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外伝3話




 

こんにちは、ピッコです。

今回はをまとめました。

 

 

 

 

 

ネタバレありの紹介となっております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

各話リンク こんにちは、ピッコです。 ネタバレありの紹介となっております。 ...

 




 

3話

外伝2話 こんにちは、ピッコです。 今回は2話をまとめました。 ネタバレあ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 幼少期③

母親は翌朝、森の番人によって足を運びだされた。

義父は遺体を収拾した後、直ちに神官を訪ねて葬儀を依頼する。

異邦人に排他的な旧教の神官たちは、しぶしぶ母親の遺体が神殿墓地に埋葬されることを承諾してくれた。

義父が持っていた残った銀貨を全て払い落としたおかげで。

葬儀はその日の午後に行われた。

夏には死体の腐敗が早いため、一日も延ばしておくことができなかったのだ。

リプタンは余分なお金を握らせ、やっと手に入れた棺の蓋の上に土が撒かれるのを無感覚な顔で見下ろす。

神官が彼女の魂を救うために長い祈りを詠んでくれた。

これで彼女は救われるのか。

彼は肩を垂らした義父の後ろ姿をじっと見つめた。

あなたはここまでしてでも、あの女を救ってあげたかったのか。

リプタンは拳を強く握り締めて、爪が肉に食い込むほどだった。

義父は一生悪夢に悩まされることになるだろう。

そして自分も。

不思議なことに涙は出なかった。

彼は麻痺したように固まっていたが、義父の催促に耐えられず、立てかけたみすぼらしい墓碑の前に花を一輪置く。

ついにささやかな葬儀手続きが全て終わると、弔問客が順に慰労の言葉を伝えた。

弔問客といってもたった4人だけだ。

彼女と親しくしていたクロイソ城の女中二人と隣家の老女、そして三十中頃に見える見知らぬ男・・・。

リプタンは不思議そうな目で、いい服装をした重厚な外見の男を見上げた。

濃い茶色のひげを生やした体格の男だ。

一見貴族の身分のように見える。

どうしてこんな人が私の母親を弔問しに来たのか。

そのような疑問が込められた視線を送るが、男が彼の前に近づいて口を開いた。

「思ったよりもっと似てるね」

妙な口調にリプタンは顔色を固める。

男が懐をかき回して何かを差し出した。

「さあ、お前の生父の遺品だ。本来は親戚に渡さないといけないけど・・・、あいつに残っている血縁がないから君にあげるんだよ」

男が取り出したのは1クベットを少し超える長さの短剣。

リプタンはそれを受け入れることを考えずにただ見下ろしていた。

すると男が性急に彼の手を引っ張って無理やり短剣を握らせる。

そうしては、自分の義務を果たしたかのように、未練なく振り向いてしまった。

リプタンは急いで彼を追いかける。

「生父の遺品って、それはどういうことですか?」

「お母さんに聞いてないのかな?」

男は眉をひそめ、ため息をついて言った。

「今回の出征地で君の実の父が戦死した。その短剣は奴が大事にしていたものだ」

リプタンは激しく顔をしかめる。

「これをどうして私にくれるんですか?その男と私と何の関係があるって・・・!」

「私もそう思うが」

男が乾いた口調でつぶやいた。

「あいつはいまだに家庭を築いていないし、婚約者もいない。遺品を届けてくれる人はあなたしかいなかった。それでここに来てすぐあなたを探したんだけど・・・、こんなことが起こるとは」

