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89話




 

こんにちは、ピッコです。

今回は89をまとめました。

 

 

 

 

 

ネタバレありの紹介となっております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

各話リンク こんにちは、ピッコです。 ネタバレありの紹介となっております。 ...

 




 

89話

88話 こんにちは、ピッコです。 今回は88話をまとめました。 ネタバレ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 新しい魔法使い

しばらく人を救うためにあちこち走り回った末、リプタンはロベルン伯爵領で70歳近くになる老魔術師1人を雇用してくることができた。

それさえもロベルン伯爵と軍事同盟を結ぶ代価として得た人材だ。

「こんなにぼったくられたのは生まれて初めてだ」

魔法使いを獲得する見返りに、思ったより不利な条件で同盟を結ぶことになったリプタンはうんざりした。

「その魔法使いが思ったより老けてないといいね。長生きしてアナトールに奉仕してほしいだけだよ」

だが、彼の望みとは裏腹に、6人の護衛と共にカリプス城にたどり着いたのは、70どころか80をはるかに超えて見える背の高い老人だった。

客を迎えるために外に出たマックは、いったいアナトリウム山地をどのように越えてきたのか不思議に感じられるほと痩せた老人を見て目を大きく開ける。

魔法使いはみすぼらしい身なりに曲がった腰、しわの寄った灰色の顔とトウモロコシのようなパサついた髪の毛を持っていた。

彼は今にも倒れそうなほど際とい足取りでグレートホールに入り、リプタンにやっとの思いでお辞儀をする。

「メドリック・アロンと申します。ウェデンで最も光栄な騎士をお迎えすることになったことを・・・」

咳払いで彼の言葉が途切れた。

「神様に感謝を申し上げます」

リプタンは呆れた顔で彼を見下ろし、穏やかに尋ねる。

「いくつ?」

「小生は・・・今年で68になりました」

マックは彼が少なくとも10歳以上は縮めて答えていただろうと思った。

リプタンだからといって、その事実に気づかないはずがない。

ロベルン伯爵が詐欺を働いたことは明らかだが、リプタンはかわいそうな老人に腹を立てる代わりに、兵士たちに彼を部屋に案内してくれと無愛想に命令を下した後、直ちに伯爵領に送る伝令を呼んだ。

「ロベルン・・・伯爵にはこ、抗議するつもりですか?」

「当然抗議しないと。敢えて私を騙して食べてそのまま見過ごすことができる人間は世の中にいない」

彼は猟犬のようにうなり声を上げ、首筋をいらだたせた。

「しかし、あの老人を送り返すのは難しい。見たところアナトリウム山をまた越えられそうにないね」

「旅の途中で疲れ果てて、もっと憔悴しているように見えるだけかもしれません。気力を取り戻したら・・・治療術師の仕事をすることができるでしょう」

熱心に慰める彼女をリプタンが懐疑的な目で見下ろした。

「あなたが面倒を見なければならない患者が増えたのではないといいね」

冗談なのか本当なのか分からない言葉にマックはぎこちない笑みを浮かべる。

 



 

リプタンの心配とは裏腹に、栄養のある食べ物をお腹いっぱい食べて、ふかふかのベッドで2日間ほど休憩を取ったメドリックは、目に見えて活気を取り戻した。

マックは彼の健康が完全に回復したことを確認し、練兵場の医務室に案内する。

老人は気の毒なほど痩せこけていたが、瞳には活気が光り輝き、治療術に対する知識も豊富だった。

彼が棚に置かれた薬剤とルースの軟膏、薬を全てくまなく調べた後、一つ一つ腰にぶら下げていた革の袋を二つほどほどいた。

「薬剤の種類が多くないですね。私には60種類以上の薬草の種があります。近くに畑を作ることができるでしょうか?」

「グレートホールの裏側に・・・ハ、ハーブ畑があります。でも、60種類を・・・超える薬草を植える空間になって、できるかどうか分かりませんね」

「私の薬草は荒れた土壌でもよく育ちます。小さな畑を作ってくれれば、素敵な薬草畑を作ります」

老人の意欲的な態度にマックは微笑んだ。

「下人たちへ・・・指示しておきます。直接その仕事をするのは・・・やめてください」

「私に土地を耕す気力はなくても、種をまく力の程度は残っています。土壌を手入れさえしてくだされば栽培は私が自分でします」

メドリックは自分の役に立つことを証明しようと必死だった。

彼はすぐに薬草畑を作る作業に取り掛かる。

使用人3人が彼の指示に従って土地を耕し、垣根を作ると、魔法使いが種類別に薬草の種をまいた。

彼女は彼が均等に種を植えるのを見て薬草について質問すると、彼はすらすらと答えた。

メドリックは強力な魔力の持ち主ではなかったが、ルースよりもっと該博な医学知識を持っているようだ。

マックはしばらくして、メドリックがパニックに陥った患者たちを落ち着かせるいくつかの幻覚魔法を使うことができ、治癒魔法にはひびが入り、植物を健康に早く育つようにする魔法式を開発したことが分かった。

