こんにちは、ピッコです。
今回は3話をまとめました。
ネタバレありの紹介となっております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
3話
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ③
「私はあなたのことをよく知らない。それはあなたも同じだろう。しかし、あなたは私の妻で、私はあなたを一生連れて行かなければならない。しかし、私のそばにいるだけでもそんなに震えていたら、私があなたを妻だと思うわけがない」
「い、一生・・・。わ、私を連れて行くのですか?」
マックの驚いた表情に、リフタンの顔が荒々しく歪んだ。
「私たちは3年前に結婚した。夫婦が一生を一緒に暮らすのは当然のことではないか」
「・・・」
信じられなかった。
もしかしたら、私が王女との婚約を知らせを伝えられなかったと思って嘲弄しているのかもしれない。
「私のような下級出身でも、結婚誓約の重要性は知っている。それなのに、貴族のお嬢様がそれを徹底的に無視したという事実が私には信じられないな」
「む、無視する?」
「無視じゃなければ何だ?あなたは私と結婚しても徹底的に私の存在を無視した。これからも私がそのような態度を我慢してくれるとは期待しないでくれ」
どうして彼がそんな非難をすることができるのだろうか。
結婚式の翌日、一言も言わずに去ってしまった人が!
「わ、私、私は無視したことはありません!む、むしろ・・・、あ、あ、あなたの方が・・・」
「ふざけるな!あなたはカリプス夫人と呼ばれながらも、この3年間クロイソ公爵領に滞在した。最初の夜を過ごした後、当然私の領地に行かなければならなかったのに、ただ豪華な父親の城に残ることを選んだではないか!」
リフタンは大声で鼻を鳴らした。
「まあ、公爵令嬢の座を放棄し、いつ死体になって帰ってくるか分からない夫の家を守る貴族の女が世の中に存在するかどうか」
「あ、あなたの家を私が、えっ、どうやって知ってた、訪ねて、行くんですか?あ、あなたは、何も・・・!」
「しらを切るな。出兵する前に私はあなたが来て過ごせるように全ての措置を取っておいた。私が死んだら、私が管理していた財産は全てあなたが相続することになっていたと。公爵の娘さんはそれくらいの土地なんか知ったことではないだろうが、私には重要な財産だった。それを君は完全に放置していたんだ」
リフタンの顔には怒りがはっきりしていた。
嘘をついているようには見えない。
「私、私はし、知りませんでした・・・。そ、そんなことは、少しも・・・」
「私の部下たちは、あなたが去ることを拒否したと言った」
リフタンは苦々しく言った。
「苦労するなって。あなたが私のことをどう思っているかは3年前からハッキリ知っていたから。ちっ、ところでさっきから、どうしてしきりに震えている?私が君を殴って罵倒するとでも思っているのか?」
「ご、ごめんなさい。あの、でも私、私は本当に知りませんでした。目が覚めたら全部、あなたは、もう去った後だったし・・・、わ、私は何もつ、伝え聞くことができませんでした」
真偽を見極めるかのように、リフタンは目を細め、しばらくすると少し穏やかな口調で吐き出した。
「たとえそうだとしても、あなたは当然私の領地に発つべきだった。夫の家を守ることが結婚した女性の当然の義務なのだから。そんな考えさえしなかったほどに、君にはこの結婚がつまらないということだろう」
彼の言葉に何の反論もできない。
「もし妊娠でもしていたらどうしようとしていたんだ?」
「に、に、妊娠ですか?」
物思いに耽っていたマックは、思いもよらなかった単語にビックリして顔を上げる。
あの日の行為はマックに苦しみと恥じらいの記憶として残っていた。
マックは彼に対する恐怖で震え、その姿を見てリフタンは顔を歪め、バタンと壁を拳で打ち下ろした。
「くそっ、そんな表情をするな!まるで、私の子供を持つのが恐ろしいように・・・!」
「団長、オーガです!」
「今すぐ馬車の周りにシールドを張れ!」
静かに命令を下したリフタンはマックの方を振り返り、鋭く叫んだ。
「絶対外に出るな!」
それから返事も聞かず、馬車のドアを乱暴に閉めて出ていく。
ドン、ドン、地面が振動するたびに馬車が細く揺れる。
彼女は床に座り、できるだけしゃがんだ。
最近、公爵領付近で魔物がよく出没したというニュースを微かに伝え聞いたが、まだクロイソ城を離れて1時間も立っていない。
荘園の近くで魔物の襲撃を受けるなんて、生まれて初めて経験することに全身が震えた。
もしかすると馬車の天井が壊れるのではないかという恐れで慎重に頭を上げると・・・。
血の滲んだ巨大な緑色の目が窓越しからじっと自分を覗いているではないか。
その瞬間、体がサッと後ろに下がって世界がひっくり返った。
マックは安全な場所から離れたという恐怖で青ざめて、あたふたと体を起こす。
彼女は助けを求めるためにあたりを見回すが、みんな灰色の巨人と戦うのに余念がなかった。
