こんにちは、ピッコです。
「幼い旦那様の黒幕妻です」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
45話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 災厄の目覚め
「ふふ、本を読んでいるの? 面白いものなんて載っていないと思うけど」
夢中になっていたせいか、ウィンターの突然の声に思わず肩を震わせた。
慌てて日記を適当な場所へ置こうとしたものの、手元が狂って日記はまた床へぽとりと落ちてしまう。
「…………」
なんで毎回こうなるの!?
ウィンターがじっとこちらを見つめていたので、私はぎこちなく笑った。
「こ、これ……借りてもいいですか?」
「構わないけど、むしろ絵本のほうがいいんじゃないか? その文字は誰にも解読できないからな」
……誰にも読めないからこそ都合がいい、と言うべきだろうか。
私はソファに腰掛け、誰かの日記帳を膝の上に載せた。まるで私が持ち帰ることを分かっていたかのように、その日記帳は崩れることなく静かに収まっていた。
「ほら、飲め」
ウィンターがココアを差し出し、私の反応を待っている。
一口飲むと、ぱっと目が輝いた。
「わあ、おいしい!」
熱いことも忘れて、少しずつ夢中で飲み始める。その様子を見て、ウィンターは満足そうに微笑んだ。
「作った甲斐があったな。キブリンは味にうるさくないから、何を作っても全部おいしいって言うんだ」
私は首をかしげた。
「公爵様ですか?」
「味覚がおかしいわけじゃないらしいんだが、どういうわけか分からないな。まあ、その話はまた今度にしよう。それより、今日のお茶会で何があったのか詳しく聞かせてくれないか?」
「あ、はい!」
私は、マカロンがおいしかったことや、ソフィア公爵夫人が「公爵様はもっと日光に当たるべきだから」と、一番日当たりの良い席を譲ってくれたことを話した。
「それで、お祭りの話になったんですけど……」
私はそこで言葉を止めた。
――そのくらいのことなら、公爵閣下や奥様から当然聞いているはずですよね。本当に公爵様を大切に思っているなら。
前世の記憶が消えてしまったせいだろうか。さっきは気にも留めなかったスカーレットの言葉が、棘のように胸へ刺さった。ウィンターやメネリクは今でも十分私のことを気にかけてくれている。それなのに、当然知っているはずの常識すら教えてくれない人になってしまった。
「……私、明日からまた授業を受けます」
突然そう言われても不思議だったはずなのに、ウィンターは頬杖をつくだけだった。
「少なくとも十日くらいは様子を見てから決めると思ってたんだが」
「自分の体のことは自分が一番分かっています。もうすっかり良くなりました」
無理に明るく言った私の声に、ウィンターはくすりと笑った。
「俺の言うことなら何でも『いい』って従ってたチェリアが、ずいぶん変わったな。……それとも、あいつらが公爵領の祭りについてよく知らなかったせいで、意地でも張る気になったのか?」
「えっ……」
「お前は昔から自分自身を厳しく評価しすぎるからな。私やキブリンのことは気にせず、自分だけで勝手に傷ついていたんだろう。さて……私がそういう知識まで教えてやらなかった、と言っていたな?」
私は思わず口を開いた。
「どうして分かったんですか!?」
望遠鏡でお茶会を見ていたと言われても信じてしまいそうなほどの推理力だった。
ウィンターは満足そうな表情で言った。
