こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は292話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
292話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 太陽の歌
列と行を合わせて起立した皇宮近衛隊が、節度をもって剣を空高く振り上げ儀式を行った。
リチャード皇帝が整列した皇宮近衛隊員の前を通り過ぎ、彼らの状態や装備を確認して士気を高める。
たかが山賊討伐にあまりにも大騒ぎしているのではないかと思ったが、新しく改革した皇宮近衛隊の初出征ということだけでも示唆するところが大きかった。
「出場する」
皇宮近衛隊の団長であるシアンが白馬に乗り、先に進んだ。
その後を約50人の近衛隊員も列をなして追う。
プウウウ!
城郭で鳴り響く笛の音に合わせて城門が開かれ、皇居近衛除が皇居を出た。
首都の通りを横切る皇宮近衛隊の凛々しい行列は、帝国民の目を引く。
これまで能力がなく問題の多い貴族の子弟たちに選抜され、事件事故が絶えなかった姿とは全く違う雰囲気が感じられた。
「陛下が近衛隊を交代させたのは本当のようだ」
「そうだね。本当に騎士らしいよ」
「あの暴れん坊たちとは雰囲気が違うね。余計に喧嘩になって死にそうになったことを考えると、歯ぎしりするよ」
「もちろん。皇太子殿下が団長を務めているのに、いい加減にするつもりですか?」
皇居近衛隊の行列を見る諸国民の目に一抹の期待が込められた。
貴族たちの影響力が強くなり、疲れ果てたのは平民だ。
貴族たちに不当に財産を奪われ、搾取を受けながらも、一言もまともに話せない境遇だったからだ。
今からでも皇権を回復したリチャード皇帝とシアンがもう少し暮らしやすい世の中を作ってくれることを願うしかなかった。
北門に着いた皇宮近衛隊の行列を見守る一台の馬車が。
「怪我をしないでください」
馬車の中、エレナは皇宮近衛隊を統率し、北門を出るシアンの後ろ姿を長い間目に留めていた。
今回の計画は、誰一人のミスも許さない。
緊密に動いて歯車のようにびったり合ってこそ成功することができた。
シアンの出征は、その第一歩を踏み出したのと同じ。
「ガイアの女神に祈ります。みんな無事でありますように、必ず成功しますように」
大計を設計したのはエレナだが、成功するかどうかはレンとシアン、ヒュレルバードの3人にかかっている。
中間はない。
死ぬか、生きるか。
食うか食われるかだ。
「サロンに戻りましょう」
エレナが運転手に話すと、止まっていた馬車の車輪が転がり始める。
3人がすべきことがあるように、エレナにもすべきことがあった。
いつものようにサロンを守ること。
それが今エレナにできる唯一のことだった。
北門を出た皇宮近衛隊は首都の北側を取り囲む数寄山の麓に足を踏み入れた。
わずか2ヵ月前までは往来する商団と通行人をたびたび見ることができたが、最近になって人を探すのが難しいほどだ。
山賊のボスである休暇の麓に山菜を建て、商団を襲撃し、すべての品目を強奪するという噂が流れたためだ。
特に、山賊のボスのヒューが凶悪で殺人を楽しんでいるという噂まで加わり、人々の足が途絶えている。
やむを得ず北部地域を行き来する商団や通行人は不便を甘受しても、数寄山を迂回する道を選んだ。
「どうどう」
山の入り口に着くと、シアンは馬から降りた。
街道を除けば山勢が険しくて馬に乗って移動するには無理が伴う。
「半日はもっと進まなければならない。急げ」
シアンは先頭に立って林道を切り抜ける。
森が茂り、山勢が険しくて道だと言うことさえ恥ずかしかった。
主に薬草屋たちが利用する人里離れた道だったが、シアンはよく往来していた道であるかのように躊躇うことなく足を踏み入れた。
「ここから左に」
シアンの頭の中には一枚の地図が羅針盤の役割を果たしていた。
山勢に精通した薬草屋たちが行き来する小道を土台に、麓に沿って山菜につながる林道は、ヒュレルバードが新しく磨いておいたものだ。
メイはその山道を地図で描いてエレナに渡し、エレナはその地図を再びシアンに渡した。
敢えてこのような煩わしさまで甘受した理由は、万が一の大公家の監視者を引き離すためだ。
かなりの苦労と長い行軍が続く。
山勢が険しく、ややもすれば足を踏み外せば墜落するほど危険なところもある。
しかし、シアンが厳別して選出した近衛隊員だけに、落伍者はただの一人もいなかった。
「ここか」
そうしてしばらく入ってくると、山菜が見えた。
山菜と言っても広い空き地に粗末な小屋を数軒建てて木柵を立てておいたのが全てだ。
シアンは一人で歩いた。
敵陣にもかかわらず警戒心は感じられない。
頻繁に行き来する場所のようで、心地よささえ感じられた。
近衛副除長のフィギンが手を上げて近衛隊員たちを待機させる。
事前に言質があるだったようで、シアンの危険千万な行動にも近衛隊員たちは焦ったり不安を感じたりしなかった。
生きたままシアンがたどり着いたころだ。
