こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
138話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 夜明けの侵入者
レリアが少し淡々とした口調で言った。
「…あなたたちが手伝ってくれないなら、私が自分で探すわ。」
「探すって?一人でフレスベルグ帝国へ行くってこと?」
グリピスがやや怒った声で返した。
ロミオも気まずそうに頭をかいた。
「レリア、助けてあげたいけど…わかってるだろ。あいつはグリピスの神聖力でも、俺の魔法でも追跡不可能なんだ。それに、フレスベルグ帝国にいるかどうかも確かじゃないし。」
「でも……」
そのときだった。
「近くにいるよ。」
眠っていたカーリクスがぽつりと口を開いた。
「えっ?」
「オスカーのことだよ、近くにいるって。」
グリピスとロミオは、くだらない戯言でも聞いたかのような表情で彼を見た。
レリアだけが目を輝かせて、カーリクスにもう一度尋ねた。
「どういうこと?カーリクス、詳しく話して。」
「ただ…匂いがするんだ。」
「変態野郎……」
カーリクスの返答に、ロミオは呆れているようだった。
だがすぐに表情が曖昧になった。
あの狂った奴は、嗅覚や勘だけでレリアを見つけ出した。
本人は匂いだの、勘だの、本能だのと語っていたが、実際のところはっきりしたことはわからない。
いくらなんでも身体能力が普通の人間と違うからといっても、ちょっとおかしいだろう。
ロミオは険しい表情でレリアを見つめた。
レリアの顔には、何かを決意したような確信があった。
「…わかった。」
そう答えると、あっさりとお茶を飲み始めた。
グリピスとロミオは互いに睨むように目を向けられた気がして、カーリクスは鼻をいじりながらデザートを食べ始めた。
ティータイムのあと、レリアは友達としばらくおしゃべりをしていて時間を忘れ、遅れて夕食を取ることになった。
「あなたたち、なんでこんな遅い時間に食事してるの?」
食事中、カリウスおじさんが食堂に入ってきた。
おじさんも遅い夕食をとるつもりだったようだ。
そうして五人で食事をすることに。
おじさんは今日に限ってなぜか上機嫌に見えたが、実は母と二人で散歩に行ってきたのだという。
「もう僕のことを少しは楽に感じてくれてるみたいだよ。そりゃそうさ。僕が一番お姉さんと仲が良かったんだから。」
叔父は得意げな表情で言った。
「よかったです、おじさん。」
「これは全部お前のおかげだよ、レリア。本当に…」
また泣きそうになったのか、叔父の目が赤くなり始めた。
でも友人たちの前だからか、必死に涙をこらえていた。
「グリピス、お前にも感謝してるぞ。」
カリウス叔父の言葉に、グリピスは「いやいや」と笑った。
一時はグリピスに対して深い裏切りを感じていたが、今では家族たちも再びグリピスをありがたく思っていた。
レリアが自ら動いたからだった。
その件はグリピスの意志ではなく、神殿による出来事であり、誤解だと説明したのだった。
実はレリア自身も混乱していた。
本当に誤解だったのかどうか、いまだに確信は持てなかった。
ただ、母を目覚めさせてくれたグリピスを、家族が憎むようにはしたくなかった。
「そうだ、こんなことじゃダメだ… こんなにいい日なんだから、じっとしていられないよ。せめて一杯やろう。君たちも一緒に飲もう、どう?」
本当に気分が良かったのか、叔父さんは急に使用人を呼び、貯蔵庫から酒を持ってこさせた。
注がれた酒は、甘い香りとは裏腹に、とても強い酒だった。
「これね、実は父さんがすごく大事にしてたやつなんだ。俺が勝手に開けたって知ったら、黙っちゃいないだろうな。」
叔父はそう言いながらも、ためらうことなく酒を注いだ。
カーリクスは叔父と戦場で酒を酌み交わして仲良くなったのか、調子に乗って飲み始めた。
ロミオとグリピスは一応、叔父の相手をしていたが、酔いが回り始めるとグラスを置いた。
