影の皇妃

影の皇妃【46話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「影の皇妃」を紹介させていただきます。

今回は46をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。

皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。

そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!

自分を陥れた大公家への復讐を誓い…

エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。

リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。

フランツェ大公:ベロニカの父親。

クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。

イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。

レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。

フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。

ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。

アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

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46話 ネタバレ

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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • レンの疑い

教養科目「大陸史」の講義時間は、エレナにとって最も恐ろしい時間。

なぜならレンが講義中、穴が空くくらいにエレナだけを見つめてくるから。

「無視すればいい」と最初は受け流したが、正直、度が過ぎて負担になるのが事実。

講義が終わって教授が出た後も、エレナはレンからの視線い執拗な意地が感じられた。

(気にしない。無視すればいい)

以前なら本当に綺麗に無視していたが、今は無理だった。

ルシアのふりをしている間にレンに会って接点が出来てしまい、そのため意識せざるを得なかった。

「おかしい」

エレナの顔をじっと見つめていたレンがそう呟く。

「講義中に、私だけを見ているあなたのこと?」

「いいや。ベロニカが講義を聞くのがおかしい。お前、そのまま死んじゃうよ。急に変わったじゃん」

取り合う価値さえ感じないことを感じて、椅子から立ち上がる。

こんな言葉遊びをする時間さえ勿体無いと感じた。

ガタン!

突然立ち上がるレンの音に、身震いする。

その一方で、毅然さを失わないように努力した。

「ほら、怖がらない」

「怖がる理由がないわ」

レンは笑って肩をすくめる。

「また正しい言葉だけ選んで」

「くだらない・・・」

急いで教室を出ようとするが、その前をレンが手を伸ばして立ちはだかる。

エレナは横目で睨んだ。

「片付けは?」

「・・・」

「私の声聞こえない?」

「こんなときはベロニカだ」

彼の言葉を無視できない。

(依然として私を疑っているわね・・・)

レンはニヤリと笑ってポケットに手を突っ込む。

「コートがないから肌寒いな。あの子は何処にいると思う?」

「・・・!」

彼の独り言のように残した言葉に、エレナの心臓がヒヤリとした。

内心ではそうだろうと思ったが、ルシアを探していると思うと、ゾッとする。

(最悪)

レンの関心が注がれる中で、ルシアとして自由に活動するのは容易ではない。

今はまだ疑いの段階ではあるが、このままでは確信に変わるだろう。

(最善を尽くして出くわさずに避けるのが上策ね)

自分に念を押して記録室に向かった。

 



 

  • ラファエルのお願い

ルシアに変装を終えたエレナが図書館を出る。

幸い努力が功を奏したのか、レンと会うこともなく、無事に学術院の西側別館に入ることができた。

今では、地下室の芳しい匂いにも慣れた気がする。

「先輩、来ました」

エレナは生き生きとした新入生を装い、ラファエルに挨拶する。

「ルシアちゃん?」

曖昧に答える彼の顔色は死体のように青白かった。

「大丈夫ですか!?」

しわくちゃになったり破れたりしたキャンパスからは、ラファエルの芸術的苦悩が感じられる。

(思い通りに行かないのかな?)

現在、ラファエルの絵は足踏み状態だ。

技法的な部分はエレナの助けで成功したが、まだ絵の本質を描き出すことはできていない。

「もどかしさを感じて仮病を使いました。私よりも、ルシアちゃんは大丈夫なのですか?」

「私ですか?はい、ご覧のとおり良くなりました」

どうやらセシリアを通じて、彼はエレナが倒れた話を聞いたようだ。

「私よりも先輩方が顔色が悪く見えるのをご存知ですか?」

「それほどでもないよ。顔を洗っておけばよかったね」

ラファエルは苦笑いを浮かべる。

「あまり焦らないでください。時には情熱や努力より無関心な時間が答えをくれる場合も多いですから」

「時間が・・・」

助言を惜しまないエレナを見て、時々、哲学教授よりも世間に通じているように見える少女。

これまでにラファエルが驚いたのは、一度や二度ではない。

「あまり見ないでください、先輩。恥ずかしいです」

「ああ・・・、つい習慣的に。すみません」

和やかな雰囲気になったので、ラファエルは軽く笑った。

すると、この瞬間だけは頭を絞っていた苦悩から少しだけ解放されることができた。

「ルシアちゃんの絵が見たいと思いました」

「私の絵ですか?」

エレナは意外な発言に戸惑う。

それと同時に、来たるべきときが来たという感じがした。

「ただ思いついただけですよ」

しばらく悩む。

スランプを乗り越える上で役に立つなら、自分の足りない実力でも助けたいと思ったから。

「じゃあ、描いてみますね」

ラファエルの目が大きくなる。

自分の発言でプレッシャーを感じさせてしまったように思えたから。

「私が描きたくて描くんです。だから、下手でもからかったらダメですよ。分かりましたか?」

エレナはニッコリ笑う。

 



 

  • お母さん

「・・・」

しかし、いざ真っ白なキャンパスに向き合うと、エレナは戸惑った。

(何を描こうかな?)

今すぐ思い出すのは、過去の傑作を何度も書き写したもの。

(でも、それに何の意味が?)

邪魔になるかもしれないと考えて、ラファエルは遠くに座って読書をしている。

(模作は模作に過ぎない。彼の役には立たないわ)

エレナは「絵を描かなくてはいけない」と決断した目を閉じる。

人生の記憶の欠片が頭から飛び散る。

幸せなとき、嬉しいとき、悲しいとき、惨めなとき、ときめくとき。

彼女が生きている間に経験した全ての感情が染み込んでいく。

その中でも、最も鋭い痛みの破片に何度も惹かれた。

それだけは探したくなかったのに・・・。

それでも勇気を出す。

これ以上は隠れないで向き合うことを。

エレナは筆を握った。

今この瞬間、彼女に理性が割り込む隙などない。

技法は無視する。

彼女は無我の境地に入り込んだ。

この瞬間、エレナは誰よりも孤独だった。

「・・・」

ラファエルもいつの間にか後ろにきて、彼女の筆遣いを見守りながら、目を離すことができなかった。

そして、いつまでも止まらなかった筆遣いが静まる。

エレナはパレットと筆を置き、絵から目を離せずにいた。

そして涙を流す、

悲しみ、痛みよりも身に染みる懐かしさの涙。

キャンパスに描かれた肖像は、彼女とシアンの間に生まれた一人息子。

(ごめんね・・・。あなたを忘れようとしていたのに・・・)

世の中のどこにも子を忘れる親はいないだろう・・・。

それでも、エレナは無理矢理そっぽを向いていた。

考えただけでも痛くてたまらないから。

思い浮かべるたびに、自分を傷つけていた夫のシアンが思い出され、崩れそうな気がしたから。

しかし、今は違う、

忘れるのではなく、覚えていこうと。

そっぽを向くのではなく、大事にしようと。

たとえ二度と会うことはできなくても・・・。

お母さんなのだから。

 



 

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