ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【10話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

10話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • プロローグ⑩

再びフィローメルは恐る恐る歩きながらも、目の前の男性の気持ちを伺うことに集中していた。

『……怖い。』

本当の血縁関係ですらあれほど冷たく振る舞う人なのに、自分のような偽の娘に対してどう対応するかなど想像もつかなかった。

そのとき、皇帝が幽霊のように振り返った。

「歩かないのか?」

「……はい、え?」

「散歩しようと言っただろう?」

そうだ、散歩だ!

緊張のせいですっかり忘れていた。

フィローメルは皇帝の背中にぴったりついて歩きながら、自分がいかに模範的な生徒であり、先生たちがどれほど自分を称賛しているかについて話し始めた。

ユースティスは「そうか」「まあな」「悪くない」といった短い返答しかしなかったが、フィローメルは彼がちゃんと答えてくれるだけでも前向きに考えた。

フィローメルは散歩が終わりかけた頃、彼の目を伺いながら尋ねた。

「陛下、散歩がお嫌いですか?」

「特に好きではない。しかし、主題も分からずに騒がしい蜂を追い払ったので、たまには出てくる必要があるだろうな。」

『蜂って、侯爵夫人とその息子たちのことだよね?』

フィローメルは慎重に口を開いた。

「それでは、これからもたまに一緒に散歩していただけますか?」

「……出かけるのか?」

「はい!」

「退屈だろうに。」

「それでも構いません。」

まさか「退屈だ」というのが、心の平穏が保たれるという意味の「退屈」なのでは……?

フィローメルの心中を察したのかどうか、皇帝は静かに答えた。

「分かった。」

「わあ!」

ちょっと待って、これは違う。

フィローメルは気を引き締めて、慎ましやかに姿勢を正した。

「お願いを聞いてくださり、ありがとうございます。」

「……普段通りでいい。」

「え? すみません、私には聞き取れなかったので、もう一度だけおっしゃっていただけますか……。」

「・・・好きにしろ。」

ユースティスはそれ以上言葉を発さず、無言のまま歩き続けた。

フィローメルも静かについて行きながら、美しい庭園を散策した。

その日以降、皇帝が散歩を終えた翌朝には「特級の山査子(さんざし)茶」を持って皇帝の寝室に顔を出すのが、フィローメルの日課となった。

皇帝の飲酒習慣を改善したいと考えたポルラン伯爵は積極的に協力し、情報を提供していた。

ユースティスは伯爵を横目で見ながらも、毎回山査子(さんざし)茶を全て飲み干した。

その後、二人は庭園を軽く散歩した。

「作文の先生が、『私が教えた生徒の中で一番優秀だ』っておっしゃいました!」

「それは良かったな。」

「私が皇女だから言ってくれた褒め言葉でしょうか?」

「彼は私の先生でもあったが、へつらう性格ではなかった。」

「それでも、そこまでは……わっ!」

慎重に歩いていたフィローメルの足がつまずいた。

石畳に派手に倒れてしまった。

「うっ……。」

膝をすりむいたようだ。

皮膚がめくれてひりひりとした痛みに涙がじわりと浮かんだ。

『こんなことで泣いてはいけない。すぐに立ち上がらなければ……。』

さもなければ、皇帝が自分を見捨てて行ってしまうかもしれない。

こんなことで泣いていると思われたら、軽蔑の目で見られるかもしれない。

「大丈夫か?」

そんな時、ユースティスが戻ってきた。

さらに「大丈夫か?」と心配までしてくれた。

「なんでもありません!」

フィローメルは急いで立ち上がり、少しふらつきながら歩き出した。

その様子をじっと見つめていた彼が一歩近づいた。

しばらくすると、フィローメルの体が宙に浮いた。

ユースティスが両腕でフィローメルの腰を掴み、持ち上げたのだ!

「へ、陛下!」

驚いたフィローメルはもがいた。

「じっとしていろ。」

「そ、そんな……!」

「ここは皇族しか出入りできない場所だ。お前を運べる人間なんて限られているだろう。」

「でも……陛下が無理をされるのは……。」

「私が? 私を今にも死にそうな人間扱いしているのか?」

ユースティスはフィローメルをしっかりと抱えたまま、一番楽な姿勢を見つけ、散歩を続けた。

フィローメルはこの状況が息苦しくなるほど気まずく、こっそり身じろぎした。

「不便でも我慢しろ。」

『これをどうやって我慢しろと!』

腕がしっかりと固定されているせいで、物理的に不便なだけでなく、精神的にも苦痛だった。

「どうしても嫌なら寝てでもいろ。」

到底眠れるはずがない。

そう思いながらも、フィローメルはとりあえず目を閉じた。

そして驚いたことに……本当に眠ってしまった。

眠った皇女を腕に抱いたままの皇帝の姿があった。

デレス伯爵夫人が驚いて駆け寄ってきた。

「まあ、お疲れのようですね。とはいえ、今日のように陛下をお訪ねする日は、いつも早起きされていますから。」

「……。」

「陛下が目覚められた時にお茶をお持ちしたいとお考えなのですね。」

「……そうだな。」

デレス伯爵夫人は深く息を飲んだ。

彼女は普段からフィローメルがどれだけ一生懸命に生きているかをよく知っていた。

この小さな体で努力する姿を見れば、何でもしてあげたくなるのも無理はなかった。

さらに、自分の娘を抱いている皇帝の表情を見ていると、なぜか安心感を覚えた。

伯爵夫人は勇気を振り絞り、恐る恐る口を開いた。

「イサベラ皇后陛下も庭園を散歩するのが好きだったと聞いています。」

「……花の風景が好きだったな。」

返事が返ってくると、伯爵夫人は喜びながら言葉を続けた。

「皇女殿下は皇后陛下に似ていらっしゃるようですね。陛下と一緒に散歩するために、毎回早起きなさる姿を見るとそう思います。」

過去を思い出すように、青い瞳が追憶に沈んだ。

「イサベラは散歩する時、ほとんど周りの風景ばかり見ていた。隣にいる人の顔を見たことはほとんどなかった。」

ユースティスはそっと娘を地面に降ろした。

「それなら、この子はイザベラではなく、私に似ているのかもしれないな。」

その瞬間、近くの木の根元にいた小鳥が飛び立った。

デレス伯爵夫人はその音のせいで、皇帝が皇后について話した部分を詳しく聞き取ることができなかった。

しかし、皇女が自分に似ているという最後の言葉ははっきりと耳に残った。

実際のところ、数か月間皇女のそばで見守ってきた彼女からすれば、皇女が皇帝に似ているという話にはまったく共感できなかった。

しかし、父娘の関係において、それが肯定的な信号であることは明白だった。

 



 

 

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