男は首を軽く横に振り、無味乾燥な口調で付け加える。

「残念だ」

形式的な慰めを表した男は、茫然自失したリフタンを置き去りにしては、ふらりと去ってしまった。

リプタンはがっかりした笑みを浮かべた。

彼女がなぜそんなことをしたのかに気づくと、裏切られた気持ちと怒りがお腹の中で沸き上がる。

彼は母親の墓の前に建てられた碑石を険しい目で見つめた。

ぶるぶる震える彼の肩の上に、ごつごつとした硬い手のひらが上がってきた。

「・・・もう帰ろう」

義父の憂鬱な目を見上げていたリプタンは、力なく目を伏せる。

葬式を行うやいなや、彼は心を落ち着かせる暇もなく鍛冶屋に行かなければならなかった。

賤民の女一人が死んだとして誰一人彼の事情を見てあげたり、同情のこもった視線を送ったりしない。

疫病が起きれば大量に死ぬのが下層民であり、どこにも混じって入らずに空回りばかりしていた異邦人の死などは教区民の間で話題にもならなかった。

その事実がかえって幸いだった。

浅はかな慰めの言葉なんていらない。

彼は悪夢のような昨夜を二度と思い出したくなかった。

リプタンは頭の中に浮かぶあらゆる考えを消し去ろうとするかのように、少しも休まずに働く。

頭の中がぬかるみになってほしかった。

彼は肩の激しい鈍痛を訴えるまで荒々しく金づちを打ち続ける。

 



 

そしてついに指一本動かす気力も残らなくなると家に帰ってきた。

しかし、小屋の前に着くと、足が木の根でもあるかのようにびくともしなかった。

彼はしばらく躊躇った後、震える手でドアノブを握る。

真夏の蒸し暑い空気が肺腑に窮屈に入ってきた。

目をぎゅっと閉じてドアを開けると、ツンとした匂いが鼻をつく。

彼は赤みがかった暗い部屋を荒れ果てた目で見回した。

昨夜、床を綺麗に拭いておいたのに、あの妙な悪臭はまだ部屋の中に残っていた。

リプタンは震える手で口元を撫で、ドアの端に立てておいた水筒を手に取り、小川のほとりで水をいっぱいに汲んできた。

それから床にこぼして、ズボンが濡れていようが濡れてまいが膝をついて座って真っ黒な染みを拭いてまた拭いた。

そのようにとれだけ雑巾をかけたのか、赤く燃え上がった指先に垂れ下がった花びらが触れる。

彼はそれをじっと見下ろし、ゆっくりと視線をそらした。

しわくちゃになった花冠が隅で枯れていた。

リプタンはそれを手に取る。

花冠にぶら下がっていた花びらが、ごそごそと床にひらひらと落ちてきた。

腰を曲げてそれを一つ一つ拾い集めると、いきなり手の甲の上に水滴がぽたりと落ちる。

彼はぼんやりと瞬きをし、それが自分の涙だということに気づき、拳で激しく頬をこすった。

自分が何のために泣いているのかも分からない。

ただ涙を流したという事実が恥ずかしかった。

彼は枯れてしまった花冠を小さなかごの中に入れ、汚れた服を着替えることも考えずに
ベッドの上にうつ伏せになった。

天井にぶら下がっていた女性の顔が幽霊のように目の前でちらついた。

真っ黒な影がまだ頭の上にぶらさがっているようだった。

しかし、彼には逃げ場がない。

リプタンは毛布を頭のてっぺんまでかぶり、小さなダンゴムシのように体を丸くした。

その夜、義父は酒に酔って家に帰ってきた。

ガタガタという音に目を開けてみると、真っ黒な形がよろめきながら向かい側のベッドに歩いていくのが見えた。

義父はわらの山の上に座り込んで、長い間床だけを見下ろしている。

重い沈黙が続いてしばらく、ゴロゴロとした声が響き渡った。

「お前は自分をそんなに惨めにするな」

リプタンは暗闇の中でゆっくりと瞬きをする。

義父の声にはすすり泣きが入り混じっていた。

「地虫として生まれたら、地面だけを見て生きなければならないんだ。上を見上げると不幸になる」

「・・・」

「いったい誰が分かってくれるんだ。1匹の虫が地面に死んでいるんだ。誰かが目で見てくれても、そのまま踏んで通り過ぎてしまう。誰も気にしない。誰も気にしないんだよ。でも、それじゃダメなんだよ。そんなに愚かに生きてはいけないんだ」

リプタンは揺れる彼の肩をじっと見つめながら、真っ黒な天井に向かって目を向ける。

母親の悲しそうな顔が目にちらついた。

明け方になると、長くてふさふさした髪を綺麗にとかして丘の上に上がって、帰ってこない人を待っていた愚かな女性。

ついに自分を訪ねてこない男の後を追って残酷に去ってしまった女。

そしてそんな女を恨むことさえできない義父・・・。

これ以上は泣かない。

あの人のために流す涙はもうない。

こんなことをしたあなたを死ぬまで許さない。

彼はつぶやきながらそっと目を閉じた。

 



