こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は278話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
278話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 皇帝との謁見③
広々とした御前に2人だけが残るようになると、リチャード皇帝の声が変わる。
「話したいことがあって残れと言った」
全く変わったリチャード皇帝の言葉遣いから、彼が意図的にこの状況を作ったことに気づいたのだ。
「大公は危険な男だ」
「知っています」
「彼がバスタージュ家を狙っている」
予想外の話題に驚いた様子を見せたのもしばらくの間、エレナは淡々とうなずいた。
‘陛下がご存知だとすれば、皇室の方にも政治的な圧迫があったということだ。
言い換えれば、バスタージュ家を飲み込むための水面下の作業が相当部分進展していると見なければならない。
「ほうほう、そこまで知っている様子だね。レン公子の話はシアンから聞いたよ。意識がないんだって?」
「まだです。ですが、傷は完治したので、すぐに治ると信じています」
エレナは近いうちにレンが何もなかったかのように立ち上がり、自分に喧嘩を売ってニャリと笑うと信じていた。
「急いで目を覚まさなければならないのに・・・」
「どうしてですか?」
「スペンサー子爵はいくらも生きられないだろう」
「・・・」
リチャード皇帝の発言にエレナの瞳孔が揺れる。
情報組織マジェスティが全力を注いでも分からなかったスペンサー子爵の便りに接した理由だった。
「どこにいらっしゃるかご存じなのですか?」
「そこまでは分からない。だが、フランチェ大公がどんな部類の人間なのかは誰よりもよく知っている」
「それは」
「スペンサー子爵は死ぬだろう。この事実は変わらない」
少なからぬ歳月、フランチェ大公を見守った。
彼がどのように仕事を処理し、どのような考えで動いているのか大まかに知ることができた。
「そうしてはいけません。私が何とかして止めます」
「手遅れだ」
エレナはリチャード皇帝の断固たる態度に唇をかみしめたる。
その言葉通り、スペンサー子爵が死んだら、レンを見る恥がなかった。
「賢明な子だから、取り返しのつかないことに首をつつているのがとれほど愚かなのかは、あなたもよく知っているだろう」
「・・・」
「私に大空をつかむ妙策があるんだけど、聞いてみるつもりは?」
エレナは目を丸くする。
対話の流れが最初から尋常ではないと感じたが、フランチェ大公を崩す提案をリチャード皇帝が先に持ち出すとは思わなかったのだ。
「聞きます。 その前に一つお聞きできるように許可してください」
「許可する」
「私は一介のサロンの主人に過ぎず、爵位も準男爵に過ぎません。また、大公家を掌握する騎士団もいません。そんな私にこんな言葉を出そうとする理由が何か、陛下の意中が知りたいです。まして皇太子殿下もいない今」
シアンが団長に在任した皇宮近衛除こそ、大公家の騎士団に対抗できる唯一の戦力だった。
大公家を崩す妙策なら、当然シアンも一緒に一つの場で議論するのが正しいだろう。
ところが、リチャード皇帝は意図的にシアンを排除した。
シアンが入ってはいけない、彼女にだけ話すことがあるかのように。
「いいだろう」
リチャード皇帝が決心したように口を開く。
続くリチャード皇帝の話にエレナの目が満月のように大きくなった。
驚愕を越えた旗艦の連続。
それほど大胆で破格的な策略であり、絶対的にエレナの同意があってこそ実現可能なことだった。
「ここまでだ」
「・・・」
「もう分かったか?なぜシアンを排除したのか、あなたに言った理由が何のためで、なぜその作戦ができるのか」
エレナは言葉を続けることができなかった。
どこから何を話せばいいのか見当がつかない。
精神がびりびりするほと衝撃的だった。
(陛下、腹の中に刀を隠していたのですね)
誰があえてリチャード皇帝を「かかし皇帝」と指差したのか。
彼は息を殺して時を待っていただけだ。
(でも、そうなると陛下が・・・)
