ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【146話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

146話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • ニセモノ皇女の居場所はない

――ごう、と。

空中で、フィロメルは“柱”が音を立てて完全に崩れ落ちていく光景を見下ろしていた。

それは、太陽神が用意した特異な“逃げ道”――空間そのものだった。

「……これで、イエリスは消えたんですか?」

フィロメルの問いに、ベレレンが静かに答える。

「神は滅びない。ただ――より深い眠りにつくだけだ」

顎に手を当て、彼は遥かな時間を思い量る。

「おそらく、今後千年は目覚めないだろう」

「……それで、十分です」

彼女はそう言って、肩の力を抜いた。

千年後の世界など、束の間の人である彼女には、もはや関わりのない未来だった。

「その時代のことは、その時代を生きる人間が分かっていればいいさ」

フィロメルが大切に思っているものは、まさにこれだった。

自分が生きているこの世界。

そして、自分が愛する人たち。

フィロメルとナサールは、言葉を交わさずとも約束を交わしたかのように、互いを見つめ合った。

そのとき、フィロメルはふと「あっ」と声を上げた。

「でもナサール、私がここまで来られたのって、どうしてなんですか?」

「これのおかげです」

そう言いながら、ナサールが懐から取り出したのは、ハートの形をした宝石だった。

それは、ほんの一時間ほど前に、フィロメルが彼に贈ったもの。

「――《つながった想い》!」

ナサールの好感度が100%に達したことで得られた報酬。

フィロメルが持っているものと、まったく同じ形をした宝石。

実のところ――“つながれた想い”は、最初から二つあった。

一組の恋人が、互いに一つずつ分け合って持つためのものだったのだ。

フィロメルは一つを自分の手元に残し、もう一つは“柱”へと入る前に、ナサールへと託していた。

「……そんな名前だったんですか?」

ナサールは、はっとしたように目を見開く。

「この宝石を見ていると、不思議とフィロメル様と一緒にいる気がして……つい、ずっと眺めてしまっていたんです。――すると、ベレレン神が、そう教えてくださいました」

そう言って、ベレレンは親指でナサールを指し示した。

「その宝石は、私の力を宿すための媒体になれると言われていてね。だから、こいつがどうしても必要だったんだ」

「ほんの少しでいいので、どうか力を込めてくださいって、頼まれたよ」

「私は本当に、ほんのわずかしか力を与えなかった。それなのに……『茎』へ向かうなんて、勇敢なのか、それとも無謀なのか、分からないな」

フィロメルは思わず大声を上げていた。

「危なかったらどうするつもりだったんですか!」

「危なかったのは、フィロメル様も同じではありませんか?」

「それは……そうですけど。でも、もしナサールが『茎』の中で少しでも迷っていたら、本当に取り返しのつかないことになっていましたよ」

――きっと、すぐに瘴気に呑み込まれていたはずだ。

「それでしたら、ご心配なさる必要はまったくありません」

「……どうして?」

「同じく、この“つながれた想い”のおかげですよ」

彼は、慈しむような眼差しで、ハート型の宝石を見つめた。

「これを身につけていると、不思議と……あなたが今、どこにいるのか分かる気がするんです」

あるいは、それこそが――“つながれた想い”に秘められた、真の力なのかもしれない。

この宝石が彼を守っている、という説明は、決して誇張ではなかったのだ。

フィロメルは胸元から、自分の宝石を取り出す。

二つの宝石は、まるで呼応するかのように、淡く、穏やかな光を放っていた。

「これらが、私たちを守ってくれたというわけですね」

「お前たちを守ったのは、それだけではないがな」

ベレロンの言葉を受け、フィロメルは今なお自分の手に残る文様を見つめた。

この文様のおかげで、彼らは最後の瞬間、『茎』から脱出することができたのだ。

「ベレロン神よ、もしかしてこれはドワーフ族の加護なのですか?」

「その通りだ。彼らは鉱夫だ。一生を鉱山に閉じ込められるかもしれないという危険と共に生きている」

「だからドワーフ族は、鉱山が崩落して道が塞がれても、別の道を見つけられるような加護を生み出したと言われている」