「もっとお前のことを知りたくて、普段からよく見ていたからな。お前は、たとえ私の勘違いでも『そうです』と言って合わせるような子じゃない。違うか?」
私は引き込まれるようにうなずいた。
「お母様のおっしゃることは全部信じています!」
ウィンターは再び話を続けた。
「私の嫁の名誉を守るためにも、来年の祭りは盛大に開かなければな。それから春祭りが中止になった理由は単純だ。毎年用意するのが難しい賞品を懸けて狩猟大会を開くようになったせいで、ほかの祭りとは違って、結局は殴り合いのような騒ぎになってしまってな」
何か大事件でも起きたのかと思っていたが、理由は思ったより単純だった。
(それなら、スカーレットが最初から教えてくれてもよかったのに)
私のぽかんとした顔を見て、ウィンターは面白そうに笑った。
「ふむ。それよりも、リントン家の令嬢が公爵家の三男に興味を持たなかったとは残念だな。これほど愛らしいのだから、放っておかれるはずがない」
お義母様は、私のことを少し買いかぶりすぎではないでしょうか。でも、私もお義母様のことが好きだから、それでいい。
私はそのまま、その後にあった出来事をすべて話した。メネリクに会ったとき、神父のことを思い出したと話すと、ウィンターは腕を組んだ。
「首都では、イステバン・メイオルは変わり者として有名で……そういう人だった。社交行事にはまったく顔を出さないから、新顔として放り込まれても、すぐに気づく人はいないだろう」
ウィンターの口元に、どこか意味ありげな笑みが浮かんだ。
「これで、お前が無理をしてまで授業を受けたいと言った理由も、リックが会議室の前であれほど取り乱していた理由も分かった」
お義父様は、少し怖かったものね……。
「さて、残る問題は一つだ。どうしてお前は、自分が蛇だと思い込んだんだ? 『蛇はいつも二匹で行動する』という話を聞いて、キブリンの相棒であるお前も蛇だと結論づけた――そんな可愛らしい発想だったらいいんだが……」
「……」
図星だったので、何も言い返せなかった。前世のキブリンのことや運命がどうこう考えて、そんな結論に至ってしまったのだから……。私が急に黙り込むと、ウィンターは怪訝そうに眉をひそめた。
「勇気があると言うべきかしら?」
ははっ、と私は気まずくなって、そっとウィンターから視線をそらした。ウィンターは呆れたように姿勢を変え、手招きした。
「チェリア、私の膝へおいで」
「はい」
私はウィンターの膝の上に座った。ウィンターは私の髪を優しく指で梳いた。傷みひとつない艶やかな髪は、少なくとも私が伯爵家にいた頃より、今のほうがよく食べ、よく眠れている証拠だった。彼女はその髪を撫でながら口を開いた。
「蛇というものは、お前のように神聖力を拒絶したり、軽んじたりはしない。ソードマスターでさえ斬ることはできない存在なのだから」
「……」
「リックは、自分がキブリンの面倒を見ているつもりでいるけれど……まあ、リックはもともと少し子どもっぽいところがあるから、仕方ないけれどね」
私の髪の状態を確かめ終えたウィンターは、その手を下ろし、もじもじしている私の手を優しく握った。やがて彼女は、くすりと笑う。自分よりずっと小さな私の手が、不思議でたまらないようだった。
「帝国では『蛇』と呼ぶけれど、モリティア王国では同じ発音の『デル』という言葉を使うの。意味は『頂点捕食者』よ」
そう言って彼女は私の手のひらを開き、その上に見慣れない文字を書いた。思わず目を見開いたけれど、ウィンターに気づかれなかったのは幸いだった。
(蛇を『デル』って呼ぶの?)
