こんにちは、ピッコです。
今回は6話をまとめました。
ネタバレありの紹介となっております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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6話
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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ⑥
何かが胸を押さえつけている。
もどかしさに目を見開いたマックは、すぐに戸惑った表情を浮かべた。
黒く焼けたがっしりとした腕が視界を半分遮っているからだ。
そっと首を持ち上げると、自分の髪の毛の中に顔を半分くらい埋めたまま、ニコニコしながら眠っているリフタンの姿が見えた。
彼女は押し寄せる記憶に顔を赤らめる。
彼らは一糸もまとわずにベッドの中で抱き合っていた。
男の太くて長い足が自分の素足の間に絡み合っていて、茶色に焼けた両腕は彼女の体が大きな枕でもあるかのようにギュッと抱きしめている。
マックは誰にもこれほど熱烈に抱かれたことはなかった。
甚だしくは母親にさえも。
ぎこちない気持ちで目を転がしてしばらく、彼が目を開ける前に服を探して着た方が良いという気がした。
もしこのまま彼が目を覚ましたら・・・。
マックは顔を包み込んだ。
到底彼と向き合う自信がない。
乳母は夫の要求に「死んだように」応じなければならないと言っていた。
昨夜、もがいて呻き声を上げていた自分は、死んだようにとは程遠いだろう。
彼が自分を静粛ではないと思ったらどうする?
急に焦りが押し寄せてくる。
マックは注意深く彼の腕から抜け出て、ベッドの下を覗き込んだ。
このままでは絶対に彼と向き合えない。
たとえ女性らしく着飾るのは無理だとしても、少なくとも裸のままから脱しなければ。
彼女は部屋の隅に乱雑な衣類を見つけ、手を差し伸べた。
届きそうで届かない距離。
どうしても裸で部屋の中を徘徊する勇気が出ず、ベッドの外に体だけ突き出して再び手を伸ばすと、いきなり体がくるりと後ろに倒れた。
「何してるの?」
マックは当惑した顔で振り返ると、眠っていると思っていたリフタンが黒い目を細くして彼女を見下ろしていた。
急いで逃れようとしたが、彼が片腕で彼女の腰を抱きしめたまま素早く体を転がして彼女を自分の下に閉じ込める。
「リ、リフタン・・・。あ、朝です・・・」
「うん、朝だね。君が目を開けるのを待っていて死ぬかと思ったよ」
彼はまぶたに唇を押し当てて言った。
照れくさい感触にマックが首をすくめると、彼はニッコリ笑って顔と耳、首元に、蝶の羽ばたきのようなくすぐったいキスを浴びせる。
マックは当惑して彼の顔を押しのけた。
「や、や、やめてください・・。も、もう服を・・・」
「ダメ。一晩中どれだけ我慢したか・・・」
リフタンが鼻を鳴らし彼女の手を握り、唇を近づける。
湿った舌が指を妙に舐めた。
「まったく、あなたがそんなに顔を赤らめるたびに、私がどんな気持ちになるか知っているなら、あなたはそんな表情を死んでも見せてくれないだろう?」
リフタンはマックの指先を齧りながら呟く。
彼女はもう我慢できず、手を抜いて布団の中に隠れた。
すると彼は眉をひそめ、シーツをサッと取り除く。
マックは悲鳴をあげて体を丸くした。
「どうして隠すの?」
「あ、朝じゃないですか!こ、こんなに明るいのに・・・」
「だから見せてくれ。明るいところで君の体を見たい」
「マクシー、昨日のは・・・、悪くなかったよね?」
「リ、リフタン・・・」
「少しは・・・、気持ちよかっただろ?」
マックは死んでもリフタンの言葉に答えることができなかった。
「私は・・・、私は死ぬほど良かった。3年前も討伐なんかに行かず、君と一緒にいたかった。あのベッドから出るのがどれほど大変だったことか、あなたは分からないだろう」
あまりにも意外な言葉に、彼女は恥ずかしさも忘れて目を見開く。
リフタンは歪んだ笑みを浮かべながら彼女の鎖骨の下に歯を立てた。
「今もあの時と同じだ。私は・・・、あなたといたら止められない。あなたが嫌だと言っても・・・、泣いても・・・」
