こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は277話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
277話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 皇帝との謁見②
エレナは頭を下げたまま、シアンに沿って王座まで歩く。
皇帝の許可があるまで頭を上げないのが皇居礼法だからだ。
皇座に上がる階段の前に着くと、シアンが横に退いてエレナを紹介する。
「陛下、Lを連れてきました」
エレナは待っていたかのように優雅な作法で挨拶をした。
「帝国の孤高の星、皇帝陛下にご挨拶申し上げます」
「顔を上げなさい」
リチャード皇帝の言葉にエレナはうつむいていた頭をゆっくりと持ち上げた。
速くも遅くもない速さで、その一方で体の線とバランスが崩れないように。
リチャード皇帝はエレナの礼儀作法から目を離すことができなかった。
彼が今まで見てきたどのような礼儀作法よりも、高潔で素晴らしかった。
頭を上げてエレナの顔を見た皇帝リチャードは感嘆する。
年を取ると人を見る目ができるものだ。
絶対的ではないが、歳月が積み重ねてきた年齢とは、時々無視できない霊験あらたかさを発揮することもある。
(この子は・・・)
何十年も前、リチャード皇帝はある男に出会い、驚愕し、絶望した。
まさに時代を変えた男、フランチェ大公だ。
一介の皇族に過ぎなかったリチャードを皇帝の座に座らせながらも、倦怠していた彼の姿がまだ鮮明だった。
世を治めるだけでは足りず、帝国を足下に置いて君臨した。
逆らえない権威、傲慢さは、王位に就いたばかりのリチャードの意志を破って絶望させるほとすごかった。
理由は分からないが、エレナを見ていると、若き日のフランチェ大公が思い浮かぶ。
(信じられない。彼と似ているのに、こんなに違うなんて)
似ているようで、二人は違った。
エレナの目に宿る聡明さは、闇まで光で照らすほどだ。
暖かくて柔らかくて世の中を包み込む度量を持っているというのが一目で見えた。
にもかかわらず、この二つを同じ線上に置く理由は、時代を左右する巨人の品格を持っていたからだ
(これもまた時代が変わろうとする兆しなのか?)
断言するが、エレナは消えつつある帝国というロウソクを生かせる子だ。
鉄壁のようだった大公家の城壁を崩し、大公家の首筋に刃を突きつけた。
どんな叙事よりも劇的であり、とんでもない行動がその証拠。
リチャード皇帝の口の中が乾く。
彼は生涯フランチェ大公の陰で暮らしてきた。
越えられない壁だと思ったし敢えて越える考えさえ持てなかった。
ところが、この子は違う。
弱々しく情けない自分の若き日を反省させた。
「私たちの太子がお世話になっているそうだ」
「お世話なんて、とんでもないです。皇太子殿下にはいつも助けられる立場です」
「はは、謙虚でさえあるね」
エレナを見下ろす皇帝リチャードの目つきが暖かくなった。
一言を言っても殊勝で情がわく子だ。
「サロンについて間いた。他国の貴族たちも少なからず訪れるんだって?」
「はい、陛下。文化交流のレベルで最近訪問回数が増える傾向にあります」
シアンが言葉を加える。
「数十年ぶりに首都の景気が好況期を迎えました。サロンとバシリカがオープンした後、萎縮していた消費心理が溶けたと思われます」
「そうなのか?」
「その他にもLは教育事業にも先頭に立っています。首都だけで3校の学校を開き、平民層を対象に無償教育を実施しています。そして・・・」
シアンは息をつく暇もなく彼女の業績を褒め称える。
一つや二つはあり得るが、八つ当たりのように自慢し続けると、かえってエレナが恥ずかしいほどだ。
(どうしたんだろう?もうやめてもいいのですが・・・)
彼女の前で一度も見せたことのない言動なので、エレナをさらに当惑させた。
「ほうほう、太子の志は十分にわかるものだ。して、その功を称えるために設けられた席ではなかったのか」
リチャード皇帝が出てから、シアンも気が済まなかったのか、納得し、後口を飲み込んだ。
そうしながらエレナを眺めていると、これ以上自慢することができず、残念がる気配が感じられた。
「帝国の発展にこれほど貢献したのだから、見過ごすわけにはいかない。もしかして望むことでもあるのか?あるなら何でも加減なく言ってみなさい」
「ございません」
「本当に望むものはないのか?」
「はい、陛下が賜った爵位と表彰だけで十分です」
エレナはリチャード皇帝の機嫌を損ねないように慎重に断る。
過去の人生で受けた過分な温情、温かい一言で十分だった。
「欲のない子だ。内々に誠意を見せるようにする。これは受け取ってほしいんだ」
「誠意というから・・・、ありがたくいただきます、陛下」
エレナは、誠意さえ断るのは礼儀ではないと考え、喜んでそうすると言った。
「太子」
「はい、陛下」
シアンはリチャード皇帝の呼び声に頭を下げた」
「自分で皇室の報告に備えておくようにと言ったのだから、太子が持ってくるようにしなさい」
「直接ですか?」
シアンが少し驚いて問い返した。
普通、こういう仕事は目下の人にやらせるものだが、手ぶらで通って来いという言葉が怪しく思われた。
「皇室の貴重な物だから、太子が持ってこなければならない」
「・・・分かりました」
シアンはエレナをちらりと見る。
彼には血が混じった父親だが、エレナに皇帝リチャードは難しくて不便な人かもしれないので、二人にしておくのが気にかかった。
そのようなシアンの気持ちを知っているのか、エレナは微笑んだ。
自分は大丈夫だから行っていう意味で。
ようやく安心したシアンが御前に出た。
エレナとフランツェ大公が同格・・・。
性格は全く違いますが、二人とも並大抵の人物ではないようです。
リチャードと二人きりになったエレナですが、何を言われるのでしょうか?
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