「神殿では、キブリンはデルの能力を一部受け継いだ存在ではないかと推測しているの」
ウィンターは私の頭にそっと顎を乗せた。
「もし顔に鱗があるだけの存在だったなら、神殿も興味を示さなかったでしょう。ただ『公爵家に変わったものが生まれた』と笑いものにするくらいで、今みたいに執着することはなかったはずよ」
「でも、どうして『能力の一部だけを受け継いだ』と考えているんですか?」
前世のキブリンにはそんな話はなかったから、神殿の思い込みということになる。ウィンターは私の手を優しく包み込みながら説明した。
「記録に残るデルの力は、あまりにも規格外だからよ。ひと振りで海を干上がらせるほどの力を持ち、災厄を引き連れるという言い伝えまであるの。デルと災厄は常に対になっていると考えられていて、そこから『蛇はいつも二匹で現れる』という言葉が生まれたのよ」
「……」
つまり、一方が蛇で、もう一方が災厄ということ。もしキブリンがデルだとすれば、私は災厄という意味になってしまう……。私は言葉を失った。
それは「災厄」だの何だのと、とにかく願い下げしたくなるような物騒な呼び名だった。私が今どんな顔をしているか見なくても分かるのだろう。ウィンターは笑いを含んだ声で続けた。
「だからこそ、『一部だけ受け継いだ』と考えるしかないのよ。この世の災厄は、どんな封印術でもデルを封じることはできない。もしキブリンがデルの能力をすべて受け継いでいたなら、とっくに神殿なんて滅ぼしていたでしょう。メネリクが自分を嫌っていた頃だって、おとなしくしているはずがないもの」
前世のキブリンは、確かに少し性格が悪そうではあった。「自分を怖がらないで」と泣きながら訴えていたのが問題だっただけで、ウィンターが語るような絶対的な存在とは、とても結びつかなかった。もちろん、私自身も「災厄」という言葉にはまったく似つかわしくないと思った。
うん、どうしてウィンターもメネリクも信じなかったのか分かった。むしろ、二人は私のことをずいぶん甘く見てくれていたんだ。まあ、もし二人が普通の人だったら、キブリンも最初から話すなって止めていただろうし。
驚きで乱れた鼓動も、すぐにいつものリズムへ戻っていった。やっぱりスカーレットは間違っていた。私の義理の両親は、私が変なことを言っても「頭がおかしくなった」なんて思わなかった。エレナに頭の検査をさせることもなく、きちんと話を聞いてくれた。実の親よりも、ずっと私を大切にしてくれている。
「もしかして、怖かった?」
「感動しました!」
胸がいっぱいになって正直に答えると、ウィンターは満足そうにうなずいた。白銀の髪が私の肩へさらりと流れ落ちた。
「……いったい、どのあたりが? まあ、怖くなかったのなら何よりだけど……」
ウィンターはよく分からないという様子でぶつぶつ言いながら、ココアの入ったカップを手に取った。せっかくウィンターが入れてくれたココアも、すっかり冷めかけていた。私がカップを受け取り、慌てて飲んでいると、執事長がやって来た。彼はひどく困ったような表情で報告した。
「公爵様が、公子様の授業を長時間妨げていらっしゃいますが……」
――だから息子に嫌われるんですよ、お義父様。
ウィンターは首を左右に振った。
「珍しく寝かせてくれると言っていたのに。ちょっと行ってくる」
「はい」
そう言って、ウィンターは私をソファへそっと座らせると、部屋を出ていった。
私はソファに座る代わりに立ち上がった。そして、ウィンターが教えてくれた「デル」という文字を手のひらに書いてみた。
よし、覚えた。あとでキブリンに聞いてみよう。
「デルと災厄は常に対になっている。だから『蛇はいつも二匹で現れる』という言い伝えば生まれたんだ」
ウィンターが詳しく説明してくれたおかげで、「デル」についてはある程度理解できた。でも、もう一方の「蛇」である災厄が何なのかは、まったく見当もつかなかった。い、いや……まさか名前どおりの存在じゃないよね? 少しくらいは善良な一面もあるよね?
――キブリンの前世が勘違いしていた可能性は……。
「私はずっとチェリア様だけを見つめながら話していました。勘違いする余地なんてありませんでした」
うわあ!
