ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【103話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

103話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 向き合う勇気

翌朝。

フィローメルは朝食をとりながらもずっと悩んでいた。

「……なんて言おう?」

実はこの世界は〈皇女エレンシア〉という物語の中の世界で、エレンシアはその物語を書いた著者なんです。でも知れば知るほど、この世界が本当に小説の中の世界なのか疑問に思えてくるんです。

『昨日見た星光商店だけでも……小説というより、役割遂行型ゲームに近く見えた。』

最近ごっこ遊びに興味を持ったフィローメルのために、屋敷ではさまざまな種類のボードゲームが用意されていた。

その中には、参加者がそれぞれ架空の役割を担うものもあった。

昔は、勇者の一行となって魔王を倒すために旅立つという内容のゲームを、四人パーティーでプレイしたこともあった。

『あそこでも商店に行って、さまざまな魔道具を買うことができた。』

とはいえ、魔道具を買うといっても、魔道具の説明が書かれたカードを引き、無条件にお金を払うようなものだが。

ここは、ここは……『帰ってきた姫様のドキドキ宮廷生活』の世界じゃないか!

もしかしたら、エレンシアが言っていた「ドキドキ」は、この世界のゲームのことだったのかもしれない。

あああ!このクソみたいなゲーム!

―卑俗な言葉の使用が感知されました。正しい言語生活を通じて健全なゲーム文化を……

実際、彼らの会話の中には「ゲーム」という単語が何度も出てきた。

『エレンシアは隠したがっているけれど、ここは小説ではなくゲームの中の世界が正解みたいだ。』

フィローメルはフォークを置いて深いため息をついた。

「はあ。」

小説であれゲームであれ、他人の創作物だという点は同じだった。

「この世界が創作物だって?」

否定したくてたまらなかった。

彼女は確かに生きて、息をしていた。

完全に自分の意志で考え、行動していた。

『なのに私が、誰かの物語の中の登場人物だって?そんなはずがない!』

宮殿の風景、服の質感、食事の味、花の香り……そのすべてがあまりにも詳細で鮮やかだったのに……。

だが、フィローメルの直感は訴えかけていた。

自分の手で手に取った奇妙な物たちが、そう語りかけていたのだ。

『不自然だ……。』

フィローメルは自分の感じたことを、ルグィーンや兄弟たちにきちんと伝えなければならないと思った。

「……狂った人扱いや変な評価を受けなかっただけでも幸いだ……。」

彼女はこの荒唐無稽でとんでもない話をどう切り出すべきか悩みながら寝室を出た。

すると予想外の来客と鉢合わせた。

「ナサール。」

「フィローメル様!」

駆けつけたのか、息を切らしているナサール・エイブリトンがいた。

国賓館応接室。

フィローメルはナサールに冷たい水を差し出した後、彼の顔を見つめた。

『顔がずいぶん荒れてるな。』

肌がざらざらしている。

いつも完璧だったナサールらしくない。

彼が失踪したフィローメルを探して全国を駆け巡っていたときも、今よりはまだマシだった。

『目の下もちょっと腫れてるみたいだな……。もしかして昨日泣いた?』

胸が締めつけられるようだった。

どう考えても彼女が泣いた理由は、自分のせいだ。

二人が離婚してから、もう一ヶ月が過ぎていた。

ナサ0ルがこんなにも長い間苦しんでいたなんて思いもしなかった。

「ねえ、ナサール……。」

フィローメルが、罪悪感に駆られた気持ちで声をかけたとき。

「お手は大丈夫ですか?」

そのときまで彼女の右手ばかり気にしていたナサールが言った。

「私の手がどうかしました?」

「拳でケルトン伯爵の顔を殴ったという話を遅れて聞きました。」

「……。」

「彼の歯が何本か抜けるほどの威力だったと聞いて、あなたの手も傷ついたのではと心配になって駆けつけたのです。」

「ちょっと待ってください。ちょっと待ってください。私がそんなことをしたんですか?いつですか?」

「はい?ただ、そういうことがあったと聞いただけですが……。」

それなら、自分はルグィーンと一緒に世界樹に――代わりに、宮殿にいたのは――

フィローメルは、扉のそばに立っていたジェレミアを見た。

彼は悲しげな視線を避けた。

「ナサール、ここで少しだけ待っていてください。すぐに戻ります。」

服の裾で軽く礼をしてから、彼女はジェレミアを連れて応接室を出た。

ジェレミアは何度か口を開きかけたが、そのたびに黙り込んだ。

「止めようとしたんだ。だけど、カーディンが無理やり……。」

そう説明した。

その日、カーディンが無理やり室内にフィローメルを閉じ込めたことを、二人は宮殿の中で話し合っていた。