「皇太子殿下にお目にかかります」
木柵の間から棒頭の乱足にあごひげを生やした男が出てきて礼儀をわきまえる。
荒々しく険しい外見とは違って、どこか純朴に見える瞳を持っていた。
彼は、凶暴で有名な山賊のボス、ヒュー、すなわちヒュレルバードだった。
「支度は?」
「もう全部終えました。このままお入りください」
シアンはうなずきながら後ろを見る。
目つきだけでもその気持ちに気づいた近衛副隊長フィギンが、部下たちを統率して入っていく。
この時期に到着するという事実を知っていたように、山賊に偽装した傭兵たちが待っていた。
「これから体格が似ている山賊とペアを組む。そして制服を脱いで日常服に着替える。実施しろ」
フィギンの命令が下されると、近衛隊員たちは体型が似ている傭兵たちが与える日常服に着替えた。
文字通り目立たない平凡な帝国民の服装だ。
そこに剣を隠すほどの荷物を背に担ぐと、近衛隊員の姿がすっかり消えた。
シアンも例外ではなく、派手な制服の代わりに普段着に着替える。
シアンが着ていた制服はヒュレルバードが別に雇った傭兵が着ることになった。
「終わりましたか?」
フィギンが確認のために振り向くと、シアンがうなずいた。
制服の代わりに日常服に着替えた近衛隊員たちは確かに目立たなかった。
関心を持たなければ、通りすがりの通行人だとしても信じるほど平凡だ。
ただ、美しい肌に憂愁に満ちた黒眼と皇族を象徴する黒髪を持つシアンだけは、その尊さと気品を隠すことができず、口ーブを使うことにする。
「時間が迫っています。すぐに動きます」
ヒュレルバードは、シアンをはじめとする皇宮近衛隊を率いて、足を踏み入れた。
シアンは反対方向だったが、山の斜面を下る道が走った道より険しい。
もう少し移動が楽な道もあったが、そちらに行くことになれば、ぐるりと回らなければならなかった。
首都まで半日の距離であることを勘案すれば、急いでこそ時間通りに到着することができる。
山の中腹に降りてくると、木に縛られている馬や荷車などが見えた。
カストールの商団をはじめ、山賊に成り済まして奪った物資だ。
疑われずに首都に潜入するためにここに保管中だった。
フィギンの主導の下、一糸乱れず近衛隊員たちが動く。
誰かは馬に乗り、誰かは荷車を引いて、誰かは徒歩で時間差を置いて山を降りた。
「卿は行かないのか?」
馬に乗ったシアンがじっとヒュレルバードを見下ろす。
強者は強者を見分けるもの。
たとえ剣を突き合わせたことはないが、エレナのそばを一時も離れたことがない守護騎士の剣術が、自分と比べて大きな格差がないことが分かった。
大公家に比べて戦力が劣勢であることを勘案すれば、ヒュレルバードの助けが絶対的に必要だ。
「お嬢様から頼まれたことが残っています。処理後、遅れないように合流します」
シアンはうなずいて返事をする代わりに馬を走らせる。
エレナがさせたことなら、それだけの理由があるだろう。
あえて催促しなくても、時間通りに到着すると信じて疑わなかった。
シアンをはじめ皇宮近衛隊員全員を送り出してから、ヒュレルバードは復帰した。
しばらく席を外していた間、山賊のボスであるヒューの妻のふりをしていたメイが、自分勝手に制服を着ている傭兵たちの服装を取り締まっていた。
「計画通り、山のふもとの空き地でキャンプするつもりです。警告しますが、独断的な行動は容認しません」
ヒュレルバードは淡々と話したが、誰もその言葉を無駄に聞いていない。
カストールの上の騎士と対決して見せたヒュレルバードの圧倒的な武威に彼らは傾倒したのだ。
遅滞する暇もなく、ヒュレルバードが傭兵たちと一緒に山菜を離れる。
彼もすぐに首都に行きたい気持ちでいっぱいだった。
しかし、まだ処理しなければならない仕事が残っていて立ち去ることができなかった。
『きっと大公家でつけた監視者がいるはずです。彼らの目を欺いてから動いても遅くないです』
エレナは何度も何度も何度も何度も何度も言った。
大公家が皇宮近衛隊に偽装した傭兵たちが山にいると信じさせるべきだと。
「皇宮近衛隊が消えたということがフランチェ大公の耳に入る瞬間、すべての計画は水の泡になる」という言葉も付け加えた。
(何事にも完璧な方だよ)
エレナを思い出すと、ヒュレルバードの口元がそっと上がる。
限りなく弱く見えるエレナは、誰よりも賢くて強い人だった。
「帝国は滅びても大公家は滅びない」という言葉が出るほど、盛勢を享受していた大公家を一人の力でこのような状況まで作ったのは、誰もやり遂げられないほど凄いことだ。
(私の人生が終わるまで、お嬢様をお迎えする。それが私の夢です)
エレナは世界を変える偉人だ。
そのようなエレナのために余生を捧げることができれば、ヒュレルバードは騎士としてそれ以上の栄光と名誉はないと自負している。
そのためには、今回の計画が成功しなければならなかった。
いよいよ作戦開始!
誰もミスすることなく作戦を遂行することができるのでしょうか?
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