だがレリアは、一口飲んだ後はまったく口をつけなかった。
叔父が友人たちにはしきりに飲ませようとしていたが、レリアには強く勧めない様子だった。
こうして食事が終わった後。使用人たちが酔っ払った叔父さんを運び、ロミオはあきれ顔でカーリクスを見つめた。
カーリクスは酔ってテーブルにぐったりと倒れていた。
「私がレリアを送ってくるから、あなたはカーリクスを運んで。」
グリピスがロミオに伝えるようにそっと立ち上がった。
ロミオは怒った顔をしていたが、結局カーリクスをずるずると引っ張っていった。
そしてレリアはグリピスと共に部屋の前まで歩いてきた。
「ありがとう、グリピス。」
「たったこれだけのことで感謝?」
グリピスは笑みを含んだ声でそう尋ねた。
少し酔いが回ったのか、彼の顔が赤らんでいる。
レリアは視線をそらした。
「そうじゃなくて… お母さんを目覚めさせてくれて本当に感謝してるの。」
「その言葉、何回目か知ってる?」
「…それでも。」
「本当に感謝してるなら……」
グリピスは熱を帯びた目でレリアを見つめながら、言いかけた言葉を飲み込んだ。
酒が入っていたせいか、このままでは一線を越えてしまいそうだった。
「…ダメだ。」
グリピスが視線をそらすと、レリアは少し慌てたように早口で言った。
「私に頼みたいことがあったら何でも言って。あなたのお願いごとなら… 何でも聞いてあげる。変なことじゃなければ。」
「…変なこと?それって何?」
眉をひそめながら、レリアの額にしわが寄った。
グリピスは大声で笑いたい気持ちをこらえた。
しかし、くすくす笑うのを我慢するのは難しかった。
「からかわないで。ただ私は感謝の気持ちで言っただけなのに、あなたは……」
「ごめん、レリア。とにかく本当にお願いを聞いてくれるって言うなら…それは少し取っておくよ。後で本当に必要なときに言うから。」
「…うん。」
グリピスは微笑みを浮かべた目でレリアを見つめていたが、そっと手を引っ込めた。
「………」
温かな手がレリアの頬にそっと触れた。
熱のこもった体温が、寒い夜でも不思議と染みわたるようだった。
レリアは一歩下がって、扉を開けた。
「じゃあ、私は寝るね。あなたも部屋に戻って。」
「…うん、おやすみ、レリア。」
グリピスは名残惜しさを隠しながら言った。
もう少し近づきたかったが、今は危険だった。
ちょっとした過ちで今の関係が壊れてしまうのは避けたかった。
どうせそう遠くない未来に手に入るものなら、焦らずにゆっくりと進める方がいい。
酔いのせいで頭がふらついた。
精神力でも酔いを抑えるのは難しかった……。
もともとこんな強い酒はまったく口にしないタイプだった。
酒を勧めた人がレリアの叔父でなかったとしても、決して飲まなかったはずだ。
「そうだ、それと。」
扉が閉まる前に、グリピスが彼女を呼び止めた。
レリアは振り返ってグリピスを見た。
「…少しの間、また神聖区域に戻らないといけないんだ。」
「…わかった。」
グリピスの言葉に、レリアは従順にうなずいた。
その瞬間、グリピスは衝動を抑えきれず、思わず顔を背けた。
まるで「君のものなら何でも言うことを聞く」と言っているような態度でうなずくその姿が、なんとも愛おしかったのだ。
ぎゅっと握った拳に力がこもった。
すぐにでもあの部屋に引き込んで、唇から奪いたい衝動にかられた。
胸が苦しくなるほど、息もできないほど、閉じ込めておきたかったのに…。
レリアは不安そうに彼を見つめ、部屋の扉を閉めた。
カチリ。
扉が閉まると、グリピスは理性を取り戻した。
彼はしばらく扉の前に立ち尽くしていたが、名残惜しさを押し殺してその場を離れた。
部屋に入ったレリアはすぐさま浴室へ向かった。
ほんのひと口しか飲んでいないのに、まだ少し酔いが残っていた。
冷水で体を洗って出ると、いつの間にか酔いは覚めていた。
レリアは髪を乾かした後、しばらく部屋の中でうろうろしていたが、何かを決意したように立ち止まった。