彼は指を体の奥深くに突っ込み、襟足の敏感な部分を軽く噛んだ。
マックは反射的に足で彼の腕を絞めると、満足そうなうめき声が彼の口から漏れる。
「私みたいな奴の妻になった君の不運を恨んでくれ」
彼と自分を比較すると、自分の方が色々な面ではるかに不足している。
父親はリフタンとの結婚を「身に余る幸運」とまで言った。
それなのに、どうして彼はそんな風に言うのだろうか。
微かな疑問は、すぐにお腹の中の熱気で薄れていく。
マックは枕の中に顔をうずめ、呻き声を抑える。
ゆっくりとした小川のような穏やかな揺れがだんだん激しくなってきた。
リフタンが頭頂部に熱い息を長く吐く。
「数日間ずっとこうしていたい」
「お、重いのですが・・・」
彼が意地悪そうに彼女の耳を噛んだ。
「い、痛いです・・・・」
「憎たらしい言葉ばかり言うからだよ。ああ、でもここも美味しいね」
彼が赤くなった耳たぶを齧りながら耳の中に舌を入れてくる。
マックはドタバタしながら首をすくめた。
「リ、リフタン・・・!」
「本当にいい。あのクソトカゲがいなかったら、ずっとこうしていられたはずなのに。それだったら今頃子供も一人か二人いただろうね?」
「そ、それはやめて、やめて・・・!」
リフタンはマックの言葉が聞こえていないかのように振る舞う。
マックは全く終わらないような「ベッドでの義務」のために疲れ果てていた状態だ。
ところが、彼は疲れていないのか、再び彼女の足の間に腰を据えていた。
マックは泣き出しそうになり、いっそ気絶してしまおうかと思った瞬間、リフタンが動きを止めた。
誰かがドンドンと、険悪にドアを叩いたためだ。
「なんだ!」
「どうか開けましょう!日が中天に昇ったと言うことです!いつまでベッドでブラブラするつもりですか!」
ドアの外で誰かが険悪に叫ぶ。
リフタンはまるで透視能力でもある人のように、ドアの外に立っている人に向かって険しい視線を投げかけた。
「なんてことだ・・・。もう一度邪魔をすれば、腸をそのまま取り出すと言ったはずだ!殺してほしいということなのか!」
「屋敷に戻ろうと言っているのです!領地に戻って、すぐにまた首都に行かなければならないことを忘れたのですか!」
「一日遅れたからといって死ぬわけでもない!」
「団長!」
「さっさと立ち去れ!お前のせいで気分を害した!」
リフタンが激しく罵倒している。
マックは生まれて初めて聞く殺伐とした悪口に凍りついた。
リフタンはひどく怒った顔で体を起こし、ドアの外に向かって叫ぶ。
「馬車を待機させろ!準備して出るから」
ドアの外にいる相手は返事もなくドタバタと遠ざかっていく。
リフタンは床を見下ろして大きなため息をついた。
「あいつらをつけてくるんじゃなかった・・・」
「・・・」
「ちょっと待ってて。外に出て君が着れるような服を持ってくるから」
マックはシーツを首まで引き寄せ、青ざめた顔でうなずく。
席を立って服を拾っていた彼は、泣きそうな彼女の顔を見て眉をひそめた。
「何だよ、どうしてそんな顔をしている?」
「・・・」
「早く言って。まだ気づいていないみたいだけど、私はせっかちなんだ」
気づかなかったはずがない。
昨日再会した自分の夫は、火のような性質、それ以上だった。
マックはその言葉を飲み込み、忍び寄る声で呟く。
「あ、あの外、外にいる人たちは・・・、みんな、知ってるじゃないですか・・・」
「知ってるって、何を?」
「わ、私たちが、こ、ここで何を、何をしていたのか・・・」
「・・・」
火でもついたように顔が火照った。
マックの顔をじっと見下ろしていたリフタンの口元に痙攣が起きる。
次の瞬間、信じられないように彼がお腹を抱えて大笑いした。
「リ、リフタン!」
「ああ、本当にどうしよう」
彼はニヤニヤ笑って彼女をシーツごと抱き上げて膝に乗せる。
マックは当惑して足をもがいた。
リフタンはあれほど威圧的な印象を与えた人だということが信じられないほど無邪気にクスクス笑っている。
「純真な貴族のお嬢様、当然、私の部下たちは私たちが何をしたのか分かっているだろう。3年ぶりに再会した夫婦が一つの部屋で手だけ握って寝たと思うようなことはない」
「はぁ、でも・・・」
「恥ずかしがることではない。私たちは夫婦で、あなたと私がそれをするのは自然なことだから」
自然なこと?
