こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は166話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
166話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 雨の日
床に残された濡れた足跡に沿って歩くと、すぐにデオンが私の目の前に姿を現した。
彼は宴会場からある程度離れた人通りの少ない回廊に立っている。
窓に降り注ぐ雨が騒音を起こしていた。
私は立ち止まり、水彩画のように溶け込んだ夜の風景を背景にデオンを眺める。
明かりと闇が半分ずつ積もった夜の境界で、私を強烈に凝視している赤い瞳が鮮明に見えた。
私はしばらく止まっていた足をまた離す。
デオンは私が彼に近づくのを冷ややかに見ていた。
「その様は何?」
けれど、彼と私の間の距離がもう少し縮まり、不意に伸びた私の手が彼の頬に触れた瞬間。
「こんなにびしょ濡れになって」
デオンの表面にもまだ隠すことのできなかった動揺が現れた。
ジェレミーと同じくらい久しぶりに会うデオンだったが、彼は昨冬見た時の姿そのままだ。
もしかしたら単純に私がそう感じるだけかもしれない・・・。
いずれにせよ、それで季節が一度循環する間の空白が彼と私の間に全くなかったように感じられた。
デオンの真っ直ぐな顎のラインに沿って雨水が滴り落ちている。
私は彼の目を正面から見つめた。
「ねえデオン」
そして、依然として柔らかい手で彼の顔を撫でながら囁く。
「誰があなたを歓迎するためにこんなに急いで走ってきたの?そんなに愚かに急いでくるなんてね」
毒を塗った棘を抱いて冷たく笑うと、デオンの目が一瞬大きく揺れた。
巨大な炎が私を飲み込むようにうねっている。
アグリチェの最後の日にラントの執務室で一緒に過ごした奇妙な時間は全て忘れたかのように、彼に対する私の態度は以前と同じように辛辣だった。
しかし、デオンは慣れているかのように反応する。
すぐに彼の手が私の手首を折るように強く握った。
「お前」
デオンの唇から吐き出すような音が漏れる。
「今までカシス・ペデリアンと一緒にいたんだって?」
「それが?」
私は淡々と反問した。
すると、デオンが口元を捻って嘲笑する。
「否定もしないのだな」
「どうして私があなたに隠さなければいけないの?」
接した人から伝わる炎が一層強くなった。
そう、デオンと私はこういうことに慣れている。
アグリチェでの最後の日、もしかしたら何かが変わるかもしれないと少しでも思ったのが錯覚だったようだ。
考えてみればいつもそうだった。
一緒にいるとき、デオンと私はいつか必ず膿んで腐ることが予定されている悪臭を放つ腫れ物のようだったから。
だからどれだけ長い時間が経っても、私と彼の関係が変わるはずがない。
むしろ時間が経てば経つほど、今のようにお互いに接している部分から腐敗し、腐ってしまうことは間違いなかった。
「何その顔。もしかして今怒っているの?」
私は首を傾げながら彼に向かって微笑んだ。
今怒っているのはデオンだけではない。
ベルティウムでアシルの皮を着たニックスを見た時から膨らんでいた憎悪がデオンに向かい合った瞬間、待っていたかのように溢れ出た。
「まさか私があなたを歓迎するとは思っていないだろうし。しかも、あの日ラント・アグリチェを殺したのは別の人だと聞いているけど・・・」
結局はこういことだ。
私は私の人生の目的でもあるように、これからも絶えずこの人を傷つけ、彼に私による傷跡が刻まれる姿を見ながら笑うのだろう。
「まったく役に立たないのね、あなた」
カシスは私に言った。
あの日、アグリチェで全てが私の望み通りになったと。
その結果、デオン・アグリチェは今このように私の前で私の目を合わせて立っている。
もし私が本当にこの人に生きて欲しかったのなら、それ確かにその理由のためだ。
彼がラント・アグリチェに致命傷を負わせ、同様に大怪我をしてしばらく生死の間を彷徨っていたという話を母親から聞いた。
デオンが母親を殺さなかったことも知っている。
でもそれが?
彼に感謝でもしろと?
それとも彼に同情でもしろって?
笑い話。
アシルの体をしたあの人形。
あの恐ろしいものが生まれるのに一助したのが、今私の目の前にいる男なのに。
「それで、あの日私の代わりにラント・アグリチェを殺したのがカシス・ペデリアンだから彼を選んだのか?」
けれど驚くべきことに・・・、両耳にその名が染み込んだ瞬間、中で荒々しく暴れていた殺意が徐々に沈み始めた。
私はゆっくりと深呼吸をする。
「いいえ」
その時になって、ようやく熱くなっていた胸が冷めていくようだった。
「一体何の勘違いをしているの?カシスがあなたの代用品みたいに言わないでちょうだい」
手首を締め付けた力が言葉では言い表せないほど強くなっていく。
私が彼の手を振り切る直前、デオンの口元に小さな笑みが浮かんだ。
「知ってるか?君の体から、この前会った男の不快な匂いがする」
一瞬止まった後、デオンが私の首を過激に掴む。
彼の巨大な手が一気に私の首筋を折るように締め付けてきた。
私は瞬きもせずに向き合った顔を凝視する。
赤い瞳の中で激しく吹き荒れるあらゆる感情が私の目に映った。
しばらくして、誰に向かっているのか分からない嘲笑に満ちた冷笑が目の前で沸き起こる。
「本当に面白い」
低い口ずさみが耳に響いた直後、私の首を強く絞めていた握力が弱くなった。
今度は私が腕を上げてデオンの頬を叩く。
ピシャリと、熱っぽい破空音の中で鋭い視線が交差した。
「もう私の目の前から消えて。顔も見たくないから」
デオンに向かって冷たく言った後、振り向く。
雨の日、アグリチェでそうだったように、デオンに背を向けたまま歩いた。
隣でうるさく降り注ぐ雨が、今この場にある全てのものを吹き飛ばしてほしいと思いながら。
この二人の関係も歪ですよね・・・。
デオンがロクサナに執着していることは明らかですが、それが愛なのかどうなのか。
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