そんな中、ある侍女のお尻を触っていたケルトン伯爵の令息を見つけてしまった。

ジェレミアが止める暇もなく、カーディンが令息の顔に拳を叩き込んだ。

もちろんフィローメルの姿で。

ケルトン伯爵の令息は壁に叩きつけられてその場に倒れ込み、歯が三本も抜けたという。

そしてその場面を目撃した何人かの侍女たちが歓声を上げたそうだ。

聞けば、ケルトン伯爵の令息は常習的に侍女たちをつけ回していたという。

身分の低い侍女たちはケルトン伯爵令息の罪を告発できず、ただ悔しさをかみしめるしかなかったそうだ。

拳を痛めたフィローメルは額を押さえた。

「いや、よくやったんだけど!本当に良いことなんだけど!」

みんなが見ている前で、そんなこと言うなんて。

隠さなきゃ。

『でも、昨日も今日も私を見る人たちの目がそんなに冷たくなかった。』

いつもより少しキラキラした目で視線を送ってきた。

それでも疑わしいことはしていないから、彼女はカーディンやジェレミアを責めないことにした。

「ケルテン伯爵って、何て呼ばれているんですか?」

「もちろん、外部の者たちはケルテン伯爵と呼んでいるけど、問題は解決した。」

「どうやって?」

「話を聞いた後、皇帝が後で訪ねてきてくれた。」

ジェレミアはやや感嘆した表情で呟いた。

「とんでもない言いがかりだったが、皇帝になる者がそう言うと、ケルトン伯爵だか何だかも反論できなかったそうだ。」

「……」

「とにかくおかげで、ケルトン伯爵は何も言えず、息子の非を詫びながら全財産の半分をお前に渡すって言ったそうだ。」

「そんなことじゃなくて、苦しんだのはあの人たちなんだから、その分の補償を受けるべきです。」

「そうだな。カーディンがやらかしたことで、結局お金は被害者たちに精神的な被害補償金として支払われた。」

また、ケルテン伯爵の爵位は、損傷が回復した直後に正式に再審を受けることになったらしい。

フィローメルはほっとした。

予想外の事態だったが、なんとか無事に収まったようだ。

『私のイメージだけが悪くなって……。誰かこの件について問い詰めてくれないかな?』

誰かが背後で筋肉トレーニングでもしているかのように、ピリッとした緊張感があった。

ジェレミアとの会話が終わった後、フィローメルは応接室に戻った。

ナサールは黙って彼女を待っていた。

「長く待たせましたよね?」

「いいえ。」

フィローメルはナサールがまだじっと自分の右手を見つめているのに気づき、その手を差し出した。

「ほら、見てください。ほらね?何ともないでしょう? 心配いりませんよ……」

言葉が止まった。

彼がその手をしっかり握ってじっと見つめたからだ。

妙に緊張した。

ナサールと手を握るのは初めてではないのに。

剣を握って鍛えたごつごつした感触が気になった。

「……あの、そろそろ放してもらえますか?」

「え? あっ! 失礼しました。」

状況を理解したナサールが顔を赤らめ、フィローメルの手をそっと放した。

「………」

「………」

席についた後も、二人の間には気まずい沈黙が流れた。

『これ、全部好感度のせいなんだ!』

彼の好感度が94%もあると知ってから、意識せざるを得なかった。

その時、ナサールの様子がふらつきながら揺れた。

「え?」

フィローメルは目をこすった。

再び見たとき、彼の頭の上に赤いバーが浮かんでいた。

そこに「94」という数字も一緒に浮かんでいた。

どう見ても好感度を示しているようだ。

『今まで見えなかったのに、どうして急に見えるようになったんだろう?』

しかも数字はだんだん連続的につながっていった。

不意にナサールが力なく襟元をつかんだ。

「私、頼りないとかじゃないですよね?」

フィローメルの視線を悪い方向に誤解したようだった。

「そんなことないですよ!いつもそうだったけど、今日も素敵ですよ。」

「……そうですか?」

「もちろんです!」

フィローメルは思わず「おっ」と声を漏らした。

「95%」

好感度が上がった。

『こんなに簡単に上がるものなの?』

フィローメルはたった一言褒めただけだ。

それも、心からというよりはただの社交辞令のような褒め言葉だった。

好感度への好奇心が一気に膨らんだ。

フィローメルは席を立ってナサールに近づき、そっと彼の頬をつまんだ。

すると、ぷにっとした弾力のある頬が、驚くほど白くてやわらかかった。

彼は小さな声で尋ねた。

「私が何か失敗でも……?」

「いえ。ただナサールに理由もなく八つ当たりしているところです。」

彼女は正直に答えながら、ちらりと上を見上げた。

『96%』

また上がった!

簡単に上がった分、簡単に下がるんじゃないかと心配でやった行動だったのに。

だんだんフィローメルは少し怖くなってきた。

好感度というものがこんなにどんどん上がっていいの?

