影の皇妃

影の皇妃【52話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「影の皇妃」を紹介させていただきます。

今回は52をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。

皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。

そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!

自分を陥れた大公家への復讐を誓い…

エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。

リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。

フランツェ大公:ベロニカの父親。

クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。

イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。

レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。

フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。

ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。

アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

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52話 ネタバレ

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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • リアブリックの手紙

絵を譲渡したカリフは丁寧に別れの挨拶をした後、寮を出た。

最初の取引を成功し、軽い足取りで馬車に乗る。

「やっぱり、公女は公女だなね。一般貴族の端くれとは格が違う」

中途半端な貴族であればあるほど、恩着せがましく振る舞う。

没落貴族出身のカリフは、そんなつまらない貴族を幼い頃から見てきた。

しかし、エレナは違った。

ここまで衝撃的な買い入れ金額を聞いたことがない。

「『大公家の財力を集めると帝国を買える』と言う言葉はあながち嘘でもないのかもな」

カリフは成功した最初の取引を、ルシアにどうやって自慢しようかと悩んだ。

「彼女もこの話を聞いたら、驚くはずだ」

同時刻、2階の寝室の窓際に立ったエレナは、馬車を引いて遠ざかるカリフを見下ろしていた。

リアブリックの目を盗んで自分を助けてくれる人物を見つけることにようやく成功した。

そうして得た人材たちがそろそろ自分の役割を果たしていくのだろう。

「アン、外にいるの?」

エレナの呼びかけに、後片付けをしているアンが上がってきた。

「呼びましたか?お嬢様?」

「絵の包装は終わったの?」

「はい、お嬢様。衝撃を受けないように3重ずつにしております」

「お疲れ様。『若い女性の肖像』だけ下の階にかけておいて、残りはすべて大公家に送ってちょうだい」

「はい、お嬢様」

「後、これはリアブリックに送る手紙よ」

アンは手紙を受け取り、振り返って1階に降りて行った。

「私が芸術品を収集するとしたら、リアブリックはどんな反応を見せるのかしら?」

見なくても分かる。

お前如きがという表情を浮かべていることだろう。

彼女に初めて会って以来、見栄っ張りで我儘な令嬢を演じてきたのだから。

「今後も、大公家の名前が付けられた借用証書は増えていくでしょう」

信用証を書いて光を得るのはエレナだが、その光を返すのはリアブリックの仕事だ。

 



 

  • ラファエルの画室に

エレナは久しぶりにルシアに変装した。

これまで見られなかったラファエルの画室を訪ねるため。

「はぁ・・・。なんで絵を描くなんて言ったんだろう」

まだあの日のことを思い出すと、穴があったら入りたかった。

無茶苦茶な絵を描いたのもそうだが、ラファエルの前でポロポロ涙を流したからだ。

これ以上の醜態があるだろうか?

エレナは木の扉を開けて、画室に入る。

イーゼルにキャンパスを掲げ、座っていたラファエルと視線が合う。

「「・・・」」

数秒も経たないうちに静寂が訪れる。

エレナは妙に気まずい思いをした。

「絵を描いていましたね。お邪魔でしたか?」

「いいや、ルシアちゃん。久しぶりに会えて嬉しいよ」

一見、普段と変わらない淡々とした挨拶だったが、今日に限ってラファエルの声に深い喜びが滲んでいた。

「私もです、先輩。あの時は・・・、すみませんでした」

「心配したよ」

「私なりに役に立ちたかったのですが・・・。え!どうして私の絵がかけられているのですか!?」

壁にかかっている自分の絵を見て慌てた。

顔が赤くなるのを止められない。

「あそこが一番良く見えるから」

「そんな事はありません。誰かに見せれる絵ではありませんから」

エレナが絵を下ろそうとすると、ラファエルは思わず手を伸ばして彼女の手首を掴んだ。

「そのままにしておいてください」

「離してください、先輩」

「あの絵を見ていると、私が今まで描いた全ての絵が嘘のように感じられるので、常に見えるようにしておきたいんだ」

ラファエルの声は真剣だった。

そんな姿にエレナはそれ以上何も言えなくなる。

「・・・私の絵が、先輩のお役に立てるのなら」

「理解してくれてありがとう」

「すみません、そろそろ手を離してもらえると・・・」

「・・・」

ラファエルはようやく気が動転したのか、手を引いた。

動揺している彼を見て、エレナは話題を変える。

「絵は上手になりましたか?」

「いいや」

ラファエルは苦笑いを浮かべる。

申し訳ない気持ちになった。

(どうしよう?このままスランプに勝てないままだと・・・)

憂いが深まる。

私に出来ることはないのだろうか?

「あ!」

ふと脳裏にいい考えが浮かぶ。

この方法なら良い効果があると確信した。

 



 

  • 師弟の関係

「先輩」

エレナの静かな呼びかけに、ラファエルが視線を合わせる。

何かを言おうとしている彼女の姿が可愛く見える。

「・・・」

何かに取り憑かれるように、ラファエルはじっとエレナを見つめた。

今、エレナの微笑の上に、あの時の息もできずに泣いていた姿が重なる。

その表情がラファエルの目を離さなかった。

「絵を習いたいのです。基礎からきちんと着実に」

「今、私から絵を習うつもりですか?」

「ここに先輩以外に誰がいますか?」

「それはそうだけど・・・。あまりにも意外だったので」

思いがけない提案に、ラファエルはどうしたらいいのか分からなかった。

何と言うか、初めて会った時もそうだが、エレナは彼を戸惑わせる才能があるに違いない。

教えながら学ぶという言葉がある。

エレナは不十分な自分を通して、ラファエルがもっと発展するきっかけを与えたかった。

「先輩の負担になるでしょうか?」

「そんなはずが!」

ラファエルは落ち着きを取り戻す。

「実は私も残念だったのです。ルシアさんの才能なら、私よりも立派な画家になれるかもしれないのですから」

「じゃあ承諾してくれるのですね?後で面倒くさいって言ってもダメですよ」

「ルシアちゃんこそ、覚悟してください。私はちょっと厳しい方なので」

「それでは、よろしくお願いしますと言う意味で握手しましょう」

エレナは細くて白い手を前に突き出してニッコリ笑った。

(前の人生でも、この人生でも、あなたは私の先生なのですね)

ラファエルはこの状況が気まずいのか、照れくさそうに笑いながら握手をした。

内心では新しい関係の形成に喜んでいる自分を、彼は発見したのだ。

「今日の授業は、大丈夫でしょうか?」

「できない事はないでしょう」

ラファエルも快く応じる。

そうやって、もう一度結ばれた師弟間の最初の授業をしようとする時だった。

「ここで合っているのかな?」

 



 

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