 

その日以来、リプタンは毎日機械的に鍛冶屋に行って家に帰ることだけを繰り返した。

まともに食べることも休むこともできず、仕事ばかりしていたので、いつ倒れるか分からないほど疲れていたが、むしろその方が良かった。

考える力もなくなるほど体を酷使せずには到底眠ることができなかったのだ。

そのように自らを追い詰める姿が霊威態に見えたのか、ある日は鍛冶屋がぶっきらぼうに話した。

「お前、明日は出てくるな。忙しいのに倒れて迷惑をかけることは考えずに明日一日休んでみんなが人の格好をしてから出て来いと言うんだよ」

あれほど死ぬほど自分をこき使っていた人がそう言うほどだとは、自分の格好が話にならないようだ。

リプタンは苦笑いを浮かべながら、こそこそ道具を置く。

しかし、家に帰る気にはならなかった。

彼は森の中をあてもなく歩き回り、泉のほとりで炭黒がついた手足を拭いては木の切り株に座ってしばらく休息を取った。

頭上で鳥のさえずりが平和に響き渡る。

澄んだ目で生い茂った木の葉の間を見上げていたリプタンは、ふと席から立ち上がってとぼとぼ歩き始めた。

どこへ行くのか自分でも分からない。

ただ何かに導かれるように静かに歩くことをしばらく、彼は離れの前にになってやっと立ち止まった。

花が咲き乱れる美しい花園の片隅に彼女が座っていた。

リプタンは静かに息を殺す。

真夏の熱気にもかかわらず、彼女は寒気を感じるかのように肩をすくめていた。

その姿が布団の中にうずくまっていた自分の姿と重なって見える。

どんなに寒くて寂しそうだったのか、その横に体をくっつけて座って体温を分けて
あげたいほどだった。

リプタンは妙な恐怖を感じ、そっと後ずさりする。

炎天下に立っているにもかかわらず、後ろに冷や汗が流れた。

彼は逃げるように速く歩いた。

城の外に出る間も、訳の分からない焦りは消えなかった。

彼は青い丘を一気に下り、勢いよく流れる小川の前で止まる。

強烈な日差しに水の流れが銀色に輝いた。

その澄んだ水の中で、彼が一時目を光らせて探していた白くて青い小石が光っていた。

リプタンはそれをじっと見下ろし、懐をかき回してみすぼらしい王冠を取り出した。

馬蹄鉄の王冠。

本当にこんな品物を公爵家のお嬢さんに渡そうとしたのか。

彼はそれを遠くに投げ捨てる。

鉄の輪がブーメランのように空中を飛び、水の中に沈んだ。

リプタンは未練を振り切るようにすぐにその場を離れる。

しかし、どこに行けばいいのか分からなかった。

その小屋はもう休めなかった。

そこに入るたびに彼は梁にしがみついた母親の幻影を見た。

毎日のように悪夢に悩まされる日々、無気力な義父の顔と果てしない労働、決して逃れられない貧困と慰める方法のない孤独感・・・。

一生この空しさの中で生きていくことはできない。

つまらない希望に身を焦がしたくもなかった。

近づいてはいけない人を慰めにしたくもなかった。

逃げたい。

遠く遠くへ逃げてしまいたい。

「遠く遠く・・・」

丘の向こうには広大な荘園を囲む灰色の城が見えた。

賤民は垣根の中に閉じこめられた一群の家畜と同じ。

垣根の中で生まれて垣根の中で死ぬのだ。

彼はこぶしを握りしめた。

決心がついた瞬間、リプタンは遅滞なく、一気に小屋に向かって走りだす。

真っ暗な部屋に足を踏み入れると、逃げ出したい気持ちはさらに強くなった。

彼はボロボロの袋にわずかな持ち物を全部詰め込み、少しの食料を持って肩に担いだ。

しかし、いざ外に出ようとすると、義父の顔が目の前にちらつく。

彼は立ち往生した動物のようにうなり声を上げながらドアのそばにとっかりと肩をもたせた。

屠殺場に連れて行かれるのに、一度も反抗できない無気力な子牛になった気分だ。

