シンデレラを大切に育てました

シンデレラを大切に育てました【227話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【シンデレラを大切に育てました】まとめ こんにちは、ピッコです。 「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

227話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • ミルドレッドの想い

「アシュリー、あなたがやりたいことなら、なんだっていいのよ。」

ミルドレッドはテーブル越しに身を乗り出してアシュリーに言った。

半地下で暮らしていた頃は余裕がなかったが、今は違う。

アイリスとリリーは自分の生き方をすでに決めているのだから、アシュリーにはもっと余裕をもって選択してほしい──それがミルドレッドの思いだった。

彼女は、アシュリーがゆっくりとすべての可能性を試しながら決めていくことを望んでいた。

何が好きで何をするのか、何が得意なのかもわからないアシュリーには、まだ多くの時間が必要だった。

「じゃあ、もう少し工房の経営をやってみます。」

少し考えてからアシュリーはそう言った。

彼女は、自分が工房を経営しているとは言い難いことを理解していた。

重要な決定は母と伯爵が下し、自分はただ実行しているだけなのだから。

だからせめて「経営していた」と言えるくらいの水準まではやってみて、そこでやめたいと思っていた。

「アシュリー。」

ミルドレッドは慎重に彼女の名を呼んだ。

もし本当に工房経営を続けたいわけでないのなら、早めに社長職から降りるべきだ。

そうすれば社交界で余計な噂が立つこともない。

今はまだ人々も忘れているからいいが、アイリスが王太子妃になれば、すぐにアシュリーが工房の社長だということが思い浮かべている人がいるのだろう。

もしかすると、すでに思い浮かべたものの、口をつぐんでいるだけなのかもしれない。

「わかりますよ、何をおっしゃろうとしているのか。」

幸い、アシュリーはミルドレッドが何を心配しているのかを理解していた。

彼女は緊張のあまり眉間にしわが寄ることも忘れ、歯ブラシをしっかり握りしめたまま続けた。

「社交界での噂のせいで心配していらっしゃるんでしょう?」

アシュリーの問いに、ミルドレッドは何も答えなかった。

アシュリーが社交界での評判を気にしているというのは良いことだ。

これまで彼女は社交界と関わらずに過ごしてきたのだから。

評判を気にするというのは、つまり自分も社交界に加わる意思があるということだ。

しかし、アシュリーが心配しているのは自分の評判ではなかった。

彼女はしばらく黙ってから口を開いた。

「でも、リリーが画家になることは許されたじゃないですか。」

「アシュリー、工房の社長をどうしてもやりたいの?」

母の問いにアシュリーの表情が曇った。

違う。

彼女は何も答えず、ミルドレッドが再び口を開いた。

「リリーはすべてを捨ててでも画家になりたいと言ったわ。結婚や社交界での評判なんてどうでもいいってね。でもアシュリー、あなたも同じ覚悟で経営をしようとしているの?」

覚悟はしていた。

だがアシュリーは、どうせ結婚なんてしたくないと言いかけてやめた。

彼女はアイリスもリリーも立派だと思っていた。

一方は評判を守るために王太子妃になり、もう一方は評判を捨てて画家になったのだから。

けれど自分はそのどちらでもなかった。

アイリスのように完璧に評判を管理することも、リリーのように評判を全く気にしないわけにはいかなかった。

彼女は静かに座って考え込んでいたが、やがて母に尋ねた。

「私よりも、お姉さまたちのことのほうが大事なんじゃないですか?もし私がずっと工房の経営を続けたら、人々の非難がお姉さまたちに向かうかもしれません。特にアイリスです。お母さまは、アイリスに迷惑がかかるのを心配しているんでしょう?」

