こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は50話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
50話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 気まずい沈黙
「殿下、私はこれでお暇いたします」
シアンは視線さえ合わさず、ページをめくった。
横暴な態度にも見えるが、むしろあのような姿に慣れていたエレナは何も気にしなかった。
本を持って立ち上がると。
「それらを読もうと思って来たのではないのか?」
「え?」
エレナが問い返すと、シアンは本から目を離さずに淡々と話した。
「席を移す必要が?もう話しかけないのだから、そこに座ればいい」
「・・・」
一瞬だけ顔が歪みそうになる。
シアンは何も気にせずに言ったのだろうが、エレナにとっては重い言葉だったから。
「殿下のおじゃまになるかと思って・・・。お気遣いありがとうございます・・・」
何か言い訳をしようと考えたが、結局、エレナは椅子を引いて向かい側に座ることを選んだ。
今後も数回は出会うだろう。
いつまでも避けることもできないので、不便でも享受することを決めた。
静寂の中でページをめくる音だけが聞こえる。
かなり長い時間が経っても、どちらも話しかけなかった。
先に立ったのはエレナ。
読書の邪魔にならないように静かに礼を尽くし、足音も立てずに閲覧室を去る。
「・・・」
彼女が閲覧室を離れてまもなくシアンが頭を上げた。
彼の視線は先ほどエレナが座っていた椅子に。
何を考えているのか分からないが、シアンはしばらく空席から目が離せなかった。
- side セシリア
ラファエルはエレナが描いた肖像画を眺めていた。
深い想念のこもった視線は、単にそれを見るのではなく、絵の本質に近づことする足掻きのように思える。
「まだこうしているの?」
いつものように片手に食べ物をいっぱい持ってきたセシリアが心配そうな目でラファエルを見る。
「そうだね・・・」
「悩んでるんじゃないの?絵は描くことによって発展するものじゃないの?」
「私もそう思っていたけれど、そうじゃなかった」
ラファエルはイーゼルにかかった肖像画をじっと見る。
構図やバランス感に欠けるだけでなく、明暗の表現も素晴らしくない。
よく見てみると、限りなく水準に満たない絵。
その程度なのに、見ていると吸い込まれそうなくらいに目が離せない。
この絵に感じられる温かく幸せな雰囲気に魅了されたような錯覚に陥った。
「休んだらどう?休息も努力の一部だと言うじゃない?」
ラファエルは首を横に振った。
「あまりにも遠すぎる」
「私が見るに、あなたの絵は今芸術界デビューしても絶賛を浴びるに足りる水準よ」
セシリアの言葉は正しかった。
今まで彼はエレナの助言で成長してきた。
しかし、ラファエルは同意しない。
「肖像には生きているその人の人生が見える」
「ルシアちゃんの肖像には、それが含まれていると言いたいの?」
「うん」
セシリアは視線を逸らして、イーゼルにかかった肖像画を見つめた。
「ごめんなさい、ラファエル。私には分からないわ」
彼女はただ感じたままを率直に話した。
エレナに悪感情はなく、単純に絵そのものを比較したとき、ラファエルの方が圧倒的に優れているからだ。
「どうして来ないのかな?以前は周期的に来たのに」
「ルシアちゃん?」
あの日のエレナを思い出す。
絵を完成するや否や、涙を流していた彼女の姿が頭から離れなかった。
「なんで泣いていたのだろう?」
「あの子泣いたの?」
「うん、痛みを感じたように泣いてた」
「・・・」
セシリアはラファエルから目を離せなかった。
どことなくいつもと違う視線だったが、彼はそれに気づいていない。
「私が会ってこようか?」
「やめてくれ、彼女に負担をかけたくない」
ラファエルはそれを望んでいないかのようにセシリアを引き止めた。
「もう少し待ってみようと思う。僕がそうしたいから」
「・・・」
セシリアはふと彼に聞きたかった。
あなたは一度でも私を待ってたことがあるのかと。
しかし、その言葉が負担になるかもしれないので、いつものように明るく笑う。
「よし!ルシアちゃんならまたすぐに戻ってくるわよ。だから、あなたも頑張って待ってなさい」
「そのつもりさ」
ラファエルはそう言って笑顔を浮かべる。
数日ぶりに彼の微笑みを見ることができたが、セシリアはどことなく寂しかった。
それで無理にもっと明るく笑う。
いつもそうだったから。
- 美術商としての第一歩
馬車の中には高価な数十点の絵画。
カリフはエレナに貰った金額を全部投資してこの絵を買った。
今日は美術商として第一歩を踏み出す日。
これまで準備してきた全てのことを結果で評価される日でもあった。
「初めてのお客様がベロニカ公女だなんて・・・」
カリフが緊張するのも当然だ。
帝国を牛耳るフリードリヒ大公家の一人娘。
そのようなベロニカ公女と美術商として取引を始めることができるというのは、夢のような機会。
カリフはルシアも一緒にベロニカ公女に会うと予想していた。
ルシアと親交があるというから、その方が取引にもっと肯定的に作用すると考えたから。
ところが昨日、ルシアは「一緒に行かない」と言って彼を困惑させたのだ。
『行けない理由ですか?お父さんにバレたら怒られるからです。私は紹介だけ、先輩は取引だけ、公女殿下は購入。これが一番綺麗で、後腐れのない取引です』
確かに彼女の考えには、一理あった。
「それでも私だけが苦労している気が・・・」
体が二つあっても足りないほど、仕事量があるといっても過言ではない。
「はぁ・・・、つまらない事を考えるのはよそう。今日だけは失敗するわけにはいかないのだから」
カリフは独り言を言いながら、自分の気持ちを引き締める。
そして、ベロニカ公女の単独寮の前に到着した。
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