こんにちは、ピッコです。
「悪党おじさんと暮らしています!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
57話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 暖炉の中の遺書
アイカからの手紙を受け取ったカッセルは、急ぎの仕事だけを最優先で片付けると、すぐさまバリエルト公爵邸へと向かった。
ここ数日、屋敷の侍従たちは近寄りがたいほど険しい表情を浮かべていたが、その胸中は幼いお姫様への心配でいっぱいだった。
すぐには駆けつけられなかったカッセルもまた、ジェラードを通じて密かにアイカの様子を報告させていた。
『お嬢様はお元気です。毎日楽しそうに過ごされており、お出かけの際も名札をきちんと身につけていらっしゃいました』
『お嬢様は今日も早くお休みになりました』
『今朝、“叔父さんはいつ来るの?”とお尋ねになられましたが、その後は特にお変わりなく、お元気に過ごされています』
カッセルは馬を激しく走らせ、ようやくバリエルト公爵邸へと到着した。
急いで戻ってきたつもりだったが、空はすでに茜色の夕焼けに染まっている。
ギィッ……。
馬車が止まり、扉が開かれた。
「ふぅ……」
胸の奥から、緊張のあまり長いため息が漏れる。
今すぐにでも屋敷へ駆け込みたいはずなのに、足に重りでもつけられたかのように歩みが遅くなった。
カッセルが再びゆっくりと足を踏み出そうとした、その時――。
タタタタッ!
小さく慌ただしい足音が、静寂を破って響いた。
カッセルはピタリと足を止める。鋭く刃のように尖っていた目元が、わずかに緩んだ。
前方から、到着を聞きつけたらしいアイカが、一目散に駆け寄ってくる。
「叔父さん!」
大きな歓声とともに、アイカはカッセルの足にしがみつくようにぎゅっと抱きついてきた。その小さな身体からは、何よりも強く必死な力が伝わってくる。
アイカは顔を太ももに押しつけたまま、しばらく足を離しようとしなかった。まるで絶対に離すまいと、命綱にすがるように必死にしがみついている。
カッセルは腰をかがめ、アイカの小さな身体へそっと手を伸ばした。そして、ひょいと腕の中に抱き上げる。
まだ涙はこぼれていなかった。
だが、カッセルはこの表情を知っていた。泣き出す寸前の顔だということを。必死に涙をこらえているのだということを。
カッセルは、抱き上げたアイカのふっくらとした頬を見つめた。
アイカはぷくっと頬を膨らませている。
「ピーナッツ、今日は何をしていた?」
「…………」
「叔父さんには話してくれないのか?」
「…………」
アイカは答えず、唇を尖らせたまま両腕を伸ばし、カッセルの首へぎゅっと抱きついた。
カッセルは小さく息を吐きながら、アイカの背中を優しく撫でた。そのまま歩みを進め、ゆっくりと屋敷の中へ入っていく。
完全に屋敷の中へ入ってから、ようやくアイカは顔を上げた。
「叔父さん」
「やっと話す気になったか?」
「……叔父さん、遅すぎるよ」
カッセルは手を伸ばし、アイカの額にかかった乱れた前髪をそっとかき上げた。
「今回は叔父さんが悪かった。本当に、遅くなってすまない」
「うん」
カッセルはポケットから一通の手紙を取り出し、アイカへ差し出した。
それを見たアイカは一瞬目を大きく見開き、カッセルが言葉をかけるよりも早く口を開いた。
「叔父さん、ごめんなさい」
「何がだ?」
「話すのが遅くなっちゃって……全部思い出せなくて、上手く話せなかったの」
カッセルは何も言わず、アイカの両腕を包み込むようにそっと握りしめた。
懸命に言葉を紡ぐアイカは、誰よりも真剣な表情をしていた。
「それから……」
「うん」
「叔父さん、私は大丈夫だから」
「何が大丈夫なんだ」
「ただ……叔父さんが心配すると思って。私は平気だから。叔父さんがいてくれるから」
「……」
「だから叔父さんには、絶対に私を見つけてほしかったの。このことを伝えたくて……」
幼い頭でどれほど悩み、考え抜いたのだろう。想像もつかないほど一生懸命に言葉を選ぶ姪を、カッセルはもう一度強く抱きしめた。
まるで、何があっても守り抜くと誓うように。
「よく頑張ったな」