ミルドレッドの顔に衝撃が浮かんだ。

彼女は口を開けたまま末娘を見つめ、それからやや傷ついたような表情で尋ねた。

「アシュリー、私があなたに考えてほしいと思っているのは、お姉さまたちに迷惑がかかるかもしれないからだと思っているの?」

「それは違います!」

アシュリーは驚いて手を振った。

しかし、その動きはすぐに弱まり、母が自分をより深く愛していると感じたからこそ、そういう考えになったのだと理解した。

ミルドレッドは、アシュリーがしょんぼりと手を下ろす様子を黙って見守っていた。

彼女にとってアシュリーは、いつも一番気がかりな存在だった。

アシュリーを他の子どもたちよりも愛しているからではなく、アイリスやリリーは自分の道をうまく見つけて進んでいくのに、アシュリーだけがそれを見つけられずにいるのがわかっていたからだ。

「だって、アイリスは王太子妃になるじゃないですか。だったら私がアイリスの足を引っ張るようなことをしちゃいけないでしょう?」

「社交界での体裁を考えるなら、リリーだってもう画家になったじゃない。」

「でもリリーはケイシー卿が好きで、結婚を前提に付き合っているじゃないですか。私はそうじゃありません。」

「アシュリー、リリーはリリー、あなたはあなたよ。たとえどんな立派な人があなたに求婚してきても、それはあなたの価値を決めるものじゃないの。」

自分の価値は自分で作るものだ。

ミルドレッドはそう言いながらも、アシュリーが何にこだわっているのかを理解した。

リリーは社交界の異端児というイメージを持たれてはいたが、それでも社交界でうまくやっていた。

彼女が絵を描くことは人々にとって珍しい行動であり、興味本位の話題にはなったが、それによってアイリスが王太子妃になることを妨げるような制約は生じなかった。

それは、リリーの背後にはケイシー侯爵家の末弟フィリップ・ケイシーと、ケイシー侯爵家の次男ダグラス・ケイシーが支えていたからだろう。

アシュリーが心配しているのは、その点だった。

彼女には社交界で味方になってくれる人が母以外にいない。

もしアシュリーが工房の社長として残るなら、リリーの事業をよく思わない人々にとって、バンス家を非難する格好の口実を与えてしまう。

そしてその被害は、アイリスに最も大きな害を与えることになるだろう。

そんな心配までするようになったことに、ミルドレッドは感心しつつも、同時に少し寂しさを覚えた。

姉たちの存在のせいで、自分が本当にやりたいことを見つけるどころか、探そうとすることすらためらわなければならないということが。

「アシュリー、今はあなたがやりたいことをしましょう。お姉さんたちのことを心配するより、あなたが本当にやりたいことを見つけるのよ。」

「でも、私にはこれといってやりたいことがないんです。大したことでもないのに、そのせいでアイリスやリリーに迷惑をかけるくらいなら……」

「アシュリー、あなたの人生の主人公はあなただわ。アイリスやリリーの人生の脇役になる必要なんてないの。むしろ、あなたの人生の脇役になるのはアイリスやリリー、そして私なの。わかった?」

ミルドレッドの言葉に、アシュリーの口がぽかんと開いた。

そんな考え方をしたこともなかった。

彼女はしばし呆然と母を見つめ、それから尋ねた。

「それで…私が姉たちに迷惑をかけることになったらどうしますか?」

リリーは、人に迷惑をかけることなど考えもしなかったが、アシュリーは必要以上に人に迷惑をかけることを恐れていた。

ミルドレッドは、二人のまったく異なる態度に思わず笑みをこぼした。

「姉妹っていうのは、迷惑もかけ合うし、助け合うものよ。」

「でも…でも私は、姉たちに迷惑をかけたくないんです。」

アシュリーの自信のなさに、ミルドレッドの表情がやわらいだ。

彼女はアシュリーの手をそっと握り、優しく問いかけた。

「工房の経営は、これからも続けたいの?」

「はい。」

「じゃあ、こうしましょう。私たち二人とも、あなたが社長だということを忘れてしまうの。誰かに指摘されて、それが問題になりそうなら、そのときまた話し合おう。どれくらいの損害になるのか、それでも続けるべきかを。」

