こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は264話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
264話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side シアン
皇帝リチャードとシアンが後園で向かい合って話をしていた。
「お体の調子はいかがですか?」
「持ち堪えるに値する」
リチャードは自信を持って話したが、シアンの目つきから憂慮は収まらない。
最近グッと咳が増え、健康が悪化したという話に心配が先だった。
「皇居近衛隊の改革は、ほぼ最終段階だって?」
「はい、最後の時期を調整中です」
シアンが自信をのぞかせる。
残っているのは奇襲的に腐ってしまった旧皇居近衛隊を解散させ、新しく改編した皇居近衛隊をその代わりにすること。
「時が熟したね。そろそろ私も動かないと」
「父さんが?」
シアンは目を丸くしてリチャード皇帝を見た。
「4大家門や大公家が黙っていないだろう。まだまだ先は長いのに、敢えて彼らと敵対する必要があるのか?」
「父さん・・・」
「皇居近衛隊の改革は、私が主体となって行ったことだ。統率権は君に与えるが、後始末は私が抱いていく」
リチャードは次の王位を継ぐシアンに少しの傷も残したくなかった。
そのため皇居近衛隊の改革による貴族の不満も本人が甘受するつもりなのだ。
(見過ごすことはないだろう)
皇居近衛隊は皇室の力を象徴する武力集団。
皇権強化を快く思わない貴族としては、反発が激しくならざるを得ない。
「中途半端な人たちは無視すればいい」
リチャードが心配しているのはフランツェ大公だった。
4大家門の家主たちも無視できない存在だが、4つを合わせてもフランツェ大公の比ではない。
彼の助けて皇位に上がったリチャードであるため、大公の真骨頂を誰よりもよく見抜いているのだ。
「いいえ、私が引き受けます」
丁寧だが、固い気持ちが感じられる息子の顔を見るリチャードの表情に微笑ましさが漂う。
「やめろ。皇帝になるのに、歴史書に相応しくない一行は書かれるべきではない。譲歩するんだ」
「父さん」
シアンはそんな父親を見た。
リチャードはいつもと違って超然とした姿を見せている。
全てを背負おうとするかのように。
それは死を覚悟した者だけが見せることができる超越感だった。
「そのLという子。ゲホッ、ゲホッ!」
話題を変えて話を続けていたリチャードが咳き込んだ。
「勲章を下そうと思うが、どうだろうか?帝国に貢献したことも大きいし、文化勲章がいいと思うのだが」
文化勲章。
帝国の文化発展に大きく寄与した功労を表彰しようと皇室が授与する記章だった。
過去の帝国の表彰事例を振り返ってみると、皇居を建築した建築士フェリスと、国家を作曲した皇室楽師クロムが受けた前例がある。
一様に帝国の建国に合わせて魂を吹き込んだ人材だ。
「私は大丈夫ですが、この事で彼女が貴族の目の前に出るのではないかと心配です」
シアンは慎重だった。
エレナに爵位を授けて間もない。
それに勲章まで下されば、貴族たちに憎まれることだろう。
「そうだろうね」
「もしかして、Lに会いたくて勲章を下賜するのではないでしょう?」
「私の息子だが、騙すことはできないね」
リチャードは素直に認め、優秀な目でシアンと視線を合わせた。
「あの子に言いたいことがあるんだ」
「私を通さずにですか?」
「うん」
シアンの眼差しが深まる。
今まで一度もこのような姿を見せたことがなかったリチャードだったため、見慣れない姿だった。
「私にも言えないことでしょうか?」
「そんなことはないが、君が同意しないだろう。だからこそ、彼女に伝えたいんだ」
(一体どういう意味だ・・・)
シアンは父親の心の中を読むことができなかった。
また、何を言おうとしているのか、それがエレナの負担にならないのか心配も先んじる。
「君が心配することはないだろう。ただ頼み事をしようとしているだけだ」
「では一つだけ約束してください」
「言ってみなさい」
「その頼みでLが痛んだり、傷ついたりすることはありますか?」
シアンの目つきはいつにも増して真剣だ。
風波にも決して揺れないような慎重さの中には、ひたすら一人に向けられた心が込められている。
(それほどなのか?)
リチャードは、いつもシアンに申し訳なかった。
無能な父親のために、見せかけだけの皇太子という義務と責任感に押されて、幸せさえ知らない息子が気の毒だった。
そのシアンが変わったのだ。
エレナのことを話す時は、全く別人のように生き生きとしている。
本当に稀ではあるが、微かな笑みまで浮かべるほど。
「そういうこともある」
「・・・」
「だが、みんなのためのことだ。そして、あの子は断らないだろう」
得るものがあれば失うものがある。
世の中を生きていくと犠牲が必要だということをリチャードは知っていた。
国王としての能力は低いかもしれませんが、父親としてのリチャードは素晴らしいですね。
彼がエレナに頼もうとしていることとは?
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