こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は251話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
251話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 事件後
事件が起きてから幾らかの時間が過ぎた。
ユグドラシルはいつ大勢の人でにぎわっていたかというように閑散としている。
恐ろしいことが起きた場所に誰も長く留まりたがらなかったためだ。
しかし、動きにくいほどの負傷を負った人々は、各自の家門に戻ることができず、やむを得ずその場に残るしかなかった。
他の所から急いで連れてきた医者たちが負傷した人々を治療する。
その他の負傷者の世話をするために残っているはずの一部の人々を除いては、みな震えながら後ろも振り向かずに血痕の多いユグドラシルを離れた。
ノエル・ベルティウムもユグドラシルに残った負傷者の一人。
特に、彼は身動きすらできないほどの深刻な負傷を負った人の一人だったため、当然、ユグドラシルの土地を離れることができなかった。
問題は人形たちが起こした虐殺劇の主犯であるノエルに猛烈な反感を持った人々がユグドラシルの中に多かったということだ。
それで事件が終わった後、最も大きな危険の前に露出された人は逆にノエルになった。
人々をユグドラシルから急いで追い出した理由の一つも、ノエル・ベルティウムに怒りながら立ち上がった人があまりにも多かったからだ。
それでもユグドラシルを脱出した人形たちを追いかけた追撃隊が死亡者なしに任務を全うして帰ってきたのが幸いだった。
負傷した人も一部いるが、その程度は微々たるもの。
もし再び死んだり大けがをする人が出てきたら、今度こそ人々は暴動でも起こしノエルを引きずり出して殺したかもしれない。
ノエル・ベルティウムがこのようなことを行った究極的な目標であるニックスも死んだことが確認された。
追跡者が発見したとき、彼はすでに息を切らし、魔物の間に埋もれていた。
しかも、肉体が深刻に毀損されていた。
特に顔の部分が酷く潰れていて分かりにくいほどだ。
だが、ニックスの跡がその場で完全に切れたうえに、近傍をいくら探しても他の人形は発見されなかったために結局それはニックスが正しいと結論付けられた。
ずっと意識が行ったり来たりしていて、ちょうど目が覚めたニックスの主人ノエルと生前彼の妹だったロクサナなど、ニックスの身体特徴をよく知っている人たちに順に確認した結果でもあった。
おそらく、ユグドラシルを離れて逃走中に突然集まった魔物の群れにやられたようだと人々は推測する。
それが約5日前のことだった。
「準備が終わりました」
「うん、すぐ行くよ」
使用人が退いた後、パンドラは背後にある建物を最後に一度見上げる。
彼女の表情はあまり明るくない。
パンドラはユグドラシルを去る予定だった。
彼女はフィペリオンに戻った他の家族とは違って、まだユグドラシルにいた。
ほかならぬオルカのためだ。
彼は事件当日気絶して以来ずっと気が気でなかった。
全身が高熱で沸くのとは逆に、口から漏れる息は氷のように冷たく、熱に苦しみ幻覚でも見るように時々うわごとを言ったりもした。
医者たちがオルカを見たが、一様に「原因が分からない」と首を横に振る。
彼らは中毒が疑わしいが、そうではない可能性もあるとし、曖昧な顔で首をかしげた。
彼らが知る限りでは、オルカのような症状を引き起こす毒が世の中にないということだ。
そして、彼らはもしかしたらただユグドラシル内で魔物を召喚し、それに加えてそれを強制的に逆召喚されることまでした余波で副作用が現れたのかもしれないという結論を下した。
フィペリオンの首長であるヒアキンも本当にオルカに完全に気を使わなかったのでパンドラも仕方がなかった。
そんな中、オルカが辛うじて気がついたのがまさに昨夜。
パンドラは従弟のオルカを心配して彼の部屋に立ち寄る。
「彼女。どこにいるの?ただではおかない・・・」
しかし、彼は気がつくとすぐ目をそらし、ロクサナに対する敵意を燃やした。
舌を怪我したせいで発音がめちゃくちゃだったが、オルカが何度も同じ言葉を繰り返したため、すぐにその意味を把握することができたのだ。
そのような彼を見て、パンドラは惨愉たる心情を感じなければならなかった。
「言いたいことはそれだけなの?あなた、今どんな状況なのか知ってる?」
それはオルカに対する失望と怒り、そして歯が立たないもどかしさを伴う複雑な感情だた。
何かに一度没頭し始めれば、周辺の他のことは全て忘れる習性のためか、彼は今自分がどんな境遇なのかも知らないようだ。
「ロクサナ・アグリチェ・・・今すぐ・・・」
オルカは依然としてロクサナだけを呼んで探した。
そのようなことを見ると、もしオルカがこのようになったのがロクサナのせいなのかと思ったが、もう一方ではただ彼女が自分の思い通りにならなかったことが悔しくてこうしているような気もした。
しかし、どちらにしても、そもそも最初に悪い意図でアプローチしたのはオルカではなかったのか?
ユグドラシルが修羅場になったそのような緊迫した状況で、魔物まで同行してロクサナを密かに訪ねたのは、どれだけ見ても怪しいとしか言いようがなかった。
その上、二人を発見した当時、ロクサナの体にはオルカの魔物のものと見られる植物の樹液も付いていた。
だから率直に言って、オルカがこのような格好になったのは自業自得だと言える。
それでも症状が尋常ではないようで心配したが、目を覚ますやいなやこのようにロクサナ・アグリチェを探すのを見ると、すぐに死ぬ状態ではないようだ。
パンドラはこれまでとは違って、やや冷たく変わった目つきでオルカを見ながら話した。
「お前が騒ぎに乗じて他の家門の女性を強制的に何とかしようとして捕まったという噂がユグドラシルの中に広がった。気がついたら、とりあえずそれから釈明したほうがいいだろう。誤解があればそうだと言って」
今、オルカが直面した最大の問題は、後継者の座を剥奪されたという事実。
だからひとまず恥辱的な汚名でも脱いで急な火から消して、後にでもヒアキンの心が再び変わることを願うのが最善だった。
それでもし誤解があったら解いて、誤解ではなく事実ならば・・・。
「あの女、殺してやる」
「あなたは本当に・・・」
しかし、オルカはパンドラの言葉が耳に入らないように、依然として独り言をつぶやくだけ。
そうするうちに彼は再び意識を失って気絶した。
パンドラはどうしてこのような状況になったのか分からず、複雑な気持ちで頭を抱える。
数日前、ヒアキンはこれから自分に後継者がいないことを公表し、彼が首長職から退くまでその席は空席になるだろうと話した。
その言葉を聞いて、フィペリオンの人々はユグドラシル内に静かに漂うオルカに対する噂がある程度事実であることに気づくしかなかった。
もともとオルカは家の外にいる時がもっと多く、フィペリオン内でも親交のある人が少ない。
ところが、さらに今回は魔物を使うことができたにもかかわらず、危険な状況で彼らを無視したうえに、かんばしくないことで首長であるヒアキンに捨てられたという烙印まで押された。
だからそんなオルカを綺麗に見る人がフィペリオンの中にいるはずがなかった。
それでもこれまで憎たらしいことがあってパンドラ一人でオルカの世話をしたが、彼女もやはり今回のことで彼に情が落ちたのは同じ。
そして今日、パンドラはオルカを連れてフィペリオンに戻るつもりだった。
その後もオルカは夢うつつに目を覚ます度にロクサナに対する敵意を表出したが、ベッドから起き上がることもできない状態で彼が何かをすることは最初から不可能だった。
「オルカは?」
「再び意識を失った状態です」
パンドラはオルカが乗っている馬車を見る。
彼女の顔がさっきよりも一回り暗かった。
「もうフィペリオンに帰られますか?」
そうするうちにふと背後から男の声が聞こえてきた。
その声の持ち主が誰なのかを悟り、パンドラはぎょっと肩を震わせる。
「黒の首長」
振り向くと視界に入ってくるのはまだユグドラシルに残っていた人の1人、ジェレミーだった。
「オルカ・フィペリオンも一緒に?」
「・・・はい」
彼はけなげな姿勢で近づいてきて、しばらく馬車の近くでのぞき込み、オルカが乗ったと推定されるドアをポンと蹴る。
(文句をつけに来たの?)
しかし、ジェレミーはそこで他のことをするのではなく、パンドラに目を向けた。
「まあ、他の用事ではありません。通りすがりに偶然に見えるので、気をつけてお帰りくださいと挨拶に来てみました」
「そうなんですね。感謝・・・」
「そして、中の人が目を覚ましたら、これから死ぬ日まで後頭部に気をつけろという言葉も伝えてください」
「・・・」
ジェレミーはパンドラが黙っているのを見て笑った。
もちろん、その笑いは本当の笑いではない。
パンドラもそれを知り、固い口元を無理やり持ち上げて躊躇いの末、彼女の唇が小さくなった。
「あの、アグリチェさんは・・・・」
「うちの姉さんのことを、そっちが気になることもないです」
しかし、彼女が口を開くとすぐに、ジェレミーは言葉を切り落とした。
どうやら彼はパンドラをオルカとひとくくりにして考えているようだった。
親睦会の間、フィペリオンとアグリチェの感情がお互いに良くなかったのは事実である上、また終盤にオルカのことまであったので、フィペリオンなら、学を修めるジェレミーの態度も理解できた。
しかし、パンドラとしては少し悔しい気持ちになるのも事実。
もちろん、ぺデリアンでロクサナがあったことや、昨冬にアグリチェに無断で侵入し、魔物の飼育場を探したのに続き、ジェレミーを攻撃するまでしたことが残ってはいたが。
「アグリチェとフィペリオンの関係に今は多少距離がありますが・・・」
急に良心が痛む感じで、パンドラは少し不快な気持ちで話を続けた。
「それでも今後必ず回復する機会ができると信じています」
ある意味、希望事項と同じだ。
ジェレミーはすぐにパンドラの言葉をうわごとのような目で見た。
彼は今も馬車のドアを開けて、オルカの髪をつかんで外に引っ張り出した後、棒になるように殴りたいという気持ちを我慢している。
おそらくロクサナの言葉がなかったら、オルカ・フィペリオンを自分の手で殺してしまっただろう。
ジェレミーはそのような衝動を抑えている自分を、心の中で自画自賛していた。
実際、ジェレミーもパンドラがロクサナに好意的だという事実を知っている。
オルカとロクサナのことは両家の暗黙的な同意の下でここでこれ以上ふくらまなかったが、むしろパンドラがさらにそわそわして面目ないということも分かった。
率直に言ってジェレミーは突然どこかから飛び出してきた女性がロクサナに親しいふりをして突きつけるのがあまり気に入らなかったのだ。
まあ、でも・・・。
先日、人形事態が起きて自分の身を守ることも難しかった時、ロクサナを心配して彼女を助けに行こうとしたのはそれほど悪い印象として残っていなかった。
もちろん、デブ鳥のことを言い逃れ続けるのはイライラしたが。
「ああ、まあ、あと500年後のことなら、分からないことですからね」
急にパンドラを相手にするのが面倒になり、ジェレミーは何も言わずに後ろを向いた。
パンドラはジェレミーの後ろの姿を少し残念な気持ちでちらっと見た。
すでに懇親会は終わっており、彼女がこれ以上ここにいる理由はない。
もともとパンドラも普段、オルカのように魔物の生息地を転々としながら生活していたので、今後もこのような集まりに参加することは極めて珍しいだろう。
その上、今の雰囲気から見て、今後またいつこのような場ができるか分からなかった。
最初からそれほど歓迎したことのない親睦会であるにもかかわらず、実際にこのようなやり方で終わると、なぜか心の片隅が心乱となった。
パンドラは慌しい気持ちを抑え、馬車に乗り込んだ。
まもなくパンドラとオルカが属する小規模の行列がユグドラシルから遠ざかった。
そしてパンドラは・・・。
今後、オルカとともに再び今のように並んでこの地を踏むことはないだろうという漠然とした予感がした。
ニックスも亡くなったのですね・・・。
オルカの未来は明るくないでしょうね。
誰も味方がいない中で、彼がロクサナに復讐するのは難しいでしょう。
パンドラは今後もロクサナとの交流を続けてほしいです。
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