幼い旦那様の黒幕妻です

幼い旦那様の黒幕妻です【54話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「幼い旦那様の黒幕妻です」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【幼い旦那様の黒幕妻です】まとめ こんにちは、ピッコです。 「幼い旦那様の黒幕妻です」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっ...

 




 

54話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 疑惑の贈り物

エレナの診察を受けて処方された風邪薬を飲み、温かい布団で体を休めていた時のこと。今度は私のもとに思いがけない贈り物が届いた。

メラが、私と同じように訝しげな表情で言った。
「奥様から届けられた品でございます」
「……えっ、お義母様が? 私に?」

メラは私の目の前に小さな箱を二つ置いた。見れば、私だけでなくキブリン宛ての贈り物まである。
――かなり怪しい。一体何が入っているのか、まったく見当もつかない。

メラは箱を軽くとんとんと叩き、軽く振ってみせた。
「城へ搬入される他の品々と同様、入念な検査と鑑定を受けさせましたが、特に異常は見られませんでした」
「うーん……それでもやっぱり怪しいわ」

一人で開けるのは恐ろしい。誰か一緒に開けてくれる人はいないだろうか。
キブリンは熟睡しているし、ローズは屍のように降り積もった雪を片づけている最中だ。となると、残っているのは一人しかいない。

すっかり体調も回復した私は、二つの箱を抱えてエミルの暮らす塔へと向かった。

彼の部屋には、青と赤の魔石が乱雑に積み上げられていた。床には高級な羊皮紙や宝石、精巧な星の装飾品までもが散らばっている。
「小さな奥様、いらっしゃったんですか?」
一枚の羊皮紙をひらひらとさせながら歩み寄ってきたエミルに、私は声をかけた。
「魔石と宝石は、別々に保管したほうがいいですよ。下手をすると爆発しますから」
「……はい?」
「私、あれを使って『蛇の谷』に火を放ったことがあるんです」
今さら隠すようなことでもない。公爵家の役に立つならそのほうがいいだろう。

エミルは目をパチクリさせた。
「あ……」
「信じられないなら、見せてあげましょうか?」
私は箱を床に置き、散らばっていた宝石と魔石を手にとった。
「こうやって角度を調整して、カツンとぶつけると――」
「うわあっ! やめてください! お嬢様がお怪我でもされたら大変です!」
青ざめたエミルが飛び上がり、私の手からそれらを奪い取った。
「わ、私がやりますから!」

エミルは大慌てで奥の研究室へ駆け込んでいった。
数分後、彼は顔を真っ青にして戻ってきた。
「本物ですね……急速に普及した時から何かあるとは思っていましたが、まさか宝石に酔うなんて……。社交界が大騒ぎするにはもってこいのネタですよ。それにしても、お嬢様はどうやってお気づきになったんですか?」
「公子様と遊んでいた時に、たまたまです。あの時から怪しいとは思っていたんですよね」

エミルはあごを撫でながら、ニヤリと笑った。
「……私、これをちょっと利用してもいいですか?」
「ん?」
「すぐに魔塔へ報告したりはしませんから」
エミルは楽しそうに微笑んだ。
「まあ、この世にタダほど高いものはありませんからね。代価をたっぷりいただいているんですから、小さな奥様にも還元して差し上げますよ」
年不相応におどけて見せる彼に、思わず私も微笑んだ。
「エミルの好きにしてくれて構わないわ」
「ありがとうございます、小さな奥様。それで、今日はどのようなご用件で?」

私は持ってきた二つの箱を示した。
「お姉様から、私と公爵様に誕生日プレゼントが届いたの。何の前触れもなく届いたから、そのまま開けるのが不安で」

その瞬間、エミルの口元から笑みが消えた。
「お姉様というと……あの聖女様ですか? 朝早くから呼び出すなと皇帝陛下の前で痰を吐き捨て、皇室騎士団長を全治三週間の重傷に追い込んだという……?」
「……たぶん、そのお姉様ね」
悪役令嬢の隣に立つ主人公ではないかと疑いたくなるほど、すでに戦績が華々しすぎて言葉も出ない。

「少々お待ちください」
そう言い残すと、エミルは魔石の爆破実験でもしに行くのかと思うほどの重装備で戻ってきた。兜に全身鎧、そのうえ盾まで構えている。
呆然とした私は尋ねた。
「その鎧……どこで手に入れたの?」
「世子様から盗んできました」
「……」
あまりにも堂々と言い切るので、返す言葉もない。