「それ」が妻の義務だということはよく知っていたが、自分と彼が交わしたことが当然のことのようには感じられなかった。
ふとマックは自分の考えにビックリする。
譲り合う?
彼と昨日の夜にした行為は、譲り合う行為だったのだろうか?
なぜ自分がそんなふうに感じたのか分からない。
ただ子供を得るために耐えなければならない行為であるだけなのに・・・。
「また赤くなった。ちっ、あいつらがいなければ、このまま食べてしまうのだが」
「・・・」
「縮こまるな。あいつらがドアを壊して入ってくる前に終わらせる自信もないから」
リフタンはマックの鼻先に悪戯っぽくキスをし、膝から下ろした。
彼女はベッドの隅に座って繭のようにシーツをぐるぐる巻いて鼻を擦る。
リフタンはすぐに防具を身にまとい、マックに何度も何度も告げる。
「ここでじっと待っていて」
彼女は素直にうなずいた。
そもそも足が震えてどこへ出ようとしても身動きが取れない気がする。
リフタンが腰に剣をつけて外に出ていくと、マックは枕元に這い上がり、こっそりと窓を開けた。
青白い秋空の下、ひっそりとした村の姿が広がっていた。
その素朴な風景を一つ一つ見ていたマックは、ふと刺すような視線を感じ、頭を下げる。
宿の前に停めておいた馬車の前に、リフタンの騎士3人がそびえ立っていて、自分を見上げていた。
彼女は驚いて慌てて窓を閉める。
シーツで体を隠してはいたが、それでも寝起きの乱れた姿を見られたのは恥ずかしい。
「私のせいで出発が遅れたのか・・・」
マックは焦って唇を噛んだ。
どれだけ時間が過ぎたのか、足音が聞こえてくると、誰かがトントンとドアを叩いた。
彼女は慎重に尋ねる。
「誰でしょうか?」
「洗う水を持ってきました」
「どうぞ、お入りください」
マックはシーツを身にまとったままベッドの隅にうずくまった。
大きなたらいと水やかん、真っ白なタオルを持って入ってきた女中2人が困った顔で互いに覗線を交わす。
「親父なる方に奥様のお世話をするよう指示されたのですが・・・」
「あ、いや・・・。じ、自分でできる、できます・・・」
「助けが必要だとおっしゃったんですが・・・」
彼女は頭から湯気が出るほど真っ赤になった。
「私、本当にいや、大丈夫です。私、私、夫には私、私が言う、します」
女性たちはそれ以上勧めずに,テーブルの上に持ってきたものを置いて部屋を出る。
マックはシーツをまとったまま人の気配が十分に遠くなるのを待ち、席から立ち上がってドアを閉めた。
それから、きれいなタオルにお湯をぬらして、一晩中酷使された体を拭き始める。
汗と体液でべたべたした肌に濡れたタオルが触れる感じが、そんなに爽やかではなかった。
彼女は昨夜の跡を入念に拭き取る。
肩、腕、太もも、足から胸まで色とりとりの跡がぎっしりと映っていた。
元々こうなるのかな。
昨夜の記憶がむしゃむしゃとわき上がり、頬が熱くなった。
そうしたからといって清えるはずがないのに、彼女はタオルをびしよびしょに濡らして赤い跡をごしごし擦る。
リフタンと夜を過ごした時、辛くて恥ずかしかったが、初夜のように惨めな気分にはならなかった。
いや、彼が抱いてくれた時、優しくキスしてくれて、優しく笑ってくれた時、悦惚とした気分さえした。
誰も自分にそんなことをしたことがなかった。
ところが、ずっと自分を気に入らないと思っていた夫が、実は自分を真剣に妻と思っていただけでなく、ある面では彼女を気に入っているようにさえ見えた。
しかも、彼は最初の夜にも、そのまま残したくなかったと言っていた。
『3年前にも討伐などはやめてあなたと一緒にいたかった。あのベッドから出るのがどれほど大変だったのか、あなたは分からないだろう』
彼女は溝鵬する熱気を冷やすためにたらいに顔を浸す。
まるで夢を見ているようだった。
もつれた髪の毛を石けんで繍かく巻いた後、タオルで水気をぎゅっと絞った。
そして、香油をまんべんなく塗って慎重にブラッシングをしていると、再びノックの音が聞こえてきた。
「奥様、お着替えをお持ちしました」
今回もマックはドアだけ開け、服だけ渡された。
黄金色の剌繍が入ったパラ色のドレス。
それを広げると、中にぐるぐる巻かれていた帯と胸ひも、そして下着に見える薄い布が転がり落ちる。
それを見たマックの顔は真っ赤にほてった。
下着は乳母が助けてくれたものとあまり変わらない形をしていたのだ。
顔がすぐにでも燃えてしまうのではないかと思うほど熱い。
こんな素朴な村で、どうやってこんな卑猥な下着を手に入れてきたのだろうか。
まさかこういうのが自分の好みだと思ってるんじゃないよね?
