こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は85話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
85話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 優勝者
静けさが流れる。
時間が止まってしまったかのように、二人はお互いを睨んでいた。
単に力比べをするのではなく、相手の隙を見つけようとしている。
先に動いたのはレン。
熟練した騎士だとしても簡単に対応できない完璧な突き。
しかし、シアンの対応も完璧だった。
姿勢を軽く下げて上体を捻る。
木刀と木刀が衝突し、破裂音が広がった。
互いに相手の隙を突くことができず、互いに一度距離をとる。
「わぁあああああ!」
観客席からは大きな歓声が沸き起こった。
見ているだけで全身の毛が逆立つ緊張感に熱狂する。
しかし、実際に剣を付き合わせているレンからは、そのような緊張感が全く見えなかった。
「驚いた。私の知る殿下ではないみたいですね」
「・・・」
「これまで実力を隠していたのですか?なぜ今明らかにして、多くの人を困らせるのですか?」
自分と比べても引けを取らないシアンの剣術は驚くに値するが、不安はなかった。
最後には自分が勝利するという確固たる信頼があったから。
「変わらなければいけないのだ」
「変わる?何のために?殿下の状況は変わりそうにありませんが?」
レンは面と向かって、堂々とシアンの意志を皮肉る。
皇室はすでにその権威を失って久しい。
シアンが変わったとしても、大公家をはじめとする貴族たちから皇室の権威を取り戻すのは容易ではないだろう。
シアンは視線を逸らして、特別席に座っているエレナを見つめる。
「私に言ったのだ、時代は変わったと。世間を変えることは私の役割ではない」
「・・・」
「その時から、考えを変えた。私はただ時代がより良い方向に進むように道を開くと」
レンは、シアンの言葉の意味を半分も理解していない。
しかし、シアンがこれまで隠していた剣術を明らかにし、変化を迎えた張本人が誰かは検討がついていた。
それはエレナだろう。
「前にも警告したはずですが。彼女を好きにならないでと。あなたに彼女は守れない」
レンは試合を見ているエレナを、あごで指す。
「そんなことは関係ない」
「関係ありますよ。私も彼女に関心があるのだから」
「・・・!」
レンが露骨に宣言すると、シアンの目が大きくなった。
まさかとは思っていたが、堂々と認めるとは思ってもいなかったのだ。
「話が長くなったね、優勝したら、彼女と一緒に食事をする予定だったのに・・・。負けてくれるつもりはないでしょ?」
「最善を尽くして勝つつもりだ」
「交渉決裂だね」
落ち着いたシアンの眼差しに闘争心が込められる。
エレナを決勝戦に招待したのだから、負ける気は全然なかった。
まして、レンの感情を知ったから尚更だ。
レンも同様だった。
どうしても目の前のシアンを破りたかった。
その約束はエレナへの勝利を掴むきっかけなのだから。
空気を切り裂く破裂音が響く。
一進一退の攻防。
相手の命を奪うほどの脅威的な攻撃が絶えず交わされながらも、どちらも退く気配がなかった。
観衆は息を潜めたまま、二人の対決から目が離せずにいる。
何も言えなかった。
彼らはシアンとレンの勢いに圧倒されていたから。
シアンはこれまで徹底して自分の剣術を隠してきた。
それは仕方のない選択。
無能という仮面をかぶって大公家と4大家門の油断を誘導しなければ、入り込む隙もなかったからだ。
しかし、その考えはエレナに出会って変化を迎えた。
『皇帝とは君臨するものではなく、民衆を守る存在』
その事実に気づいたのだ。
シアンの口元に思わず苦笑が浮かぶ。
皇帝とは何か?
皇帝とはどのような存在であるべきか?
エレナは言った。
新しい時代が来ると。
ピラミッドの頂上ではなく、一番下から変化が吹き始めるのだと。
後になって、その言葉の真意を理解したシアンは自ら変わろうとした。
秘密裏に進めていた計画も修正した。
その始まりが、これまで徹底的に隠していた剣術の実力を公開すること。
貴族の権勢は気にしない。
むしろ、シアンは貴族と背を向けたという印象を与えたかったのだ。
新しい時代の主役になる民衆の側に立つ皇太子。
それが、彼の描いている光景だった。
「そろそろ終わりにしましょう。食事の約束があるのに、長く待たせたくはないので」
レンの言葉に、シアンもゆっくりと姿勢を低くする。
シアンの頭の中には、レンの恐るべき攻撃を打ち砕く方法がある。
野獣の本能のような剣術。
相手にしにくいかもしれないが、逆に言えば不必要な無駄が多いということでもある。
テンポを変化させて、レンのリズムを断つ。
(今だ)
シアンの目つきが変わった。
レンの得意技は相手を一撃で制圧するのに最適化されているが、失敗すると隙が多いという弱点もある。
レンの突きを正面から打ち返し、シアンは崩れたレンに向かって波状攻撃を浴びせた。
無駄のない動作。
シアンが見せる全ての動きと剣術は、騎士の標本にしたいほど完璧だった。
そしてついに・・・。
「試合終了!4年生、クラディオス・シアン殿下の勝利!」
教授の終了宣言と同時に、決闘を見守っていた観客席から一斉に歓声が上がる。
シアンは木刀を納めて黙礼をし、相手に対する礼儀を行う。
「いい勝負だった」
レンは、神経質な表情で木刀を投げつけて退場する。
「わぁああああ!」
勝者のシアンに向かって、競技場を訪れた平民の歓声が沸き起こる。
シアンは手を振って彼らに応えた。
そんな彼の視線が特別席に向かう。
「・・・」
歓声が小さくなるまで、シアンの視線はエレナから離れることはなかった。
シアンとレンの戦いに決着がつきました!
エレナの言葉を理解して、平民の側に立つ決断をしたシアン。
このまま貴族たちも仲間にできるのではないでしょうか?
そして、敗北したレンは何を思っているのでしょうか?
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