影の皇妃

影の皇妃【32話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「影の皇妃」を紹介させていただきます。

今回は32をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。

皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。

そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!

自分を陥れた大公家への復讐を誓い…

エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。

リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。

フランツェ大公:ベロニカの父親。

クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。

イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。

レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。

フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。

ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。

アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

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32話 ネタバレ

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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • マダムのお礼

やがてリアブリックが綺麗なドレスを着て応接間に戻ってきた。

「大変長時間を外して申し訳ありません」

彼女は了承をいただき、改めて席に座った。

「私のいない間に、どのようなお話をなさったのですか?」

「レディーの身だしなみと礼儀について話しました。今日のこの会話は一生忘れられないです」

エレナは密談など初めから存在すらしなかったように純粋な貴族令嬢になっていた。

そのような二重的な姿に、マダム・ド・プランローズは呆れたが、エレナに逆らう事も出来ない立場に立たされていたため、彼女には何も出来なかった。

「公女殿下、私がこちらに訪問した理由はハンカチのお返しをしたいと思いまして」

「お礼を望んでいる訳ではありませんわ」

マダム・ド・プランローズは黙々と自分の役割を果たした。

「自分の世話を始めて2年ぐらいの子なのですが、品行が正しく言葉を弁える子です。彼女は公女殿下の品位と品格によく似合うでしょう」

「マダムの侍女を私にくださるというお話ですか?本当に?」

エレナは感激したように口を手で覆った。

「はい、ささやかなお礼ですが、受け取ってくれますか?」

リアブリックが同席した以上、自分の独断では決めることは出来ない。

しかしエレナは、リアブリックがこの提案を断らないと確信していた。

他でもない、マダム・ド・プランローズからのプレゼント・

貴族社会で次女の交換は、お金に換算できない親交の象徴であり、証明でもあるのだから。

しかし、リアブリックは躊躇った。

プレゼントとして貰った侍女は、礼儀上直属の侍女として置かなければいけない。

もしかしたら、その部分から秘密が漏れるのではないかと不安になった。

しかし・・・。

「こうしたお返しは初めてですので、公女殿下は簡単に決断できないようですね。受け取ってください、公女殿下」

「はい!マダム、私は喜んで受け取ります、今日の感動は一生忘れられないでしょう」

エレナは華やかな笑みを浮かべて喜んだ。

作り笑いではなく、心のこもった笑みを浮かべて。

この瞬間だけは本気を出しても構わないから。

エレナとマダム・ド・プランローズは仲良く手を取り合った。

 



 

  • side ロンド伯爵家

ロンド伯爵家。

「奥様、お呼びでしょうか?」

外出から帰るや否や、マダム・ド・プランローズは侍女のメイを執務室に呼んだ。

「こちらへ」

「はい、奥様」

マダム・ド・プランローズは丁寧でありながらも乱れることなく立っているメイを見た。

彼女の肌はそばかす一つなく綺麗だった。

「あなたはここに来てどれくらいになるの?」

「今年で2年目です」

「早いものね・・・。あなたは最初から身だしなみが出来ていたわ」

「褒めすぎです、奥様」

マダム・ド・プランローズの称賛にもかかわらず、メイは浮ついた感情を見せなかった。

一介の侍女に過ぎない彼女が時々見せる平常心に、マダム・ド・プランローズでも驚くことがある。

「あなたを見ていると、貴族になれなかったのが残念だわ」

「貴族だなんて。私には勿体ないお言葉です、奥様」

自身の機嫌を損ねずにいるメイは、侍女の手本としたくらいに完璧だった。

このような子を大公家に行かせるのは残念でならないが、自分の生き残る道が優先だた判断して諦める。

「あなたに似合う家柄を推薦したいの」

マダム・ド・プランローズは淡々と話した。

「あなたを大公家に行かせたいのよ」

「・・・!」

メイの瞳が激しく揺れた。

マダム・ド・プランローズもこれほど動揺する「メイ」を見るのは初めてだった。

「ベロニカ公女にあなたの事を話したら大変気に入られたみたいなのよ。どうかしら?」

メイの瞳が深くなる。

明らかなことは、彼女が躊躇っているかではないという事。

むしろ、これまでに見られなかった小さな喜びが、彼女の目には込められていた。

まるでこの瞬間を待っていたかのように。

「はい、奥様の考えに従います」

彼女は小さな声だったけれど、力のこもった声ではっきりと答えた。

「良かったわ」

マダム・ド・プランローズも満足げに微笑んでうなずいた。

上辺では、お互いが望むものを手に入れる完璧な取引。

そして、この完璧な取引を動かすのはエレナだった。

 



 

  • 新たな侍女

フリードリヒ大公街にマダム・ド・プランローズの馬車が入ってくる。

対外的にはベロニカ公女との親しい関係であることを誇示するため。

馬車から降りたメイが家の中をじっと見上げた。

皇居よりも華やかだという大公家の邸宅は、感嘆が上がるほどに壮大だった。

「あなたがメイ?」

建物の前に立っていたアンがぞんざいな対応で出迎える。

侍女間の序列で優位に立とうという気持ちが感じられた。

「はい」

メイが答えると、アンは不機嫌そうだった。

そばかすだらけの自分より肌が綺麗なメイが気に入らないのだろう。

「ついておいで」

向かった先は公女の部屋ではなく、リアブリックの執務室。

彼女はそこで全ての持ち物を検査された。

身元に何の異常もないことを確認して、リアブリックは契約書を差し出し、メイは素直に署名した。

「今この瞬間から、あなたは公女殿下の直属の侍女です。分からないことがあったら、ここにいるアンに聞くように」

「はい。誠心誠意、公女殿下にお仕えします」

「では、公女殿下への挨拶へ向かいなさい」

アンの案内で屋敷内を歩く。

そして、大きな大理石の門の前で立ち止まった。

秀麗な外見の騎士がドアの前を守っているのを見て、ここがベロニカ公女の部屋であることが分かる。

「公女殿下、新しく来た侍女を連れてきました」

「入って」

部屋の向こうから清雅な声が聞こえてくる。

せっかちなアンが急かしてきた。

「何をぼーっとしているの?公女殿下がお待ちよ」

メイはゆっくりと扉を開いた。

ちょっと見ても、マダム・ド・プランローズの部屋とは比べ物にならないほど大きな部屋。

エレナは窓際に座って暖かい日差しを浴びていた。

 



 

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