『100%に達したら一体何が起こるんだろう?』

席に戻って考え込んでいると、頬をかんでいたナサールが口を開いた。

「もし何かお悩みでもおありですか?」

「…真心と言えるかな……。」

『そんなに顔に出てた?』と、フィローメルは気まずさを感じた。

「私でもよければお話しください。力になりたいです。」

不思議なことに、その真剣な表情と言葉には妙な説得力があった。

何でも打ち明けたくなるような気持ちにさせた。

フィローメルの提案で、二人は南宮の庭園へと場所を移した。

風に揺れる花びらを見つめながら、フィローメルとナサールは歩いた。

「……もしも、もしも、もしもの話なんだけど。」

フィローメルは簡単には口を閉じることができず、話し始めた。

「もしこの世界が誰かが作った架空の物語だとしたら、ナサールはどう思いますか?」

「物語、ですか?」

「はい。例えば小説の中だとか。私たちは作者が決めた通りに動いて、考えて、話して、感じているんです。」

荒唐無稽な問いかけにも、ナサールは真剣に考えた後に答えた。

「よく想像はしませんが、有害ではないと思います。」

歩いていた彼は蟻の群れを見つけ、踏まないようそっと避けた。

「私は運命というものもあまり好きではありません。未来が決まっているとしたら、個人の努力は無駄なもののように思えてしまうからです。」

彼は下を見下ろした。

「これが小説だとしたら、読者の楽しみのための話だろうな。僕たちの悲喜こもごもの感情が、誰かの娯楽の一部に過ぎないなんて、なんだか虚しい気分だ。」

「………」

ナサールは、フィローメルの気持ちを言葉にできない感情を正確に表現してくれた。

そうだ、だからこそ認めたくなかったのだ。

この世界が他人が作った物語の中にあるかもしれないという事実を。

それが小説だろうと、ゲームだろうと関係なく。

フィローメルは少し震える声で話した。

「ナサールなら、どう行動すると思いますか?ある日突然、自分が小説の登場人物だと知った時のことです。」

彼は少し考え込んだ後、はっきりとした表情をした。

「平凡に生きます。」

「……平凡に?」

「登場人物だからといって、自分自身が変わるわけではありませんから。」

そう言って、彼は地面を這うアリたちを覆うように手をかざした。

「人間の気分ひとつで、このアリたちはおもしろ半分に踏みつぶされるかもしれませんが、それでも彼らは変わらず一生懸命生き続けます。」

アリたちは地面に落ちた果物のかけらに群がっていた。

自分の体に比べれば何百倍も大きいエサを運ぼうとしているのだ。

フィローメルと目が合うと、ナサールはふっと微笑んだ。

「そして何より、私はこの人生が他人の意思によって動かされるものではないと確信しています。」

「どうしてですか?」

「人生の大半を父の希望通りに生きてきた私だからこそ分かります。今、私は完全に自分の意思で考え、行動していると。」

その瞬間、花びらが舞い降りた。

「私はフィローメル様が好きです。」

