こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は289話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
289話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 貴族の反発
皇居。
皇座に座って見下ろすリチャード皇帝の目つきには、不快な気配が歴然としていた。
貴族たちの相次ぐ強要が一線を越えたのだ。
「陛下、バスタージュ家をいつまであんな風に放っておくつもりですか?」
「国家の大きな損失です。帝国法に基づく余相続を進めなければなりません」
「なぜこのことを先延ばしにするのか、陛下の意思が計り知れません。フランチェ大公は、明白なバスタージュ家の第一位の相続者です」
貴族たちは、「あなた」を問わず、バスタージュ家の相続を進めなけれはならないと声を一つにした。
この機会を借りて、フランチェ大公の目に触れるためのあがきだ。
そのような貴族の声にもかかわらず、リチャード皇帝は簡単に相続を許さなかった。
「まだ調査することが残っていると言った。待て」
明白な拒絶意思に、貴族たちが彼を食い物にするかのように声を高める。
「調査隊を設置し、再度確認していませんか。何をまた調査するというんですか?」
「バスタージュ子爵は家門に戻ってからも無事でした」
「皇室の医者の剖検結果、異常がないという所見は陛下もご覧になりませんでしたか?」
「バスタージュ子爵が遺言まで残したところに何を疑うというのですか、陛下!」
激しい貴族の反発にリチャード皇帝の表情が歪み、不満の色を隠さずフランチェ大公を見つめた。
「大公、あなたの考えも彼らと同じか?」
これまで貴族たちを前面に出して相続を進めようとした彼は、予想よりリチャード皇帝の反対が長くなると、直接決着をつけるために皇居を訪れたのだ。
「すべてのことは道理に従って進めるのが正しいと思われます」
「ほう、道理にかなっている」
リチャードは呆れたようにそら笑いをする。
大貴族らしい弁舌で言ったが、結局、帝国の現行法によって最も近い知人である自分が相続を受けなければならないとアピールしたのだ。
「大公の言うとおり道理にかなっているな」
「陛下!」
「賢明な判断です」
貴族たちの表情がすっかり明るくなった。
ついにリチャード皇帝が意志をくじいたからだ。
「ただ、レン公子の遺体を探してくるか、それとも証拠を持ってきて。それが順番だから」
喜びもつかの間、リチャード皇帝の頑固さに貴族たちの顔がゆがんだ。
わずか数ヵ月前までは、リチャード皇帝は度を越した要求でない以上、貴族の意思を大部分受け入れた。
そのようなリチャード皇帝が変わったのは、皇宮近衛隊の改革後だ。
奇襲的に皇宮近衛隊を掌握し、団長に皇太子シアンを座らせた。
皇室を代弁する象徴性と名分、武力という三兎をつかむことに成功したリチャード皇帝は、貴族たちと反目し始めたのだ。
そのようなリチャード皇帝の変化に息を殺していたいくつかの忠臣一族の貴族たちが皇室を擁護した。
代表的に、中立貴族だったリンドン伯爵が挙げられる。
「本当にこんなに意地を張るんですか?」
一歩退いていたフランチェ大公が初めて今回のことに対して感情を表わした。
低いが冷たい彼の声に、貴族たちが唾をごくりと飲み込んだ。
フランチェ大公の無関心な視線にもかかわらず、リチャード皇帝は視線を避けない。
「君こそ強情を張ると思わないのか?」
リチャード皇帝から弱かった過去の姿が全く見えなかった。
これまで見られなかった帝王の気勢が彼の瞳に漂っている。
「いつまでも先送りできない事案です」
「先延ばしにしているわけではない。確認の手続きを経るだけだよ。それとも生死が確認されるまで半年だけ待つこと。私もその時は意地を張らない」
「本当に・・・」
フランチェ大公は言葉を濁しながらリチャード皇帝をじっと見つめた。
その視線の中には沸き立つ溶岩よりもさらに熱い感情が揺れ動いた。
半年。
考えてみればそんなに長い時間ではない。
半年を待ってバスタージュ家を取れば残る商売であることは明らかだった。
しかし、現在の大公家の失政が半年を待つほど良くない。
一夜にして没落するほどではないが、財政状態が一日が経つにつれて急速に悪化しているのだ。
このような傾向が続けば、財政緊縮はもちろんのこと騎士団の縮小にまでつながることができた。
ベルトを締めた瞬間、大公家は終わりだ。
貴族たちはハイエナのような存在。
大公家が弱くなったという匂いを嗅いだ瞬間、背を向けるだろう。
東部と西部、南部の3貴族はそのような意思を示した。
大公という爵位も有名無実になるだろう。
