こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は285話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
285話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 不本意な別れ③
サロン、最上階の応接室。
肌寒くなった外の天気とは違って、室内の空気は熱かった。
たき火をつけたのではなく、人の体温で空気が温まっていたのだ。
「はあ、はあ」
レンが荒い息を吐きながら繰り返し上半身を起こす。
リハビリが目的の運動だったが、汗をだらだら流す姿は自虐的な酷使に近い。
「524、525・・・」
実際、レンはリハビリを口実に自分自身を虐待していた。
体を悩ませずには、絶えず突き上げる分岐を治める自信がなかった。
それさえもエレナが制御していなかったら、瞬間の感情に勝てず、大公家にむやみに攻め入ったかもしれない。
「あ・・・」
エレナのことを思い出すと、激昂していた感情が和らいだ。
昨夜はレンが人生で経験した夜の中で、最も恐ろしく大変だった時間だった。
これまで憎悪の対象としてのみ見ていた父親の存在に頼っていることを自覚したのだから。
スペンサー子爵の死がもたらした喪失感は、彼を倒すほど致命的だった。
一晩中エレナがそばを守りながら、無駄なことをしないように慰めてくれなかったら、どうなったのか、自分ですら自信が持てないほど。
「私に残ったのは、もうあの子一人だけなんだ」
苦笑いするレンの表情に、露のような恋しさが実る。
いつからだろうか?あの子が心の中にこんなに大きく定着してしまったのは。
「最初はただの好奇心で、関心に過ぎなかったのに」
いつの間にか彼を支える柱になってしまっていた。
コンコンと、ノックの音が聞こえた。
「レン、私です。入りますね」
ちょうど会議を終えたエレナが戻ってくると、彼女は汗だくのレンを見て嫌がった。
「今何してるんですか?」
「ご覧のとおりリハビリ中じゃないか」
「どんなリハビリで死に物狂いでやるんですか!ネビルさんの話を聞いていなかったのですか?今無理をすると健康を害すると言われたじゃないですか!」
エレナが小言を言って叱ると、レンもこれ以上意地を張ることができなかった。
「はいはい、分かりましたよ」
「はあ、まったく・・・。待っていますので、洗ってきてください。話したいことがあります」
「ここで待つの?私はいいけど?」
レンは軽く聞き返していたずらっぽく笑う。
その瞬間、エレナは顔を赤らめたが、わざと平気なふりをした。
「変なこと言わないで、お風呂に入ってきてください」
レンはくすくす笑って浴室に入っていく。
ソファに座ってそんなレンの後ろ姿を見るエレナの目は、どこか悲しかった。
あんなくだらない冗談でも、胸の中の悲しみを忘れようとする努力が、この上なく残念だからだ。
エレナとレンは一晩中多くの話をした。
レンは手に負えないほど弱りきっていて、慰めが必要だったのだ。
エレナは彼の話を聞いて、そばに寄り添っていた。
それだけがエレナがレンのために唯ーできる慰めだと思ったから。
その時間は、エレナがレンという人を深く理解して知ることができる大切な時間だった。
レンがどのように生きてきたのか、スペンサー子爵がどのような存在だったのか、そして自分への彼の愛情まで。
「涼しいね」
シャワーを終えたレンが、タオルで髪を乾かしながらガウン姿で歩いてきた。
まさかあのように出てくるのではないかと思ったが、一寸も予想を外さないレンの行動にエレナが首を横に振る。
「髪は中で乾かして出てもいいじゃないです。服も必ずガウンを着なければなりませんか?」
「ガウンはシャワーを浴びて着ろという服で。シャワーをして出てきた今の私の姿はとても魅力的なんだ」
レンはタオルを首にかけて、エレナの向かいのソファに座った。
エレナはどこに視線を置くべきか分からずにさまよった。
しっとりと水気が残った髪の毛とガウンの間に現れた硬い胸、少し緩んだように朦朧とした視線に向き合うと、不思議な気分になってしまう。
エレナはその感情を隠すために強く出た。
「自分の口でそんな話をして恥ずかしくないですか?」
「恥ずかしいことある?事実なんだけど?」
エレナは呆れたように舌打ちをする。
「結構です。気分はどうですか?」
「おかげさまで」
「それは良かったですね」
エレナは安心して付け加えた。
「明日、スペンサー子爵の葬儀を行うそうです。埋葬地は首都ガイア教団が管理する貴族の墓地です」
「そうなの?」
レンは淡々としているが、胸が痛むだろうということを知っているので、エレナは哀れだった。
「私が行ってきます」
「・・・」
「一晩中考えてみました。レンが行けないなら、私だけでも弔問に行くのが正しいと思います。子爵様の最後は私が守ってあげますから」
一晩中悲しんでいるレンを見て、エレナは悩んだ。
スペンサー子爵を死なせたフランチェ大公に復讐するには、レンが生きていることが知られてはならない。
結局、レンが葬式に行くのは難しかった。
父親の最後の姿さえ見ることができるいないレンの惨愴たる心情を知るためにエレナが乗り出した。
そのとき、レンがぷっと笑いを漏らす。
エレナのその暖かい慰めがなかったら、このように耐えることさえできなかっただろう。
奥ゆかしい目つきでエレナを眺めていたレンが、少しぎこちなく話した。
「ありがとう」
エレナとレンの関係もいいですよね。
エレナの今の気持ちが気になります。
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