ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜

ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜【49話】【リメイク】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。 ネタバ...

 



 

どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!

アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。

そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。

その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。

アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。

最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。

ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。

シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。

カシス・ペデリアン:シルビアの兄。

ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。

アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。

ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。

シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。

デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。

シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親

マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。

エミリー:ロクサナの専属メイド。

グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。

ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。

リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。

ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者

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49話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 甘い束縛

(ちょっとおかしくなったんじゃないかな?)

遅ればせながら、私は自分の放漫さと愚かさを反省した。

カシスと私は3日間ずっと部屋に閉じこもっていた。

もちろん、私たちがこれまでやってきたことは明らかだ。

ご飯を食べて寝て、体を洗う基本的な時間を除いては、それこそ昼夜を忘れて快楽だけに没頭したようだ。

その間、現実の他の何物も歓楽の中に割り込むことができなかった。

(今回はちょっと酷かったわね)

私はカシスと一緒に遅い朝食を取っている間に浅い息を吐き出す。

「聞いてる?」

カシスが私に手を伸ばし、彼の指が私の口元を散らした。

無意識に彼の指を口に含んでしまいそうになる。

その瞬間、カシスの手がピタリと止まった。

私の顔に刺さったカシスの目つきがあっという間に濃くなる。

「あ、ごめんなさい。聞いてなかったわ」

私は淡々と言った後、また首を斜めに傾けて食事を続けた。

しかし、内心ではやや狼狽感を感じている。

3日間の余波のために思わず反射的に行動してしまった。

本当に誓って、今ここでカシスを刺激して部屋に閉じこもりたくてしたわけではない。

幸いにもカシスは私から綺麗に手を引いた。

「母が今度は君に直接手紙を送ってきた」

カシスは私より先に食事を終えて、使用人が持ってきた手紙の発信人を確認する。

カシスではなく、私宛てに来た手紙だったのか。

でもカシスの言葉の中に引っかかる部分があった。

「今回は直接って?」

フォークを動かしていた手を止めて、反問する。

「この前はここに人を寄越したんだ」

「それはいつ?」

「2日前、君が寝ている間に」

カシスは封筒を開けずにそのまま私の前に置く。

私宛てに来た手紙だから直接確認してみろという意味のようだ。

「おそらくお茶の時間に招待しようとしていたのだが、君の体の調子が良くないと思って私が帰した」

いや、だから・・・。

それはつまり、私を部屋から放さないように私を訪ねて来た人まで帰らせたということなのでは?

「もし私の勝手な行動で気分を害したのなら謝るよ」

カシスは私の目を覗きながら言った。

3日間、口車に乗って私を欺いて、私を苦しめた時とは違って、今度は本当に反省している様子だ。

彼は私をじっと見ている。

明け方まで飢えた獣のように振る舞った様子は跡形もなかった。

最初からカシスに怒っていたわけでもない。

ただ彼の行動があまりにも意外だったので少し驚いただけ。

「今度はやめて」

「分かった」

「・・・でも今回はありがとう。私が直接断るのは難しかったと思うから」

結局、私も3日間、この部屋に閉じこもってカシスと2人きりでいた方が良かったという意味だ。

カシスもその意味を察知したのか、私を見て浅く笑う。

私は食事を終えて、カシスの母ジャンヌに返事を送ろうと思った。

 



 

ジャンヌは以前にも感じたように上品な貴婦人だった。

彼女が織りなす雰囲気は落ち着いていて穏やか。

彼女から微かな木蓮の香りが漂っている。

「カシスに聞きました。体の調子が良くなかったのですね?」

ジャンヌの問いに私は少し良心の呵責を感じながら答えた。

「心配するほどではありません。ただ気力が落ちて休息を取っただけですから」

彼女は私の顔を覗き見て、また口を開く。

「先日、外で騒ぎがあったそうだけど」

ああ、パンドラとの話を聞いたようね。

もしかして、そのために私に会おうと言ったのだろうか?