顔が熱くなった。

フィローメルはドキドキしながら言った。

「ナ、ナサールって、結構恥ずかしいことをさらっと言うんだね。」

「そうですか? なぜかこの言葉をどうしても伝えたくて……」

「どこかでこういうこと、たくさん言った経験があるんじゃないですか?」

「え? いえ、全然そんなことありません! 信じてください!」

彼があまりにも必死な様子なので、ついフィローメルはふっと笑ってしまった。

「冗談ですよ。」

「あ、そうですか? 本当に良かったです。」

二人は再び庭園の小道を歩き始めた。

彼が言った。

「面目ないです。前はせめて友達としてでもそばにいたいと思っていたんですが……今は痛感しました。やっぱり友達は無理です。」

ナサールは頭をかいた。

「しつこいなぁ。一度振られた相手に無謀にもまた告白するなんて。」

フィローメルは小さく肩をすくめた。

「しつこくないですよ。私もさっき気づいたんです。」

彼女は大きく息を吸い込んでから、口を開いた。

「私もナサールが好きです。友達以上として。」

彼が目の前から消えると、胸の奥がじんわりと痛んだ理由。

エレンシアに対する彼の好感度が0%だと知って、ほっとした理由。

それが今になってやっと分かったのだ。

ナサールをただの友達として接することができなかったのは、フィローメルも同じだった。

「……」

ナサールは呆然とした顔をしていた。

彼が受けた衝撃の強さが伝わってきて、フィローメルは思わず口を開いた。

「でも、私の気持ちの大きさがナサールと同じかどうかは、まだよくわかりません。それは、確かに友達に対する感情とはまったく違うんですが……」

「大丈夫です。」

彼の赤くなった目尻が涙で潤んでいた。

「それだけで十分です。」

「泣いてるんですか?」

「……涙と歓喜が同時に出てきそうです。ここらを少し回ってきてもいいですか?」

「好きにしなさい」と言われたので、彼は本当に一瞬で姿を消して、また現れた。

そして言葉もなくフィローメルと一緒に散策を続けた。

緊張で肩が少し震えているようだった。

緊張を和らげてあげたいと思い、フィローメルはある事実を告白した。

「これは秘密ですが……実は私の父は魔塔主なんです。」

さっきよりは驚いていないようだったが、彼は軽く驚いた表情を浮かべた。

「当面は大丈夫かもしれないけど、後々は魔塔で過ごすことになるでしょう。」

「……今からでも魔法を覚えておいたほうがいいかもしれません。」

彼はフィローメルといくつか話を交わした後、帰っていった。

もう少し整えてから戻ってくると言い残して。

『私の目にはすでに十分すぎるほど立派に見えるけどな。』

特に一度の挫折にも屈せず、もう一度自分の気持ちを伝える勇気のことだ。

彼を見てフィローメルも勇気を出そうとした。

認めたくなかった真実にも向き合う勇気を。

 



 

 

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