「……うん」
「本当によく頑張った。……これからは、叔父さんが全部やる」
落ち着いているように見えるアイカだったが、その小さな胸は今までで一番速く、激しく鼓動していた。
しばらくすると、アイカは幸いにもいつもの元気を取り戻した。
ついこの間まで幼い子どもだと思っていたのに、いつの間にかこんなにも成長していたらしい。
言いたいことは山ほどあったが、まずはこの子の望みを叶えるのが先決だ。
(必ず見つけ出す――)
そう心に固く誓った瞬間、アイカが腕の中から何かを差し出してきた。
小ぶりな箱だった。
「これは何だ?」
「叔父さんが遅れてきたから、その分のプレゼントだよ」
「遅れてきたのに、プレゼントをくれるのか?」
「うん!」
一体何の贈り物だろうと不思議に思いながら箱を開けると、手のひらほどの小さな枠の中に、大ぶりのネックレスが収められていた。
「……あ」
カッセルは一瞬、眉をひそめた。
「見せて!」
まるでこの瞬間をずっと待っていたかのように、アイカが急かす。
カッセルは水滴型のネックレスを取り出し、自らの首に掛けた。
表には『アイカ・デ・バリエルト』。
裏には『アイカの叔父さん』という文字が刻まれている。
カッセルは思わず苦笑した。
待ちわびるような目で見つめていたのは、これを渡すのをずっと楽しみにしていたからだったのだ。おとなしく待っていると思えば、こんなものを用意していたとは。
「叔父さんに、これを着けろと?」
「うん! もし叔父さんが危なくなったら、私が現れて守ってあげる!」
えっへん、と胸を張るピーナッツ。得意げな顔に、カッセルは思わず吹き出した。
「この大きさじゃ、邪魔で仕方ないんだが」
「もう! 邪魔じゃないもん!」
アイカは自分で名前を刻んでもらったネックレスを手に取り、カッセルの首へ綺麗にかけてあげた。
鏡を見なくても、きっと滑稽な姿になっているに違いない。
まったく――今までずっと名札を首から下げさせていたことへの、ささやかな仕返しのつもりなのだろう。
「これじゃあ、町中で“ピーナッツの叔父さん”と呼ばれそうだな」
「叔父さんなんだからいいでしょ!」
「叔父さんの首が肩から外れそうなんだが?」
「それでも着けてね! 私はずっと着けてたんだから!」
満足そうに笑うアイカの頭を、カッセルは愛おしそうに優しく撫でた。
「ねえ、叔父さん……行かないで」
「叔父さんが全部片付けて戻ってくるまで、もう少しだけお祖父ちゃんのところにいておくれ」
「また行っちゃうの……?」
カッセルが頷くと、アイカは再びしょんぼりと俯いた。
「どれくらい……?」
「すぐに戻るよ。ジョムサルを早く大きく育てておいてくれ」
アイカは頬をぷくっと膨らませたが、やがて納得したように頷いた。そして、パッと明るい笑顔を咲かせる。
「分かった! 気をつけて行ってらっしゃい、叔父さん!」
それから、しばらくして――。
一通の手紙がカッセルの元へ届いた。
差出人は、ジェミエル・デ・ロンド。
全財産を一銭残らず没収され、完全に失脚する直前になって、面会を求めてきたのだ。もうすぐ投獄される身でありながら、わざわざ使者をよこしてきたらしい。
カッセルは封すら切らず、その手紙をそのまま暖炉の炎へ放り込んだ。
「もう遺書か。まだ始まったばかりだというのに」
手紙を届けにきた男もまた、二度とロンド侯爵家の門をくぐることはなかった。
叔父さんが来て、そしてまた帰っていった。
本当はもっと遅くなると思っていたから、叔父さんがお祖父ちゃんの家に来たと聞いたときは信じられなかった。
でも、本当に叔父さんは来てくれたのだ。
少し疲れているように見えたけれど、叔父さんはいつもと変わらなかった。私が未来を見なかった時のように、どこにも怪我なんてしていなかった。
何より、叔父さんは私が送った手紙を、少しも疑わずに信じてくれた。
『よく頑張った』
『……』
『本当によく頑張った』
『……』
『そうだ。これからは叔父さんが全部やる』
だから、私はもっと待つことにした。
今は、数珠つなぎ遊びよりも大切なことをしなきゃいけない時だから。
この待ち時間が終わったら、また数珠つなぎ遊びを始めるつもりだし、その頃には全部うまく片付いているはずだ。私は叔父さんを信じている。