彼は無条件に魔法を通じて人々を治療するよりは薬草と湿布、直接開発した膏薬を使うことを楽しんだ。

人々を魔法だけに依存させてはならないという理由からだった。

「傷がひどくなければ、肉体が持つ回復力で治すのが一番です」

「どうしてですか?も、もしかして・・・よく治癒魔法を受けると、特別な問題でも起こりますか?」

「肉体に問題が生じるわけではありません。ですが、心に問題が生じます。魔法でいつでも傷が治ると信じるようになると、戦士たちは不用意になります。痛みに耐える忍耐力も減りますし、魔法使いにどんどん依存するようになりますよね。耐えられる痛みは耐えるようにするのが一番いいです。そうしてこそ傷から教訓も得られるじゃないですか」

メドリックは注意深く彼女を見つめながら助言した。

「奥様、人々の要求通りに、すべて魔法をかけてはいけません。魔力は魂の血液です。消耗しすぎると必ず当事者の体にも問題が生じます。傷の症状を把握する目を育て、必ず必要な人々にだけ恩恵を与えるようにしてください。目に見えるすべての人を助け出さなけれはならないという使命感にとらわれる瞬間、治療師の人生は挫折と苦行で満ちていくことになるでしょう」

メドリックの言葉はマックにとって非常に興味深いものだった。

ルースはそのような助言をしたことがない。

彼は魔法の熱烈な賛美者で、どんな瞬間にも魔法を使うことに躊躇したり、憚ったりすることはなかった。

しかし、メドリックはそれよりも慎重で慎重な態度を取る。

マックはすぐに彼のやり方が自分の微弱な魔力を消費するのにより適していることに気づいた。

そして、すぐに彼を自分の2番目の助言者にして、毎日色々なことを学んでいった。

彼の様々な薬草の効能と使い方、そして負傷による処置法を学び、魔法に対する助言も求める。

彼はルースのように複雑な魔法のスタイルには長けていなかったが、魔法の使い方には長けていた。

新しい先生に出会い、マックの実力は日進月歩する。

彼女は大地を利用してしっかりとした防壁を作り出す魔法を見事に成功させ、魔力の流れを加速化させて威力を強化することもやり遂げたのだ。

 



 

そのようにマックが魔法使いとして治療術師として見違えるほど生まれ変わる間に、アナトールの姿も目覚ましい激変を迎えた。

道路工事はほとんど終盤に至り、金褐色の肌を持つ南方出身の商人たちが列をなしてアナトールを訪問する。

彼らは完成して行く道路を見て回り、港を拡張する事業に惜しみない支援を約束した。

西大陸への最速航路を開くための投資だ。

領地はすぐに小さな田舎町から都市の形に変化していった。

その活力がどれほとすごかったのか、西北側で魔物とのものすごい戦闘が繰り広げられているということが信じられないほどだ。

伝令を通じて伝えられるリバドンの消息がなかったら、マックは巨大なトロール軍隊などはとっくに忘れていたかもしれない。

しかし、10日に1回の割合で、ある城が魔物に陥落したとか、ある村が廃墟になったとかいう恐ろしいニュースが伝わり、さらに悪いことにウェデンから派遣された援軍から、魔物軍除の規模が予想より巨大で、長期戦に突入しそうだという報告まであった。

騎士は暇さえあればそのことを話題にした。

トロールたちが高原地帯でそれだけの規模の軍隊を作り出す間に、バルトとリバドンがなぜ気づかなかったのかという話から始まり、魔物たちがそのように強力な組織力を備えるようになった背景まで、無数の推測が飛び交った。

マックは興味と不安が入り混じった状態で彼らの話に耳を傾ける。

彼女が医務室で過ごす時間が多くなり、最初は言葉を遮っていた騎士たちも次第に緊張を解き、あれこれ話をすらすらと吐き出し始めた。

最近では、オシリアで追加支援軍を送る可能性が高いということと、ウェデンからも兵力をもっと送ろうとするかもしれないということまで知らせてくれた。

「ドラゴン討伐の時、リバドンから支援軍を送ってくれました。ウェデンがその時の借金を返済しなければ、残りの6つの国は今後この国に何が起ころうとも援軍を送らないでしょう」

「でも・・・ウェデンはすでにじゅ、十分な数字の援軍を送ってくれたじゃないですか」

「十分なら、すでに状況が好転したでしょう。しかし、まだリバドンでは罪のない人々が苦痛と恐怖に震えています。これは騎士道に関する問題です!残りの六つの国が今まで以上に積極的に援助すべきだと思いませんか」

マックはすぐに彼らがアナトールを離れ、リバドンで起きている過酷な戦闘に参加したいと思っていることに気づく。

若い騎士たちは自分たちが飛び込むべき危険に身を焦がしているように見えた。

彼女は彼らの一言うことに同意も否定もできずにぼんやりと微笑んだ。

リプタンも、実は彼らのようにリバドンヘ旅立ちたいのではないだろうか。.

そんな考えをすると、必ず負けるとこの揺れ動くような危険な気分になった。

 



 

ルースとは考え方の違う二人目の師匠。

マックの実力がどこまで向上したのか楽しみですね!

魔物の襲撃も不穏ですね・・・。

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