政略結婚なのにどうして執着するのですか?

政略結婚なのにどうして執着するのですか?【87話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【政略結婚なのにどうして執着するのですか?】まとめ こんにちは、ピッコです。 「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。 ネタバ...

 




 

87話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • それぞれの戦場⑤

魔族軍を追撃したウィンターフェル侯爵が大敗し、辛うじて戻ってきたという知らせは、程なくして北部全域にまで広がることとなった。

知らせを伝えた者は慌ててこう言葉を付け足した。

「侯爵様は大きな怪我もなく無事だそうですので、どうかご安心ください、奥様。」

夫を心配して待っていた侯爵夫人がその場で倒れないよう、不幸な事態を防ぐための配慮だった。

ナディアは考えた。

『当然取り乱すだろう。最初から何も覚悟していなかったのだから。』

しかし、周囲の目が多い場所では本音を漏らすことはできないと心得ている彼女は、取り乱した様子を見せるふりをする必要があった。

家臣たちは崩れ落ちそうな奥様を支えながら見守った。

「いや、いくらフォロスを救うためとはいえ、どうして単独で……」

「なぜそんな無謀な行動をされたのですか?命が無事だったのは、まさに幸運そのものです!」

「奥様、領主様が戻られたら、ぜひはっきりとお言葉をお伝えください。今回は運よく生き延びられましたが、次回も同じように行く保証などどこにもないのですから……!」

ホールの中は一瞬のうちに家臣たちの悲痛な叫び声で満たされた。

その気持ちは理解できる。

もしグレンが誰とも相談せずにこのような行動に出たとしたら、彼女が誰よりも先に彼の命運を案じたことだろう。

『ごめんなさい。全部、私が命じたことなの。』

ざわつく周囲の雰囲気を収めるために、ナディアが口を開いた。

「後継者様はなんと無謀な行動をなさったのでしょう。」

「奥様がそうおっしゃるのであれば、あの方も納得されるでしょう……。」

「ですが、それは義ある行動です。」

「……。」

「王の忠臣であり、名誉ある騎士であれば当然行うべきことです。私はその方の無謀さを咎めるよりも、その誇り高き姿勢を称賛したいと思います。フォロスたちを救おうと奔走する唯一の方こそ、我らが領主様だということではありませんか。」

「……。」

興奮していた家臣たちの口がぴたりと閉じた瞬間だった。

最初は領主様の出陣の報せを全く知らなかったために興奮し、ざわめきが広がったが、夫人の言葉を聞くとその通りだと感じた。

『ベルラクサスの住民たちを見捨てるのは、騎士として相応しくない行動だ。』

『数多くの家臣たちの中で、後継者様を除いて誰一人としてフォロスたちを救おうと声を上げた者がいなかったというのか?』

考え直せば、むしろ誇りを感じるべき出来事だ。

単独で敵軍を追い詰めた行動が軽率だったと判断することはできる。

誰かはきっとグレンの未熟さを嘲笑するかもしれない。

だが、それ以上に多くの人々の心に刻まれるだろう。

全員が私利私欲の前でフォロスたちを救おうとせず、彼らを救うために無鉄砲にも駆け出したのが誰だったのか。

一瞬静まり返った場を見渡しながら、ナディアが再び口を開いた。

「一度勝つか負けるかはそんなに重要なことではないわ。一度の勝敗よりも大事なのは、揺るぎない信念を守ることよ。」

「……。」

「グレンは選択の岐路でより重要なものを選んだだけだわ。それに、グレンが戻ってきたらその無謀さを非難するのではなく、そんな方を主として迎えていることに誇りを持つべきね。」

