こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は233話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
233話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 嵐の前触れ
静かに沈んだ空気の中に、騒然とした気流が霧のように広がる。
「彼ら」は流れに乗って移動する木の葉のようにその中で静かに動いていた。
南西側の境界を越えて野原を通り、ついにユグドラシルと遠く離れた魔物生息地に彼らの足が着いた。
キェッ!
散らばった魔物たちが自分たちの土地に侵入した侵入者を攻撃する。
だが「彼ら」はただそこを通り過ぎて行こうとしただけで、主人の命令を完遂すること以外には他の何にも関心がなかった。
しかし、目標のために妨害物を取り除くことは不可欠なこと。
手のあるべき場所にその代わり、鋭い金属が躊躇なく空中に引かれた。
キエーツ!
飛びかかっていた魔物たちの肉が割れ、森に血が撒かれる。
しばらくの乱闘の末、「彼ら」は肉の塊になった魔物の死体を踏んで再び前に進んだ。
しばらくして、森はまるで何事もなかったかのように静かに。
嵐の前夜のように静かに沈んだ空気だけが不吉に渦巻いていた。
夜が来る前にカシスは席から立ち上がった。
抱えていた腰から腕をほぐすと、触れ合った体がとても小さく動く。
白く露出した肩が寒そうに見えて、少し流れた彼のマントをまたしっかりと結んであげた。
ロクサナはしばらく眠っていた。
今ここが外ということも、また彼女の体がまだ完全に回復できなかったことも忘れて無理に行ってしまったので、このように疲れたのも当然だ。
しかし、カシスとしても仕方のないこと。
そこにはロクサナのせいもあった。
あんな愛しい言葉を聞いてしまったのに、どうしてこの胸いっぱいの気持ちを表現せずに耐えられるのか。
カシスは横になっているロクサナの顔をじっと見つめる。
以前、彼女は何でも好きなようにしろと言ったことがあった。
もし彼にしてほしいことがあれば、それが何であれ成し遂げるために努力するとも言った。
先日、デオン・アグリチェに言った言葉も虚勢や偽りではない。
彼は本当に今目の前にいる人と一緒に喜んで地獄の果てまで落ちることができた。
ロクサナが心からそれを望むなら。
カシスは小さく秘所した。
だから実は、彼には偉そうにデオン・アグリチェを非難する資格がない。
本当は自分もあまり変わらないかもしれない。
もしカシスがペデリアンでなかったら、彼もデオン・アグリチェと同じだったかもしれない。
カシスは手を伸ばして,乱れたロクサナの髪をゆっくりとあしらった。
頭の中を行き来する思いと同じくらい、丈夫で複雑な手つきで。
それから彼は指の間に巻きついた髪の毛を持ち上げ、そこに唇をつけた。
その後、視界に現れたロクサナの白い首筋と肩にも順にキスをする。
「うん・・・」
すると、ずっと閉じていたロクサナのまぶたがぶるぶる震え、すぐに徐々に持ち上がった。
「何だよ、また寝ちゃったみたいね」
「体調はどう?」
口クサナは、それが今他の人でもないあなたが水の音かというようにカシスを見た。
しかし、ゆっくり自分の体を点検してみると、意外とさっきより具合が悪くなかった。
自分が眠っている間にカシスが回復させたのは明らかだ。
「だいぶよくなったね。もっと遅くなる前にもう帰らないと」
ジェレミーは心配しているに違いないので,外で長時間過ごすことはできなかった。
「疲れたらもっと目をつけてもいいよ。寝ている間、私が部屋に連れて行ってあげる」
柔らかい手つきがまだ眠りの気運を完全に振り払うことができなかったロクサナの顔を掃いた。
少し酷かったが、ロクサナはそのまま席を立つ。
「いいえ。あなたのおかげで体調も良くなったから一緒に行きましょう」