「錬金。」
ㅇㅇㅇ_ㅇ
「寝たふりはできる…いや、眠れないようにする薬ってないかな?」
もちろん最近はなかなか寝つけず、遅い時間になってようやく眠れることが多かったが…今日は最初から一晩中起きているつもりだった。
そのためには何かしらの助けが切実に必要だった。
【あっ!(°ㅁ°)!! 試験期間なのにうたた寝したって!?上司に見られているのに眠気が襲ってくるって!?そんなあなたに『超強力カフェイン』をおすすめします!(・_・)/】
レリアは「ありがとう」と言いながらふらふらとレシピ一覧を探しに行った。
レシピが非常に多いため、錬金の助けを借りるとやはり早かった。
レリアは材料が揃っていることを確認し、すぐさま錬金薬を作ってインベントリから取り出した。
そして薬を口に含んだ瞬間、メッセージが表示された。
※(副作用:3日間眠れません ㅎㅎ)※
「なんでそれを今さら……」
レリアは眉をひそめながら空っぽになった薬瓶を見つめた。
まさかそんな副作用があるとは。
分かってたら、少しだけ飲めばよかったのに…。
レリアはしばらくそわそわしたあと、結局ベッドに横たわった。
薬の効果は確かだった。
ベッドに横になっても、まったく疲れた感じがせず頭は冴え渡っていた。
レリアはしばらく寝返りを打ちながらあれこれと考えていたが、絵がかかった壁側を向いた。
美しい風景が描かれたその絵は、幼いころからずっとレリアの部屋に掛けられていた。
レリアはしばらくその絵だけを見つめ、目を閉じた。
窓に背を向けたまま眠ったふりをした。
そうして目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませた。
一定のリズムで呼吸を整えようとした。
すると閉じた窓の向こうから、かすかな風の音、草が揺れる音が聞こえ始めた。
彼女が待っていたのは、夜明けの侵入者だった。
「きっと来る。」
今日の昼間、カーリクスの言葉を聞いてレリアは確信した。
朝感じたオスカーの香りは幻ではなかった。
カーリクスの言葉通り、オスカーは遠くない場所にいるはずだ。
レリアは昨夜と同じように、今日もオスカーが自分の部屋を訪れると思っていた。
お願い、どうか…。
レリアは目を閉じ、手をぎゅっと握りしめながら、必死に祈り続けた。
そして、ある瞬間。
すっ…。
音もなく窓が開き、部屋の中へと冷たい夜の空気が入り込んできた。
黒い影が静かにベッドへ近づいてきた。
ほんの少しの足音すら立てない、静かな動きだった。
だがレリアは、鼻先に漂うかすかな香りを感じ取っていた。
懐かしくも切ない、そしてほんのりと哀しみを帯びた香りだった。
レリアは目頭が熱くなるのを感じた。
鼻先まで来るまでは、決して動かず、目を閉じて待っていた。
「………」
侵入者はベッドの近くまで来て、静かに立っていた。
息すら漏らさず、かといって手を伸ばして眠っている彼女に触れることもなかった。
ただ、背を向けて横たわる華奢な背中とただ黒い髪を見つめることしかできなかった。
そうしているうちに、黒い人影がゆっくりと離れていき始めた。
その瞬間、レリアは本能的に彼が去ろうとしていることを感じて立ち上がった。
「オスカー…!」
今ではその名前を口にするたびに胸がしびれるようだった。
名前を呼びながら、一瞬で黒い人影に飛びついて引き寄せた。
大きくてがっしりした体が無抵抗に引き寄せられた。
彼の体はまるで意識がないかのようにベッドの上に倒れ込んだ。
レリアは涙でいっぱいの目で、黒いフードを外した。
窓から差し込む淡い月光が照らし出された。
赤い目が戸惑いながらも彼女を見つめていた。
「オスカー…オスカー。」
涙ぐんだ声で彼を呼び、そのまま強く抱きしめた。
また彼が離れてしまわないようにと、しっかりとした腰をぎゅっと抱きしめて離さなかった。
「………」