一見すると無責任にも思えるその答えに、アシュリーの口が再びぽかんと開いた。

「それでもいいんですか?」

「私たち二人とも、ちょっとくらい考えなしの人間になってもいいじゃない。」

やはり無責任な答えではあったが、アシュリーの顔に笑みが広がった。

「いいですね。」

気持ちが軽くなったのか、アシュリーは笑いながらミルドレッドを一度強く抱きしめ、書斎の外へ出た。

そのあとをダニエルが、まるで当然のようにアシュリーの後について書斎に入ってきた。

「工房のことですか?」

彼はミルドレッドが何の理由でアシュリーと話していたのかを分かっているような表情で尋ねた。

彼もまた、アシュリーを工房の社長職から…そう思っていたときのことだった。

まだ社交界で口に出す者はいないが、アイリスが王子妃になれば、バンス家のあらゆる言動は社交界の注目を集めるだろう。

だから今のうちから慎重にしておくに越したことはない。

「誰かに指摘されるまでは、忘れたふりをしようってことにしたの。」

何の話だ?

ダニエルは一瞬動きを止めたが、すぐににっこり笑って尋ねた。

「アシュリーが続けたいって言ったのですか?」

「一度やってみたいそうです。」

それも悪くない。

ダニエルは腕を胸の前で組み、壁に寄りかかりながら考えた。

面白い。

彼は、アシュリーはおとなしく家で花嫁修業をしながら、適当な男性と出会って結婚する可能性が高いと思っていた。

しかし、そうではなかったらしい。

まあ、そう考えれば、アイリスやリリーもまた彼の予想を――まるで工房の社長職から抜け出すように、しかし彼はアイリスやリリーも適当な家へと嫁いでいくものと思っていた。

王子妃になったり、画家になるわけではないのだから。

「それで、何の用ですか?」

ぴったりと立ち、くすくす笑っているダニエルに、ミルドレッドが尋ねた。

アシュリーとの会話が終わるまで待っていたのも、入れ替わるように書斎に入ってきたのも、つまりミルドレッドに話があるということだ。

しかしダニエルは、代わりにミルドレッドの手を取りながら訊いた。

「用もなく来ちゃいけませんか?」

ミルドレッドの顔に笑みが浮かぶ。

「殿下なら、いつでも歓迎しますわ。」

そう言いながら彼女は、ダニエルの手の甲に口づけを落とした。

驚いたダニエルの目が大きく見開かれたが、すぐに元の表情に戻ると、もう片方の手でミルドレッドの腰を引き寄せ、抱きしめた。

「気持ちとしては、本当に用もなく呼ばれたと言いたいところですが。」

用もなく?

ミルドレッドの眉が上がった。

ダニエルは、本当に気の毒だと言わんばかりの表情でため息をつき、言葉を続けた。

「少しの間、城へ来ていただくことになりました。」

ミルドレッドの心臓が急に早く打ち始めた。

城で彼女を呼びつける理由はひとつしかない。

 



 

「爵位を授けることに決まった。」

その日の夕方、ダニエルと共に城を訪れたミルドレッドを待っていたのは国王だけではなかった。

テーブルの一方には、クレイグ侯爵とケイシー侯爵が座っていた。

この二人は、ミルドレッドが爵位を授かることに反対するであろう人物たちだ。

そんな人たちがこの場にいるというのは、また別の意味があるに違いない。

「ただし、条件がある。」

そう来るだろうと分かっていた。

ミルドレッドは国王の言葉にも表情を崩さなかった。

構わない。

平然としたミルドレッドの顔に、国王はしばし口を閉ざした。

前例のないことだ。

二人の侯爵が訪れて必ず条件を付けねばならないと主張したのだ。

「爵位は自分の娘にしか譲れない。」

それは当然だ。

ミルドレッドには娘しかいないのだから。

彼女がうなずくと、王はさらにもう一つ条件を付け加えた。

「そして、その娘は三十歳まで未婚でなければならない。」

「陛下。」

ダニエルが抗議しようと口を開いたが、王は手を上げて遮った。

国王は、ミルドレッドとダニエルが不満を抱くかもしれないと思いながらも、再び口を開いた。

「これは、あなたの後継者のためでもある。」

「爵位目当てで結婚しようとする男たちを避けられる、ということですね。」

国王の顔に微笑みが浮かんだ。

だが、ミルドレッドの言葉はそこで終わらなかった。

彼女は二人の侯爵を見やりながら続けた。

「そして、反対する人たちを説得することもできますね。」

「それが我々の条件です。」

クレイグ侯爵の言葉に、ケイシー侯爵も何も言わずにうなずいた。

もちろん、この二人は爵位を狙って近づく男たちからミルドレッドの後継者を守るためにいるわけではない。

「もし条件を受け入れられなかったら?」

ミルドレッドが尋ねると、ケイシー侯爵がきっぱりと答えた。

「爵位はありません。」

ミルドレッドはしばし口を閉ざし、国王を見つめた。

彼はどちらでも構わないという表情を浮かべており、それは事実でもあった。

もしミルドレッドが断れば、彼は爵位を与えるつもりはなかったが、彼女が受け入れるなら二人の侯爵の要求を通すことになるため、国王は二人に面目が立つ。

「いいでしょう。」

驚いたことに、ミルドレッドはあっさりと答え、うなずいた。

三十歳まで未婚でなければならない?

この男たちは何をそんなに思い込んでいるのか。

「本当にそれでよろしいのですか?」

部屋を出ながらダニエルが尋ねた。

もし彼女が気に入らないと言うなら、今晩にも二人の侯爵を始末するつもりでいたのだ。

「彼らが何を考えているのか、わかる気がします。」

「そうですか?」

ダニエルは、差し出した腕にミルドレッドをエスコートしながら、少し呆れたように笑った。

「女性は爵位よりも結婚を選ぶだろうと考えているんでしょうね。」

その通りだ。

ダニエルは、もしケイシー侯爵やクレイグ侯爵が相手なら、そう考える女性も多いだろうと思った。

彼は少し皮肉を込めて言った。

「それでも爵位に条件をつけるなんて、意地悪ですね。」

「そうですね、意地悪です。でも私は、彼らが意地悪というよりも、賢いことをしたと思います。」

ダニエルの片方の眉がぴくりと上がった。

「そうですか?」

意地悪ではなく、賢いだって?

彼は少し訝しんだ。

動揺する彼に、ミルドレッドは薄く笑みを浮かべて答えた。

「彼らは、この爵位が私の代で終わると思っているようですが、全く違いますよ?譲っても構いません。私の爵位はずっと続くでしょう。」

世の中には爵位を持つ者と結婚したい人がいるように、爵位を持ちたい女性もいるものだ。

そしてその条件は、爵位を望む女性がいるという証拠になるだろう。

ミルドレッドにとってはどうでもよかった。

いずれにせよ彼女は爵位を手に入れたのだから。

「もちろん、他の女性たちにこんな馬鹿げた条件を押し付けられないようにしなければなりませんが。」

何の権力も持たないバンス夫人でいるよりも、爵位を持つバンス卿であれば困難なことも可能になる。

ダニエルはミルドレッドのために扉を押さえながら尋ねた。

「ほかの女性たちも爵位を求めると思いますか?」

「ええ、もちろん。手に入れられるとわかっているのに、黙って見ている理由があるでしょうか?」

そう言ったミルドレッドは、彼のためにドアを押さえてくれていた彼女の手を取り、軽く唇を重ねた。

それからしばらくして、社交界では「ミルドレッド・ヴァンス夫人に爵位が授けられる」という噂が広まった。

ミルドレッド・ヴァンス伯爵。

史上初の女性伯爵であった。

 

<完>

 



 

 

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