こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は49話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
49話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 姉と弟
しばらくしてから、カシスはアグリチェの屋敷から出てきた。
「退却する」
「かしこまりました」
イシドールはカシスの命令に頭を下げる。
目的を達成したアグリチェに、もはや用事はなかった。
たった今出てきた建物は炎上し、外はまだ騒然としている。
まもなくカシスの視界に赤い蝶が差し込む。
彼は空に散る赤い点を見つめ、その後を追って引き返した。
「イシドール、先に行ってくれ」
「え?ですが・・・」
イシドールは珍しくカシスの言葉尻を捉えたが、彼はすでに遠く離れていた。
カシスの視線はずっと赤い蝶の跡を追っている。
この夜が過ぎる前に、必ず探すべき人がいたから。
城が炎上した。
白く凍った城壁が巨大な炎に飲み込まれる。
もつれた人々の間に鳴り響く悲鳴と叫び声が、星のように頭上に舞い上がっていた。
この世界に生まれて一度も自力で抜け出したことのない故郷が目の前で壊れて燃えていた。
ロクサナはその光景を静かに見守る。
久しぶりに鎮痛剤を多量服用したせいか、視野がはっきりしなかった。
逆に鋭敏になった聴覚に侵入者たちが送る退却信号が捕らえられる。
いつの間にか、徐々に周りの騒ぎが収まっていた。
屋敷から放していた蝶も一匹ずつ戻っている。
「お疲れ様」
幻想を利用して人々を錯覚させる役割を無事に果たした蝶が、ロクサナに愛嬌を咲かせるように羽ばたく。
彼女が望んだのはアグリチェの没落であり、ここにいる人々の皆殺しではない。
アグリチェの軍隊をほとんど解散させ、使用人を別館に避難させたのもそのためだ。
もちろん、ラント・アグリチェの支配下の人間は一人残さず処理したが。
久しぶりに力を使いすぎた体に無理があったのか、黒い血が逆流して溢れ出す。
すでに数回血を吐いたせいで、目の前が少しクラクラしていた。
しかし、ロクサナは目を瞑らなかった。
彼女には最後まで目の前の光景を見届ける義務があったから。
ラント・アグリチェは今頃死んだのだろうか?
ペデリアンが退き始めたことを見ると、目的があったに違いないが・・・。
じゃあ、もう終わりなのだろうか?
本当にもう終わったのだろうか?
ロクサナは血の流れる口元を拭き取り、足取りを伸ばす。
彼女が一歩前に出るたびに、その下に敷かれていた枯れ草が萎れていく。
弱った体は、もうこの程度の力を使っただけでも持ち堪えることができない。
今でもロクサナの体から流れ出た強力な毒の気が周囲の生命をことごとく飲み込むかのように荒くうねっている。
殺戮蝶をまともに使わなくなって、ずいぶん長い時間が過ぎた。
一目散似人間の血の味を知った殺戮蝶は、彼女が少し警戒を緩めただけでも、我儘に暴れ回るのが常だったのだ。
ラント・アグリチェも家畜を屠殺するように殺してしまったなら、事は簡単だっただろう。
しかし、公式的にアグリチェはこれまで犯した悪事に対する罪を処罰され破滅した。
ペデリアンはそこで正義の審判員としての役割。
「姉さん・・・!」
ロクサナの方に向かって走っているジェレミーの姿が目に入る。
「姉さん、ここにいたんだね。怪我はしてない?一人で何をしているの?向こうには何もな___」
次の瞬間、向かい合ったロクサナの表情を見て、ジェレミーは突然立ち止まるしかなかった。
「何だよ・・・」
ロクサナはいつものようだったが、全く違った目つきで彼を見ていた。
ふと奇妙な感覚がジェレミーの脳裏を横切る。
それは、不吉な予感と似ていた。
「姉さん、一人でどこへ行ってたの?」
しかし、ジェレミーは彼が感じた感情をどう表現すればいいのか分からなかった。
「どうして、そんな目で見つめているの?」
ただ不安な心を煩わしながら、唇を震わせる。
「これが最後のように・・・」
問い詰めた瞬間、襟足に乗ってヒヤリとした感覚が湧き上がった。
ロクサナはまだ何も言わずにジェレミーをじっと見つめている。
向き合ったその顔が彼に知らせてくれた。
先程の彼の言葉が正解だということを。
「姉さん・・・」
ジェレミーは、ロクサナがアグリチェを捨てようとしていることにようやく気づいたのだ。
そして、彼女がずっと望んでいたのが、まさにこれだという事実も。
ロクサナが何をしようとも、彼は絶対に彼女の後を追うと考えていた。
けれど・・・。
今、ロクサナの目を見た瞬間、強制的に悟らざるを得なかった。
「姉さん・・・、僕も捨てるの?」
彼女には自分を連れて行く気がないということを。
燃えるアグリチェの中で二人はお互いに向き合う。
ジェレミーは不意打ちを食ったような表情を浮かべて、ロクサナを見ていた。
ロクサナは、その姿を静かに視野に入れて、やがて微笑む。
「あの時、あなたに手を差し伸べるのではなかったわ」
最初はただ利用するだけのつもりだった。
決心した通りに最後まで冷静に振る舞うべきだった。
しかし、いつからか、それが出来なかった。
「あなたをそばに置いておくべきではなかったわ」
共にいたすべての瞬間が真実ではなかったが、そのすべての瞬間が偽りだったわけではない。
心の置き所一つない、この荒れた土地のような場所にも、ごくたまには乾いた土を濡らす恵みの雨が降って、油断した途端、思わず情を注いでしまった。
「ジェレミー」
だから連れて行きたくなかった。
「私はアグリチェから何も持っていかないわ」
いっそ今、ここで別れた方が二人にとって良いことだから。
「だから、ここまで」
アグリチェの没落という目的を達成したロクサナ。
彼女はこれから何処に向かうのでしょうか?
そして、別れを告げられたジェレミーの反応は?
カシスはロクサナに出会えるのでしょうか?
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