数人の家臣たちは気まずそうに喉を鳴らした。

領主の深い意図を理解できず、憤りを見せたことに対して恥じ入る様子を見せた。

重苦しい空気を和らげるため、ナディアが手をぱんと叩いて言った。

「どうでもいいわ。もう戦争も終わったのだから。」

「我らの王国軍がよく防ぎきったおかげで、本当に幸いです。」

「だから私たちは、私たちがやるべきことに集中しなければならないのよ。」

彼女は身を起こして外へ向かった。

扉を開けると、穀物を積んだ台車が荷台から降ろされている様子が目に入った。

「慎重に、慎重に降ろして!」

「おっと、おっと? 滑り落ちるぞ!」

現在ナディアがいる場所は、領地の東側の外れにある、控えめな要塞だ。

険しい北東部に建てられた場所で農耕地も少なく、加えて賑わいからも遠く離れていた。

毎年春になると、祭りのような賑やかな雰囲気が訪れるのだが、今日ナディアがこんな遠くまで足を運んだのもそのためだ。

救援物資を届け、領地の民を慰問するために。

要塞の主としての役割を担っている騎士、ユクリッドがこう言った。

「奥様のご尽力のおかげで、今年は飢えで命を落とす者が出ないかもしれません。」

「出ないかもしれない、ではなく、出ないようにするのよ。」

「それは実に信頼のおけるお言葉です。奥様が仰ることは、これまで何一つ実現しなかったことがありませんでしたから。」

グレンが戻る前に倉庫の規模を2倍に拡大する予定だったと聞いている。

「穀物の一部は村人たちに供給して、残りはしっかり保管しておいて。私はその間に治療所へ行ってくるわ。」

「はい、侯爵夫人。」

丁寧に頭を下げると、彼女は患っている人々に薬を届けるために準備を始めた。

その時だった。

村の治療所へ向かおうとしていた彼女の進路を、誰かの切羽詰まった声が遮った。

「夫人!大変なことになりました!夫人!」

「え?」

後ろを振り返ると、赤い靴を履いた男が慌てて駆け込んでくるのが見えた。

『グレンが敗退したという知らせはすでに伝わっていたはずだが……。』

移動中に事故が起こることを懸念して伝令を二人送り出したはずだが、どうやらそのうちの一人が戻ってきたらしい。

「領主様に関する知らせなら、もう聞いたわ。」

「そ、それではありません! モンスターの群れが近づいています!」

「何ですって?!」

ナディアの声が高くなった。

「モンスターの群れがどうして急に……」

「ゲートが開いたようです。」

モンスターウェーブは、約5~7年周期で発生する自然災害である。

昨年、一度襲来したため、グレンが戻るまでは安全だと思っていたのだが。

『今回の戦争の影響?いや、今は原因なんて重要ではない。』

彼女が直面している問題は、生存と領地民の保護だった。

ナディアは動揺を抑え、冷静に質問を続けた。

「数はどれくらい?」

「およそ500体程度と推測されます。」

「500……。」

頭が痛む瞬間だった。

モンスター500体。

もし騎士団や精鋭兵がいるなら別だが、この頼りない城で500体にもなるモンスターの襲撃を耐え抜くのは到底不可能だった。

警備兵と村の男性全員を集めても、せいぜい100人にも満たないだろう。

『今さら逃げたとしてもモンスターたちを振り切るのは不可能だ。』

それなら、答えは一つしかなかった。

ナディアは体を振り返りながら叫んだ。

「ヴィンセント卿!」

「はい!」

彼は騎士たちの中で最も優れた騎士だ。

「城が完全に包囲される前にすぐに脱出してください。本城に向かい援軍を要請してください。」

ヴィンセントは短く答えると、ほとんど迷うことなくどこかへと駆け出した。

おそらく馬小屋に向かったのだろう。

彼が成功して援軍を呼び戻すまで、手持ちの力を絞り尽くして持ちこたえるしかない。

ナディアは本城までの距離を思い描きながら、唇をきつく噛みしめた。

『もし援軍が適切に到着しなかったら……いや、そんなことを考えるな。今は守備に集中しなければならない。』

少なくとも幸運な点といえば、丈夫に築かれた石壁があり、モンスターたちには効率的な攻城計画があるとも思えないことだった。

「ユークリッド卿、鐘を鳴らしてください。城壁の外にいる領民を全員城内に呼び入れ、城門をしっかり閉じてください。」

「はい。」

幸いなことに、救援物資を持ってきたおかげで食料と薬品は十分にあるのが救いだった。

ナディアは足を進めながら命令を続けていった。

「戦える男たちは別々に集めて武器を配ってください。」

「奥様、ここは本城ではありません。木の棒程度であれば、一人ずつ渡せるかもしれませんが……。」

「はぁ、思ったよりは良さそうですね。それなら急いで、農具でも壊れた道具でも集めてください。女性と子供たちには槍を作らせたり、油を煮る仕事をさせましょう。あ、あと、城壁の前に掘った穴に詰めるための石を集めてください!」

「防壁の石を崩してもよろしいでしょうか?」

外から物資を調達する時間がないため、壁の石でも利用するという意味だった。

ナディアは大きく頷いた。

まずは生き延びることが優先ではないか?

「許可します。武器として使えるものなら何でも、手当たり次第に利用してください。」

言葉を終えると、ナディアはすぐに城壁の上に駆け上がった。

自らの目で状況を確認するためだ。

城外にいた領民たちが混乱しながら走り寄ってくる様子が見えた。

そして、その彼方の地平線には、黒い煙が立ち上っているのが目に入った。

「……。」

胸がざわつくような光景。

ナディアは自分でも気づかぬうちに奥歯を噛みしめていた。

 



 

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