「今回は、『茎』が鉱山として認識された、というわけですね」

「まあ、封じられる状況は似たようなものだし……加護を与えた本人が、いちいちそんなことまで説明するとは思えなかったんでしょう?」

「確かに、わざわざ説明する必要はないと判断したのかもしれませんね」

フィロメルは、生きてきた中で鉱山に足を踏み入れた経験が、どれほどあっただろうかと思い返した。

彼女は、紋様の刻まれた手の甲を撫でながら、静かに考え込む。

ほんの少し前まで、悪神との戦いは、ただひたすら孤独な道のりだとばかり思っていた。

平気なふりはしていたけれど、心の奥では、肩にのしかかる重さを感じていたのだ。

――でも、違った。

多くの人々が、フィロメルを支えてくれていた。

彼女の傍に立ち、共に歩いてくれていたのだ。

加護を授けたドワーフ族長、悪神と対峙したエレンシア、

自らの寿命を差し出した皇帝、娘に自動防護魔法を施したルグィーン。

そしてフィロメルのために、危険を恐れず飛び込んできたナサール。

――それ以外にも、多くの者たちが助けてくれた。

ちょうどその時、遠くからフィロメルを呼ぶ声が聞こえてきた。

「フィロメル様!」

「勇者様!こちらです!」

エレインとテオドールだった。

彼らは『茎』からかなり離れた地上で、手を振っていた。

ベレロンが説明する。

「万が一、あれが崩壊した時に巻き込まれないよう、距離を取らせていたのだ」

――そう言ってくれた。

フィロメルもまた、彼らに向かって手を振り返した。

彼らがいてくれたからこそ――いや、彼らだけではない。

大地を浄化し、魔物から人々を守り続けてきた神々がいてくれたからこそ。

「私は……イエリスを、退けることができた」

彼らすべてが、世界を脅かす災厄から、確かに守り抜いたのだ。

 



 

「フィル!来たよ!」

「ここだ、こっち!」

「フィロメル!無事か!?」

遅れて聞こえてきた別の声に、フィロメルは目を輝かせた。

「レクシオン!カーディン!ジェレミア!」

聖物保管庫のある方向から、三兄弟が駆けてくる。

彼らはフィロメルの名を呼びながら、ぴょんぴょんと跳ねていた。

フィロメルの口元から、思わず笑みがこぼれる。

魔物と激しく戦ったせいか、三人とも無傷とは言えない様子だった。

「みんな、お疲れさま」

やはり、彼女一人の力では成し遂げられなかった出来事だ。

フィロメルは『茎』があった場所を見つめ、ベレロンに問いかけた。

「これで終わりですか?」

「そうだ……と言いたいところだが、まだ亀裂は塞がっていない」

本当だ。

頭上に広がる空は、依然として暗いままだ。

「どうして?」

「異界の魂が、自分の世界へ還るまいと足掻いている。執念ひとつ取っても、大したものだ」

――偽りのエレンシア、ということか。

フィロメルはしばし空を見つめ、それから静かに口を開いた。

「……差し支えなければ、私を、あの上まで運んでいただけますか?」

「ん?気にしなくていい。どうせ、長くは保たない」

「……そうですか。でも――」

彼女は、言葉をそこで切った。

フィロメルは首を横に振った。

「個人的には、彼女の最期を見届けたいんです」

そうしなければならないような気がしていた。

だが、フィロメルは一つの事実に気づく。

「あ、やっぱり大丈夫です。これ以上ご迷惑をおかけするわけには……」

「上げてやろう」

「え?」

「その程度なら、ほんの数分もかからん。それに、身体の主もお前の望みどおりにしてやれと言っている」

その言葉と同時に、フィロメルの身体は一瞬で空へと引き上げられた。

「うわっ!」

上昇が止まり、フィロメルは跳ね上がった心臓をなだめながら、隣にいるベレレンを睨んだ。

――この神、本当に……!一言くらい予告してくれてもいいじゃない。

しかも今回も、ナサールは置いてけぼりだ。

ベレレンは、いたずらっぽくえくぼを浮かべて問いかける。

「私に、何か言いたいことでも?」

「……いいえ」

――あれ?

少し、おかしい。

「私一人を、こんなふうに空中に浮かせられるのなら……あの時は、どうして私を抱えたまま、一緒に空へ上がらなかったんですか?」

それは口から発せられた声ではなかった。

しかし、その声はフィロメルの頭の中に、はっきりと響き渡った。

ぱちり、と一度目を閉じてから開くと、いつの間にかフィロメルは亀裂のすぐそばに立っていた。

彼女がベレロンを振り返ると、神は「好きにするといい」と言わんばかりに、こくりと頷いた。

フィロメルは、闇がざわめく亀裂の奥を覗き込んだ。

――私は死にたくない!