一人であれこれ考え込んでいると、日記がぽすんと体に当たった。
……これでも読んで気分転換しよう。私は現実逃避を決め込み、日記を開いた。
【奥様が大切に育てていたウサギが逃げ出した。「怪我をせずに戻ってきてくれるといい」と言ったら叱られた。次からは逆に言えばいいのかな】
さっきも思ったけれど、筆跡はともかく、思考回路はまるで社会性を学んでいる子どものようだった。そもそも、どうして日記を石板に書くんだろう? 私は首をかしげながら、表紙に書かれていた説明を思い出し、ようやく納得した。
奥様という存在を人間だと思って、「食べちゃだめですよ」と言っていたんだっけ? ということは、人間ではないということか。まだ人間のふりをしているけれど、うまく演じられていない最中なんだ。
ふと、もう一人の人外であるローズのことを思い出し、私は苦笑した。
人外の存在に対して抱いていた漠然とした恐怖は、とっくの昔に消えていた。この日記の持ち主も、ローズも、ただ人間ではないというだけだ。
「私の一回目の人生が『災厄』だったかもしれないなんて、人外にもほどがあるでしょ」
私は気負うことなく、ページをぱらぱらとめくった。日付は書かれていなかったので、時系列は前後していた。もともと長く書く性格ではなかったのか、それとも発見された石板がこれだけだったのか、全体の厚みも薄かった。あとでキブリンにも見せてみようかな。
私は「冬になると、いろいろな音がよく聞こえてきてイライラする」という一節を読みながら、あくびをした。どれくらい時間が経ったのだろう。気づけば私は、うとうとと舟をこいでいたらしい。
まどろみの中で、誰かが話す声が聞こえた。
「……私は昔から、家族の肖像画に憧れていたんだ」
メネリクの声だった。続いて、キブリンの冷静な声が聞こえる。
「私は……そういうのはありません」
「チェリアにはあるだろう?」
「あ、お父様の私情に、チェ、チェリア様を巻き込まないでください」
「それでも最後まで断るつもりか? チェリアが望んでも?」
「…………」
キブリンの返事は聞こえなかった。
――夢なのだろうか。それとも現実なのだろうか。
――このおじさん、というかお義父様は、本当に親子関係を修復する気がないみたい。
そのとき、誰かが私の頭を優しくなでる感触がした。まるで、この世で一番大切なものに触れるかのような、細心の注意を払った手つきで、とても心地よかった。
起きたくないな。もっとなでていてほしい。私は反射的に、その人の腕の中へすり寄った。
「寝息まで立ててるのか? これじゃ起きそうにないな」
「ま、まだ帰ってなかったんですか?」
「私はもともと暇だからな」
キブリンがため息をついたような気がした。私はまたうとうとと眠りに落ち、しばらくして意識を取り戻した。その瞬間、毛の生えた何かが私の頬にぺたりと張り付く感触がした。そしてキブリンが慌てて、それを引きはがす手の動きも感じ取れた。
「こら、邪魔をするな」
私はゆっくりと目を開けた。目の前には、じっと私を見つめる一羽の白いフクロウがいた。
「ひゃっ」
白いフクロウはキブリンの手をひらりとかわしてソファへ飛び降りた。しかし、すぐにまた飛び上がり、キブリンの肩に止まった。キブリンもすぐ近くにいて、私は思わず動きを止めた。
ウィンターから聞かされた恐ろしい「デル」の伝説は、その大きく澄んだ黄金色の瞳を見た瞬間、どこかへ吹き飛んでしまった。その代わりに、私は別の意味で大きな衝撃を受けて飛び起きた。
「うわっ! 公子様のお膝!?」
「……はい?」
私はよだれでも垂らしていなかったかと慌てて口元をぬぐった。そして、叫んだ。
「いつから膝枕なんてしてくれてたんですか? 私、頭すごく重いですよ!」
「はっ、全然重くありません」
キブリンは笑いもしないで、とんでもないことを言った。私の声に驚いた白いフクロウが、あちこちへ飛び回る。
――あの子は何?
贅沢好きな貴族らしく、超昇達城でも動物を飼ってはいた。ダニエルが連れてきたヒョウや、人懐っこすぎて使用人たちから可愛がられていた猟犬など。でも、白いフクロウを見るのは初めてだった。
「この子のほうが、もっと重いですよ」
キブリンは意味不明なことを言いながら、白いフクロウをテーブルの上へそっと降ろした。
テーブルの上には、クルミがいくつも転がっていた。白いフクロウは、冬の非常食であるクルミには見向きもせず、キブリンの手だけにしがみついていた。
「向こうへ行って」
白いフクロウは「クゥー」と鳴きながら、キブリンを見上げた。その健気な様子に、私まで情が湧いてしまう。キブリンは半ば諦めたように呟いた。
「その……庭から入ってきたみたいなんですが、言うことを聞いてくれないんです」
私はくすっと笑って言った。
「公子様のことが気に入ったみたいですね」
キブリンは首をかしげた。
「私の顔なんて、どんな顔をしているか興味もないはずなのに……違うでしょうか?」
そんなことない! 私はキブリンの頬を両手で挟んだ。
「公子様、すごく可愛いですよ! 私は公子様のお顔が一番好きです!」
小説の中でも、成長したキブリンの容姿は何度も絶賛されていた。たしかに、どこか陰のある目元だとか何だとか書かれてはいたけれど……それでも本当に可愛い! すごく可愛い!
