こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は213話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
213話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 悪縁も縁もある
食事が終わると、メイは後片付けをして退出した。
エレナが懐中時計を確認すると、約束まで残り5時間・
「お茶くれない?」
「今差し上げようとしていたのですが?」
エレナはレンの厚かましい要求に応えて立ち上がる。
メイに知らせて用意しておいたポットに湯を沸かし茶葉に注いで淹れた。
レンはそんなエレナから目を離すことが出来なかった。
目つきから手振り一つまで。
自分だけのためにお茶を淹れる彼女の姿を長く大切にしたかったのだ。
「どうぞ」
エレナは澄んだ奥ゆかしいお茶をレンに差し出す。
グラスを持ったレンはゆっくりとお茶を飲んだ。
味もよく分からないし、楽しむこともできなかったが、それさえも良かった。
「もっと差し上げましょうか?」
「ちょうだい」
エレナは空のティーカップにお茶を注ぐ。
「これから何をしましょうか?」
「やることもないんだけど?」
レンはソファに横になるように寄りかかった。
この上なく楽な姿勢を取ってエレナをじっと見つめる。
「何でしょうか?」
エレナが顰めっ面になる。
その時間が長くなるにつれて彼女は気になり負担になった。
「もう見ないでくださいますか?」
「なんで?」
「負担になりますので」
その言葉にレンはニヤリと笑う。
「嫌だけど」
「・・・」
「君は自分のやるべきことをすればいい。私は自分のやるべきことをするから」
願いだからといって聞いてあげたが、レンの望みはあまりにも気さくだ。
(本当にこれが望みだったのですか?元々こういう性格じゃなかったと思うけど?)
エレナはレンをじっと見る。
目の前のレンはあえて何とも定義しにくかった。
過去のような人であることは明らかだが、自分に対する態度が明確に違う。
「後で後悔しないでくださいね。私がやりたいことをすればいいと言ったのですから、本当にそうだと思いますね」
「は」
エレナは本棚から分厚い本を取って座った。
<哲学の歴史>という書籍だ。
チラッとタイトルを見たレンがニヤリと笑う。
「哲学いいね」
「先輩も一冊差し上げましょうか?」
「いいや、君を見てる」
エレナはそうだと思ったかのように本に目を向けた。
時代をかけて哲学がどのような観点で発展してきたかが述べられている。
ぎっしり詰まった活字ほど退屈な話はないが、一度没頭するとエレナは本の中に落ちた。
啓蒙思想が台頭する現帝国の時期と比べてみると、さらに興味深い。
「ふう」
集中して読んでいたエレナが本を閉じる。
一つの姿勢で長時間本を読んでいると肩が凝ったからだ。
「あれ?」
肩を触りながら伸びをしていたエレナは、違和感が消えたことを感じて前を見た。
さっきと同じようにソファに横になるように座っているレンの姿。
「・・・寝たのね」
静かな静寂のせいか、眠りについたレンの息づかいが聞こえる。
それをじっと見ていたエレナは静かにソファから立ち上がり、そっと暖炉のそばに歩いて毛布を取り出した。
「まるで赤ん坊のように寝るのね」
注意深く毛布をかけたエレナは、眠っていたレンから目を離すことができなかった。
誰がこの男を帝国最高の暴れん坊として知っているだろうか。
こんなに穏やかな顔をして、ゆりかごの中の赤ちゃんのように眠っているなんて。
「この人はこんな顔をしているんだ」
前世の悪縁から、現世の縁まで少なからぬ時間を見てきたにもかかわらず、その顔を詳しく見たのは今日が初めてだった。
一つ一つ見ると本当にハンサムだ。
伸びた眉と小鼻、額に流れ落ちる癖毛とこの上なく似合うアゴのライン。
自由奔放に見えるシャツの下かたチラッと見える肌は、何か異質で妙によく似合っていた。
人生というのは本当に分からない。
他の人でもなく、レンとこのような関係になると予想できただろうか?
悪縁も縁もあるという言葉が本当に胸に響いた。
酷かった過去を考えると、このように一つの空間で食事をして、自分が立ち上がって毛布をかけること自体が話にならなかったから。
「おい」
「・・・寝てないのですか?」
「近すぎる」
ギュッと閉じていたレンの唇の間から掠れた声が流れる。
その時になってようやく息が聞こえるくらいに、お互いが近くにいることを自覚したエレナが後退りした。
驚いた上に切羽詰まったせいか、つい足首を挫いてしまう。
「え?あ!」
全身に力を入れて転ばないように努力したが無駄だった。
バランスを崩した体がみっともなく転倒しようとした瞬間、レンは腕を伸ばしてエレナの手首を掴んだ。
とても迅速で早かったけど痛くないように、手の温もりが伝わるほど優しく。
その一方でエレナを引っ張る力には逆らえない迫力が載っていた。
「あっ!」
エレナが短い悲鳴を上げたとき、バランスを崩していた彼女の体は安定を取り戻す。
よりによってレンの膝の上で。
レンの腕を支えに抱かれるように。
ここにきてエレナとレンの関係が急速に縮まったような気がします!
前世の悪縁がありますのでエレナは警戒していますが、少しずつレンを信用していく過程がいいですね。
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