かすかな人影を見つけた。

太陽神が説明する。

「イエリスが残していった力の一部を、吸収したようだな」

それは、侵入者でありながら魂の状態で、それでもなお目に見える存在だった。

――理由は、すぐに分かった。

「――そこに誰かいるのか?頼む、ここから出して!」

声を聞きつけたのだろう。

亀裂の内側でもがいていた侵入者が、必死に叫ぶ。

フィロメルは、淡々と問い返した。

「出てきて、どうするつもり?」

「……フ、フィロメル!」

「もう戻る場所なんてないでしょ。身体だって残っていない。だから――これ以上はやめて、自分の世界へ帰りなさい」

「帰ったら死ぬ!いや、そもそもあっちでは、もう死んでるんだ!」

「それは、私の知ったことじゃない」

その身の上に同情してやるには――彼女は、あまりにも遠くまで来すぎていた。

――ひどい! 私が何をそんなに悪いことしたっていうの!

「養母を殺し、感染症をばらまこうとし、さらには世界滅亡にまで加担した。ほかにもまだいくつかあるが、聞きたいか?」

……

もし肉体があったなら、その侵入者は今ごろ唇を噛みしめていただろう。

……で、でも、それってそんな大罪ってほどじゃないじゃない!

魂が叫んだ。

――NPCをちょっと殺したくらいで何だっていうの!どうせ本物の人間じゃないでしょ!

「まだ遊びだと思っているのか?あなたもそろそろ感じ始めているはずだ。この世界が、ただのゲームの世界ではないという事実を」

偽りのエレンシアは、しばし沈黙したあと、口を開いた。

「……わ、私は……」

「あなたは――殺人者よ」

「お前だって、人を殺しただろう!」

どうやら、“柱”の中で死んだあの神官のことを指しているらしい。

フィロメルは、静かに頷いた。

「ええ。あの人は、私が殺した」

その瞬間、彼女は相手が神官の死を十分に受け入れていないことを悟り、背を向けて歩き出した。

「それが罪だと言うなら――私は、喜んでその報いを受ける」

後悔はない。

もう一度やり直せたとしても、同じ選択をするだろう。

――ふざけないで!罪にならないって分かってたから、殺したんでしょ!

まさにその通りだ。

世間の人々はフィロメルに賞は与えても、殺人罪で裁くことはなかった。

「いや、罪になるかどうかなんて関係ない。おかげで私の世界は救われたんだから」

――悪役のくせに、口だけはやたら立派ね!どうしてあんたみたいな悪役が罰を受けないのよ!

「悪役じゃない」

だからといって、主人公という意味でもない。

ベレロンが彼女を指して使った「主人公」という言葉は、とても魅力的ではあったが、どこか似合わない服のように違和感があった。

「私はフィロメルよ」

悪役でも、主人公でもない。

ただの――フィロメル。

小説やゲームの中の登場人物ではなく、この世界を、ごく普通に生きていく一人の人間。

それこそが、フィロメルが最後に辿り着いた答えだった。

けれど、その想いは、侵入者の耳に届くことはなかった。

「……死ね!」

侵入者は、怨嗟を吐き出すように叫ぶ。

「戯言を並べるな!悪役なら悪役らしく、無様に死ねって言ってるんだ!」

フィロメルは、なおも足掻く魂を、冷めた眼差しで見下ろしながら、静かに思った。

――本当は、あの人自身が、自分の犯した過ちを、誰よりもよく分かっているはずなのに。

〈トゥルディス年代記〉――エミリーが伝えてくれた、公的記録に記された“侵入者”の自作小説。

まだ粗削りで、正直なところ特別に面白いわけでもなかったが、フィロメルはその小説の中に、ひとつだけ他と違う点を見つけていた。

そこには、ありきたりな「純粋な悪役」が存在しなかったのだ。

もちろん、悪役と呼ばれても仕方のない人物は登場する。

だが彼らには、それぞれの理由や信念、あるいは善と呼べる一面があった。

侵入者は、よく分かっているのだ。

この世に、生まれながらの絶対的な悪など存在しないという事実を。

フィロメルが今日殺したあの神官でさえも、この点においては別の顔を持っていたはずだ。

――この人も、同じ。

フィロメルは静かに、異邦人の姿を見つめた。

――私は人間だ。だが、お前たちは違う。死ぬべきなのは私じゃない――さっさと幕を引け!

何が彼を、そこまで追い詰めたのだろう。

目と耳を塞ぎ、自分が信じたいものだけを信じ続けるように。

あるいは、自分が決して取り返しのつかない罪を犯したという事実を、認めたくなかっただけなのかもしれない。

侵入者は、すでにあまりにも多くの罪を重ねていた。

いまさら真実と向き合ったところで、残るのは断罪のみ。

それが嫌で、ここまで来てしまった可能性もある。

どれほど考えても、答えは出ない。

当人が心を閉ざし、自分だけの世界に引きこもっている限りは。

フィロメルは、静かに背を向けた。

「ベレレン様、戻りましょう」

「……終わったな」

その一言で、すべては幕を閉じた。

「はい、満足しました。お願いを聞いてくださって、ありがとうございました」

フィロメルは地上へ降りる直前、ふと振り返った。

――どこへ行く?私を助けるんだろ!戻ってこい!戻ってこい、フィロメル!

