こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は237話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
237話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 巨大な嵐③
「一晩中雨が降っていたのに、今も曇りだね」
ロクサナは回廊を通り過ぎるとき、耳元に流れた声に首を向けた。
後ろから近づいているバドリサとリュザークが視野に入ってくる。
バドリサを補佐するように後ろに立っていたリュザークがロクサナに小さく頭を下げて挨拶して見せた。
「午後遅くには完全に晴れると言っていました」
ロクサナも2人に頭を少し下げて挨拶を返す。
それから彼女は再び顔をそむけてちらっと前を見た。
少し前、遠くでカシスが通り過ぎた。
ロクサナはそれで回廊を通りかかったが、しばらく足を止めたまま、彼の姿が小さくなるのを眺めていた。
「長い夜を明かしたような顔ね」
バドリサがロクサナの顔をちょっと見てから口を開く。
「聴間会のため?」
口クサナはそっと視線を伏せて答えた。
「心が騒がしくてよく眠れなかったことがバレているようですね」
しかし、バドリサは同調する代わりに口元を引き上げる。
「そんなに気弱な人には見えなかったけど」
なんとなく言葉の中に骨があった。
ロクサナは再び覗線を上げ、向かい合った顔を見つめた。
「見えるようにただ心を痛めてばかりいては、家門の重さを支えることができるのか」
内包された意味がありありと表れた言葉だ。
それに気づいたロクサナの目つきが微妙に変わった。
バドリサは、ロクサナが他の人々の前で見せたのとは異なり、実際には深く傷心した状態ではなく、また実際にアグリチェを牛耳るのがロクサナであることを知っていると今、彼女の前で話しているのだ。
しかし、ロクサナはバドリサのその言葉を聞いてむしろ唇に細い笑みを描いて見せた。
「尊敬に値する慧眼を持っているだけに、私と私の弟が嘘をついたことがないという事実も知っていると信じています」
バドリサの目が細長く開いた。
「それでは私は立ち寄らなければならない所があるので、これで失礼します」
ロクサナはそのように挨拶した後、先に席を離れる。
バドリサはロクサナの心を掴めなかった。
「アグリチェさん」
しばらくして、リュザークがロクサナを呼んだ。
バドリサはすでに覗界から消えていた。
リュザークは母親を置いてロクサナに言いたいことがあって追いかけてきたようだ。
彼は真剣な顔でロクサナを見ながら口を開く。
「この前の助言に感謝を表します」
ロクサナは一瞬、リュザークが何を言っているのか理解できなかった。
そうするうちにふと、先日両家の交渉の席に出席する件について付け加えたことを思い出す。
それは特に助言というまでもなかったが、リュザークはとても堅実な人だった。
あの母親にして息子というべきか。
「いいえ。お役に立てて嬉しいです」
そうするうちにふとリュザークの背中の後ろを通る女性が目についた。
「フィペリオンさん」
口クサナは彼女を呼んだ。
その理由は、今パンドラが急いで向かうところがどこなのか知っていたため。
「アグリチェさん」
パンドラは遠くから振り返った。
「庭園に行かれるところですか?」
ロクサナが尋ねると、パンドラの顔色に困惑が浮かぶ。
「アグリチェさんもお知らせをお聞きになったようですね」
その通りで、ロクサナもやはり庭での知らせを聞いて、そこへ行くために回廊を通っていたところだった。
パンドラは昼食後から姿が全く見えないオルカを探し、庭であったことを伝え聞いた。
昨夜も首長のヒアキンは、オルカとパンドラに残りの親睦会の間、格別な行動に気をつけるよう命じた。
特に、オルカに何度もおとなしくしていることを頼んだのに続き、パンドラにも密かにオルカの監視を任せている。
それでも幸いなのか不幸なのか、今回の事件の犯人はオルカではなかった。
ただでさえ、アグリチェと頻繁に摩擦を起こし、ヒアキンの頭を悩ませた家門の分別のない人々の一人が、アグリチェを相手に毒殺疑惑を主張したという。
「はい、私もちょうどそこへ行くところでしたので、同行しましょう」
「庭で何かあったんですか?」
隣にいたリュザークが疑問を呈した。
「それが・・・」
パンドラは返事を躊躇う。
ちょうどその時、ロクサナとリュザークの視野に不思議な光景が入ってきた。
群れの人々がパンドラの背後にある角から姿を現したのだ。
ところが、彼らの全身は濃い茶色に染まっていて、動きはどこか不自然だった。
ギギギク・・・。
耳に妙な騒音が染み込んだ。
ロクサナはどこかで彼らを見たことがあるような気がした。
その瞬間、彼女の本能が頭の中で警告音を出す。
「フィペリオンさん、後ろに・・・!」
その時、リュザークが何かを発見し、目を見開いて大声で叫んだ。
パンドラも違和感を感じたのか後ろを振り返った。
ふぃっ!