「では、開けますね」
私は壁の陰から息を潜め、エミルを見守った。
……何も起こらない。

数秒待ってから箱の前に歩み寄ると、キブリン宛ての贈り物には、苔がびっしりとへばりついた歪んだ銅貨が一枚入っていた。
「これじゃ、焼きとうもろこしを買うのも難しそうですね……」
実用性の欠片もない品に、私が思わずつぶやくと、エミルは扇を置いて気まずそうに笑った。
「ま、まあ、気持ちですから! 次の箱も確認してみましょう!」

エミルが私宛ての箱を開けると、中から飛び出してきたのはおもちゃのボールとカラフルな玩具だった。
「お姉様ったら、私のことを5歳児だとでも思ってるのかしら」
「これは帝都で大流行しているゴーレムのおもちゃですよ。赤いゴーレムと黄色いゴーレムを買うと、茶色のゴーレムがおまけでついてくるんです」

しかし、私の箱に入っていたのはおまけの「茶色のゴーレム」だけだった。
私がそれをゴミ箱に投げ捨てようとすると、エミルが焦って叫んだ。
「チョ、ちょっと待ってください! 捨てる気持ちもわかりますが、何か意味があるのかもしれません! 玩具なのに鞄を背負っているなんて変でしょう?」

無表情のまま玩具を渡すと、エミルはゴーレムの鞄を開けた。
「見てください、ネックレスが入っていますよ」

ネックレス?
ようやく興味を示した私に、エミルがそれを差し出した。
それは以前、大新殿に行った際に失くしてしまったロケットペンダントだった。新品のように傷ひとつなく綺麗に磨かれている。

「手紙もありますね」
『同じものを注文しようと思ったけれど気に入らないかもしれないから修理――』
手紙はそこで途切れていた。
(……修復したってこと? お金、結構かかったんじゃ……。誰かに踏まれて壊れちゃってたのかな?)

首を傾げながらペンダントを開けてみると、中の写真部分を覆うフィルムが黒く焦げていた。指で触れたらそのまま粉々になって散ってしまいそうで、触る気にもなれない。

エミルがちらりと私の顔色を伺った。
「……まさかお嬢様、森に火をつけたりしていませんよね?」
「うーん、森を燃やすつもりだったなら、首飾りなんて送ってこないと思うわ。だってお金がかかるじゃない」
「お嬢様、お金ならたくさん稼いでいらっしゃるでしょう。神聖力を使って商売をしようなんて、歴代の教皇たちすら思いつかなかった(やらなかった)ことですよ」

私はネックレスを首にかけながら答えた。
「お姉様は、私にお金を使うのが一番嫌いなの。焼きとうもろこしを買うお金すら惜しいと思っているはずだわ」

エミルがじっと私を見つめた。
「……お嬢様、もしかして焼きとうもろこしが食べたいんですか?」
「……ッ」
思わず肩が跳ね上がった。恥ずかしさで顔が赤くなる前に、エミルが素早く声を張り上げた。
「わ、私もなんだかお腹が空いてきました! 一緒に食堂へ行きましょう!」
「そ……そうしましょうか」

気が変わるのを恐れるように鎧を脱ぎ捨てたエミルは、大急ぎで私を食堂へと連れていってくれた。

食堂には誰もいなかった。
食事の時間ではないうえ、給仕の従者たちまで雪かきに駆り出されているらしい。
エミルが厨房から持ってきたお茶のポットを抱えていたので、私は手伝うことにした。お茶を淹れるくらいなら前世で何度もやったことがあるので自信がある。

私がテキパキとお茶をカップに注いでいる間に、エミルが料理を運んできてくれた。
バターの香る焼きとうもろこし、皮つきジャガイモとソーセージ、マッシュルームスープ、ハニーサラダ――豪華な料理が私の前にずらりと並ぶ。

「エミルは食べないの?」
「ものすごくお腹が空いてますよ! 私も食べます!」
「……本当?」
どこか優しい嘘のように思えて尋ねると、エミルは目を丸くして言った。
「本当ですよ! 私のお腹はペコペコなんですから! だからお嬢様も早く召し上がってください!」

私は嬉しくなって、バターの香ばしい香りが漂うコーン茶を口に含んだ。
一方、私が淹れたお茶を一口飲んだエミルは、激しく顔をしかめて慌てて吐き出した。
――えっ?!

