こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は172話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
172話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 遅い悟り
最初は形のない黒い霧だった。
しかし、砂風のように押し寄せてきて、一塊になったそれは、いつのまにか大きな黒い影に。
影の中で唯一色彩を持った血のような赤い色が微動だにせずニックスを凝視している。
果てしなく重い沈黙に、そのまま窒息しそうだった。
目の前に静かに隠れて立って、静かに自分を凝視する視線い自ずと身震いしてしまう。
ニックスは蜘蛛の巣にかかった虫にでもなったかのように指一本動かさず赤い目を見た。
ついに真っ黒な影の手が彼に向かって伸びてくる。
「はあ・・・!」
胸の真ん中にゾッとする痛みが入り込んだ瞬間、ニックスは深い息を吐き出して目を開けた。
彼は思わず心臓部を辿る。
しかし、そこには何の外傷もない。
いつも一定の脈動を維持していた彼の心臓が、今日に限って騒がしいほど大きくドキドキしているだけ。
「人形も悪夢を見るのね?」
ちょうどその時、静かな声が闇を切り裂きながら耳元を掠めた。
ニックスはその声を追って反射的に首を傾げる。
いつの間にか夜が更けたのか、真っ暗な部屋の中に薄暗い月明かりが漂っていた。
いつからか部屋の中に存在した誰かの体にも冷たい月明かりが降り注ぐ。
先ほどニックスに話しかけたのはロクサナだ。
パーティーでも楽しんできたのか、彼女は派手に装った姿をしている。
「悪夢?」
ついさっき聞いたことを思い出したニックスが思わず反問した。
「私が今夢を見たって?」
「それを私に聞くの?」
ロクサナが首を傾げると、彼女の耳にかかっていたイヤリングが月明かりを受けて輝いた。
そうするうちにふとニックスは今の状況がどこかおかしいという事実に気づく。
「ちょっと待て、ところでお前・・・」
なぜロクサナがここにいるのだろうか。
しかも、このように彼女と顔を合わせるのはペデリアンの地下監獄以来初めてだ。
その日以後、今彼が閉じ込められているここユグドラシルまで移動する間、ロクサナはずっと髪の毛一本見せなかった。
ところが彼女は今とても自然に自分の目の前に現れて話しかけている。
ふと、ニックスはペデリアンでロクサナが言った言葉を思い出し、今の状況に違和感を感じた。
「お前、私を騙したんだろ?」
今までは他のことに気を取られて考えられないことだった。
しかし、ロクサナの顔を見た瞬間、遅い悟りが頭の中を通り過ぎていく。
次の瞬間、ニックスの顔が紙のように皺くちゃに。
「ベルティウムに送ってくれるって言ったのに、話が違うじゃん!ここはユグドラシルだけど!それにベルティウムの人形術についての聴聞会の話って何?そもそもノエルが私を捨てたというのも嘘じゃないのか?」
ロクサナは目を見開くニックスを見て迷惑を感じた。
確かにユグドラシルの呪術陣に影響を受けているようで、前より元気もなく、話す度に息切れして見えたが、それでもまだ生気はあるようだ。
やはりベルティウムで先に攻撃してこなかったのが少し残念になった。
ついでにベルティウムの人体実験に対する辛辣な証言をニックスの口から聞くことができれば、今回のことを終えるのが早くなると考えたりもしたが、あくまで一次的な目的はニックスが主人に対する裏切りに悶え苦しむことそのもの。
ロクサナはこの人形に生きて感じられる絶望と苦痛を与えたかった。
ベルティウムでアシルの仮面をかぶったニックスの狡猾さに魅了され、躊躇した一瞬。
せいぜい1秒余りしかないその迷いの瞬間を、ロクサナはまだ到底許せなかった。
あの時だけは目の前にいたニックスを完全なアシルのように感じたので尚更に。
ロクサナは憤慨するニックスをじっと見つめ、小さく唇を開く。
「あなた、デオンに会ったんだって?」
その瞬間、ニックスの動きが止まった。
騒がしかった口もすぐに閉じられ、瞬きさえ固まったように消える。
彼はロクサナが返事なしに話を変えたという事実さえ気づいていないようだった。
「もしかして、その男もここにいるの?」
不吉な直感が背骨をよじ登ってくる。
ニックスは無意識のうちに緊張し、声を小さくした。
汗を流せない体であるにもかかわらず、ニックスは背筋に冷や汗が流れるような涼しい感覚を感じた。
「あなた、彼が誰なのか知ってるの?」
「この体の原住人を殺した人じゃないか」
ニックスは不安そうに辺りを見回して答える。
ロクサナはしばらく黙っていたが、すぐニックスに再び尋ねた。
「あなたが彼に会ったのはこれが初めてだったのに、どうしてそんなことが分かるの?デオンがあなたに言った?」
「いや、ただ・・・」
ニックスは当時感じた恐ろしい気持ちを思い出し、顔を歪める。
「見るや否や分かった」
改めて考えても実に乞食のような気分だった。
今もその男のことを考えると、全身の毛先が逆立つような感覚に。
ニックスは手を上げて鼻の甲を軽く触った。
その動きに沿って彼の体についた鎖から音がする。
そんなニックスの行動に、しばらくロクサナの目が止まった。
ふとニックスはデオンに会った夜、衝撃に喘いでいた自分の体に押し寄せてきた清涼感を思い出す。
シルビア・ペデリアンの手が届く間、信じられないほどの安穏さが全身に広がったことを思い出した。
それを思い出すと、今も徐々に心が落ち着き始める。
ロクサナが再び口を開いたのはその時。
「ここにいるわよ、あの男」
ニックスは小さな唇の間から吐き出された音にビクッとする。
「さっきまであなたの前に立っていたわ」
続いた言葉には心臓がドキドキする気分を感じなければならなかった。
しかし、すぐに彼は歯をむき出しにしてロクサナに吠える。
「嘘をつくな。また騙そうとしていることに私が気づかないとでも?」
「そうね、嘘かもしれないわ」
ロクサナは曖昧な言葉を残した後、席から立ち上がった。
「この部屋、ロック装置が全然良くないわ。手をつけただけで簡単に開くわ」
「・・・」
「だから、あの男も簡単に入ることができたのでしょうね」
「お前・・・!」
背中の後ろでニックスが怒って歯軋りする音を聞きながら、ロクサナは部屋を出ていく。
デオンはニックスに何もしなかったのですね。
それでも恐怖心を感じるニックス。
ロクサナとしては、これは計画の内に入っているのでしょうか?
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