに。」
「お前こそ、神聖力がなければただのゴミじゃないか。」
二人は目を光らせて互いをにらみつけた。
その結果、グリピスとオスカーは同じような傷を負いながら互いから距離を取った。
終わらなそうな戦いに、ついにロミオが割って入ることになった。
「どう?もう二人とも怒りは収まったでしょ?」
「………」
「………」
ロミオはため息をついた。
むしろ二人は先ほどよりも険しい目でお互いをにらみつけていた。
「もうやめてよ。いったい何のために喧嘩してるの?隊長が知ったらどれだけ悲しむか!仲良くしている姿を見せなきゃ!ただでさえ頭がいっぱいなのに。」
レリアの話が出ると、嘘のように二人の瞳が揺れ始めた。
「あの子、君たちが殴り合いしたって知ったら、きっと悲しんで何日も泣くかもしれないよ?」
ロミオは考えただけで悲しそうに鼻と目元をぬぐいながら、冗談めかして言った。
ふざけているように見えたが、ロミオの言うことは正しかった。
オスカーとグリピスは昔はこのくらい仲が悪くなかった。
実際、以前まではそこまででもなかったのだ。
グリピスはうなりながら顎を押さえて考えた。
『でもどうせ気づかないだろう?』
顔についた傷跡くらいなら、自分の再生能力で治すことができるからだ。
グリピスはオスカーに腹は立ったが、自分がつけた傷は自分で治すべきだと思った。
きちんと治してあげたい気持ちはあった。
レリアのためなら、という話だ。
そのとき、ロミオが言った。
「でも、事前に約束したとおり、二人とも力を使わないって決めたよね?だったら、傷が自然治癒するのを待つのが公平だと思うよ。」
まるで何のたわごとか、というようにグリピスとオスカーはロミオを見つめた。
「二人とも顔の傷が治るまで、レリアの前に現れない方がいいよ。そうじゃなきゃ、レリアが君たちが喧嘩したってすぐに気づいちゃうから。」
「……は?」
「…………」
「はあ。拳を交えるほど暴力的な友達だなんて……隊長が君たちにどれほど失望することか。暴力的な男なんて誰も好きにならないよ。」
ロミオはなぜかしんみりと話したあと、もう部屋に戻るようにと二人を追い出した。