「どうしたの? 味がおかしかった?」
エミルの瞳が激しく揺れている。
「ゴホッ……お茶に何を入れたんですか!? ど、毒でも入っているんじゃ……」
「何も入れてないわよ!」
むっとした私は、自分のカップのお茶を口に含んでみた。
少し首を傾げたくなるような独特な味ではあったけれど、飲めないほどではない。

「そんなものを口にしたらお腹を壊しますよ、お嬢様!」
真顔になったエミルは、私の手からカップを取り上げると、厨房の料理長へ合図を送った。
料理長はすぐさま生のフルーツジュースを運んできて、私が淹れたお茶を綺麗に下げてしまった。

おかしいな……白骨にいた頃、キブリンは「お前が淹れてくれたお茶が世界で一番おいしい」って言ってくれたのに。

「私も料理は苦手ですが、お嬢様も相当ですね……これからは必ず誰かに淹れさせてくださいね? あ、そうだ。今度機会があったら、公爵様にも一度振る舞って差し上げては?」
立ち去る料理長の後ろ姿を横目で見ながら、エミルが声を潜めた。

「私、裏表のない人間なんですけど……やっぱり剣士より魔法使いのほうが魅力的だと思いませんか? 格好いいし! 衛生的だし! お嬢様もそう思いますよね? あの時、公爵様がひどいことを言ったと思いませんか?」
「あの時?」
エミルがぐっと眉に力を込めた。
「小さな奥様が呪いにかかっているか調べた時のことです! 公爵様が『魔法使いは骨の部屋に閉じこもってばかりだから寿命が短い』っておっしゃったんですよ!」
「……今の、お父様の真似?」
「似てませんでした?」
「全然」

「それはともかく、小さな奥様はどう思われますか?」
記憶をたどってみたけれど、エミルがメネリクより先に死んだことなんて一度もなかった。答える代わりにジュースをコクコクと飲むと、エミルは勝手に納得して満足そうに笑った。
「やっぱり小さな奥様は、私の味方だと思っていました!」
「……」
私は無言で焼きとうもろこしを口に放り込んだ。

すっかり機嫌を良くしたエミルは、惜しみない親愛の情を向けてくる。
「そういえば昨日お出かけになった際、セザールも連れて行ってくださったそうですね。ありがとうございます、お嬢様。あいつは私より融通が利かないところもありますが、腕だけは確かです。これからもどんどん使ってやってください。もしかしたら、お嬢様よりお茶を上手く淹れられるかもしれませんよ」
エミルは気軽に身内の話をしてくれた。
「実は父が、セザールをシレンチウム侯爵家の役に立てようと熱心でしてね。それで私が連れてきたんです」

口の中のものを飲み込んでから、私は尋ねた。
「セザール卿は幼い頃、孤児院で過ごしていたと聞きましたが……」
「ええ、父と平民の女性との間に生まれた私生児なんです。うちの領地では別に秘密でもありませんよ」

エミルが少し眉間にしわを寄せた。
この国では初代皇帝の血統が重視されてきたため、貴族にとって愛人や私生児の存在は大きな汚点となる。歴代皇帝たちも、一人を除いて後宮を持たなかったほどだ。離婚してから再婚するほうがずっとマシだとされる風潮がある。

「あ、セザールが通っていた保育園は公爵領にあるんですよ」
エミルがくすくすと笑った。
「私は公爵領が本当に好きなんです。お金が有り余っているから保育園への投資も惜しまない。おかげであの子も、貴族の礼儀作法は知らなくても読み書きができますし、栄養失調とは無縁で育ちました」
「エミルはセザール卿のことをとても可愛がっているのね」
「他の異母兄弟より情があるのは事実です。だからといって、騎士団での苦労を手伝ってあげるつもりはありませんけどね」

エミルなりに、弟の立場や苦労を理解しているのだろう。
私にお腹いっぱい食べてほしいのか、エミルは自分の分の料理まで譲ってくれた。おかげで満足いくまで食事を楽しむことができた。

席を立とうとすると、エミルが驚いたように尋ねてきた。
「小さな奥様、食べる量が少なすぎませんか? 私の弟たちは一食でとうもろこしを10本は食べますよ」
「……普通の子供がそんなに食べたらお腹を壊すわよ」
エミルは「そんなバカな」という顔をしていた。

食堂を出た後もエミルと一緒に歩いた。
私はいつものように窓辺により、外の天気を確かめる。相変わらずしん々と雪が降り続いていた。
(雪だるまは作らなくていいから、早くやんでくれればいいのに……)
残念な気持ちで窓枠の飾りを弄んでいた、その時だった。

階段の下から、侍女たちのひそひそ話が聞こえてきた。
「あなたもローズ様をご覧になった?」
ん? 私は耳をすませた。
私の存在に気づいていない侍女たちは、興奮冷めやらない様子で会話を続けている。
「もちろん! 休憩時間を全部使って見に行っちゃった。雪を片づけている姿も、まるで一幅の絵みたいだったわ……」
「でしょう? すごく逞しくて素敵よね!」