そうなれば、息を殺している4大家門も動く公算が大きかった。
勢力の追加が崩れることになり、大公家が再び頂点に立つには数十、いや、数百年がかかるかもしれない。
「半年は長すぎます。帝国法を無視する仕打ちです」
フランチェ大公は怒りを抑えながら妥協案を提示する。
「3カ月にしましょう」
「半年」
話が終わるやいなやリチャード皇帝が短答で線を引く。
妥協は不可能だという考えを明確にしたのだ。
フランチェ大公の目は氷のように冷たくなる。
怒りさえ冷ましてしまうほど、彼の感情は冷たかった。
「私の意向は明らかにしたところ、今日の会議ではこれ以上言及しないように」
リチャード皇帝の宣言に何人かの貴族がかっとなったが、誰も乗り出すことはできなかった。
主体と言えるフランチェ大公が頭を下げながら、意に従う姿を見せたからだ。
(大公、なんと三十年だ。私はそんな屈辱に耐えて生きてきた)
リチャード皇帝は知っていた。
息を殺しているフランチェ大公が、今どれほど恐ろしい考えを抱いているだろうか。
以前ならフランチェ大公の勢いに縮こまっていただろうが、もうそうはしないだろう。
むしろ彼を刺激した。
皇帝は侮辱に慣れていない彼がもう少し極端な選択をすることを願った。
「最近、首都の近くで山賊が横行しているそうだね?」
リチャード皇帝は巧みに話題を変える。
バスタージュ家の件は彼にとって前置きに過ぎなかった。
版は十分に敷いたので、そろそろ本論を持ち出す時だ。
「はい、陛下。カストール商会まで大きな被害を受けたそうです」
「ほう?」
「山賊のボス、ヒューという者の舞踊がすごいそうです。普通の騎士も彼の敵にはなれなかったそうで」
貴族たちはこれに先立って積もった不満を後回しにして処理しなければならない懸案について論じた。
首都周辺で横行する山賊をこれ以上傍観することはできない。
ややもすると、地方の領地から上がってくる供物や税金を強奪される恐れがあるためだ。
損をすることに敏感な彼らであるだけに、このようなことにはいつの間にか団結力を見せた。
「これ以上放置できないことだね。そう、帝国のために山賊討伐に先立つ人がいるのか?」
「・・・」
リチャード皇帝が貴族たちを見回しながら話を始めると、座中がしんと静まり返る。
それぞれ顔を背けたり、視線を避けて別のことをした。
貴族にとって騎士団は一種の資産。
山賊討伐に出て騎士団員が負傷したり、殺されればその損害が甚大だ。
それが彼らが簡単に前に出ることなく身を隠すことだという理由だった。
「どうして返事がないんだ?」
「・・・」
「すると、これはどうか?家門ごとに騎士団員を選び、討伐隊を設けるのだ。すごく公平だと思うんだけど」
リチャード皇帝が仲裁案を出したが、貴族たちの反応は生ぬるい。
それさえも損をしかねないという考えからだ。
「何か言ってみなさい。このまま手を供いているというのか?」
「陛下」
もどかしがるリチャード皇帝に向かって黙っていた中年貴族が口を開いた。
「そうだね、カーン子爵」
「帝国の千年の首都はつまり皇室の象徴のようなところです。そのような首都で山賊が横行しているので、皇室の威厳を保つために皇居近衛隊を派遣して討伐するのが当然だと思われます」
「皇居近衛隊を?」
リチャード皇帝の声に好ましくないことが貴族たちが私の騎士団を大切にするように、彼も皇居近衛隊を大切にするのは同じだった。
カーン子爵がこっそりと貴族たちを見て目を向ける。
騎士を選び出したくなければ、早く同調しろというシグナルだ。
「陛下、カーン子爵の言葉には一理あります」
「代々首都の治安は皇宮近衛隊が担当していたのではないですか?」
「皇居近衛隊と陛下の威厳を見せてください。.
「ほほ」
貴族たちの懇願にリチャード皇帝は呆れたようにそら笑いをした。
何とかして自分の損害を受けないように団結する姿に、元気が出るという顔だ。
貴族たちは目の色を交換して意見を集める。
首都周辺の治安は皇室の自尊心だ。
ちょうど新しく改革された皇宮近衛隊の団長を歴任中の皇太子シアンにもっともらしい功績を立てるためにも断らないという計算もあった。
「君たちの意思がそうだから、山賊討伐は皇居近衛隊が担当するようにしなさい」
「賢明な処置でございます」
貴族たちがいっせいに頭を下げる。
お互いに話はしなかったが、交わす目つきの中に安堵感が流れた。
リチャード皇帝の覗線がやや傾いたフランチェ大公の峠に固定された。
(大公、このチャンスを逃すのは君じゃないんじゃないか)
彼ができる限りのことをした。
残ったのは、網にフランチェ大公がひっかかるかどうかだ。
自分の保身しか考えない貴族たち。
今回のエレナの作戦が成功したら、彼らの処罰も考えてほしいですね。
リチャード皇帝の威厳ある姿が見れて嬉しいです。