こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は263話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
263話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side ベロニカ
今日、ノブレス通りが早期開場した。
フェンスを取り外すと大理石の建物が密集した通りが人々の目を引く。
ゴシック様式とバロック様式が適切に混ざった建築物は雄大ではなかったが、洗練された感じを漂わせている。
貴族的な印象を与える街というか。
開場時間に合わせて数百人以上の貴族たちがノブレス通りを訪れる。
足の踏み場もなく押し寄せるため、一部だけが開場した通りを覆ってしまうほどだ。
「あの貴族たちを見てください、公女殿下。期待以上です」
中央噴水台を中心としたノブレス通りのフォーラムで、ベロニカとアセラスが集まる貴族たちを観望していた。
サロンの名声が高まり、カーテンに隠されたバシリカの威容があまりにも優れているため、貴族たちがそちらに近づいたらどうしようかと内心心配していた。
ところがこれはどういうことか?
蓋を開けてみたら首都の貴族だけでなく、他国から観光に来た貴族たちも最初の訪問地としてノブレス通りを訪れるではないか。
「大げさに言わないでください。当然の結果なのですから」
「そ、そうですね」
アセラスはぎこちなく微笑み、後頭部を掻く。
「大公家の印章が押された招待状を配ったのです。根本のないLが建てたサロンとは比較になりません」
言葉をつなぐベロニカの表情と目つき、声には大公家に対する自負心が滲み出ていた。
「公女殿下の仰るとおりです。これは全て大公家の権勢を示す部分ではないでしょうか」
アセラスは相槌を打ち続け、ベロニカの機嫌をとった。
しかし、彼の本音は違う。
成功したように見える開場行事だが、その裏には依然として不安が潜んでいる。
今は大公家の印章が押された招待状を受け取った貴族たちが、期待感に逆らえない権威に押されて来ているが、今後もそうなるという保障はなかった。
その不安感を間接的に見せる場面が消費だ。
ベロニカはまだ気づいていないが、アセラスの目にはハッキリと見えている。
(貴族たちがお金を使っていない)
ブティックやショップ、商店を出入りする貴族たちの手には何も握られていない。
少なからぬ時間を見て回ったにもかかわらず、購買に繋がらなかったのは貴族たちの消費欲求を刺激できなかったという意味だ。
言い換えれば、目につく物を備えていないという話でもある。
(おかしくなりそうだ。予想はしていたが、はるかに深刻な水準だ)
時代の巨匠や、職人たちのほとんどはLが建てたバシリカに入店した。
そのため、ノブレス通りに入店した職人や芸術家たちの店は、それよりレベルが1、2段階下がった。
このような格差は売上の下落に繋がる可能性が高く、その結果、ノブレス通りで発注した収益の一部を手に入れることができる大公家としては大打撃に他ならない。
「お父様は何をしているの?こんな日には顔でも出してくれればいいのに」
「大公殿下がお越しになって祝辞でもしていただければ、遥かに格好が良くなったと思うのですが」
父娘の間柄であるにもかかわらず、ベロニカは最近、フランツェ大公の気持ちをまったく読むことができなかった。
サロンの放火失敗後、ベロニカの行動に制約をかけ、本人はぼーっとしている。
邸宅内でもフランツェ大公の姿を見るのが難しいほどだ。
ベロニカは怒りを堪える。
じっとしていても、いきなりLが思い浮かんで殺したいという欲望を感じた。
それを阻止しただけでは足りず、ノブレス通りを見にこないフランツェ大公が恨めしくなる。
(全部気に入らない)
ベロニカは煮え切らないお腹を押さえた。
死にかけている微物の悲鳴を聞いてもスッキリしない。
地下牢に閉じ込めている囚人たちを虐待する楽しみも薄れていた。
皮膚からポタポタと落ちる血も、彼女の食欲をそそることができない。
「L」
ベロニカはエレナの名前を噛みしめた。
全てがエレナのせいだった。
どれだけ気分を出そうとしても出ない。
「私が準備をするように言ったものはどうなりましたか?」
「用意しておきましたが、これをどこで使うつもりですか?」
アセラスは注意深く聞き返した。
一応準備はしたが、あまりにも怪奇で猟奇的な行為なので気になっていたのだ。
「プレゼントであげようと思って」
「あ、あれをですか?誰に?・・・まさか?」
何か思い当たることがあるのか、アセラスの瞳が揺れる。
「誰だと思いますか?当然Lです。私の面子もありますし、どうせお祝いするならと思って」
ニッコリ笑うベロニカを見て、アセラスは唾をごくりと飲み込んだ。
ベロニカの非常識で猟奇的な行為はよく知っていたが、それは大公家内に限られていた。
ところが今、彼女はその一線を越えようとしている。
フランツェ大公が静かなのが気になりますね。
ベロニカが贈ろうとしているプレゼントとは?
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