そのように死ぬ日だけを待つことはできない。

自らを惨めにするなと言ったのは義父ではないか。

リプタンはすぐに歯を食いしばって席を立つ。

彼は向きを変えて銀貨の四枚を机の上に置いた。

これでは全然足りないということは知っている。

彼はためらった後、短剣に刺さった装飾も削り出し、銀貨のそばに置いた。

それから決心がつかないうちに急いで小屋を出る。

罪悪感と解放感が同時に襲ってきた。

リフタンは罠から逃れた動物のように力強く走った。

広々とした穀倉地帯を過ぎて小さな市場に至ると、全身が汗でびしょ濡れに。

彼はそこで薬草を買う。

遠い道を行かなければならないかもしれない。

馬も1頭手に入れたかったが、家畜を買うためには.少なくとも銀貨6枚はなければならなかった。

一匹盗もうかという考えが頭の中をよぎったが、捕まったら手首が切れることで終わらないだろう。

そこに自分のようにみすぼらしい身なりをした男の子が馬を引いて城の外に出ようとしたら、すぐに衛兵たちに捕まることは明らかだ。

たとえ無事に盗んで城の外に逃げるとしても、誰かが自分に気づいて義父に賠償を払わせるかもしれないこと。

リプタンは悩んだ末、町最大の旅館に向かった。

そのあたりをうろうろするのをしばし、三台の馬車と六頭の馬が建物の前に並んでいるのが見えた。

商人と見られる男が旅館から出てきて何か指示を下すと、後から出てきた傭兵たちが馬車の上に荷物をいっぱい積んだ。

リプタンは路地に隠れてその光景を見守る。

いよいよ出発準備が終わったのか、傭兵たちが一斉に馬の上に座った。

そのうちの1人が手を高く上げると、馬車はゆっくりと動き始める。

リプタンは皆の視線が正面を向いた隙を狙って、一番後ろに建てられた荷馬車の上にひょいと乗った。

馬車の中には馬たちに食べさせる水と草がいっぱい積まれている。

彼はわらの山の間に入り込み、体を丸くして座った。

すぐに馬車がスピードを上げた。

リプタンは頭の奥深くにフードをかぶり、牛革の覆いの間から注意深く外を眺めた。

商団の行列はあっという間に城郭を通過し、広々とした平原を横切る。

不気味な戦慄が彼を震撼させた。

本当にやらかしてしまった。

両目で見ても自分が去っているという事実が信じられなかった。

死ぬ日まで公爵領から逃れられないと固く信じていたのに、こんなに簡単に去ることができるとは。

彼は膝の上に顔をうずめた。

自分が消えたことを知れば、義父はどんな表情をするだろうか。

病んでいた歯が抜けたようにすっきりするだろうか。

さもなければ、自分に裏切られたと呆然とするだろうか。

彼は唇をかんだ。

あの女の子は自分が消えたことを知っているだろうか?

一人でぽつんと庭に座っていた姿が目の前ににちらつく。

もうあの子は何で寂しさを紛らすのだろうか。

(・・・考えるな)

彼女は鳥の猟犬でも子牛でもすぐに手に入るだろう。

彼女の幼い弟が大きくなったら、これ以上寂しさを感じる暇もないだろう。

鍛冶屋で働いていた痩せた男の子が私を助けてくれたことも、その恩返しとして花冠を作ってくれたことも、まもなく忘れてしまうのが明らかだ。

リプタンはかばんの中に手を入れる。

がさがさした花冠に触れて、彼は乾いた花びらを馬車の外に散らした。

義父の声が耳元でちらつく。

自分たちは地べたばかり見て生きなければならない。

自分は絶対に上を見上げない。

絶対に。

 



 

これでリフタンの幼少期は終わりです。

壮絶な過去を持っていたのですね・・・。

ここからは彼の傭兵時代のお話に移るようです。

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