ここが正確にどこなのかは分からないが、ユグドラシルまではそれでも距離が少しあるはずだが、そこまでカシスに抱かれるのは申し訳ないことだった。
もちろんこんなことを言うと、カシスは全く気にすることがないと言うでしょうが。
そうして二人は席を整理して一緒にユグドラシルに戻った。
昼間に何かあったかのように暗闇に包まれたユグドラシルは静かなまま。
もちろんジェレミーはロクサナを待っていた。
ロクサナは回復してすぐ戻ってきてよかったと思い、ずっと彼女のことを心配していたジェレミーをなだめる。
その後、ジェレミーはいっそう楽な顔で部屋に戻ったが、結局その夜ロクサナは眠れなかった。
彼女は深い闇の窓の外を夜の間沈んだ目で眺める。
デオン・アグリチェの視線は感じられなかった。
明らかにこれからはガストロの火災事件やさっきの魔物事件のように、ロクサナの前で彼の手が触れたことは起きないだろうという確信ができた。
ロクサナは目を長く閉じて開けた後、すぐカーテンを閉めて視界を完全に遮断する。
デオン・アグリチェは遠くから昇る夜明けの光を眺めた。
その静かな光景とは裏腹に、デオンの心は騒がしかった。
彼の頭の中には昨日の昼に見たロクサナの姿が酷く鮮明に刻まれていた。
まるで自分をあざ笑うかのように目の前を覆っていた赤い蝶の群れ。
その中でデオンに向かって鋭く突き刺さったロクサナのその感情のない冷たい目つき。
『デオン。もう私はあなたがいらない』
あの時、確かにロクサナは、先日赤いパラの間でデオンの心臓を容赦なくほじった時よりも残忍なやり方で彼をもう一度否定した。
その瞬間、デオンは彼の中にあった何かが無残なほど粉々に踏みにじられて壊れるような感じを受けた。
またもや胸の奥から乱暴な感情が込み上げてくる。
中で暴れる衝動は、今ではほとんど限界に逹していた。
『お前はラントが作り出した怪物だ』
『私はそんなあなたをひとく憎んで軽蔑する。』
呪いのように耳元に響く声に、デオンは静かにつぶやく。
「うるさい」
しかし、こだまする声は結局消えず、デオンのそばで粘り強く自分の存在を誇示した。
『デオン・アグリチェ。ロクサナはあなたを望んでいない』
まるで火に熱した焼きごてで刻んでおいた烙印のよう。
再び誰でも殺してしまいたい殺意がわき起こった。
このような感情を解消する方法をデオンは他に知らない。
それでもデオンがこのように罠に縛られた獣のように身動きが取れずにいるのは明らかに口クサナのためだった。
カシス・ペデリアンの言葉のように、これまでデオンに課された役割は何でも壊して台無しにすることであり、何かを守ることではなかった。
誰もデオン・アグリチェにそのようなことを要求したことはなかった。
徐々に晴れる夜のカーテンの向こうに、はるかな夜明けの光が広がるのが見える。
昨日、ロクサナがこれ見よがしにデオンのしたことを阻止し、正面から彼を押しのけた瞬間、今まで彼の足元をかろうじて支えていたしていた床ががらがらと崩れてしまうような気がした。
このままではシエラが望んだように、デオンはロクサナの望み通りに死ぬだろう。
彼女の犬として、最後まで徹底的にそっぽを向かれたまま一握りの関心も得られず、この上なく虚しく悲惨に。
それがまさにロクサーナが望むことだろう。
デオンはゆっくりと手を上げ、何もない襟元を掃く。
死にたくなければ抜け出すしかない。
しかし、何かに目が隠されたように、自ら抜け出す道を見つけることができなかった。
いざ視野にはこのように燦然とした光がいっぱいなのに、彼が立っているところは依然として暗くて真っ暗。
黒い影が剌さった赤い瞳が目の前の白い闇をしばらく眺めていた。
そして、デオンはその後間もなく、彼の足首をしつこくつかんでいた問題の解答を見つけることになる。
ユグドラシルに迫っている「彼ら」の正体は?
ある程度予想はつきますが・・・。
デオンもロクサナの呪縛から逃れるために苦労しているようです。