(……逞しい? ローズが?)
驚きで固まっている私を見て、エミルが不思議そうに覗き込んできた。
「お嬢様? どうして今食べたものを吐き戻しそうな顔をしているんですか?」
私は慌てて表情を引き締めた。

「『今度こそ本当にエレナ様のところへ行かないと』……という顔をされていますが」
「……」
完全に逆効果だったらしい。
私は引きつった笑みを浮かべながら後ざさりした。
「私、急に用事を思い出したので失礼しますね。今日はありがとうございました!」

エミルに大きく手を振り、逃げるように外へ出た。

中庭へ出ると、大きな古木の前でローズが温かな表情を浮かべて立っていた。
ただ雪かきが嫌でだだをこねている子供にしか見えないのだが、一体どこが「絵になる」のだろうか……いや、考えるのはやめよう。

声をかける前に、ローズが振り返った。
「チェリア?」
「ローズ、まだ雪かきをしてたの? 手は冷たくない?」
「私は一日中こうしていても平気だよ」
ローズは古木を見上げた。
「この木、今年の冬を越すのは厳しそうだね」
「大切な木なら、キブリンが自分で何とかするんじゃないかしら」
侍女たちの話を頭から追い払い、私が目を丸くすると、ローズは誇らしげに言った。
「うん。だから前世でも今でも、人間じゃなかったらキブリンを好きになっていたと思うわ。むしろ私の方が特殊なのよ」

私は期待を込めて尋ねた。
「じゃあ、私は? デルは誰が好きだったの?」
すると突然、ローズの瞳が激しく揺れた。
「そ、そりゃキブリンが好きだったわよ! 私もそうだし! 昨日会ったっていうあの人だってそう!」
「それだけ?」
あまりにも薄っぺらい答えにガッカリしてしまう。キブリン以外にまともな人はいないのだろうか。
私が落胆した表情を浮かべると、ローズは慌てて頭をかきむしった。
「あ、それと予言者もいたわ! なんと、もう4人もいるのよ!」
「……相変わらず胡散臭い話ね。私が公爵家に来るって予言したっていう人のこと?」
ローズがコクコクとうなずく。
「今はもう死んでいるでしょうけど、その女はデルのことをずっと追いかけ回していたの」

私は目をパチクリさせた。
小説『悪女は金の道でなければ嫌』の中で未来を見ることができるのは、お姉様だけだったはずだ。自分に関わる未来の出来事を断片的に見るだけとはいえ、それはお姉様だけの固有能力だと作中で何度も強調されていた。
だから他の予言者は全員偽物のはずだ。
だとしたら、ローズの言っている予言者とは一体何者なのだろう? 私が実際に公爵夫人になった以上、単なる偽物とも言い切れないはずなのに――。

頭の中に疑問符が浮かんでいたその時、一人の侍女が近づいてきた。
「あの……お嬢様」
「なぁに?」
彼女は目をぎゅっと閉じると、私に綺麗な箱を差し出した。可愛らしくラッピングされたチョコレートだ。
受け取った後も侍女がもじもじと佇んでいるのを見て、私は察した。
「……ローズにも用事があるの?」
侍女はこくりと頷き、ローズにも小さな包みを差し出した。
「ローズ様、お寒いですから、召し上がりながら作業してくださいね」
「い、いや、結構です!」
ローズはきっぱりと断り、侍女を送り返した。

またしても引きつった顔になってしまった私に、ローズは悔しそうに言った。
「なんでそんな『うんざり』したみたいな顔をするのよ! 私が好きだなんて言ったわけじゃないじゃない! 向こうがくれるって言うから断っただけでしょう!?」
「そ、その……なんだか急にゾクゾクっとして、鳥肌まで立っちゃって……」
私は肩をすくめた。
誰もがローズのことを「ハンサムで気さくな青年」だと思っているみたいだけれど、実際は「家畜にしてやる」と脅してくるような子なのだ。

ローズは不満そうにぶつぶつと愚痴をこぼした。
「私を危なっかしい子供みたいに扱うチェリアの方がおかしいのよ。デルに会ったのが千年前だからって、私だって相当長く生きているんだから」