我慢できない羞恥心に顔を包み込んでいると、再びドアをドンドン叩く音が聞こえてきた。
今度はリフタンだった。
「マキシ、服はもらった?着替えは終わった?」
「あ、まだ・・・」
「急いで、早く去らなければならない」
「ちょ、ちょっと待ってください・・・」
彼の短気な声に彼女は着ようが着まいがあまり変わらないような下着を急いで着た。
その上に素早く白ペチスカートをはいて豪華なドレスを頭上にかぶる。
手伝ってくれる人なしに服を着たことがなくて容易ではなかった。
彼女はひらひらとしたスカートを引っ張り、足首まで長めに垂らしてベルトを締めた。
だが、背中にある紐はどうしようもなく肩に痙攣するほどしばらくくよくよしていたが、リプタンが再び神聖にドアを叩いた。
「まだ?」
「あの、あの・・・」
「え?」
「誰か、助けてくれる人、人、一人だけ、呼んでいただけると・・・」
「・・・」
「服の後ろ、後ろの後ろの部分が・・・」
「ドアを開けてみて」
「え?」
「ドアを開けて」
彼の催促に酎えられず、マックは服がこぽれないように片手で握ったままこっそりとドアを開けた。
その間から思いっきり押し入ってきたリプタンが背中の後ろにドアを閉め、彼女の姿を繍心に目を通す。
マックはどうしていいかわからず、慌てて謝った。
「ご、ごめんなさい。はあ、でも、服が・・・」
「怒っているのではないから謝るな。女性の服についよく知らないので、着たり脱いだりするのが不便だということまでは考えられなかった」
彼はだぶだぶのスカートと長めの袖を見下ろして言った。
彼女は気まずい沈黙の中で指をもぞもぞと動かす。
こんな派手な服が本当に私に似合うだろうか。
滑稽に見えるのではないか。
ぐずぐずしているうちに彼は彼女の肩をつかんで振り向いた。
「私がやってあげる」
「あ、あの、あの・・・」
それから紐を握って、用心深い手で一つ一つ結び始めた。
マックはガサガサという音に緊張する。
リフタンは慣れないことのように長い間うろうろして彼女を引き戻した。
「もういいよ」
「ああ、ありがとう・・・」
「近くに泊まっている商人から手に入れてきたものだから、目に入らないだろう。それでも今はこれで我慢して。領地に着いたらもっといい服を用意してあげるから」
マックは瞬きをした。
私が見るにはこの服もとても豪華なのに、彼が見るには全然違うんじゃないか。
少し気が挫ける。
マックは思ったほど贅沢な生活をしていなかった。
クロイソ公爵のすべての厚意はロゼッタに限られていたのだ。
マックが持っている服は全部下女たちがロゼッタの服を作って残った布でざっと作ってくれたものだけ。
こんなに派手な剌繍のある服は着たこともない。
それでもリプタンは彼女が不満に思うのではないかと心配している様子だった。
もしかしたら彼は思ったより派手なものに慣れている人かもしれない。
彼女は乾いた唾を飲み込んだ。
荷物を持ってこなくてよかったと思った。
みすぽらしいクローゼットを公開して恥をかくことを運良く避けたわけだ。
彼女はスカートのしわを伸ばすふりをして平気で話そうとする。
「この服も私、悪くはないです」
あまりにも高慢なふりをしたのではないかと彼の顔色をうかがうと、男は特に気分を害した気配もなく肩の上にローブをかけてくれた。
彼女は注意深くマントのひもをほどく手に目を転がした。
騎士がこのような雑用をしてくれるのがあまりにもおかしい。
それが感じられた。
「さあ、出かけよう」
最後に,彼女の足に革製の首の長い靴をはいてくれたリプタンは言った。
マックは顔を赤らめながらうなずく。
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