キブリンは目を細めて微笑んだ。私はようやく安心して、周囲を見回した。ウィンターの私室には、私とキブリン、それに白いフクロウが一羽いるだけだった。
「そういえば、お義母様は?」
「ええと……『黒雲の森』の外へ魔物が出たという報告を受けて向かわれました。父上は、あちらにも兵がいるのだから任せればいいと言っていたんですが……母上は、父上みたいに怠け者ではありませんから」
メネリクの話になるといつもそうだったように、キブリンは少し気まずそうな表情を浮かべた。
「申し訳ありません、と……できるだけ急いで戻るとお伝えください」
お別れは前回で済んだと思っていたのに。それでもキブリンが隣にいてくれたからか、それほど寂しさは感じなかった。私は白いフクロウの様子を眺めながら尋ねた。
「気になっていたんですけど、お義母様や公爵様が領地にいない時は、魔物ってどうしているんですか?」
「その場合は、今みたいに公爵領へ押し寄せてきたりはしません。森の中に留まるか、別の領地を襲います」
えっ、本当に?
「た、ただ……一部の魔物は父上に反応するんです。父上のような……超越者の気配は、ある程度知能のある魔物を引き寄せてしまうので」
私は一瞬、言葉を失った。それなら、メネリク様が当然対処すべきじゃないの!? しかも、その実力は十分すぎるほどあるのに!
私の考えを読んだかのように、キブリンがうなずいた。
「ええ……母上がいなかったら、私たちの家はとっくに滅んでいたでしょう」
「……」
私も時々そう思っていたけれど、キブリン本人の口から聞くと何とも言えない気持ちになる……。キブリンはさりげなく話題を変えた。
「そ、それで、お茶会はどうでしたか?」
これで六回目くらいに聞かれる質問だった。でも、相手がキブリンだったので、私は正直に答えた。
「初めて聞く話もたくさんあったんですけど、退屈でした。正直、公子様とこうして一緒にいるほうが、ずっと楽しいです」
私の言葉に、キブリンは動きを止めた。
私は先ほどのお茶会のことを思い返した。スカーレットは、私が礼儀を間違えたり失言したりするのを今か今かと待っていた。過剰に気を遣うソフィアも、私を利用して利益を得ようとするマリンも、あまり好きにはなれなかった。何度も顔を合わせれば印象は変わるのかもしれないけれど、第一印象は良くなかった。でも、お義母様の自慢をたくさんしてきたことだけは満足だった。
キブリンはしばらく考え込んでから、提案した。
「ぼ、僕は今日の授業はもう終わったので……で、出かけませんか? 夕食前までに戻れば、大丈夫です」
「デートですか?」
「……ち、違います」
あの、そんなに真っ赤になって否定されると、私まで恥ずかしくなるんですけど。
もちろん私も冗談だった! メラに頼まれたミッションは何とか全部達成したけれど、少しだけ心に傷が残ったお茶会だった。
-
「デル(蛇)」と「災厄」の伝説
ウィンターから、モリティア王国で蛇を意味する「デル(頂点捕食者)」の伝説を聞かされ、キブリンがその能力の一部を継承していること、そしてデルと対になる存在が「災厄」であることを知ります。
-
義両親への感謝と日記の謎
自分の突飛な話を否定せず受け入れてくれるウィンターたちの優しさに救われたチェリアは、現実逃避を兼ねて謎の石板の日記を読み進め、その持ち主が人間ではない「人外」の存在であると確信します。
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キブリンとの絆と日常のひととき
目覚めるとキブリンに膝枕をされており、懐いてきた白いフクロウを交えながら、公爵家の複雑な事情(メネリクの魔物引き寄せ体質など)を共有しつつ、二人で夕食前に出かける約束を交わします。