白く濁った霊体が、次第に闇の奥へと沈んでいく。

――い、嫌だ!死にたくない!

亀裂は、みるみるうちに狭まっていった。

――私が悪かった!助けてくれ!

侵入者はもがいたが、その動きは空を切るだけだった。

やがて、喉が潰れたような掠れ声が漏れ出す。

――……母さん、父さん、姉ちゃん……会いたい……。

そうして彼女は、本当の家族を探しながら、亀裂の隙間へと消えていった。

最後まで、この世界に残った「偽物」の言葉を背にして。

「向こうの世界へ行けば、魂が冥界へ移るまでのわずかな間、家族に会える機会があるかもしれない。ほんの一瞬だが」

ある傍観者の神がそう言った。

「……あまり、そうだといいとは思いません」

フィロメルが沈んだ声で答えると、ベレレンは肩をすくめた。

「じゃあ、やめておくか」

「いえ、構いません」

「でも、また人間と神の物語を創ったらどうするんですか?」

美和の力が、この世界に過剰に流れ込んでしまうなら、悪神の復活が早まってしまうのではないかと心配になった。

何よりも、今のフィロメルはもはや自分の意思で動ける存在ではなく、完全に彼の思惑どおりに振り回される駒に過ぎなかった。

たとえそれが「創造神」であったとしても、だ。

「言わなかったか。ミオはこの世界の夢を見ているのだと。おぼろげではあっても、すべては自分のせいでこの惨状が起きたということを、彼女は理解しているはずだ」

「それなら、ひとまず安心ですね」

ミオが“夢の物語”ではなく、“自分自身の物語”を紡いでほしいという願いを込めて。

――あ。そういえば、もう一つ気になっていたことがあった。

「ベレロン様は、《皇女エレンシア》という本が、どうして私の手元に来たのかご存じですか?」

本来であれば、すべてはミオが書いたゲームの物語だったはずなのに――。

本来なら、すべては定められた通りに流れていくはずだった。

だが、そうはならなかった。

フィロメルが九歳のとき、庭であの本を拾ってしまったからだ。

それ以降、フィロメルの行動は変わっていった。

「それって……」

どうやら、ベレレンは察しがついたらしい。

「教えてください!」

いまさら大した意味のある事実ではないのかもしれない。

それでもフィロメルにとっては、何よりも気になることだった。

「それはね……」

しばらく沈黙していたベレレンが、小さく囁いた。

「――秘密だ」

「何ですって!?」

「先に言ってしまったら、面白くないだろう?」

「“先に”?その言い方だと、私はいつか知ることになる、という意味ですか?」

「勘がいいな」

「はぐらかさないでください」

ゆっくりと地上へ降りていく間も、人と神の軽口の応酬は続いた。

ベレロンのいたずらっぽい視線が、フィロメルに向けられる。

「そこまで知りたいなら、一度私を“お父様”と呼んでみるといい」

「お父様……ですって……?」

なんて突拍子もない話だろう。

「一度だけでいいから。目を閉じて、呼んでみてよ」

父でもないのに、“お父様”だなんて。

ユースティスを育ての親だと思っていた頃でさえ、一度も口にしたことのない呼び名だ。

正直、気恥ずかしい。

それでも、これ以上真実を知らずにいるのは嫌だった。

フィロメルはしばらく言いよどっていたが、地上に降り立ったところで、ようやく口を開いた。

「……お……」

舌が、こわばる。

「……お、お父様!」

フィロメルが絞り出したような声に、ベレロンは目を瞬かせただけだった。

本当にそこまで呼ばれるとは思っていなかったのか、どこか戸惑ったような表情を浮かべている。

気まずくなったフィロメルは、彼をにらみつけた。

「約束どおり呼んだんですから、もう教えてください」

「いや、それは……」

「早く!」

「……わからない」

フィロメルは、自分の耳を疑った。

「わからないですって!?」

あまりにも理不尽だ。恥ずかしさで穴があったら入りたい気持ちを必死にこらえて、「お父様」と呼んだというのに。

彼女は思わず、むっとして唇をかみしめた。

神の身体を、フィロメルは思いきり揺さぶった。

「人を弄んで楽しいんですか?いくら神でも、やりすぎじゃないですか?」

「フィロメル、落ち着け」

「分かってもいないのに、分かったふりをしないでください!」

「……私ではない」

「え?」

「神は、去った」

そのときになって初めて、フィロメルは男の顔をじっと見つめた。

表情を見れば、はっきり分かった。

――皇帝だった。

 



 

 

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