「奥様!今すぐ中に入ってください!馬車周辺には防御膜を張っておきました。中にいらっしゃれば安全です」
魂の抜けた顔で座り込んでいると、肩を引っ張る手にギョッと後ろを振り返る。
スラリとした体格の男性が自分を睨んでいた。
「山から降りてきたオーガです。運が悪い方ですが、カリプス卿がいらっしゃるので何も問題はないでしょう。中に入っていてください!」
「あ、私、私は・・・、で、出ようとしたんじゃないです。こ、こ、転がり落ちて・・・」
彼らを邪魔するつもりは全くなかった。
「ば、馬車が揺れて、風に・・・!」
「奥様!中に入ってください!」
しどろもどろと吐き出す言葉を、男が苛立たしく切り捨てる。
言い訳ばかりしている場合ではない。
なんとか気を引き締めて、震える足で馬車の上に上ろうとすると、再びドンドンという音が聞こえてきた。
ここ数日間、緊張で締め付けられていた胃腸が苦しそうに捻れて泣きそうになる。
マックは地面に這い胃液を吐き出す。
「カリプス夫人!」
男が驚いて肩を支えてくれた。
「どうした!?」
リフタンの驚いた声に、やっとマックは顔を上げる。
地獄のライオンのように恐ろしい姿。
目の前がくらくらする。
視界が次第に暗くなり、すべての音が徐々に遠ざかっていく。
マックはすぐに深い闇の中に沈んだ。
西武帝国を全て制覇し、南大陸まで支配力を振るったロエム帝国が没落し、大陸には諸侯時代が開かれた。
領土を持った貴族たちは貴族たちなりに一人でも多くの騎士と魔法使いを従えるために努力しなければならなかった。
マクシミリアンの父親であるイシオン・クロイソ公爵も例外ではない。
初代クロイソ公爵は、東部地域の広い領土を占めることに成功したウェザンの諸侯の一人。
クロイソ公爵家は広大な穀倉地帯と数万人の農奴を手に入れるため代々数十回の戦争を行い、その結果、莫大な富と権力を握ることができた。
そうするうちに30年前、幾何級数的に増えた魔物に対抗するために7国が休戦協定を結ぶことになり、クロイソ公爵は戦争で得た領土をドリスタンに返還せよという圧迫に苦しめられることになった。
目を見開いて領土の半分を奪われるようになった公爵は、直ちに解決策を見出す。
まさにロエム帝国の王族と結婚して土地支配権の正当性を獲得しようとしたのだ。
そのようにして選ばれたのが彼女の母親、アリアン・ロエム・ギュルタだった。
アリアンは美しい容貌を持った静粛な娘であり、非常に従順で柔軟な性格を持っている上に、何よりも一時は太陽は光が当たるところ全域を支配した偉大なロエム皇家の直径血族。
しかし、まもなく彼はまた別の問題に直面することに。
まさに後継者問題だ。
結婚して6年になるまでアリアンはなかなか子供が産めず、やっと妊娠しても早期に流産するのが常だった。
健康な正当後継者を手に入れるために高位神官から民間呪術師まで動員するなど、あらゆる努力を傾けたが、挫折だけを経験してから長々10年。
ついに彼の真心が神に届いたのか、元気な子供が生まれた。
しかし、不幸にも生まれた子は女の子。
その事実を知った時、公爵が感じた虚しさは言葉では表現できないほどだった。
彼は娘が育つとウェザンの王族と結婚させ、その間に後継者を得られるのではないかという一抹の期待さえしていたが、障害のある人間をクロイソ家の相続者にすることはできない。
公爵は一つの欠点もない元気な男の子だけが家の名誉を守ってくれると固く信じていた。
しかし、アリアンはついに息子を産むことができず、頻繁な流産で衰弱するほど衰弱して死んでしまった。
ロエム皇族の血が混じった後継者が必要だった公爵は、直ちにアリアンの従姉妹の中から新しい花嫁を迎えることに。
しかし、2番目の妻さえも娘一人だけを残したまま病気で死亡すると、世間にはクロイソ家に呪いがあるのではないかという噂まで広がった。
そのせいでロエム家ではこれ以上公爵に娘を渡そうとしなくなり、結局クロイソ公爵はすべての期待を次女ロゼッタ・クロイソに賭けるしかなかった。
不幸中の幸いなことに、ロゼッタは長女のマクシミリアンと違って美しい容貌と明晰な頭脳、そして優れた技量を持っていた。
彼女を名望のある一族の子弟と結婚させ、その間に後継者を獲得すれば、広大な領土に対する支配権を維持すると同時に、クロイソ一族の優秀な血族もそのまま維持することができた。
その目的を達成するために、公爵はあらゆる努力を惜しまなかった。
優れた家庭教師と何百人もの使用人、美しい服と宝石。
彼はロゼッタが望むことなら何でも聞いてあげて、彼女をウェザンで最も完璧な花嫁にするためのことなら、どんなことでもした。
そんな中で、まともでない長女を気にする余裕があるはずがない。
マクシミリアンはいつも後回しだった。
しある瞬間から公爵は長女、マクシミリアンの存在を目の敵にするようになる。
公爵家の長女が酷い吃りだという事実が知られたら、ロゼッタとの婚礼を避ける人がいるかもしれない。
彼は不細工な娘のせいで計画が狂うのではないかと心配した。
むしろ彼女が病気にかかって死んでほしいと思うほどに。