同時に地面を蹴ってパンドラに飛びかかった人が彼女に向かって腕を斜めに引く。
「な・・・!」
幸いパンドラは、魔物の生息地を転々としながら敏捷さを身につけた人だったため、その攻撃を反射的に避けた。
代わりに半分ほど切り取られた青い髪が残像のように宙から飛び散る。
その瞬間、ロクサナは確信した。
あれは確かにベルティウムの人形だった。
でもどうしてここに?
もちろん、今はのんびりとそのような考えをしている場合ではなかった。
ベルティウムの人形が、再びパンドラを攻撃する。
ロクサーナは遅滞なく、頭に挿していた装身具を抜き取った。
「な、何だ!何奴らだ!私が誰だと思ってこんなことを・・・!」
「フィペリオンさん、かがんでください!」
ロクサナの指先を離れたのが鋭い軌跡を描きながら人形の額の真ん中に命中すると同時に、パンドラを通り過ぎて空中を切った刃が回廊にある石造りの柱を破壊する。
「はっ・・・!?」
パンドラとリュザークはロクサナが投げたものが一寸の誤差もなく驚くべき的中率を見せたことと、彼女が躊躇うことなく他人に散水を飛ばしたことに驚いたようだった。
しかし、ロクサナはこれが単純な時間稼ぎしかできないという事実を知っている。
先ほどから毒蝶たちが送る信号でロクサナの頭の中が騒がしかった。
額に穴があいた人形が一瞬頭を反らして立ち止まる。
しかし、すでに予想していたように、ただそれだけだった。
その瞬間、彼らを見なかったように前を通っていた他の人形たちが一斉に首をかしげた。
ロクサナに額を開けられた人形もやはりまともに立って彼らに向き合っていた。
「なんてことだ」
パンドラとリュザークが納得できない状況に言葉を失ったように呻いた。
それが信号弾にでもなったように、前にいた人形たちが飛びかかってきた。
ロクサナは急いで蝶たちに合図し、袖の中に隠しておいたナイフやその他の髪飾りを抜く。
「建物の中に近づかないようにしなさい!」
「はい!」
カシスは殺戮としか呼べない惨状の現場にいた。
あちこちで負傷した人々がうめき声をあげて地面に倒れている。
中にはすでに死んだように動きがない人もいた。
その他にも逃げる人とその後を追う者たちで、わずか1時間前まではこの上なく静かだったユグドラシルは混乱していた。
昨日のことでまだ警戒心を完全に晴らしていないぺデリアンの人々が、午前中に周辺を一度見回すつもりで出ていなかったら、発見はさらに遅れていただろう。
「それぞれの位置に移動して。今すぐ!」
カシスが腹心たちに命令するやいなや、彼らは一時も遅滞なく一糸乱れずに動いた。
「キャー!」
「助けて・・・」
チャッ!
いつの間にかユグドラシルの中に静かに浸透した「彼ら」は前を遮った人を全て屠殺する勢いで攻撃していた。
逃げる人も逃さずについて行き、手の代わりに武器が装着された腕を振り回している。
彼らが通り過ぎるたびに、間違いなく赤い吹雪が散らばった。
ユグドラシルの中に入ってきたのは人の形をしているが、人ではない。
カシスはすでにベルティウムで彼らと同じようなものを見たことがあった。
ノエル・ベルティウムの人形!
目の前にあるものの正体に気づいたと同時に、彼は歯を食いしばった。
カシスは彼についてきた腹心たちに人形がこの場を離れないように防ぐことを命令し、速かに前に駆けつける。
武器庫に行った腹心のイシドルが来るまでひたすら待っているわけにはいかなかった。
ベルティウムの戦闘人形たちは今、視野に映るだけでもその数字が少なくとも百はあるようだった。
ベルティウムにこんなにたくさんの人形軍団が隠されていたとは。
それにどうやって目立たないようにベルティウムからユグドラシルまで移動できたのか納得がいかなかった。
もしかして、最近感じた周辺の違和感は、ただの魔物のせいだけではなかったのか?
あちこちから押し寄せる凄絶な悲鳴は、まるで荒い波の音のよう。
騒ぎを聞いてきた人たちが阿鼻叫喚の光景を見てびっくりして逃げた。
「うわぁ!」
カシスは人形の武器に突き剌さる寸前だった使用人を押しのける。
そして手に力を吹き込んで人形の頭を殴った。
挟まれ・・・!
人形が奇妙な鉄の音を立てて痙攣する。
しかし、魔物と違って、人形は生命力を恐喝されても死ななかった。
カシスの顔色がひときわ涼しくなる。
人形は本来生きているが、生きているわけではなかったため、このような方法が通じないようだ。
「邪魔物を除去・・・」
それでも機能が一部壊れたのか、人形が依然として体を痙攣させ、同じ言葉を絶えず繰り返しつぶやいた。
ふぃっ!
カシスは自分の方へ殺到する腕を容赦なく曲げて、逆にそれを人形のあごに打ち込んだ。
人形のあごを壊して頭頂部まで貫通した錐のような腕は、しっかりと閉じこもっていて、これ以上動かなかった。
それでも人形は頭が貫通したまま、また別の武器が.装着された反対側の腕を斜めに振り下ろされる。
カシスはすぐにそれを弾き、隣から近づいてきた別の人形の頭を突き刺した。
身体が繋がった二人の人形の動きが鈍くなる。
「止めろ!」
「人形が中に入る!」
その時、人形数体が建物の内側に入り始めた光景が見えた。
素手で多くの人形の動きを完全に止めることは不可能に近いうえ、数的な限界もあったため、隙間ができるのも当然のこと。
しかし、幸い武器庫に行った腹心たちがあまりにも遅くないように帰ってきた。
カシスはここを彼らに任せて振り向く。
そんな中、左手の手の甲にピリピリとした感じがして頭を下げた。
ロクサナの赤い蝶がその上に座り、羽を何度かひらひらと鳴らしている。
ユグドラシルの中で万が一のことに備えて、ロクサナと決めておいた手信号の一つだ。
こんな状況でこの手信号の意味するところは・・・。
カシスは歯を食いしばった。
知っている。
口クサナは自分の保護を必要とする弱い人間ではなかった。
だから彼女を信じて自分に与えられた仕事をしなければならなかった。
それでも理性と感性が絡み合って格闘するのは仕方ないだろう。
手の甲に座っていた蝶が舞い上がり赤い軌跡を描いて動く。
カシスは目を一度閉じて開けた後、前に走って行った。
ロクサナの武器は毒蝶だけではないですよね。
アグリチェで鍛えられた暗殺術もあるので、ひとまず彼女は安全なはず・・・。
シルビアたちは無事なのでしょうか?
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