そろそろ寝室に戻らなければならない時間だったが、気になって尋ねてみた。
「千年間、何をして過ごしていたの?」
「デルが作ってくれた宝の場所で、精霊たちと……」
「遊んで、寝て、食べてたんでしょ? 990年くらい?」
図星を突かれたローズが口をぽかんと開けた。
「遊んで、寝て、食べていただけなら、やっぱり手のかかる子供じゃない! それに、誰がそんなに長く待てって言ったのよ!」
私が勢いよく詰め寄ると、ローズはびくっと体を縮こまらせた。
「デ、デルを待つことが一番の目的ではあったけれど、私だってちゃんと過ごしていたわよ! 後でチェリアに言いつけようと思って、私をいじめた奴らの名簿まで作っておいたんだから!」
「その名簿はどこにあるの!? 早く持ってきなさい! 私が全員ぶっ飛ばしてあげるから!」
「……ちょっと、今すごく目がギラついてるわよ!? 封印術が解ける前に落ち着いて! 早く童心に戻って!」

昨日も言われたけれど、私の目の何がそんなに恐ろしいのだろう。

ローズは深々と積もった雪を踏み締めながら、私を奥へと案内してくれた。
促されるまま、気乗りしないまま雪だるまを作り始めてみたのだが――始めてみると案外面白い。
夢中になって作業し、私は雪だるまを二つと、丸々とした雪の鳥を完成させた。

「どう? これが私で、これが公爵様。そしてこれがあなたよ」
ローズは呆れ果てた顔をした。
「どうしてその性別不明の塊が私なのよ?」
「あなたにそっくりじゃない」
「全然違うわ! 足もないし羽もないでしょう!? それに決定的に、私は白くないわ!」
「……雪で作ったんだから白いのは当たり前でしょう」

不満を漏らしつつ、ついでに義父様の雪だるまも追加で作った。
しばらく夢中で作業を続けていると、どこからともなく囁き声が聞こえてきた。

『可愛い……可愛い……』
『もう公爵家が全然殺伐としてないよね』
『羊毛の服を着て、羊みたいな髪型にしてるの、反則すぎない……?』

(え?)
ちょうど羊毛の服を着て、羊のように髪を団子状に結んでいた私はバッと顔を上げた。
遠くで、私に背を向けた侍女たちが何やら興奮気味に話し合っている。
……聞き間違いだろうか。

私は再び顔を伏せ、雪だるま作りに没頭した。
枯れ木から落ちた枝を拾い、雪だるまに腕をつけてあげる。
ローズは腕を組み、審査員気取りで評価した。
「全体的に、チェリアの雪だるまだけ出来が悪いわね」
「まあ、それは置いといて。リアルに表現するなら、公爵の雪だるまは片腕を無くしてみるのはどう?」
「…………」

(う……寒くなってきたし、そろそろ中に入ろうかな)
童心など跡形もなく消え去った私だったが、背後から再び侍女たちの声が追いかけてきた。

『私が魔法使い様を呼んできます!』
『急いでください! 溶けたら大変です、魔法で凍らせて保存してもらわないと!』

 



1. お義母様(聖女)からの怪しい贈り物

  • 体調が回復した主人公(チェリア)は、お義母様から届いた不審な贈り物(自分宛てとキブリン宛ての2つの箱)を調べるため、魔法使いエミルの塔を訪問。
  • 贈り物の内容:
    • キブリン宛て: 苔がこびりついた歪んだ銅貨1枚。
    • チェリア宛て: おまけの茶色のゴーレムのおもちゃ。その鞄の中に、以前失くしたロケットペンダントが入っていた(修復されているが、中のフィルムは黒く焦げていた)。

2. エミルとの交流と食事

  • エミルはチェリアが気づいた「魔石と宝石の危険性」に驚き、それを交渉材料に魔塔から利益を得ようと画策する。
  • 2人で食堂へ行き、焼きとうもろこしなどを食べる。チェリアが淹れたお茶は独特な味がしたため、エミルに慌てて下げられてしまう。
  • エミルはチェリアの義弟セザール(私生児)の過去や、公爵領の手厚い福祉(保育園など)について話す。

3. ローズとの雪かきと「予言者」の謎

  • 中庭で雪かきをするローズのもとへ向かう。ローズは侍女たちから「逞しくて絵になる」と密かに人気を集めていた。
  • ローズとの会話から、かつてデルを追いかけ回していた「4人の予言者」が存在したことを知る。チェリアはお姉様以外の予言者の存在に疑問を抱く。
  • チェリアはローズと楽しく雪だるまを作るが、羊毛の服を着て雪遊びをするチェリアの可愛らしさに侍女たちが悶絶し、「魔法で保存しよう」と盛り上がる様子で締めくくられる。

 

【幼い旦那様の黒幕妻です】まとめ こんにちは、ピッコです。 「幼い旦那様の黒幕妻です」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっ...