こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は117話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
117話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 取引成立
どれくらい経ったのだろうか。
別館を離れる馬車の音まで消えた。
漆黒の闇が退いて夜が明ける。
もう待つことは無意味だと考えたエレナはソファから起きあがろうとした。
「座ってくれ。新鮮なものを持ってきた」
角の仮面の男が手招きすると、部屋の中に入ってきた女性が、袋を引きずって入ってくる。
男がしっかりと巻かれた紐を解いて、乾いた葉っぱを一握り握って差し出す。
「これがアヘンの原料であるピネチアの葉だ。確認してみろ」
ヒュレルバードが近づき葉を受け取ってきてエレナに渡す。
エレナは葉っぱを手のひらに乗せて、匂いを嗅いだ。
(酷いわね)
自然と眉間に皺が寄る。
植物の香りとは信じられないほどの悪臭がしたから。
「精製する理由の一つがその匂いだ。それでも、幻覚性と中毒性は疑う余地がないがな」
「思ったよりも大きいのですね」
エレナの言葉に、男は肩をすくめる。
「仕方がない、精製過程を経ていないからな。さて、お互いに忙しいのだから精査しようか?」
男は黄色い歯を見せて貪欲に目を輝かせた。
彼の視線は金塊の入った鞄に向けられている。
「どうも、そちらの勘定と私の考えが大分違うようですね」
「・・・どういうことだ?」
男の目が冷たくなった。
エレナの言葉に込められたニュアンスが微妙だったから。
「何か勘違いされているような気がするのです。決められたアヘンの物量に合わせられなかったのは、そちらだと思うのですが?」
「だから葉に変えたんじゃないか?」
「代替しなければなりません。ですが、この大きさだと密輸が難しい。王国の通関が少し厳しいのですよ」
男が殺意を込めて睨んでくる。
「前後を省いて本論だけを話せ」
「アヘン3kg、残りは葉で、ちょうどこの価格ぐらいです」
エレナの提示した価格は最初に持ってきた鞄に入っている金貨。
後から持ってきた金塊は、最初から葉の購入に使うつもりがなかったのだ。
アヘン流通の背後が明らかになった以上、葉の購入に入ったこの金塊も大公家に流れる可能性が濃厚。
エレナはそれを受け入れる気がなかった。
ちょうど金貨まで。
最悪の場合を考慮して、男と接点を残しておくのは、その程度が適当だったのだ。
「ふざけるな!?さっきまで全部買うと話していたじゃないか!」
男は神経質に叫びながら、手に握っていたガラス瓶を壁に投げつける。
神経質な脅迫にもかかわらず、エレナは冷静に切り返す。
「これほど大きいとは思っていませんでしたから。そちらにも事情があるように、私たちもやむを得ない事情があるのです」
「また来るのが大変なことか?それなら圧縮して密封すればいい!」
「はっきり言いましたよね、必要な分だけ買うと。これ以上の強要は不快ですね」
「こ、この・・・!」
エレナの断固とした態度に腹を立てて、男は歯軋りする。
実際は、金貨だけでも事前に取引することにしたアヘン10kgの値打ちは十分だった。
物量に合わせることができなかったことを考えれば、十分に成功した取引と見ても問題はない。
にもかかわらず、男が怒る理由は貪欲のため。
彼は葉をもたらす手間を甘んじて受け入れるほどに金塊を欲していた。
取引の成功後についてくる追加報酬や、密かに金塊の一部を横領して得られる収益に目が眩んだのだ。
「お決めください、取引するかしないか。私には時間がありませんので」
「ぐ、ぐぅ・・・」
男は最後まで貪欲を捨てることができなかった。
どうせなら、目の前の二人を制して、金貨と金塊を奪取しようかという気さえも。
男は側近の女性を見つめる。
しかし、男の意図に気づいた女性が首を横に振る。
(余計なことをしないでください。私たち二人とも殺されます)
彼女もチャンスは狙っていた。
しかし、虎視眈々と彼らを殺す機会を狙っていたが見つからなかったのだ。
偶然にもヒュレルバードと目が合うと、猛獣に立ち向かったように男の体が痺れる。
隠れている暗殺者が力を合わせても、制圧する自信はなかった。
「・・・取引しよう」
「いい考えです」
エレナは金貨の入った鞄を男に渡す。
「あまり寂しがらないでください。今日の取引で次という余地を残したのですから」
呟くように投げたエレナの言葉に、男が顔を上げる。
「その言葉は、また取引を?」
「また会いましょう」
エレナは余韻を残してソファから立ち上がった。
舞踏会場を出ると、貴族たちの馬車はほとんど見えない。
馬車に乗り込んだエレナは、人通りの少ない郊外に行くように馬夫に知らせた。
目的地に到着すると、エレナとヒュレルバードは馬車から降りる。
「卿、マンホールの蓋を開けてください」
ヒュレルバードは訳も分からないまま、言われるがままに下水道のマンホールを開けた。
「中のものを、全部出してください」
エレナの意図に気づいたヒュレルバードは、すべてのアヘンを下水口に捨てる。
「・・・」
アヘンと葉を処分しながらも、金貨への惜しさは感じなかった。
支払った金貨は相当なものだったが、より大きな打撃を与えるための投資程度に思えたから。
「帰りましょう」
「はい」
エレナは何の未練もなく馬車に乗り込んだ。
シアンの作戦が成功したのか気になりますね!
それでもアヘンを大量に処分できたことは大きいです。
アヘンを求める貴族たちへ渡すことが難しくなったのですから。
シアンの作戦が成功していれば、大公家への打撃はさらに大きくなるのでは?
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