こんにちは、ピッコです。
今回は21話をまとめました。
ネタバレありの紹介となっております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
21話
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 女主人の役目③
マックは城の内部施設の巡回を終えて部屋に戻り、注文するものを整理した。
そして翌日、朝になるやいなや図書館に駆けつけ、ルースに間違いはないか確認を頼んだ。
ぼろぼろのカーペットの上に横たわり、本を布団にしてぐうぐうと眠っていた魔法使いは眉間にしわを寄せながらも、文句を言わずに注文書を確認してくれた。
彼はリストをざっと目を通し、いくつかの場所をチェックする。
「油とキャンドルは執事が準備しておいたもので十分です。食器と器は倉庫の中に保管しておいたものがあります。そして、こんなにたくさんの石鹸と香油は一体どこに使うのですか?」
「き、騎士様たちもモ、お風呂とサウナを楽しむと、思って・・・」
「まったく、彼らがこんな高級石鹸や香油を使うと思いますか?花の香りがする物を目の前に突きつけるだけでも、傲慢な顔をするんですよ。貴婦人が使う量だけ注文すれば十分です」
彼は容赦なく線をすらすらと引く。
それから残りの項目をざっと目を通すと、気前よく言った。
「あとはこれくらいなら適切ですね」
「じゃ、じゃあこのまま・・・、ちゅ、注文すればいいですか?」
「いくつか追加しましょう」
彼女は目を丸くする。
彼が何かを買えと言ったのは初めてのことだった。
好奇心に満ちた目で彼が書き留めるのを見ると、人の名前がずらりと埋まっていく。
奴隷でも買うつもりかと思って、彼女はびっくりした。
「な、何を、か、書いているんですか?」
「学者たちの名前です。この方々の著書をあるままに手に入れてほしいと言ってください」
彼女はぼんやりと彼を見た。
「こ、個人的に、欲しい物を・・・、か、買えって言うんですか?そ、それも
書籍のような、高価なぜ、贅沢品を・・・?」
「奥様、知識は何にも比類のない資産です」
彼は非常に真剣かつ厳粛に話した。
「これは絶対に私の個人的な欲望を満たすためのものではありません。この図書館に必要なものです。誰でも来て自由に読める、ということです」
その厚かましい言葉に彼女は口をあんぐりと開ける。
この魔法使いは他の人がここに入ってくるのを、極度に嫌がっていた。
甚だしくは、城の女主人である自分が来ることも気にするほどだ。
率直に言って、ルースは城塔を占領しただけでは足りず、この図書館まで無断占拠しているところだった。
「わ、私は今まで・・・、ル、ルースを除く、他のひ、人がと、図書館を利用することを、み、見たことがありません」
「これからは利用する人が増えるでしょう」
彼が大言壮語した。
マックは疑いの目で目を細める。
騎士たちは一日中練習をするため、グレートホールには食事をする時以外は足を踏み入れなかった。
自分が買う物に関しては、あれほど厳しく口を出してきた人が、自分が望むものには鉄板を敷いて出てくるので、憎らしい。
マックはペンを取り上げ、彼のした通りに線を引いた。
ルースはびっくりして羊皮紙を取り上げる。
「私はこの城の魔法使いです!私の実力が向上するのはこのアナトールにもお得ですよ!」
「じ、自分が必要だからちゅ、注文しようとしているんじゃないですか!それから・・・、こ、この本たちは・・・、ま、魔法書と、ち、違うじゃないですか?」
「そ、それを奥様がどうしてご存じなんですか?」
「わ、私も・・・、2、22年間も、図書館です、住んでいるかのような人です!て、哲学者のな、名前ぐらいは、し、知っているんですよ!」
ルースの青灰色の目はひどく動揺していた。
やはり魔法とは関係のない私邸(私著)が多数混ざっていることは明らかだ。
彼女は会心の笑みを浮かべる。
「こ、こちらをどうぞ。ら、来年も、道路工事があ、あるんですって!こ、こんなにたくさんのほ、本を注文して、できることは・・・」
「お、奥様は、これから生まれる子が、剣しか振り方を知らない馬鹿になってもいいのですか!?」
彼は急いで叫んだ。
紙を取り上げようと腕を伸ばしたマックは、頭の上に熱湯を浴びたかのように顔を赤らめる。
つむじから湯気がゆらゆら上がってくるようだった。
「こ、こ、こ・・・、子供って・・・、な、な、な・・・、何を言ってるんですか!?」
ルースは動揺していた彼女の目の前でさりげなく言った。
「何をそんなに慌てますか。夫婦の間で子供が生まれるのは自然なことです。カリプス卿がまた遠征に出ない限り、今後1、2年以内にこの城にも子供の泣き声が響き渡ることになるでしょう」
「こ、こ、こ、こど、子供って・・・」
あまりにも熱が上がり、目頭が熱くなる。
彼女は両手で顔を包み込み苦労して熱を冷ました。
真っ黒な髪の毛を持った赤ん坊を胸に抱いている想像だけでも心臓がドキドキする。
体をよじっているマックの手をルースがぎゅっと握った。
「奥様はその子を賢く明敏に育てたくないですか?」
「だ、だ、だから、こ、子供は、う、う、う、生まれてから・・・」
「生まれてからでは遅いです!子供は知恵を養分に育つんですよ!あらかじめ環境を整えなければなりません!」
何が遅いのか分からなかったが、魔法使いの勢いに押されて彼女は何の反論もできなかった。
気が抜けている間、ルースは素早く羊皮紙の上に注文リストを次々と書き下ろす。
「さあ、できました」
ほぼ5行を満たしてからやっと彼が満足した顔で羊皮紙を渡した。
マックはむっつりした顔で受け止める。
「こ、こんなにたくさんのほ、本を買って、リフタンが怒ったら・・・」
「カリプス卿はこんな小銭には気にもしないでしょう」
マックは呆然として彼を見た。
いくら世間知らずのマックでも、本がどれほど高価なものかはよく知っている。
父親でさえ、ある本は誰も手をつけられないように押入れに展示しておくほどではなかっただろうか。
ガラスなどとは比べ物にならない。
高価な紙の上に一字一字丁寧に文を書いていくだけでも、途方もない手間と時間が
かかるだけでなく、几帳面に裁縫をした後、革カバーを綺麗に被せ、金箔を塗るのにも多くの費用がかかった。
そこに詩文学や吟遊詩人たちの歌を集めて作った浪漫小説、騎士たちの英雄叙事詩ではない学問書は少数の学者たちが自ら執筆しなければならないために手に入れることも容易ではなく、どうやって手に入れると言っても呼ぶのが価格だった。
マックは不満の声で抗弁する。
「だ、大事にする時は、だ、大事にしないといけないって言って、言っておいて・・・」
「奥様、黄金より大切なのが知識です」
ルースはずうずうしく話し、指定席に座り込んだ。
彼が床に無造作に積み重ねた本の山がその反動でがらがらと崩れ落ちた。
金よりも貴重だというその知識が彼の足の下に無造作に敷かれる。
何か一言つねってやろうかと口をとがらしていたマックは、結局ため息を吐いた。
彼にいろいろ助けてもらっている状況だったので、これ以上強硬な態度を取ることはできない。
「と、とりあえず、い、言ってみます・・・」
「そうしていただければ幸いです。」
魔法使いはつんと返事をし、本を開いた。
マックは首を軽く横に振りながら図書館を出る。
新しく交換した窓から明るい光が入り込み、廊下を白く照らしていた。