もちろんジャンヌは先日リセルの執務室の前で会った時も、後で一緒にお茶を飲もうと言ってた。

けれど、その理由も合わせて今私に会おうとしたようだ。

 



 

あの日、私が呼び寄せた毒蝶の存在をカシスやオルカの他に誰も気づかなかったとは思えない。

何よりもパンドラがペデリアンにその時のことを供述する過程で必然的に明らかになったことでもあった。

私は手に持っていたコップをテーブルの上に置いた後、口を開く。

「自宅内で騒ぎ立ててしまい申し訳ありません」

「どうして謝るのですか?フィペリオン側が先に無礼を働いたと聞きましたが・・・」

「私も対処が多少やり過ぎでしたから」

実際、パンドラの魔物を捕食する必要はなかった。

しかし、カシスが絡んだ問題だからか、今になって考えてみると過剰反応をしたと思える。

「私は魔手師でなく詳しいことは知りませんが、毒蝶は主人を宿主にして育つ寄生型魔物だと聞きました」

ジャンヌはやはりあの日庭に現れた魔物が毒蝶だということを知っていた。

「ペデリアンには有名な魔手師がいませんが、それでもイシドールが境界へ魔物討伐によく赴いたせいか、その方面に少し見聞きがあるそうです。それで聞いてみたら、あなたが今回3日間も病んだのも、その魔物のために心力を使い果たしたと聞きましたが?」

ああ、そうか。

イシドールは3年前に私の毒蝶を見たことがある。

「だから心配になったのです」

けれど、これは少し意外だ。

もしかして他の人たちもそんな風に考えているの?

しかし、自分でも意外なほど、毒蝶を使ったことに何の打撃も受けていない。

むしろ最近は、カシスとずっと一緒にいて、彼の生気を貰っているおかげで、水を飲んだ芝生のように生き生きしていた。

そして何よりも私がこれまで別館の外に出なかったのは、カシスと・・・。

それ以上考える必要もなく、私はその部分について言葉を慎むことに。

「心配してくれてありがとうございます。私が未熟なせいで、不本意ながらご心配をおかけしました。それでもカシスが気遣ってくれたおかげで、すぐに回復することができましたので」

ジャンヌが私をじっと見つめる。

こう見ると、何かに没頭する時の表情がカシスに似ているような気もした。

「ロクサナ」

しばらくしてから、彼女が私の名前を呼ぶ。

「あなたは、カシスが持っている力が何なのか知っていますか?」

その瞬間気づいた。

こっちが本題なのだと。

それならば、私は知っていると答えるべきか、それとも知らないと答えるべきか。

私は短い空白の後に唇を整える。

「朧げには・・・、知っていると言えます」

率直だが曖昧な答弁。

すると向き合っていた顔が少し曇った。

ジャンヌは少しホッとしているような気もするし、逆に不安そうな気もする。

「そうですか、知っているのですね」

いずれにせよ、私としては簡単に定義付けにくく見える感情だ。

 



 

「以前・・・」

ジャンヌから細やかに流れ出た言葉に、私は開こうとした唇を閉じた。

「その力のせいでシルビアは危険に直面したことがあったわ」

彼女はさっきのように私の顔をじっと見つめて反応を伺う。

まるで、これ以上言葉を繋いでもいいのか判断しようとしているかのように。

「以前のシルビアは、今と比べ物にならないほどお転婆だったから、一人でよく危険な遊びをしていたの。あの時も一人で庭園の前にある銅像の上に上がって・・・」

結局、彼女は話し続けることを選んだらしく、再び静かに口を開いた。

「下に降りる時、シルビアは誤って頭を大怪我したわ。その光景をカシスが目撃したの」

ジャンヌの目は、その当時のことを回想するかのように瞬きしている。

「あの時のカシスは、まだ自分が持っている能力をまともに使うことができなかった。それでも血を流して倒れた妹の状態がとても危険そうだったから、その力を使うことにしたのよ」

その後に良いことが起きなかったことを、それほど難しくなく察することができた。

「けれど、その途中で反作用が起きて、シルビアは・・・」

しかし、私が聞いた言葉は想像以上に良くないもの。

「完全に息が止まったの」

「・・・」

「愚かな母である私はカシスを恨みました。あまりにも余裕がなかったので、当時のことはよく覚えていませんが、あの子をかなり厳しく非難したような気もします」

 



 

短い沈黙がジャンヌと私の座っている周りに舞い降りる。

すぐに彼女の顔に微かな笑みが浮かんだ。

「けれど、あの時、私が何を言ったのか覚えていなくても、きっとカシスはまだ忘れていないでしょう」

彼女に何を言えばいいのか簡単に見当がつかず、しばらく言葉を選んだ。

今頃、父親のリセルに会っているカシスが脳裏を掠めた。

「私はずっとその事を後悔しています。言うまでもなく恥ずかしくて、また申し訳なく思っています」

「その気持ちをカシスにも伝えたのですか?」

私の問いに、ジャンヌは今までとは違う表情を浮かべる。

「ええ、3年前にあの子がアグリチェから帰ってきた後に」

「そうでしたか」

「もちろん、それで私のやるべき道を全部やったとは思っていないわ。それでも、もし最悪の状況に直面していたら、これさえも一生話せなかったかもしれません」

原作通りであれば、ジャンヌはカシスに生涯謝ることができなかっただろう。

今のように、この優雅な貴婦人が少しでも心を和ませた顔で微笑むこともなかっただろう。

そのように考えると、カシスが今この瞬間、無事にペデリアンにいることが改めて幸いだと思った。

「私はあのような経験をカシスが二度としないことを願っているわ。もちろん、今ならあの子が自分の意思で助けられない人はいないと思うけど」

次の瞬間、ジャンヌの真っ直ぐな目と視線が合う。

「それでも私はあなたが病気にならないように、できるだけ元気に長生きすることを願っています。多分世界の誰よりも切実に。ロクサナ、あなたの幸せがカシスに幸せに帰結するのだから」

静かに彼女の言葉を聞いて、私は静かに視線を落とす。

「この前見た時、あなたはこの場に存在しないように感じました。空っぽの殻だけ残った人のように。なので少し心配になったのですが・・・」

鋭利なのはペデリアンの人々の特徴だろうか?

おそらくジャンヌはこの前会った時、私の状態を正確に見抜いていたようだ。

「今はこの前見た時より表情が良くなりましたね。安心しました」

そう話す彼女の顔には温和さが漂っていた。

最後に、ジャンヌが私に話す。

「カシスをよろしくお願いします」

しばらくしてジャンヌと別れた私は、さっきまで交わした会話についてじっくりと考える。

彼女の言葉とは別に悩まなければならないことも。

何よりも、カシスの能力は私が思っていたよりも遥かに強いようだ。

反作用で誰かを殺せる能力とは、逆に自分の能力を発揮した時、それだけ強力な効果を生み出せるという意味だった。

もちろんカシスの力については以前見たこともあり、また何度も直接経験したこともあるので、ある程度は知っている。

彼が生気を吹き入れると、体に温もりがあり、力が湧き出ることも、ナイフで切った傷が癒え、体にある毒が中和されるという事実も知らなかった。

けれど、全てのことには大体限度というものがあるのではないだろうか?

カシスの治癒能力は非常に非現実的なものだが、彼の治癒能力が非常に高いとは思わなかった。

そのため、カシスがどれだけ努力しても、今の自分を生かすことはできないと。

しかし今、カシスが決心すれば救えない人がいないなんて言葉を聞くとは・・・。

ジャンヌの言葉はとても意味深長に感じられた。

しかも、その時シルビアの息が完全に失われたと言っていた。

けれど、彼女は今生きている。

それじゃあ死んだシルビアが一体どうやって蘇ったというのだろうか?

今カシスが私にしていることも単なる回復ではないかもしれないと考え、私は目元を少し動かす。

 



 

「ロクサナさん?」

その時、私の耳に突然、美声の声が聞こえてきた。

声が聞こえてきた方向に動揺せずに視線を向ける。

「どうも、お久しぶりですね。今まで体調が悪かったと聞きましたが。幸いにも今は元気なようですね」

オルカ・フィペリオンの華やかな笑顔が視野に入る。

誰もが武装解除してしまいそうな、ガラスのように澄んでいて透明な笑顔。

もちろん彼の心を知っている私には通じないが。

「白の魔手師ですね」

私はオルカの挨拶に平然と答える。

私の後ろには別館から付いてきたオリンがいて、オルカの後ろにはイシドールが立っていた。

イシドールの役目は護衛ではなく監視だろう。

今までは来賓として礼遇し、そのようなことはしていなかったが、パンドラの事件以降、信頼を失った影響だろう。

「あ、私が誰なのかご存知なのですね。もしかして、あの時に青の貴公子が私をそう呼んでいたのでしょうか?」

オルカは私が自分の事を知っているという事実にすごく嬉しそうに目を輝かせた。

「正式にご紹介させていただきます。私はオルカ・フィペリオンです。オルカと呼んでください」

「そうですか。白の魔手師という呼称で、もう十分だと思いますが」

オルカは親しみのある態度でニコニコと話した。

けれど、私はただ一度礼儀的に笑ってから拒否する。

 



 

すると、彼の顔に誇張された失望が浮かんだ。

「この前は私が失礼しました。あの時の恥ずかしい言動は忘れてほしいです」

しょんぼりしながら謝る姿が本当に最もらしく見えた。

見た目がとても清純だからか、あの中に狸が百匹ぐらい入っているという事実を知らなければ、誰もが自然と憐れむだろう。

「心に留めていませんから、お気になさらず。その話をするために私を訪ねてこられたのですか?」

「いいえ、日当たりが良くて散歩をしていたのです。そんな時にこうやってロクサナさんとばったり会えるなんて、まるで運命のようですね」

見え透いた嘘だ。

オルカが私にこんなにも関心を持っているのは、やはり毒蝶のせいか。

ふと3日前に庭で見た熱望のこもった瞳が脳裏を掠めた。

「もしよろしければ同じ魔手同士で、有益で楽しい会話を___」

「できません」「不可能です」

「したいのですが、やっぱりダメみたいですね」

オルカが頭文字を言うや否や、イシドールとオリンが同時に彼の言葉を遮る。

オルカも最初から期待していたわけではないようだ。

再び沈鬱な表情を見せるオルカを、イシドールとオリンが警戒するように睨みつけていた。

その姿を見て少し妙な気分に。

やっぱり私はペデリアンの人たちにか弱いイメージで烙印を押されているようだ。

カシスが他の人々の視線などは少しも気にせず、私を病人扱いしたからだろう。

しかし、一方から考えてみると、そこに私の意志が全くなかったとも言えない。

もしかしたら私も彼らに好かれる無垢で哀れな姿を無意識のうちに見せていたのかもしれない。

それでも、このように堂々と保護される立場になると、おかしな気分になった。

「自らを魔手師と称するには見聞が広くありませんので。むしろ後ろのウィンストン卿と話し合った方がより有益かと」

私の話に、オルカが意外だと言わんばかりにイシドールの方を振り返る。

「ウィンストン卿?あなた、魔手師だったのですか?」

「いいえ」

イシドールは、私がなぜそのような話をしたのか理解できない様子だ。

私は彼を見ながら首を横に傾けた。

「ジャンヌ様の話によると、魔物に対する見聞が広いとお聞きしましたが?」

「それほど見識はありませんが、ご希望でしたらある程度はお話し相手になることはできそうですね」

目が合った瞬間、私の意図した事を読んだのか、イシドールは小さく頷きながらオルカに言った。

「ああ、いいえ別に」

イシドールの誘いに、オルカは渋みを隠さず、嫌な表情で言った。

「私が話し合いたいのは、毒蝶の主人ですから」

察してはいたけれど、やっぱり毒蝶が狙いなのね。

「どう考えても気になるんですよ。ロクサナさん、あなたがどうやって毒蝶を刻印させたのか」

イシドールとオリンが席を外さないので、彼はこのまま話を切り出そうとしているようだ。

毒蝶を探してペデリアンに無断侵入しようとしたほどなのだから、その熱意は並大抵のものではない。

魔物に対する彼の執念と熱望がどの程度かは私も知っている。

「まずは毒蝶の生息地を探すのも空の星を取るくらいの偉業だ」

本来なら、毒蝶はその努力の産物してオルカの魔物になるはずだった。

それを途中で横取りしてしまったわけだ。

「また、卵を探したとしても孵化させるのに大変な苦労を・・・。ああ、淑女の方の前で失礼しました。いずれにせよ、そうやって手に入れなければならない上に、またそれさえも成功する可能性は著しく低いのではないのですか?」

急にオルカに少しだけ申し訳ない気持ちになって、少しぐらいは話を聞いてあげようかと思った。

「さらに、そのように孵化した毒蝶を刻印させることは、針の穴から魔物を通すようなものです」

私もすごく運が良かったと思う。

毒蝶と私の相性が想像以上に良かったのも、また大量の毒を調達しやすい環境にあったことも。

そして今まで毒蝶に食われず、このように共生しながら生きてこられたのも・・・。

「しかし、一番傑作なのは・・・」

オルカは私が何の反応を見せなくても、勝手に話し続けた。

既に彼の言葉は独り言のように感じられる。

「それを殺戮蝶に育てられたこと」

 



 