そして、その間も記憶をもっと思い出すために、私はいろいろな努力をした。
夜中にこっそりエクスを召喚して、「私を脅かして!」と頼んだこともあった。
『うちの主人は、まず正気を取り戻したほうがよさそうだな! 正気じゃないと何もできないぞ。さあ、このエクスについて来い。実演してやる!』
『じ、実演……?』
けれど、エクスには「そんな危険なことは絶対にしてはいけない!」と逆に怒られ、私は30分もの間、正座で説教を聞かされる羽目になった。
古代の遺物なのに、まさか馬に説教されるなんて……。
実は、セレにも少し叱られてしまった。
それでも諦めることはできず、あちこち試しながら、もっと効率のいい方法を探し続けた。
そして、今日!
プレゼントを買いに行った日に、ルスフェー、コービン、ヘイズ、レフィのみんなへ招待状を送っていたのだ。
『私の家に遊びに来てください。
――あなたたちの友達、アイカより』
お茶会の会場は、もちろんお祖父ちゃんの家だ。
最初は叔父さんの家でやろうと思っていたけれど、庭に大きくてキラキラ輝く『黄金の馬車』が置いてあることを思い出したからだ。
毎日、太陽の光を飲み込んだみたいに眩しく輝く黄金の馬車を見せるのは、さすがに気が引ける。ルスフェーだけは知っているけれど、ほかのみんなにはまだ少し心の準備が必要だ。
それに、名札みたいに黄金の馬車まで流行してしまったら本当に困ってしまう! だから、もう少し経ったら見せてあげることにした。
そうこうしているうちに、最初にルスフェーの馬車が到着した。
ルスフェーは、黄色いリボンがついた紫色の箱を大切そうに抱えて、馬車から降りてきた。
「ルスフェー!」
・
・
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「アイカ、こんにちは。これは招待のプレゼントよ」
「ありがとう!」
そしてプレゼントを開けてみる間もなく、次々と馬車が到着し始めた。
二番目にやって来た、私にとって最初のお茶会の招待客はコビンだった。
ドレスを着たコビンは、優雅にスカートの裾をつまんでお辞儀をした。
頭にはレースがたっぷりあしらわれたボンネットをかぶっていた。
顎の下で大きく結ばれたリボンが目を引いた。
それに帽子があまりにも大きくて、まるでコビンの頭ほどもあった。
「コビン!」
私が呼ぶと、コビンは日傘を侍女に渡し、私にドレスの裾を両手で持たせて、落ち着いて挨拶をした。
首には人形劇場で見た首飾りがまた掛けられていた。
「招待してくれてありがとう。」
私はコビンの手を取ろうとしたが、ふと学んだ礼儀作法どおりにドレスの裾をつまみ、腰をかがめた。
「来てくれてありがとう。」
同じように挨拶をすると、コビンは満足そうににっこりと笑った。
そしてヘイズとレピも到着した。
私たちは庭に用意されたお茶会のテーブルを囲んで座った。
ルスペとほかの子供たちは少しぎこちなく挨拶を交わしただけだったが、時間が経てば仲良くなれることは明らかだった。
私の初めてのお茶会をサムチュンも見ていたら、きっとものすごく格好いいって驚いただろうに。
私は自分を誇らしく思いながら、鼻を高くした。
そして、友人たちのために用意していたプレゼントを一つずつ差し出した。
「お茶会のプレゼントよ!」
すると、四人とも目をまん丸にした。
「私たちもプレゼントをもらえるの?」
「アイカが招待してくれたのに?」
「うん、私からのプレゼント。早く開けてみて」
私の言葉に、みんなはそわそわしながら包みを開けた。
最初に包みを開けたのはルースペだった。
不思議なことに、馬車が到着した順番どおりに、ルースペ、コビン、ヘイズ、レフィがプレゼントを開けていった。
「ブレスレットじゃない?」
「きれい!」
「銀色だね」
ところが、レフィはブレスレットを手にすると、目を細めた。
「何か書いてある!」
その言葉に、友達はすぐさま手にしていたブレスレットをひっくり返して見始めた。
「私の名前だよね?」
「うちの家門の名前もある。わあ!」
そうなのだ。
私はこの恥ずかしいほど黄金色に輝くネックレスが、これ以上広まらないことを願っていた。
だったら別の物を使うしかない!
