こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は76話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
76話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- カリフとエミリオとの会合
「絵に込められた意味がいいですね。いいですね、買い取りましょう」
エレナは紅茶を味わいながら、カリフが持ってきた絵を評価した。
今日も持ってきた絵6点と彫像1点を売却することに成功したカリフは喜んでいた。
「公女殿下の作品を見る目は逸品です」
「貴族なら誰でもこの程度の眼目と識見は備えています」
エレナは自分を低くしていた。
その微笑みに思わず目を奪われてしまったカリフは、慌てて咳払いをして顔を背ける。
(はあ、息が詰まってまともに見つめられない)
目の前のベロニカ公女は他に修飾語が必要のない美人だ。
大半の貴族令嬢が通う学術院でも、彼女ほど清楚で退廃的な美貌の令嬢を見たことがない。
しかし、それとは関係なく、ベロニカ公女からは隠せない気品が流れていた。
彼女の上品さは、不敬の心まで浄化される気分に陥る。
憧れて崇めるしかない存在のように。
「ええと、最近の美術界で公女殿下の噂が流れているのはご存知ですか?」
「私の話ですか?気になりますね?」
エレナは興味を示した。
これはルシアに変装していた頃には聞けなかった話だから。
「申し訳ないことに、数ヶ月前までは公女殿下が購入した美術品を快く思わなかった人が多かったそうです。作品に比べてあまりにも途方のない価格で買い入れたということに」
「馬鹿な人たちですね。芸術を僅かなお金で評価しようとするなんて」
「しかし面白いのは、最近になって公女殿下が買い取った作家の作品が再評価され始めたということです」
「再評価ですか?」
「正確には低評価された作品を、公女殿下がその価値を発見して買い入れたと鑑定士たちが判断を下したのです」
エレナは手を伸ばして、再びコップを口元に持ってきた。
(私が望んだ通りになっているわね)
当初からこの展開は予想していた。
「最近、公女殿下の眼目が話題になっています。私に公女殿下が買い入れた絵が何か、画家が誰かだけ教えて欲しいという依頼があるほどです」
エレナは手で口を覆いながら微笑む。
「本当に残念ですね。芸術作品を投資家ではなく、作品そのものと理解し受け入れれば、散財するだけなのに」
「それが出来ないから、彼らは公女殿下の眼目を重要としているのではないでしょうか?」
「私はただ芸術家の魂が込められた芸術作品に対して尊重しているだけです」
一瞬も品位を失わず信念を守るエレナを見て、カリフは感嘆する。
彼女こそ、真に芸術に接し享受できる成熟した人の姿だと。
「本日も良い作品を紹介できる機会を与えて頂き、ありがとうございます」
「それは私が申し上げる言葉ですね。いつもレベルの高い芸術作品を紹介してくださるので、私も満足しています」
「そう仰ってくださったら身の置き所がないですね。それでは失礼します」
「後で会いましょうね、先輩」
エレナは謎の笑みを浮かべた。
今までとは違って、親近感が感じられる笑みにカリフはぼうっとしていた。
(あれ?あの微笑みはどこかで見た気がするんだけど・・・)
ふとそう思ったが、カリフは勘違いだと判断して応接間を出る。
ルシアに変装を終えたエレナは学術院の正門に向かう。
アヴェラのことで顔が売れたエレナは、学生たちの集まる中央通りを歩く間、ずっと注がれる視線を感じざるを得なかった。
(心配していたことが現実になったわね)
エレナが向かったのは通りの端にあるレストラン。
華やかな入り口には「閉店しました」という表札が掲げられていたが、それを無視して中に入る。
「申し訳ございませんが、本日は営業しておりません」
「ルシアと申します。お父さんに会いに来ました」
スタッフに身分を知らせると、態度がガラリと変化した。
「お嬢様を知らずに申し訳ありません。旦那様は上の階にいらっしゃいます」
このレストランはカストル商会の所有するレストラン。
エレナの隠れ家でもある。
案内された部屋に入ると、中にはカリフがいた。
「お久しぶりです、先輩」
その後、エレナとエミリオは自然に挨拶を交わして親子関係を演じた。
「3人で集まったのは初めてですね」
「そんな事を言うな。君が学業に励んでいる間に、エミリオ様は息をつく暇もなく多忙だったのだから」
カリフの小さな文句を無視する。
「大公側の反応はどうですか?」
「まだスラム街の取り壊しに熱を上げているようだが、数日後には分かるんじゃないかな」
エレナは微笑んだ。
「私たちが大理石の鉱山と独占供給契約を結んだことを知ったら大騒ぎになりますね」
「大公家の立場では青天の霹靂だろう。少ない量でも、原価の3倍以上で売買できるので大損だろうね」
「わずか3倍ですか?その倍でもいいのでは?」
エレナは平気で話していたが、リアブリックがこの話を聞いていたら、すぐに彼女を殺したいという殺意を感じたかもしれない。
「そうしたいが、取引相手が大公家と考えると、どうしても慎重にならざるを得ないね」
「心配ありません。大公家は4倍で仕入れるしかなくなりますから」
「妙案でもあるのか?」
カリフはエレナが秘蔵の一手を隠していることを直感した。
「噂を立てるのです」
「噂?」
エレナは意味深な笑みを浮かべた。
「ガイア教団の本堂、法王庁で歴史に残るような大聖堂を建築しようとしていると」
「・・・!」
エミリオの瞳孔が大きくなる。
人生において彼がこのような反応を見せるほど、その話は破格的だった。
大理石鉱山の独占権を獲得した理由が大公家のためではなく、法王庁に納品する資材をあらかじめ買い入れたという名分に変わったからだ。
カリフは途方もない話に戸惑っていた。
「君、それ正気で言ってるのか?他のことはともかく、法王庁に間違って耳に入ったら・・・」
「誰が偽りの噂だと言いましたか?」
「え?」
「法王庁はすでに敷地購入を一昨年に終えました。大掛かりな規模だったために、外部に公表しなかっただけです」
それは漠然とした推定ではなく、これから実際に起こる話だった。
「あり得ない!百歩譲って聖堂を建設するとしよう。君はそれをどうやって知ったの?」
「気になりますか?」
「気になる!」
エレナは眼鏡をかけ直して言った。
「秘密です」と。
ベロニカとルシアが同一人物だと知ったら、カリフはどんな反応をするのでしょうか?
ここまで他人を演じられるエレナも凄いですよね。
そして、ますます大きくなっていくエレナの計画。
彼女の野望はどこまで続くのでしょうか?
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