やがてオルカが興奮を抑えられないように、クスッと声を出して笑う。

「ロクサナさん、今まで毒蝶の主人たちが皆行方が分からなくなったという話を聞いたことがあるでしょうか?」

当然知っている。

「その理由が毒蝶に食われたからという事を知っていますか?」

その瞬間、イシドールとオリンが体をすくめた。

私は動揺せずに目を一度ゆっくり閉じて開いた後、気怠い口調で話す。

「毒蝶の主である私がそれを知らないと思うのですか?」

オルカの言う通りだ。

記録に残っている毒蝶の所有者そのものが数えるほど少なかったが、彼らの結末はほとんど同じ。

毒蝶に食われる姿が目撃されたり、ある日、突然行方をくらまして消えたのだ。

もちろん、静かに行方不明になった人々が後に再び姿を現すことはなかった。

毒蝶は望むからといって刻印させることができる魔物でもなかったが、そもそも毒蝶の刻印ができる魔手師もごく稀。

想像できる最後が目に見えているからだ。

ラント・アグリチェが貪欲な目つきを送りながらも、私から毒蝶の卵を奪わなかった理由も同じだった。

その意味で小説の中のオルカは、やっぱり変人だ。

そこまで毒蝶を熱望し、あらゆる努力をして、結局それを刻印させることに成功したのだから。

しかも、彼はフィペリオンの後継者。

そんな貴重な体を、直接毒蝶の宿主にするなんて。

毒蝶の主である私が言うべきことではないが、正気の沙汰ではないだろう。

 



 

「ああ、本当に興味深い」

次の瞬間、面白くてたまらないような声が耳元に響いた。

目の前の青年の綺麗な顔に、梨の花のような笑顔が浮かんでいる。

しかし、彼とは逆に、オルカの瞳には非常に危険で善良な異彩が施されていた。

狂気のようにも見えた。

オリンもそれに気づいたのか一瞬ビクッとする。

しかし、その後、オリンの体から警戒心を立ち上がらせ、私に一歩近づいた時、オルカの顔に浮かんだ危険な光が洗い流されたように消えた。

「ロクサナさん、誤解されるのではないかと先言しますが、今度パンドラが犯したことは私とは何の関係もありません」

いつの間にか再び笑顔に戻ったオルカが軽い態度で話す。

「姉がロクサナさんに、まさかあんな大きな失礼をすると知っていれば、私が先頭に立って早く家に帰していたでしょう。あっ、信じていませんか?私の本心なのですが」

私が目を細めると、オルカは大笑いした。

結局、パンドラはフィペリオンに帰還することになったのだ。

公式的には魔物を利用して城門を越えたことの主犯もパンドラとして知られていたため、彼女はすぐに白の首長に呼ばれた。

ただし、オルカはパンドラと共にフィペリオンに同行せず、監視されてまでペデリアンに残ることを選択する。

彼が保有している魔物まで自ら返却したという。

「パンドラがロクサナさんに犯した過ちは私が代わりに謝ります。そうしたくて、ペデリアンに残ったので」

吐くように嘘をつくわね。

おそらく彼が今日までペデリアンに残っている本当の理由は毒蝶に対する未練を捨てられなかっただろうと私は思った。

「もちろん、ロクサナさんに個人的な関心もあります」

 



 

  1. カシスの母ジャンヌとの対話

    ロクサナはカシスの母ジャンヌとお茶を共にし、カシスの持つ治癒能力の過去を知る。かつて幼いカシスが怪我をした妹シルビアを助けようとした際、能力の反作用で一度シルビアの息を止めさせてしまった過去があり、ジャンヌは二度とカシスに辛い経験をさせないためにもロクサナの健康を強く願う。

  2. カシスの治癒能力に対する謎と認識の深まり

    「カシスが決心すれば救えない人はいない」というジャンヌの言葉や、一度命を落としたシルビアが今生きているという事実から、ロクサナはカシスの能力が単なる怪我の治癒にとどまらない強大なものであることと、今カシスが自分に行っている処置の真の意味に思いを巡らせる。

  3. オルカとの再会と「毒蝶」への執着

    部屋を出たロクサナは、ペデリアンに留まっているオルカ・フィペリオンと遭遇する。オルカは謝罪を装いつつも、宿主を食らうとされる危険な「毒蝶(殺戮蝶)」を従えるロクサナに強い興味と狂気じみた執着をのぞかせる。

 

 

【ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。 ネタバ...