こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は261話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
261話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 開場③
「気を使うべきだったのに、私の不注意が彼の幸せを奪ってしまいました」
エレナは目をギュッと閉じた。
最悪を予想したと言いながら、大公家が内部の人間に接近するとは思っていなかったのだ。
ショーンがこのようなことを経験したのは、自分の完全な安易な対処で間違いない。
しかし、今になっては取り返しのつかないことで、エレナは自分にできる最善の措置を取った。
「奥さんの遺体はガイア教団に祀り、盛大に葬儀を行うと伝えてください。ショーンが望むなら娘と定着する資金も渡すように。放火もなかったことにしてくれると言ってください」
エレナをじっと見つめているメルの目つきが深まる。
息が詰まるほどの孤高さと優雅な外面に劣らず、彼女の性格も慈悲深かった。
(公子が惚れるほどの理由があったのですね)
普通の貴族なら、ショーンの事情を察するより放火したことを追求するだろう。
しかしエレナはサロンに大きな被害を与えたショーンを庇って心配していた。
そもそも器が違っていたのだ。
(必ず起きてください、公子様。寝続けて、こんな方を逃したら一生地面を叩いて後悔するでしょう)
メルが眠っているレンから視線を離し、エレナの方を見る。
「これを言うべきかどうか。ですが、知っていた方がいいかと思います」
「何ですか?」
「スペンサー子爵が大公家に召喚されました」
「スペンサー子爵が連れていかれた?なぜですか?」
「私も疑問です。今も大公家に監禁されています」
全てのことには原因があり、結果が伴うもの。
スペンサー子爵が太鼓受けに呼ばれたのにはそれだけの理由があると推測したが、知る術がさっぱりなかった。
(理由はなんだろう?)
エレナはこの件を軽く見過ごさなかった。
(もしかして、レンと私の関係のせいで?)
レンはエレナを守るために犠牲になった。
もし彼らがレンが身を投げてエレナを守る場面を目撃したとすれば、そのような事実に疑いを抱いた可能性が高い。
誰が見てもエレナとレンの仲が親しく見えたはずだから。
大公家の立場では、レンまで一本束なら、いかなる形であれ制裁が必要だと感じたのだろう。
「今バスタージュ家の家主職は空席です。私が急な処理は引き受けていますが、それさえも限界です。レン公子はまだ意識がなく、このままでは家門が瓦解するかもしれません」
「スペンサー子爵は、他に何もおっしゃいませんでしたか?」
「家主は、レン公子が何らかの理由で席を外したことだけを知っています。公子が家門に戻るまで待てという言葉だけを残して大公家に行かれました」
エレナは眉を顰めた。
どこかモヤモヤする。
何かを見逃している気持ちが強くなったが、それが何なのか分からない。
(一つ引っかかることはあるんだけど・・・)
単純推定だけで接近しようとするには、まだ情況や情報があまりにも足りなかった。
「メルさんにしていただきたいことがあります」
「何でも気楽に仰ってください。Lの言葉は私にとって公子の言葉と同じですから」
エレナはチラッとレンを見て決心する。
「レンが死んだと首都に噂を立ててください」
「い、今なんとおっしゃいましたか?」
メルが固い表情で問い返した。
エレナの頼みは、彼の常識を遥かに越えるほど破格的だった野田。
「確認したいことがあるからです。スペンサー子爵を大公家に呼んで監禁した理由。それでフランツェ大公が狙う計略が何なのか分かると思います」
「しかし、レン公子が死んだという事実が知られれば、家門が混乱に陥るでしょう」
スペンサー子爵とレンの不在が長くなり、家の中で様々な言葉が出ている。
そんな中、レンが死んだという噂まで出回ると、家門は手の施しようもないほど混乱するだろう。
しかし、今としては大公家の意図を把握するのが先だった。
そうしてこそ、次に対処できるから。
「そんなに長い時間はかからないと思います。家門は混乱するかもしれませんが・・・、危険を甘受してまで確認しなければならないほど不安だからです」
「そこまで・・・。失礼ですが、何を懸念しているのかお聞きしてもよろしいですか?」
話すべきかどうか葛藤していたエレナが慎重に話し始める。
「フランツェ大公がバスタージュ家を狙っているようです」
感情を制御するよう幼い頃から教育を受けてきたメルだったが、この瞬間は震える瞳を隠すことができなかった。
「ほ、本当ですか?」
「まだ推測に過ぎません。しかし、レンが私を守ろうとして矢を打たれたのを目撃したという前提なら、可能性は排除できません」
エレナの瞳が沈む。
理性で埋められた瞳には感性が入り込む隙間などなかった。
「帝国の貴族法7項。直系血族が全員災いしたり、相続人がいない場合・・・」
メルは緊張した顔で唾を飲み込んだ。
「従兄弟ないしは6村まで拡大し、家門を継ぐようにする」
「・・・」
メルは言葉を続けることができなかった。
百年条約を結んで独立してどれくらい経ったとしても、再び大公家がバスタージュ家を飲み込む野心を示すとは想像もできなかったのだ。
「あくまで推測です。だから確認が必要なんです」
フランツェ大公は恐ろしい男だ。
なかなか前面に出てこないのでエレナも相手にしたことはないが、軽く見られない男だということは誰よりも知っている。
(世界で一番危険な男)
もしかしたら、彼が動くかもしれないという気が本能的にした。
「公子が死んだと噂を立てるのも・・・」
「大公家がどう出るのか反応を見ようと思うのです。そうしてこそ備えることができますから」
話を終えたエレナの視線がレンに留まる。
氷のように冷たかった目つきがしばらく溶けたように見えたが、すぐに再び凍りついた。
「もし、本当に飲み込む計画なら・・・、バスタージュ家は私が守ります」
ベロニカとの対決もありますが、一番の強敵はフランツェ大公ですよね。
エレナの推測通り、大公がバスタージュ家を狙っているとしたら・・・。