オスカーは彼女を抱き返すこともせず、かといって突き放すこともできず、ただそのまま立ち尽くしていた。
氷のように固まってしまった彼の態度に、レリアは次第に不安を覚えた。
ゆっくりと体を離し、彼の顔を見上げた。
「………」
「どうして、どうしたの?どうして何も言ってくれないの…」
レリアはそっと手を伸ばし、彼の頬に触れた。
冷たい体温に、不安がこみ上げてきた。
「痛いの…?どこが痛いの?医者には行ったの?」
「………」
静かに問いかけても返事はなかった。
やがてオスカーは無言で彼女の手首をつかんで振り払った。
手のひらに伝わっていた冷たい体温が消え、気まずい沈黙が流れた。
オスカーは何の感情も感じていないような、無機質な手つきで彼女を押しのけた。
「…オスカー。」
彼はすぐにベッドから体を起こした。
レリアにはそのあと彼が何をするのか予想がついていた。
結界を作って消えるか、あるいは窓の外へ逃げるか。
「ダメ、行かないで!」
レリアは素早く彼の腰にしがみついた。
広い背中に額を押し当て、必死に懇願した。
「行かないで… 行かないで、お願い… オスカー、行かないで。」
もう一度顔を合わせてみて、これまでどれほど恋しかったのかを痛いほど感じた。
その恋しさに耐えて、また耐えてきた。
やっと再会できた瞬間に、冷たく突き放すオスカーの態度はあまりにも酷かった。
どうして…。
あんなに私を恋しがっていたのに、あんなに想いを向けてくれていたのに、なぜ突然…。
「どうしてなの、オスカー…私と…私と話をしてよ。ね?」
「………」
オスカーはまるで犬がぎゅっと縛られたようにしばらく立ち尽くしていた。
ぎゅっとこわばった彼の腰の筋肉がぴくりと動いた。
そして彼はゆっくりと体をこちらに向けた。
「僕は……」
か細く掠れたその声に胸が締めつけられた。
「痛いの?すごく痛いの?」
「………」
「私に話して、お願い……」
オスカーは泣きながら懇願するレリアの顔を見つめた。
こんな顔は初めてだった。
こんなふうに泣きながら哀願する姿は……領地に残していかないでと懇願していたときでさえ、こんな顔ではなかった。
オスカーは頭が混乱していた。
妙な気分だった。
最後にレリアが言った言葉が、再び頭の中でこだまのように響いていた。
いっそのこと、あなたがすべてを捨てて私のところへ来て。
そうすれば私も…あなたを受け入れられると思うの。だから、もし…もしあなたが皇位を捨てることができるなら…シュペリオン領地から出てきて…。
最後まで聞けなかったその言葉が気になっていた。
君は、僕に一体どんな話をしようとしていたんだろうか。
罪悪感にさいなまれながらも、あの瞬間のことが気になって仕方なかった。
「僕は……」
オスカーはまるで言葉の話し方を忘れてしまったかのように、また言葉を詰まらせた。
そのとき、レリアが再び彼の胸に飛び込んだ。
「あなたは、行かせない。」
そして震える声で、断固とした口調で言った。
警告が嘘ではないというように、彼の腰にしがみつく腕にも力がこもっていた。
オスカーは彼女を見下ろした。
これほどの力で自分を引き止められるはずがないのに、レリアは呆然としたままだった。
「…行かなきゃ。」
「ダメ….」
「君のそばにはいられない。」
レリアにはこの状況が可笑しく思えた。
かつてオスカーに追い詰められたときとは、まったく逆の立場だった。
必死に彼女を引き止めようとしていたオスカーは、今や自分から離れようとしていて、その彼を自分が引き止めようとしている。
どうしてこんな状況になってしまったのだろう。
「約束したじゃない。」
「………」
「私が、君のそばにいるって約束したじゃない。」
「………」
「オスカー。私があなたを守るから。ね?」
「…一生?」
「…うん、一生。だから、怖がらないで。」
幼い頃の約束が思い出された。
レリアは今さらこんなことを言う自分自身がおかしくてたまらなかった。
もしあのとき真剣に気持ちを伝えていたら、少しは違っていたのだろうか?