この計画は必然的にリチャード皇帝の犠牲を強いた。
その犠牲に最も悲しむ人は、他でもないシアンだ。
エレナは悲しむ彼の姿を見たくなかった。
躊躇うエレナを見て、リチャード皇帝が返事を促す。
「父として私は息子に何もしてあげなかった。こんな私でも父の道理をしたいな。手伝ってくれるか?」
言葉を続けることができなかったエレナの瞳が異彩を放つ。
犠牲を避ける方法が思い浮かんだのだ。
「陛下のお意に従います。代わりに、一つだけ約束してください」
「約束?」
続くエレナの話にリチャード皇帝は驚いた。
皇室の一員だけが知っておくべき皇居の秘密をエレナが知っていたためだ。
「分かった」
リチャード皇帝の確答を受けたエレナの表情が明るくなった。
(これでいい)
妥協点を見出すやいなや、シアンが戻ってきた。
両手で受け取った台の上には、小さな箱が乗っている。
「陛下、持ってまいりました」
「Lにあげるように」
エレナは頭と腰を軽く下げて、礼儀正しくそれを受け入れた。
「太子は箱を開けろ」
シアンが手を伸ばして箱を開ける。
すると息詰まるほと華麗な細工で星を形象化し、その中心に黒真珠まで刺さったブローチが入っていた。
「こ、これは」
エレナはブローチの正体に一目で気づく。
皇室の一員にだけ下賜する物で、エレナがよく知っているある女性がこれを着用したことを何度も見たことがある。
あの時はどうしてあんなに羨ましかったのか。
(セシリア皇后のブローチ・・・)
まるで皇室の正統性を持った皇后だけが持つことができる物と見なされたもの。
それで欲しかったし、持てなくて精神がすり減った。
「数代にわたって皇室に降りてきたブローチだ。あなたの労苦を称え、これからも皇室の灯になってほしいという気持ちで下す」
リチャード皇帝はひそかに自分の心の内をのぞかせる。
帝国のために頑張ってほしいという言葉に聞こえるかもしれないが、ブローチという物に込められた意味を考えるとそうではない。
(私が皇室の人になることを望んでいらっしゃる)
過去の事例を振り返ってみると、皇族や貴族たちは気に入った相手に会った時、私の家族になってほしいという意味でブローチをプレゼントする場合が多かった。
(けれど、私が貰うような物じゃない)
以前なら嬉しい気持ちで受け入れたはずだが、今は違う。
エレナはブローチに未練を残さなかった。
むしろブローチに込められた意味と重さを知ることに負担を感じてきた。
「ありがたいですが、陛下、ブローチは退いていただきたいです。私があえて受け取るにはとても貴重な物です」
「その尊さが、どうして君を大切にする私の心に比べられるだろうか?受けろ」
リチャード皇帝が再度勧めると、エレナは非常に困った。
このまま断ろうとすると、皇帝リチャードの心をあまりにも冷たく無視するようで。
「陛下が私を大切にしてくださるというので、ありがたくいただきます。大事にしまっておきます」
「ほほ」
リチャード皇帝は苦笑いした。
エレナはブローチをつけずに大切にすると言った。
余地を与えるが、皇室の一員になるという約束はできないという意味だ。
恨めしいかもしれないが、ここまでがエレナが譲歩できる最善。
エレナはシアンの顔色をうかがった。
無表情な彼を見ていると、何を考えているのか分からなかった。
そんなエレナの視線を感じたのだろうか?
首をかしげたシアンと目が届く。
エレナと向き合った彼は穏やかな笑みを浮かべた。
(あ・・・)
こんなに温もりが感じられる人だったなんて。
エレナの心の奥深くに輪をかけていた申し訳ない気持ちと負担感が雪が溶けるように溶けてしまった。
「そう、それでいい。意味深い時間を過ごせて嬉しかったよ。お茶でも一杯
飲みたいが次に延ばすようにしよう。ゲホッ、ゲホッ」
気力が落ちたのか、リチャード皇帝の顔色が急激に悪くなる。
ただでさえ体調が良くないのに、長時間御前に留まり無理をしたためだ。
「私こそ陛下にお会いできて嬉しかったです。失礼します。どうか末永くお過ごしください」
リチャード皇帝の作戦が気になります。
エレナも皇帝を犠牲にしない方法を見つけたようですので、大公を相手に十分立ち向かえることでしょう。