そこで一生懸命ブレスレットの形を描き、名前を書いて、宝飾店のおじさんに差し出したのだ。
四人の名前が入った絵を。
「こうすればいいの!」
私はあらかじめ身につけていたので、格好よくジャーン! と差し出した。
「わあ!」
「私もやる!」
私は4人全員がブレスレットを作れるように手伝ってあげた。
「あ、でもこの宝石の色……」
「うん。」
「これ、私の瞳の色じゃない?」
「そう!」
ブレスレットについている小さな宝石は、すべて友達の瞳と同じ色を選んでいた。
それに気づいたコビンが目を輝かせながら私を見つめた。
「わあ。こんなプレゼント、初めてもらった!」
コビンは両手で自分の頬を包み込み、驚いていた。
すでにブレスレットを腕につけていたヘイズが、テーブルの中央へ手を伸ばした。
みんなも待っていたかのように、ヘイズに続いて手を伸ばした。
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1. カッセルとアイカの再会
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カッセルが急ぎの仕事を片付け、バリエルト公爵邸へ到着すると、アイカが待っていましたとばかりに一目散に駆け寄り、必死にしがみついて泣き出すのをこらえます。
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カッセルはそんなアイカを抱き上げ、優しく労いの言葉をかけます。
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アイカは遅くなったお詫びとして、表に「アイカ・デ・バリエルト」、裏に「アイカの叔父さん」と刻まれた特製ネックレスをカッセルにプレゼントし、「危なくなったら私が現れて守ってあげる!」と得意げに語ります。
2. 事件の裏側とそれぞれの動き
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カッセルは、面会を求めてきたジェミエル・デ・ロンドからの手紙(全財産を没収され失脚した人物からのもの)を読まずに暖炉へ放り捨てます。
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一方、アイカは叔父さんを信じて待ちつつ、記憶を取り戻すためにエクスに脅かしてもらう(失敗して説教される)など試行錯誤を重ねていました。
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アイカは、ルスフェー、コビン、ヘイズ、レフィの4人の友人たちを祖父の家に招き、初めての主催となるお茶会を開きます。
3. 初めてのお茶会とプレゼント
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ドレスをまとった友人たちが続々と到着し、アイカはみんなにお揃いの「それぞれの瞳と同じ色の宝石が埋め込まれたブレスレット」をプレゼントします。
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友人たちは名前や瞳の色が刻まれた心のこもった特製ブレスレットに大喜びし、楽しいひとときを過ごします。
4. 舞台は最南端の村へ(ラストシーン)
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場面変わり、帝国の最南端にある豊かな村「コニアのエペタ」。
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宿屋の薪割り場で汗を流して働いていたシモアのもとに、「お前の名前を知る客が訪ねてきた」と知らされます。
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過去の取引に関する問題やトラブルを予感させつつ、物語は新たな展開へと向かいます。