そうだったら、あなたと私は……。
腰に回した腕にもう少し力を込めた。
少しでも力を緩めたら、オスカーが目の前から消えてしまうのではないかと怖かった。
オスカーが警告するようにつぶやいた。
「後悔するよ。」
「………」
「僕を恨むことになるよ。」
オスカーの言葉に、レリアは首を横に振った。
彼の胸に顔をうずめたまま、強く否定した。
「きっと息が詰まって死にたくなるよ、僕のそばにいたら、君は……」
レリアはついに彼の言葉を遮った。
衝動的に手を伸ばし、オスカーの頬をつかんで引き寄せた。
冷たい唇が触れた瞬間、胸が締めつけられるようだった。
ぎこちない動きで、必死に唇を重ねた。
母鳥を探す雛のように、彼の唇が切なげに開いた。
だが、オスカーは一切反応を返さなかった。
その静けさに、切なさがこみあげてきた。
ひょっとして、オスカーの心はもう遠くへ行ってしまったのか──
もうどうなってもいい、と思った。
そのとき、不意に後ろ髪をつかまれた。
「…っ!」
力強い手が彼女の髪の間に入り込んだ。
後頭部を押さえられ、迫ってきた唇が彼女に深く重なった。
最後の記憶にあった荒いキス。
だが、かつてのように怒りが混じっていたキスとは違って、ただひたすらに甘くて切なかった。
何も考えられなかった。
レリアはオスカーの首に腕を回し、激しく彼を受け入れた。
冷たかった唇がだんだんと熱くなっていった。
あまりにも強烈な接吻に、理性を保つのが難しくなった。
耳元で鐘の音が聞こえるような錯覚すら覚えた。
降ってもいない雨が窓を打つような気配がした。
そうだ、雨が降ってる。
雨が降っているから、大丈夫。
レリアはぎゅっと目を閉じた。
休まずに走ったように息が荒くなった。
これまで押し殺していた気持ちが嘘のように、彼は堰を切ったように彼女にしがみついた。
「はぁ……」
唇が離れた瞬間、レリアは彼がまるで幻想のように消えてしまうのではないかと不安に駆られた。
「……ごめん。」
オスカーが小さくつぶやいた。
レリアは首を振った。
そんな言葉は聞きたくなかった。
今はただ……再び唇が重なった。
さっきとは違い、やさしく柔らかなキスだった。
オスカーは彼女の柔らかい唇を優しく掴んでなぞった。
あまりの感覚にうっとりして、甘く切ない吐息が漏れた。
やがて彼のキスは唇からうなじへと移っていった。
レリアはオスカーが少しでも離れてしまうのが怖くて、彼の頭を抱きしめた。
その柔らかな髪が手に触れ、妙な感覚が込み上げてきた。
だがそれも束の間、オスカーの冷たい手が服の隙間に入ってきた瞬間、目を見開いた。
「ちょっと… 私は……」
私はどうしたらいいのか分からない……その言葉の続きを、彼の唇がふさいだ。
オスカーは彼女の唇と頬に細やかにキスを散らした。
涙のように優しい口づけ。
彼はまるで演奏するようにゆっくりとキスをしながら、レリアの許しを待っていた。
そしてついに彼女が頷いた。
それからは何も考えられなかった。
初めて感じる感覚に、現実ではなく夢の中にいるようだった。
自分の唇の隙間から漏れる声が恥ずかしかった。
オスカーは彼女の体中にキスを落とした。
彼の唇が触れるたびに、熱い烙印を押されるようだった。
熱い吐息が理性を吹き飛ばした。
冷たいと思っていたオスカーの体は、まるで炎のように熱かった。
レリアは炎の中に飛び込むような気持ちだった。
どうしようもなく揺れて、ぶるぶる震える声で告白した。
「オスカー、私は… 私は、あなたを……」
愛してる、私はあなたを……
小さな告白はやがて震えるような息に変わった。
視界がかすむほど震えた。
今にも壊れそうなほど、オスカーの首に必死でしがみついた。
彼は決して崩れないかのように、しっかりと彼女を抱きしめた。
じっとこちらを見つめながらのしかかる彼の重みが心地よかった。
幻のように揺れる赤い瞳孔が目の前で揺れていた。
狂気に染まったその瞳が、もはや恐ろしくはなかった。
むしろ、燃えるように熱く、優しかった。
オスカーは「後悔する」と言ったが、レリアには確信があった。
どれほど時間が経とうとも、この夜のことだけは決して後悔しないだろうと。
やけに長い夜だった。